第202回「微笑みの国へ」

 こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。栄えある2020年の年明けの号ですので、通常は新年のお祝いを申し上げるところですが、喪中につき年末年始のご挨拶は失礼させていただきます。平素のご芳情を厚く御礼申し上げ、皆様に良い年が訪れますようお祈り致します。昨年はクリニックの移転、父の昇天、ホームページの作り直し…とバタバタした年でした。新しいクリニックを見に神戸に行きたいと言っていた父が一度も新クリニックを見る事がないまま他界してしまったのが残念ですが、気を取り直して今年も頑張ろうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。 さてさて今月はいつものテンションを取り戻して、バンコクで開催された国際美容皮膚科学会に行ってきたお話から…。2年前に初めて参加した学会ですが、毎年バンコクで最もいい季節だという11月に開催されます。前回は移転準備でバタバタだったので参加できませんでしたが、前々回のこの学会でバンコク在住のK君に突然連絡を取ったのにも拘わらずいろいろお世話になったのに味を占めて、今回は学会の少し前に連絡を取ってみました。するとK君は海外出張中の忙しい最中だったのに、前回行けなかったディナークルーズの予約の取り方や、有名なルーフトップバー(高層ビルの屋上にある屋根のないバーやレストラン)の情報などを教えてくれました。そして学会期間中は来客で忙しい中、2回も有名店に食事に連れて行ってくれたんです!(一体何しに行ってるの?って疑問はおいておくとして…いつもの調子に戻った事だけはお分かり頂けるかと思います…(^_^)。)     1回目は前回も連れて行ってもらった、ソンブーンというシーフードレストラン。今回は前もって連絡してたのでK君が空港までお抱え運転手の車で迎えに来てくれ、ホテルにチェックイン後にレストランに向かう事になってたんですが、チェックイン時にトラブルが。アゴダでホテルの予約をしたんですが、3泊で予約したのに2泊しか取れていないと。えーっ、なんで??(帰国後にネットで調べてみるとアゴダって結構問題あるサイトみたいですね。トラブルによる恨みつらみの書き込みが多く、絶対に利用してはいけないという人も結構いるみたい…。ただ、そんな事を書くのは問題があった人だけでスムーズにいった人は書き込みしないので、最近の口コミってどう評価したらいいのか迷いますね。)フロントでも時間が遅くてアゴダと連絡が取れないらしく、一向に話が進みません。K君がレストランを予約しているから急いでるんだ、とフロントスタッフに催促してくれ、なんとかチェックインを済ませました。そしてやっとシーフードにありつける事に。ソンブーンは秋篠宮様が常連になっているというレストランで、プーパッポンカリーという蟹のカレー炒めが有名です。どのテーブルでも必ずこの料理が注文されるそう。その他海老の春雨炒めやムール貝の香草蒸し、雷魚のナンプラー揚げなどのシーフードを堪能しながら、昔話に花が咲きました。     今回は学会期間中にローマ法王がバンコクを訪問するとの事で、その行事が行われる付近は大混雑するので避けた方がいいとのアドバイスをK君からもらい、ディナークルーズやルーフトップバーの訪問は付近で式典などが行われる日を避けて計画しました。その辺の情報もジモピーがいると楽に入手できて助かりますねぇ。ディナークルーズは桟橋から小さな船でクルーザーの発着所まで行くんですが、川辺の夜景が綺麗に見えて気分を盛り上げてくれます。クルーズは3000円ほどなのにタイ料理のバイキングにディナーショーまで付いていてお得感満載。ショーはタイの伝統舞踊から各国のカラオケ、ニューハーフのショーまでありました。身長180㎝はありそうなニューハーフのショーは圧巻。ご存知の方も多いと思いますが、タイのニューハーフショーはいわゆる日本の「おかまショー」とは全く別のものです…(^_^)。まぁ日本の「おかまショー」については「あれこそが日本の文化だ!」と言ってる人もいるのですが、面白いのは面白いと認めるものの国際的に認知されて「さすが日本のサブカルチャーはすごい!」と言われるようになるのはちょっとですよねぇ…。それはさておき、舞台のすぐ近くの席だったので、カラオケショーではテレサ・テンの「時の流れに身を任せ」の時に「ジャパン!」と呼ばれ、舞台に上げられて歌う羽目に。食後には甲板からライトアップされたワットアルンや王宮が綺麗に眺められ、クルーズを堪能する事ができました。     タイを代表するルーフトップバー「シロッコ」はK君お勧めの有名店だったので迷わず予約しましたが、予約後にネット情報を見るとシャンパン1杯1万円のぼったくりバーだと書かれていたので心配になり、K君に聞いてみると「僕は行った事ないけど、連れて行った人はみんな良かったって言うけどなぁ」と言うので行ってみました。行ってみると下町に突然現れる63階建ての高級ホテルの最上階で、 「おぉぉ!さすが!眺めは最高!」 シャンパンやワインは超高いと聞いていたのでビールを頼むと、なんとビールが1杯850バーツ(約3000円)もしてビックリ。こちらの物価の感覚で850バーツと言ったら絶対に普通の人は寄り付かないお金持ち専用、もしくは外国人専用のところになります。ワインは一番安いグラスで950バーツ(約3500円)。なんと1杯でディナークルーズより高いやん! そこは特別高いそうですがタイは全般的にお酒が高いらしく、K君にお土産としてワインとブランデーを持って行ったらすごく喜んでくれたのも分かる気がしました。でも料理は美味しかったし眺めは最高だし、生演奏もあって雰囲気も良く、スタッフも写真を何枚も綺麗に取ってくれたりサービスもすごく良かったので、お酒が高いのもまぁ仕方ないかと…。前日のディナークルーズと足して2で割ると元は取った感が。(大阪のおばちゃん丸出しの考えですが…。)   今回は学会とディナーの合間にアゴダと交渉という面倒な仕事もあり、3泊目がやはりアゴダの手違いで取れていない事が発覚。怒り心頭だったんですがバンコクに今年できた5つ星の高級ホテルを代わりに取ってくれてグレードアップされたので、なんとか怒りも治まりました。(人間って現金なもんですねぇ…。)そのホテルは朝食付きだったんですが、5000円くらいするゴージャスな朝食で、パンや卵料理の他にシーフードやお肉、焼き飯や麺まで付いていて食べきれませんでした。(昔北野のホテルで食べた「世界一の朝食」よりずっと豪華でした。) そして最終日はまたK君が接待ゴルフで疲れた後にも拘らず、有名な鶏料理店に連れて行ってくれました! そこでもどのテーブルでも頼まれるという鶏の丸焼きと、汁無し鍋・タイ風ひき肉炒めなどを堪能。さすがに2回もご馳走になるのは悪いと思って支払いしようとするとK君は「何言うてんねん、たかりに来たんやろ?? まぁバンコクにKがおるけど会いとうもないわ、て言われるより会いに来てくれる方がありがたいからな」と快く奢ってくれたんです! よっ!ふとっぱら!! ほんと持つべきものは友達ですねぇ。(この年になると奢ってくれる人も数少なくなるので、たまに奢ってもらうと本当に嬉しくなります。)     観光旅行のサイトを見ていると「タイは微笑みの国」というキャッチフレーズが多く見られますが、確かに行ってみると「本当だなぁ…みんな笑顔が素敵!」って思います。大体商業サイトのキャッチフレーズなんてまやかしのものが多いんですが、実際にタイに行って現地の人が接してくれると本当にいつも笑顔だし、その笑顔が無理に作ったものではなく自然な感じでとても素敵だな…と思う事が多いんです。最終日に泊まったホテルのスタッフもすごく親切で、絶やさない笑顔がとても素敵でした。勿論、タイにだっていい人もいれば悪い人もいるでしょうし、数日の旅行でその国のすべてを知る事なんてできませんけど、お国柄ってのは少なくともあるな…って思います。今年は東京オリンピックが開催されますが、そう言えばオリンピック誘致の時に滝川クリステルさんが日本のホスピタリティを「OMOTENASHI」と言って一時流行語になりましたよね。日本人にもいい人もいれば悪い人もいますが、確かに一般的な傾向として日本人は外国人に対して非常に優しく接していると思います。うちにも中国をはじめとして外国からのスタッフがいますが、彼らも一様に日本に来ると外国人に対してとても親切で、自分達の国ではこんな事はほぼないと言っていました。それに「大阪のおばちゃん」は特に親切でフレンドリーですよね…(まぁ、誰に対してもフレンドリー過ぎるという面もありますが)。     先日も電車に乗っていると明らかにヒップホップ系黒人のハーフの若者がドラムセットのような大きな大きな荷物を持って乗り込んできました。人を見た目で判断しては駄目よ…って小学生の時に教えられましたが、そうは言ってもどう考えても日本人じゃないし、それもかなりぶっ飛んでいる感じ満載なんです。正直に言うとあまりお友達になりたいような感じではありませんでした。ところが彼の前の席に座っていたおばちゃんは全くの自然体で「あんた…そんな大きい荷物持って大変やなぁ。こっち来て座りいなぁ…うんうん。そやそや…。なんや…あんた音楽しとんかいな。これなんちゅう楽器やねん?」…と、まさかのフレンドリーすぎる対応です。流石にこんなコテコテの関西弁だったら外国人は多少日本語できても分からないだろうな…と思っていると、ヒップホップ兄ちゃんが帽子をとって「ありがとうございます。ホントに恐縮です…」と何度もペコペコ頭下げているじゃないですか。その姿は本家日本のサラリーマンにも引けを取らない姿で、腰の引け方といい作り笑顔といい、すっかり様になっています。なんとも微笑ましいというか、見てて思わず笑ってしまったのですが、流石に「OMOTENASHI」の国だな…って思いましたね。大阪のおばちゃんは外国人に対しても親切です。(さすがに「あめちゃん」はあげていなかったようですが。)     あ…そうそう、日本の話ではなくタイが微笑みの国だって話でした。その笑顔が素敵だったという話をある友人にしたところ(彼も過去に数回タイに行ったことがあります)、「あ…ホントそうだよね。僕もそう思う。なんかみんな常に笑顔で素敵だな…って思うね。でもさぁ、笑顔に騙されそうになった事もあるよ」「え? どんなんだった?」「空港に着いてタクシーに載った時に、運転手さんが満面の笑みでどこから来た? 日本か? アリガトウゴザイマス…とか知ってる日本語色々言ってくるし、日本人は自分達が接する外国人の中で最高だとか、もうとにかく親切なのよ…。こちらもいい気分でいたんだけど、ふと見るとタクシーのメーターが動いてないのよね。それでメータ動かして…って言うと、いや料金は自分が最高のディスカウントをしてリーズナブルにするから心配する事はないんだ…って言うじゃない。それは流石に信用できないので絶対にメータ動かしてくれ…いや必要ない…いや動かして…の押し問答になって、もう僕は後ろの席で足をバンバン床に打ち付けて「絶対動かせこの野郎!!」って感じで怒鳴ってしまったのよ。そしたら最後にこのオジサン…微笑みながら「OK!」ってメーターのボタンを押したんだけど、その時の笑顔も素敵だった…(^_^;)。その後も何事もなかったように日本は最高だと繰り返して、最後の最後まで笑顔のままだったなぁ。流石に微笑みの国だって感心したよ」…との事。う…ん。それはどう受け止めたらいいのか難しいところですけど、確かにそのような状態でも微笑みを絶やさないってのはいい事だよね…とポジティブに受け止める事にしましょう。   あらあら、今回は例によって学会と言って遊んでばっかりやん、と思われるかもしれませんが、まぁお正月だし難しい話はさておいて、いつものテンションに戻すための特別号という事で…。昼間はちゃんと学会に出てお勉強しましたよ~。美容皮膚科ではやはりボトックスやヒアルロン酸注入などの注射が主流で、いかに少量の注入剤で最大のリフトアップ効果を得るか…と言った講演が盛んでしたが、最近はスレッドリフトの講演も多くなってきました。なんと顔だけでなくお尻や太腿など体中に糸を入れる講演もあったほど。眉と瞼の外側を引き上げるアイブローリフトは私もやってみて良かったので治療に取り入れましたが、今回の学会での講演を聴いて、他のところもやってみようと首のスレッドリフトも東京のクリニックでしてもらいました。その結果は次回のお楽しみに…。この年になっても新しい事にチャレンジして頑張ろうと思っていますので、本年もどうぞ宜しくお願い致します。  

第201回「大往生」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。早いもので、もう今年も終わりに近づいてきましたね。皆様は今年はどんな年でしたか? 私はと言えば…人生節目の60歳となり、クリニックの移転から始まっていろいろな事がありました。先月このクリニック通信をスペインで書いていた時に日本に上陸した台風19号は甚大な被害をもたらし、多くの方が亡くなってしまいましたね。心よりご冥福をお祈りいたします。 実は、スペインにいた私にもこの台風の影響はありました。今年95歳になった父が肺炎で入院し、スペインの学会前は落ち着いていて主治医にも学会中は大丈夫と言われていたので旅立ったのですが、学会中に急変して亡くなってしまったんです。すぐに帰国しようとしたんですが、台風の影響で飛行機が全然ありません。仕方なくお通夜と葬儀の日を延ばしてもらい、関空からお通夜直行となったんですが、姉から時差関係なく電話がかかりまくってきて学会どころではなくなってしまいました。おまけに葬儀の日を変更したため姉の旦那と姪が予定を変更させられたと機嫌が悪いので、旦那と姪、姪が会う予定だった友達の分までお土産を買って来いと言われる始末。バタバタしてスペインまで行った気がしませんでした。帰国時にも飛行機が遅れたため最短の方法を考え、関空から伊丹空港までバスで行ってそこからタクシーで池田の通夜会場へ。大変な学会になりましたが、久しぶりに伊丹空港から池田に向かい、昔伊丹が国際空港だった頃、海外から帰る時はいつも父が空港まで車で迎えに来てくれていたのを思い出しました。     しかしこの一件では、人の情けをしみじみ感じる事もできました。まず葬儀のために予約を快く変更してくださった患者様。心より御礼申し上げます。そして、大学関係者の葬儀では香典は辞退するのが最近は普通なのですが、感傷的な姉は人の気持ちは受け取りたいと言い、香典を受け取るのなら受付に2人は立って欲しいと葬儀屋さんに言われたけど受付を頼める人がいない…と学会中に国際電話が。学会の合間に勤務医の頃に仲良しだった看護師さんや幼なじみに頼んでみると、彼女らは快く引き受けてくれ、忙しい仕事の合間にお通夜と葬儀の受付をしてくれたんです。そして大学の医局を離れてもう15年以上経ちますが、昔仲の良かった後輩に一応連絡してみると、彼が整形外科同門会(大学の整形外科出身の先生全体の会)全員に訃報を伝えてくれて、思いの外たくさんの先生から献花や弔電をいただいて驚きました。さらに大学の卓球部の後輩にも連絡してみると、やはりたくさんの先生たちが献花や弔電を送ってくれて、みんな覚えてくれてたんやなぁ…としみじみ。父も喜んでいた事と思います。さらに驚いたのは、卓球部の後輩や、整形外科の後輩たちが仕事の後で京都から池田までお通夜に駆け付けてくれた事。大学卒後は35年になり、整形の後輩を教えていたのも20年以上前ですし、まさか来てくれるとは思っていなかったのでびっくりしましたが嬉しかったです…。     なんだかしんみりした話になってしまいましたね…。ただ、父の場合はもう95歳でしたし大往生と言ってもよく、人生を幸せな状態で終える事ができたので、本来はお祝いをするべきなのかもしれません。以前インターネットの記事で外国人が「日本に来て一番驚いた事は何ですか?」という質問に、「知り合いのお葬式に行った時」と答えていて印象的でした。その方はアメリカ人だったのですが、元ブッシュ大統領のバーバラ夫人が亡くなった時のお葬式のビデオを引き合いに出して「92歳で大往生したバーバラ夫人は第41代大統領夫人、そして第43代大統領の母としてアメリカで最も有名な女性の一人です。そして彼女が亡くなった時の葬儀は、彼女が無事天に召された事を称えてまるでお祝いのパーティのような雰囲気で、招待客は談笑しあちこちで笑い声が上がっていました…」というビデオと共にそのエピソードを紹介していました。もちろん、不慮の事故などで若くして不幸な亡くなり方をした場合は日本と同じく悲しみに暮れるという事ですが、彼が出席した日本のお葬式はいわゆる「大往生」タイプだったにも関わらず、最初から最後まですすり泣きとお経が響き、来ている人達は普通の会話も憚るような雰囲気であった…と書いていました。     まぁ流石に私の父のお葬式はそこまでしめやかではありませんでしたが、確かにお越しいただいた皆さんが冗談を言って笑い声が響くというような事はありませんでしたね。私自身も過去にそのようなお葬式に出席した事はありません。その記事では「死」に対する捉え方の違いについても述べていて、ある意味興味深いものでした。 私は以前は大きな病院の勤務医をしていましたので、病棟の中ではほぼ毎日と言っていいほど、どなたかが亡くなるという事もあり、ある程度日常的に「死」に対して接していたので一般の方の感覚とは少し違うかもしれません。私は勤務医時代は整形外科医でしたが、正直言って小児科の医師には尊敬すると同時に同情を禁じえませんでした。やはり子供さんが亡くなる時は、その場に立ち会わなければ正確には分かりませんが、どれだけ大変な状態になるかは想像もつきますし、何度もそのような修羅場の話を聞きましたので、その時は正直言って「小児科でなくてよかった…」と思ったほどです。     一方で整形外科は基本的に患者さんの多くはお年寄りです。そして整形外科で治療するけがや病気は直接的に死とつながる事は比較的少ないです。(骨折が原因でそこか化膿してしまい、感染症になって亡くなるなどの稀なケースはありますが、骨折だけで死ぬというような事は大事故でない限りあまりありません。)ただし、入院患者の方は当然というか、老人の方が多くなります。そうなると若い人のように骨折が治ったらすぐに退院…というような事はなく、大抵の場合他にも色々な病気が併発している事があって、まぁ、ご家族は大変だな…と思う事が多々ありました。長い時は数年に渡りそのような状態が続くので、最後にお亡くなりになった時はご家族の皆様から「先生、長い期間ほんとにお世話になりました」と挨拶されるのですが、その表情は明らかに「悲しみ」より「安堵」が漂っています。それは身近でその様子を見ていると責める事は決してできず、私も「本当に良かったですね…」と言ってあげたい気持ちになった事が何度もあります。そのような経験をしているからか、私の中では「死」の事を考えないように「回避」するのではなく、正面から向き合って「準備」すべき…という考えが強くあります。理想はなんと言っても死ぬ間際まで元気で大往生、いわゆる「ピンコロ」(ピンピンコロリ)ですね…。     その意味で私の父は、ほぼ私の理想とする生き方であったと言っていいと思います。今年のお正月までは元気で一人暮らしをしていましたし、最後までボケずに毎月クリニック通信を楽しみにしていました。ただし、これって意外に難しいんですよね。まず肉体的に健康を維持するのって、かなり自分が強い意思を持って節制をして、養生しなければなりません。でも残念ながら食事一つをとっても「体にいいもの」って結構な確率で「美味しくない」のです。(いわゆる年をとってから健康にいいと言われる食べ物はそうですね。若い時は焼き肉でもハンバーガーでも何でも好きなものをお腹いっぱい食べてもいいんですが、年をとると流石に自制しないといけない事が多いです。)私の大好きなマーフィーの法則の中に「快楽の法則」というのがありますが、曰く「人生で楽しい事は、違法であるか、反道徳的であるか、太りやすい」との事…。う…ん、なんだかその通り! そう言えば父は小食で全く太っていなくて、お酒も飲まずタバコも吸わず、毎朝ゴルフの素振りとウォーキングをし、88歳までゴルフをしていました。太らない事と運動を続ける事が長生きにつながる事は抗加齢学会でも盛んに謳われています。(私も少しお酒を控えて運動をせねば…。)     そして、もっと難しいのが「心の健康を維持する」って事です。年をとると心の健康と体の健康は密接に結びついているというのは多く研究で証明されています。結局、人間って社会性のある動物なので、「誰かに必要とされている…」という状態こそが健康を維持する秘訣みたいですね。その点、私の父はまさにそうだったと思います。定年退職してからも、母や姉・姪の面倒をずっと見ていて、それが生きがいになっていましたから…。 そして人の前に積極的に出て接する、人に見られているという状態にある方が心の健康を維持できるのは言うまでもありません。私が美容皮膚科の枠にとらわれずにアンチエイジングという分野に積極的に関与していくと決心したのも、「最後まで健康で生きて大往生するにはどうすればよいのか?」というテーマへの取り組みからでもあります。今回父が大往生した事で、その取り組みがまさに今自分にとって必要な事なのだと改めて決意を固くした次第です。     ところで、お通夜に来てくれた大学の卓球部の後輩はダブルスを組んでいた子で、自身も先月手術を受けて体調の悪い中来てくれたのでお通夜に遅れた私とは会えませんでしたが、学生時代試合の時にうちの実家に泊まって試合会場まで父が車で送ってくれた事を覚えてくれていて、 「お優しいお父様、阪神高速を素晴らしい運転で抜けて試合会場まで送ってくださった楽しい思い出を懐かしく思い出し、とても残念に寂しく思います。でも、先輩やお姉さまがいらして御長寿で素晴らしい人生を全うされたのだと思います。お通夜の会場に素敵な写真をたくさん置いておられるのを拝見しました。先生とご一緒に優しい笑顔でいらっしゃるお写真がたくさんあって素敵でした。駅までの道で又従弟さんと一緒になり、お父様がとてもお優しかった事を話すと、『本当にいつもとっても優しいんですよ!』とおっしゃっていました。きっと今も先生の事を優しく見守っておられる事と思います。お辛いと思いますが、大変お疲れと思いますのでなるべくお身体お休めになりますように。体調を崩されませんようにご無理なさらないようにしてくださいね。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」 という暖かいメールをくれました。     整形外科の後輩たちは手術後に来てくれたので遅い時間になったため、久しぶりの再会を果たす事ができました。後日「この度はお父様のご逝去に接し、心よりお悔やみ申し上げます。先生には新入医局員時代、神戸海岸病院時代共に大変お世話になり、心から感謝しております。先生にお会いして是非お声をかけさせていただきたいとOと2人で話し、弔問をさせていただいた次第です。遅い時間となってしまい、申し訳ございませんでした」「こんな際でしたが、久しぶりに先生とお会いできて良かったです」というメールももらい、何十年経っても恩を忘れずにいてくれたんだと感激しました。 東京のK氏からもお悔やみのメールをいただきました。K氏には最近のストレスの愚痴と共に、スペインで学会なんてあまりないのでこれを逃したら一生行けないかもという話もしていたので、「お父様、逝っておしまいになったのですね。ご愁傷様です。ここのところ続いていたストレスの発散を兼ねて先生が行きたがっておられたスペインですから、お父様はそれをふまえて、最後頑張られたのだと思います。ありがたいですね。長時間のフライト等でお疲れのことと思います。何卒、健康を損なわれませんように。少し落ち着かれたら、東京でお父様ご追悼のお食事会を催しましょう」という優しいメールをくださって、父の追悼会もしてくださいました。多くの人に支えられている事を父が再認識させてくれた気がします。 今回は私の個人的な父の大往生の話ばかりで大変恐縮です。ただ、来年もそういう恩を忘れず、感謝の念をもって皆様に恩返しができるように頑張ろうと思いますので、何卒宜しくお願い致します。  

第200回「学会のあれこれ」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。ついにこのクリニック通信も200回目を迎えました。永年お読みいただいている皆様には感謝の言葉しかありません。今後とも宜しくお願い致します。 さて急に涼しくなりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?  私はと言えば…現在この通信の原稿を書いておりますのが学会参加中のスペインなのですが、ネットのニュースを見ていると今まさに最大勢力の台風が関東地方を直撃するという事で注意を呼びかけているようです。大きな被害が出なければ良いのですが…。私の現在いるスペインは太陽がさんさんと降り注ぎ、まさに情熱の国と言うのにふさわしい非常に良い季節です。ここではこんないに良い状況であっても地球の裏側では台風で大変な状況になるというのですから、いくらインターネットで世界が狭くなったとは言え、実際には世界は非常に広いんだな…と実感します。     秋は毎年、学会が多く開催されます。すでに先日も舞浜で開催された日本美容外科学会に参加してきました。この学会は会員でないと学会費もすこぶる高くて、参加するのにもいちいち学会長に参加許可をもらわないといけません。10年ほど前、PRP(多血小板血漿)注入療法の研究をしている時に学会長からパネリストの依頼を受けたんですが、会員ではなかったので断ったら招待すると言われ、その後その学会長の推薦で会員になってからはほぼ毎年参加していますが、まぁ、ちょっと敷居が高い系…の学会になりますね。このような学会があるかと思うと、ほぼ知り合いや身内が家族のようにアットホームな感じでやっている小規模学会もあります。はたまた皆様もご存知の大手美容クリニックT院長が主催するド派手な学会もあります。(以前の通信にも書きましたが、当時TクリニックのテレビCMに出演していた郷ひろみさんが、この学会のアトラクションとしてミニコンサートをする事になりました。コンサートが始まると今までおとなしくしていたお医者さんの奥さんや看護婦さん達、そしてバブル世代を経験した女医さんなどが入り乱れて、もう「ヤンヤヤンヤ、きゃーきゃー!」の大声援です。この状態にさすがの郷ひろみさんもビビってしまって、「ええっ…皆さん、ホ…ホントにお医者さん達なの? ち…違うよねぇ…??」って言っていたのを思い出します。ただ、この学会の名誉のために言っておきますと、ド派手な演出があったりド派手な美容外科の先生が来てたりするものの、発表される内容は真面目で役に立つ情報が多いんです。)     そんな事で今回はちょっと敷居が高い学会に参加した話ですが、気になったのは輪郭形成の講演。中でも手術ではなくスレッドリフトとえらボトックスやボトックスリフト・輪郭注射などを組み合わせた輪郭形成術に注目しました。また、髪のアンチエイジングの講演も興味深く聴けました。美肌や健康と共に、髪もアンチエイジングの大切な要素ですよね。成長因子製剤や自家脂肪由来間葉系幹細胞、そして新しいものでは幹細胞由来エクソソームというものの注入治療の講演がありました。少し難しい話になりますが、エクソソームというのはエンドサイトーシス(細胞が細胞外の物質を取り込む機構の一種)により細胞内にできたエンドソームがさらに陥入する事で作られた膜小胞が細胞外に放出されたものです。エクソソームの表面には細胞膜成分が、内部には細胞内の物質が含まれるため、分泌された元の細胞の特徴を反映すると考えられています。近年エクソソームは、離れた細胞や組織に情報を伝達するための役割を担っている可能性が指摘されています。エクソソームには様々なタンパク質や脂質、RNAが含まれており、別の細胞に運搬される事によって機能的変化や生理的変化を引き起こすとされるので、幹細胞由来エクソソームは幹細胞の機能を他の細胞に伝えると考えられています。講演の内容はその幹細胞由来エクソソームを分離・精製した製剤を注入して効果を上げるというものでした。今後その方面の研究も進めていけたらと考えています。     ところで、講演の会場ではなんと大学の卓球部の後輩にバッタリ会いました。形成外科に進んだ子です。 後輩:「先生! お久しぶりです!!」 柴田:「わ~、久しぶり~!  何年目になったん?」 後輩:「もう6年目ですよ~」 柴田:「え~! もうそんなになるの??  早いね~!」 と、久しぶりに昔話に花が咲きました。このクリニック通信の中で散々書いてきた事ですが、私達の研修医の頃は日本国憲法に定められた「基本的人権」が研修医にはなかった時代でして、医局が有無を言わさず研修先の病院を指定して、研修という名の下で倒れる寸前までこき使われて「体で仕事を覚える」というのが当たり前でした。今はそのような事はなくなり、研修医は自分で研修先を選ぶ事もできますし、なんと残業代も出るようです…(^_^)。私達の頃は「残業代ください」なんて言ったらどんな事になるかは分かっていたので、誰も怖くてそんな事言い出せなかったんですが…(^_^;)。たまにネットの記事を読んでいると、ブラック企業として有名な「Wタミ」とか「Uクロ」に潜入アルバイトをして如何にこの会社がひどい労働をさせるか…という事をレポしているのを読んだ事がありますが、まぁ私にすれば「え? それのどの辺がブラック企業なん? それって普通の研修やんね…」って思ってしまうんですよねぇ。まぁ決してそれがいい事だとは思いませんが…。     そんな昨今、後輩は大きな病院で研修医に指導する立場にあるのですが、彼女曰くは、最近の研修医は怒られずに育って来た子たちなので、ちょっと怒ったら怖がってダメなんだとか。 後輩:「注意してもらえるのはありがたい事やのに、それが分からないんですよね~。             きつく言ってるつもりもないのに『もっと優しく言ってくれたらいいのに~』             とか言うんですよ! もう下なんか教えられませんよ~」 柴田:「そう言えば、最近の現役生(後輩の学生)は試合の時ご飯に連れて行ったり         試合で勝ったら祝勝会したりしても、疲れてるのに断りたくても断られへんから困るとか言うねんで~。             どう思う?」 後輩:「え~、何それ!! 奢ってもらっといて文句言うんですか!?             もう最近の若いもんは何考えてるか分かれへんわ~!」 彼女もまだまだ若いんですが、時代の変化というのは最近早いようで…。以前のクリニック通信にも書きましたが、エジプトの碑文から「今時の若い者は困ったものだ」という言葉が見つかったと言うのですから、こうやって時代や世代を超えて永遠に「最近の若いもんは…」と人間は愚痴ってきたのでしょうね…(^_^)。     さて、学会には大抵レーザーなどの機器や化粧品のメーカーなどが新製品などを展示する企業ブースがあります。講演の合間にブースに立ち寄ってウロウロしてると、「柴田先生!」と声をかけられました。最初誰か分からなかったんですが、「Oです!」と言われて思い出しました。「久しぶり~! なんでこんなとこにおるん??」Oさんは、柴田エイジングケア・美容クリニックの前身である柴田美容皮膚科クリニックのオープニングスタッフでした。その前身である異人館通クリニック時代からいた旧スタッフにいじめられて(?)いったん辞めたんですが、旧スタッフがいなくなると戻ってきて柴田美容皮膚科クリニックの立ち上げに一役買ってくれた人です。その後化粧品の販売をしたいと言って大手の化粧品会社に転職したんですが、今度は新しい化粧品会社の立ち上げを手伝ってるんだとか。その新しい会社が学会の企業展示にブースを出したので、私が来ないかな~と探してくれていたそうです。     Oさん:「懐かしい~! 先生、全然変わりませんね~! 私はおでこのシワとか      気になってきましたよ~。先生のとこ行こうかな?」 柴田:  「そう言えば、Kさん(Oさんの同期のスタッフ)は辞めた後しばらく      うちに通院してたよ」 Oさん:「そうなんですか! Kさん元気かな~?  あの頃のスタッフの同窓会      しましょうよ! クリニック通信も、ずっと見てましたよ~!」 なんと11年ぶりの再会でしたが、昔のスタッフが頑張ってくれてて、今も忘れずにクリニック通信を見てくれてるなんて嬉しいじゃないですか。(クリニック通信を続けてて良かった…。)これも昭和世代だからなのかなと思いましたが、こういう義理人情みたいなものは時代を超えて引き継がれて欲しいものですね。 このように学会って、人の発表を聞いたり情報を仕入れるという事も大きな目的なんですが、「出会い」という事についても非常に大きな役割があります。特に開業医になると、日常はほぼ孤独な世界です。勤務医の頃にはいた同僚というものがなくなり、全ての判断を一人で行い全ての責任を自分一人で取るという、絶対的な孤独に陥ってしまいます。そんな世界にずっといると煮詰まってしまうので、たまに学会に参加するというのは非常に大きなリフレッシュになります。     話は変わりますが、最近大きな話題になっているニュースに、ある人がネットの掲示板に「都内の企業に12年間勤務して手取りの月給が14万円です。日本終わってますよね?」と投稿したそうです。多くは、その発言に対して同情や日本の問題を指摘していたのですが、かのホリエモン氏は「日本が終わってんじゃなくて『お前』が終わってんだよwww」と、「笑」を表す「w」を3つも入れて突き放すコメントをツイッターに投稿して、大炎上しているのだとか。勿論、炎上するって言うからには反対の意見やホリエモン氏に攻撃的な発言が非常に多いという意味ですが、一方で「いいね」のリプライをした人も6千人以上いて、彼を擁護する意見も多かったという事です。ちょっと解説を入れると、ホリエモン氏はこの人に対して「12年間働いて月給が14万円という事を受け入れて、自分が何も行動を起こしていない事について日本のせいするんじゃない、あんたが自ら行動を起こさないのが駄目なのよ」という趣旨で発言しているのだと思います。     実は私もこのニュースを読んで非常に思うところがあります。勤務医の頃って先に書いたように同僚がいるし、社会の中で生活しているので、ある意味サラリーマンとしてある程度均一の価値観があります。しかし、一旦開業すると全ての事を自分で決める訳ですので、その人の個性がどんどん強くなっていきます。そんな中で開業した後いつも不平不満を言っている人達もいて、まさにそのような人達は「日本は終わっているよ…」って言っている事を思い出しました。そしてそのような人達って学会に参加する事もなく、孤独の中に更に引きこもっていく傾向があるな…とも思います。勿論、全てがそうだとは言いませんが、一般的な傾向としてそんな気がします。前回のクリニック通信に「どうすればいいお医者さんを見分ける事ができるか?」というような話を書きましたが、「そのお医者さんがどのような学会に参加しているか」というのをホームページなどで確認するのも一つの指標になるかな…とも思った次第です。そんなこんなで、次回は今参加しているスペインの学会の話を書く事ができたらいいかな…って思っています。皆様には休診続きでご迷惑をおかけしていますが、学会で得た情報を基により良い治療を皆様に提供できるように頑張りますので、楽しみにお待ちくださいね。10月からは土曜日の診療も復活しました。今後皆様のご要望にお応えして日曜日の診療も復活する予定ですので、今しばらくお待ちください。今後とも宜しくお願い致します。  

第199回「今どきの出会い」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。やっと少し涼しくなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…移転後半年が過ぎ、やっとクリニックも落ち着いてきました。しかしふと気づくと、以前からご来院いただいている方はリニューアル後も結構来て下さりありがたい限りなのですが、新しい患者様の問い合わせなどが少なくなったような気がして、これはホームページがいけてないからでは?という話になりました。移転の時は、以前のクリニック通信にも書きましたが内装工事の打ち合わせや予約・会計などのシステムの移行にホームページのリニューアルが重なってしまい、さらにそのホームページの内容が間違いだらけで大変だったのでその修正に時間を取られ、デザインやコンセプトワークを吟味する暇がありませんでした。そこで今のホームページを分析してもらうと、「今回せっかく新しいコンセプトのもとでクリニックをリニューアルしたにもかかわらず、初めてホームページを見た人にはそのコンセプトが伝わるようなものになっていなくて、大手の美容クリニックのパクリのようになっている」という厳しい指摘を受けました。確かにそうなんですよね…。やっぱりこれでは駄目だと反省し、思い切ってホームページを作り直そうと思いました。時代と言えばこれも時代なのですが、初めての患者様の8割くらいはホームページを見て当院にご来院いただいていますので、そのホームページが駄目だという事になると致命的な問題なんですよね。     私も気付いてみれば、何か新しい事をする時にはホームページを見てから行動する事がすっかり多くなりました。以前は新しい人との出会いは知り合いや友達の紹介が多かったのですが、今となっては知り合いの紹介って良し悪しだなと思うようになりました。例えば一番それを実感するのが弁護士さんなどいわゆる「師業」の方を紹介していただく場合です。私のような医者も巷では「師業」の一つですが、医者を紹介してもらう場合は自分も医者なのでインサイダー情報が多く入って来る事もあって (^_^) …割と自分でフィルターする事ができます。しかし、自分が門外漢の分野ではこの「紹介」というのは良い時と悪い時があって、最近では悪く作用する事の方が多くなって来たように思います。まず一番問題なのは、自分が結果に不満であっても紹介者がいる事で、途中でキャンセルしたり強くクレームを言いにくい事です。途中経過の中で「あぁ…どうしてもこの人の仕事のやり方は私に合わない…」とか「あれ? ひょっとしてこの人は全然分かってないんじゃないの?」って思う事があるのですが、紹介者の顔を潰すような事もできず不満を抱えたまま終えるという事が過去にもありました…(^_^;)。こちらが門外漢の場合はその判断が最初の段階ではできませんから、言われるがままに信用してお任せするのですが、いくら素人とは言え途中で「あれ? 何かおかしいな…」と気付きます。でも気付いた時には既に遅し…。       そして、紹介者に頼ると「代わりの人がいない」という問題が発生します。スーパーの買い物だったら気に入らなかったら別のスーパーに行くだけでいいのですが、そもそもそのような人がいないから知り合いに頼んで紹介してもらっている訳で、その人が駄目でも代わりの人がおいそれ見つかる訳がありません。そのような経験を何度かすると「知り合いの紹介」というのが良いとは限らず、インターネットのホームページで見た中で全く知らない人であっても「あぁ…この人(会社)だったら信用できそうだ」と思い、そこに依頼するという方がうまくいったという事例が多くなってきました。それにこのやり方だと「紹介者」の顔色を気にしなくて済みますし、途中経過の中で問題があっても強くクレームを入れて改善してもらうという事も気兼ねする必要がありません。駄目だったら別の会社をまた探す事もできます。本当に時代の変化と共にビジネスのあり方も変わってきているなとつくづく思います。そんな訳で前回のホームページのデザイナーさんはある人の紹介だったんですが、今回は紹介という手段を使わずに完全にネットで一から探そう!!と思ったのでした。ただ、そうは言っても自慢じゃないけど私はこの世界は全くの門外漢。Googleで「ホームページ制作」とかで検索すると山のように制作会社が出てきますし、とても読みきれない情報量です。一体どこから手をつけていいのやら…。さすがにアドバイスくらいは知り合いにお願いしてもいいだろうと思い、ホームページ業界に身を置く友人に聞いてみると…。 友人:「それならランサーズ使ってみたらいいと思うよ」 柴田:「ランサーズって何?」 友人:「簡単に言うとフリーランスの人(受注者)と発注者をマッチングさせるプラットフォームやね。     こんな仕事あるけどやりたい人いませんか?って掲載すると多くのフリーランスの人がそこを     見ているから、予算とか内容を見てやりたい人から応募が来て、その中で提案内容とか人柄など     を吟味して一番いいと思う人を選んで発注できる仕組みなのよ」     友人:「今のホームページで問題なのは、『コンセプトワーク』がきちんとできてない事でしょ? 印刷で言ったら印刷のクオリティが問題なんじゃなくて、中のコピーとかレイアウトとかいわゆる『クリエイティブ』ってやつが問題なんであって、綺麗に印刷するという『技術』が問題なんじゃないのよ。ホームページ制作会社とかに依頼しても『コンセプトワーク』ができる人なんか本当に限られてるし、まともな人なんて会社に一人いればラッキーで二人以上いるなんて超大手の広告代理店とかしかないよ。そんなところは料金めちゃくちゃ高いし注文できないでしょ。『クリエイティブ力』って個人の力量に完全に頼ってるから、ちょっと実績ありますという会社に依頼したからと言って、能力の高い人が担当してくれるとは限らない。中小のホームページ屋さんって営業の人がいい事言って受注しても、実際作業になったら自称クリエイター(実際はただの人)みたいな人が担当して全く埒あかないってのはこの業界の『あるある』だからねぇ。だったら初めから『クリエイティブ』な力量のある個人に依頼した方がずっといいよ。そしてホームページ制作の中で手を動かしてゴリゴリ作成する部分(いわゆるHTMLコーディングってやつね)は不安だったら別の会社に依頼してもいいのよ。このゴリゴリ手を動かす部分は個人でも会社でも一定の経験のある人だったらそれなりに仕上がるから、量が多い時は会社に依頼した方がいいかもしれない。 でも『コンセプトワーク』は全く別の世界。これははっきり言って生まれつきの能力があるかないかが決定的な要素なので、『真面目に仕事します』とかでは乗り越えられない壁だな。だから、その能力を持っている人を探し出すしかうまくいく方法はないと思うね」     う…む。さすがネット業界の人だな。なんだかチンプンカンプンな横文字の羅列で分かったような分からないような…。ただ、最後の「生まれつきの才能がほとんど」というのはなんとなく分からないではない。最終的にはDNAが決め手という世界は確かに存在しますしね。そんな訳で何事もチャレンジ! よし、そのランサーズとやらでいい人を探そうじゃないか!…って思ったものの、どっから何を始めたらいいの?? またまたこの友人に頼るしかないか…(^_^;)。 友人:「それはまずこのクリニックをどんなクリニックにしたいという『思い』があったから、わざわざ前の クリニックを閉めてリニューアル・チェンジした訳でしょ? だったらその『思い』を文章にして、 この『思い』が伝わるホームページにしたいんです! 私に力を貸してください! ってパッションを持って 訴えればいいのよ。その『思い』はある程度長いセンテンス(文章)でもいいので正確に書く事。 実際のホームページになるとそんな長いセンテンスを読んでくれる人はほとんどいなくなるんだけど、 それをいかに短いコピーで見てくれた人のハートに刺さるようにするか…それが『コンセプトワーク』を 作る人の『クリエイティブ力』なのよ。『思い』が良いものだったら、よし! 俺がその『思い』を『形』に してあげようじゃないか! …って人が現れてくるはずだから。ただ、いい人探そうとすればバジェット(予算) はケチっちゃ駄目よ。びっくりするようなバジェットを提示する必要はないけど、優秀な人がやりたい! と思う 程度のバジェットは出さないとね」 またまた横文字の羅列だけど、今回は『思い』は日本語なのね…(^_^;)。ホームページの事はよく分からないけど、『思い』で良ければ勿論ありますとも。そこで私なりに『思い』 を次のようにまとめてみました。     「当院では一人ひとりの患者様に対してじっくりと相談に時間をかけ、その方に合ったアンチエイジング治療を行っていく事を目的としています。イメージでは、規模の拡大を目指す一般の商用銀行に対して、ヨーロッパなどではその家族の財産を何代にも渡って守り続けるプライベートバンクという銀行がありますが、そのプライベートバンクのようなサービスを提供する事です。大手の美容クリニックは、施術前後の極端な違いを強調する写真を使って「こんなに効果が出ます!」というような事を大々的に謳うところが多いのですが、そもそも70歳の方が50歳に見えるような若返りの施術が存在する訳もなく、そのような誇大広告には非常に問題があると思っています。私達は50歳の方が正しい方法で始めれば今の若さと健康を維持でき、70歳になっても実年齢マイナス5~10歳くらいの若さを「維持・更新」できる方法を提供する事を目的としており、一旦老化したものを外科手術で無理やり若返らせるようなトリックをお勧めする事はありません。しかし、アンチエイジングは早くから取り組めば、今の状態を維持向上する事は現代の医療技術で可能なので、当院では主に注射による自然な若返りとその維持をお勧めしており、その方針をきちんと説明してご理解いただき、一人ひとりに合った施術を丁寧に行って、信頼関係を大切にした長いお付き合いをする事を目指しています。また当院は2002年の開院当初から「安全で確実に効果の出る治療」のみを提供する事を重視しており、院長自らが試し、モニター試験を行って統計を取り、常により良い治療を研究開発してきました。安全で確実な治療のためには、面倒でも治療後の診察には必ずお越しいただいており、そのような方法で確立してきた治療からその方に合ったものを選んで提供し、アンチエイジングを実践する事をコンセプトとしています。そして現在はプライベートクリニックとして予約は重ねず、基本的にはクリニック内には1人の患者様しかおられないように配慮し、一人一人に向き合ってじっくりと治療を行っています」     友人:「なるほどねぇ…。いいじゃない…これって。うん。これで問題ないから、     バジェットとかマイルストーン(段階的にいつまでに何をやってもらいたいか)     を整理してランサーズにアップするといいよ。あ…そうそう、コンセプトワークと     HTMLコーディングは必ず別明細として提案してもらうようにね!」 …ってな事で見様見真似で、そして予算も私なりに奮発してランサーズにアップしました。もうここまでの作業で十分に疲れ果ててしまったのですが…。予算は、かの友人に言わせると「この程度であれば、ある程度優秀な人の応募が期待できると思うよ。まぁ奮発したつもりだとは思うけど、大手広告代理店に依頼すればこの3倍から5倍かかると思うから、いいフリーランスの人とここで出会う事ができたら本当にラッキーよ」 …という事らしい。はぁ、そんなもんですか…(^_^;)。      そんなこんなでなんとかランサーズに募集をアップし、あとは「果報は寝て待て」と安心していたら、今度は予想もしていなかった事態がまたまた発生!! アップ当日から色々な提案者からの提案メールが来て、最初は面白いと思って読んでいたんですが、日に日に増えて最終的には提案数がなんと56にもなってしまいました。こんなんじゃとてもじゃないけど読みきれないし、提案を読んで良さそうな人に細かい質問したり、逆に提案者からの質問に答えたりしていると今年一杯あって足りない気がする…。「ああぁぁどうしたらいいの??」ってなんか「ど・ドラえもん!!」ってなんでも頼りっきりの「のびた君」よろしく、またまたかの友人に相談する事に。半分呆れられたようでもあったのですが、捨てる神あれば拾う神あり…その友人の娘さんがなかなかの切れ者で同じネット業界にいるので、アルバイトで最終面談をすべき5人にまで私に変わって絞り込んでくれる事になりました。 彼女は噂には聞いていましたが確かにかなりのツワモノでして、まずは全部の提案にざっくり目を通すと「自分の言葉で提案を表現せずに、毎回応募する為にテンプレート作って応募する営業マンのような人はふるい落とします」と言ってバサバサ落としていっちゃいます。なるほど、そう言われて内容を見てみると、確かに明らかにコピペとかこっちの『思い』を読んでない人達が沢山いて、予算と納期だけ見て営業が応募してきたところが約半数なのでこれらがまずなくなります。そして、次に提案内容が的を得てないとか、読み込みができてない人達を落としていきます。彼女曰くそのような人達に依頼すると後で無意味な質問攻めにあったり、一回言った事を何度も聞いて来たりするので大変な事になるのだとか。それでまた半分に…。そんな事を色々やりながら良さそうな人にはこちらから逆に質問して的確に答える事ができるか、実績は十分なのか、本当にその人の実績なのかなどを見極めて最終的に「この5人の中から選ぶと良いと思います」というリストを提示してくれました。選んだ経緯や理由なども記載されていて「ほぉ…なるほど、なるほど」と納得する事しかり。いやぁ…助かりました! 最終的には5名の候補の皆さんにSkypeで面談させてもらい、無事一人に依頼する事になりました。まだこれから実際の制作が始まるのですが、良い出会いであったと思っています。     今回、こんな感じで当院のホームページリニューアルに向けての裏側をご紹介しましたが、私自身が皮肉な事に当院の現在のホームページの問題点を改めて思い知る事になりました。せっかく自分に「思い」があっても「伝わっていない」のであれば意味がないですよね。それに、人は常に「新たな出会い」によって新陳代謝がおき、色々な発見が生まれます。過去においては「紹介者に紹介してもらう」事でしか新たな人との出会いがない時代が続いていたのですが、現在はネットを通じて「コンセプト」が合うか、理解し合えるか…で出会いが生まれる事になるのだと痛感しました。「出会い」って昔は物理的に距離が近い人か、既に知っている人が紹介してくれるかしかなかったのですが、今ではこうやって一度も会った事もない人と「思い」や「コンセプト」を通じて「出会い」がもたらされるようになったと思うと、なんだか凄い事ですよね。無事にホームページがリニューアルできた暁には、またご紹介させていただきます。もちろん新しい患者様だけなく、今ご来院いただいている皆様にも使いやすく見やすいものになるようにしたいと思いますので、乞うご期待! ですです!  

第198回「新しいサービスは自己責任」

 こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。今年の夏は本当に暑かったですねぇ。お盆を過ぎると少しはましになりましたが、皆様熱中症には気をつけてくださいね。私はと言えば…8月初めに95歳になった父の誕生日会のために池田の実家に昼間帰ったら、道中うだるような暑さでほんと死にかけました。三宮と違って池田駅のホームにはクーラーもないし本当に暑くて、二度と昼間には帰るまいと誓うほどでした。       そんな中、暑い夏にピッタリのアプリを発見! ご存知の方もおられると思いますが、その名も「Uber Eats」です! 例によって新しもん好きの友人Mから、友達を紹介するとクーポンがゲットできるらしくて半ば無理矢理ダウンロードさせられたのですが…これが使ってみると超便利で、はまってしまいました…(^_^)。皆さん知ってました? 最近街中で「Uber Eats」って書いた箱を背負ってる自転車乗りの人が多くなったなぁ…あれなんだろ?って思ってたんですが、私にもようやく理解できました。 まだご存じない方の為に簡単にご説明しますと…「Uber Eats」とは、提携している飲食店のメニューを簡単に注文できて、それを登録している個人ドライバーが玄関先まで配達してくれるというサービスです。「Uber Eats」は利用者・飲食店・個人ドライバーの3者をつなぐ仕組みを提供して、飲食店も配達員を雇うというリスクなしで宅配業務ができるので、注文がない暇な時に人件費を払ったり、ドライバーが事故を起こした時の責任問題などから解放されます。逆に個人ドライバーは空いた時間を利用して好きな時にだけ配達業務を行えるという便利なシステムです。ドライバーは会社に雇われるのではなく、個人営業で配達を請負います。なので、何曜日に何時から何時まで働くなどは全部自分で決められ、誰からも制約されません。一方で自営業になりますので、事故などがあれば自己責任って事になります。(一応、保険は用意されているようですが。) 今まで宅配ってピザぐらいしか思いつかなくてあまり利用していなかったのですが、「Uber Eats」の提携店はファーストフードだけでなく、本格イタリアンやフレンチレストランから各国料理店、お鮨屋さんまで各種揃っています。アプリを開いたらフィードをスクロールしてお好みのメニューを探すことも、レストラン名や料理の種類で検索することも可能で、注文したい料理が見つかったらタップしてカートに追加するだけ。支払いは登録カードなので現金は必要ないし、アプリで注文状況を確認できます。レストランが注文を受け付けて調理を開始し、調理が完了する頃に付近のUber パートナー(個人ドライバー=配達員)がレストランに向かい、注文品をピックアップ。そして配達員が届けに来てくれるのですが、アプリには配達員の名前と顔写真が表示され、配達状況をマップ上で確認できるという便利なシステムです。      最初は「Uber Eats」を絶賛する友人Mの勧めに従って、イタリア料理店のローストビーフとウニパンを注文。ビールを飲みながらオリーブなんかをつまんで待ってると、ほどなく焼きたてのローストビーフが届きました。歩いて行くのはちょっと遠いなと思ってたお店だったし、料理はまずまず美味しいけどワインがいまいち…というところだったんですが、「Uber Eats」を利用すれば自宅に居ながらできたての料理が運ばれ、自宅にある好きなワインを飲めるのでいいとこ取りできるし、何と言っても暑くて外に出る気がしない夏には超便利なサービスです。涼しい部屋で飲みながら待ってたらレストランの料理が届くんですもんねぇ。一人の時に、前から気になってたけど一人ではちょっと入りにくそうなお店の海鮮丼を頼んでみたら、すぐに届いて結構美味しく、大満足した事も。同級生が急にちょい飲みに来る事になった時も、何も用意してなかったんですが「Uber Eats」で注文すると結構豪華な食事会になり、とっても喜ばれました。まさにお店にも利用者にもドライバーにもいい事ずくめ。こんなサービスを思いついた人は何て賢いんだろう…って感心する事しきりです。(さすがに大型の台風10号の日は使えませんでしたが…(^_^;)。)      今、世の中では「働き方改革」という旗印のもと、残業をなくす運動が官民一体になって繰り広げられていますよね。これって今では当たり前の事なんですが、私が研修医だった頃はそもそも残業という概念すらなく、「働き方改革!」なんて事言ってたら恐らく反省部屋に連れて行かれて北朝鮮なみの洗脳教育をされたのではないか…と思ってしまいます…(^_^;)。まぁ、反省部屋に連れて行くまでもなく、当時は夜中まで働く事に対して楯突くような人は、誰もいませんでしたけど。なにしろ国民的アニメ「巨人の星」が日本を席巻していた時代なので、仕方ないかぁ。国民的アニメと言えば、日本の子供達の間で国民的アニメである「アンパンマン」も、バイキンマンをやっつける時の「アンパンチ」が暴力的で子供の教育に良くない影響を与えるから見せない方が良いと言ってる人が出てきたって話をネットで読んでちょっとびっくり。え? あの「アンパンチ」も駄目なの?? 時代が変われば考え方も変わるもんですねぇ。(でもその話は私も目から鱗ではありました…。確かに「アンパンチ」って最終的には暴力で問題を解決するしかないという人間の悲しい本質を表していますよね。それに何度やられても復活してくるバイキンマンを見ていると「やる時は徹底してやらないと、中途半端なアンパンチでは敵が復活して復讐されてしまう」という怖い現実もよく表しているようです…(^_^;)。)    それはともかく「働き方改革」によって残業が抑制される事に対して、世の中では2つの反応があるようです。一つは日本人も労働時間を欧米なみに短縮して文化的な生活を享受できるようになるので良かった、良かった…という人達。そしてそれとは逆に「そんな事したら、ただでさえ苦しい手取りが減ってしまうので生活できなくなる!」と言う否定派。Uber Eatsはそんな手取りを増やしたいという人達にとってぴったりハマった働き方のようで、ドライバーとして登録する人はうなぎ登りだそうです。確かに「働き方改革」って言葉も、よく考えると単に労働時間を減らしましょうという事ではなく、それぞれが自分の人生観に合った働き方をしましょう…という事のようですね。であれば通常の仕事が定時に終わった後は、アルバイトしたい人は自己責任で自由にどうぞ、したくない人は早く帰って家族や友達と楽しい時を過ごしてください…って事で、副業を認める企業も多くなってきました。つまり何でもかんでも会社一辺倒ではなく、半分は会社に帰属しても残りの半分は自己責任で、自分に合った生き方をしてください…という、極めて当たり前の改革運動なのかなとも思えます。      そうなんですよね。これからは「自由=自己責任」っていう概念がどんどん浸透していくように思います。最近騒がれたもう一つの話題で、定年後には年金以外に2000万円の資金が必要になるという、いわゆる「年金2000万円不足問題」も同じですね。最低限生きていけるお金は年金でまかなえるけど、娯楽費とか自分の老後の生活を豊かにする為に必要なお金は自分の自由意思と自己責任で資金を作ってください…という、ごく当たり前の話に過ぎません。思えば、最近はこの「自由を謳歌するのはどんどんやってください、ただし自己責任でね!」って言うサービス増えましたよね。このUber Eatsもそうだけど、そもそもUber Eatsの元である配車サービスのUberは、タクシーのような正規ライセンスを持っているタクシー会社の車ではなく、あくまでも個人が運転する車に送ってもらう訳ですから、何かあっても相手は会社ではなく個人なので自己責任です。最近流行っているAirbnbだって(皆さん知ってました? 欧米では大流行だそうで、日本でもかなり浸透してきましたね)、自分が住んでいる家で使ってない部屋を旅行者に貸し出しする訳ですから、そこに泊まって何かあってもホテルのような会社が相手ではなく、トラブルの解決は自己責任です。私の知り合いの娘さんはヨーロッパに留学していて友達と2人で部屋を借りてシェアしていたのですが、事態が急変してその友達が出て行ってしまいました。元々2人で家賃をシェアする前提の計画だったので、普通なら一人用のワンルームマンションに移るところですが、その娘さんはその部屋が気に入っていたのと都心部にある非常に便利な場所だったので、空いた部屋をAirBnBで旅行者に貸す事にしました。すると物件の良さと彼女の気さくな性格もあってたちまちスーパーホストになり、今では本来自分が負担しなければならない家賃もAirBnBの収益で稼げるようになって、毎日世界中の旅行者と楽しいコミュニケーションができて凄く充実しているんだそうです。なんだか一昔前は考えられなかった世界ですが、「自由=自己責任」という概念を取り入れるだけで、こんなに世の中が便利になるサービスが生まれるのですね。(勿論自己責任なんで、トラブルがあれば自己解決するしかなく、良い事ばかりではありませんけど。)      美容の世界ではかなり前から「自費治療」という「自己責任」の仕組みが取り入れられています。ただ自己責任とは言っても施術する側まで誰でも良い訳ではなく、医師免許を持った医者しか参入できませんので、流石に医療ミスがあったり常識的にありえない治療を行ってトラブルになった場合は、医者側の責任は免れません。その為、医者側は医療ミスや医療事故があった場合に備えて訴訟に対する保険に入っている事が多いようです。ただし、実際に過去にあった医療事故裁判などを見ると、よほど医者側の責任が明確で「誰が考えても駄目でしょ!」ってケースでなければ、患者さん側が訴訟で勝つ事は難しいようです。実は世の中では美容整形手術の失敗などに対する医療裁判ってかなりの件数が起こされているようですが、患者さん側が勝った例はかなり少ないのが実態です。これは、手術前に「この手術は一定のリスクがあるので何があっても文句はいいません」という許諾書にサインしているという事もありますが、医者側と患者さん側には圧倒的な医療知識格差があるので、医者側に過失があった事を証明するのが困難であるというのが事実だと思います。勿論医者には医者側の言い分があり、私の後輩の大手美容外科で美容整形手術をバンバンやっている人なんかは「治療効果に過度な期待をしたり勝手に想像を膨らませて、こちらが説明している事なんて全然聞いてないくせに、仕上がりがイメージと違うので訴える!!…というようなモンスター患者が一定数いるから困るよ…ほんとに」って言ってました。これはこれで一面の事実だと思います。要するに「自己責任」であるからには事前にきちんと情報を開示してきちんとリスクを認識した上で、最後の決断は自分でしないといけない…って事になりますね。      現在、私が行っている治療の大半は自費治療で、患者さんの最終自己責任において実施するという事になります。ただ、誤解していただきたくないのは、「自己責任を取ります」という人にしか実際には本当の意味で良い情報や良い治療はお届けできない時代になってきているという事です。前述の「年金2000万円不足」の問題にしても、最低限老人になっても生きていく事ができるという事は政府の責任だが、「より良い老後を迎えたい」という人に対して「最低限生きていく以上の事は自己責任でお願いします」と言っている訳です。たまには外食したり友達とカラオケに行く、そして年に一度くらいは旅行に行きたい…って事に必要な娯楽費用などは年金を当てにせず、自己責任で資産形成してください…という事になります。医療の世界は国民皆保険ですが、基本的には同じ発想です。「生きていく事ができない」とか「病気や怪我で日常生活に支障が出る」という事に対しては国の健康保険で一定の保証がされますが、それ以外の「より良く生きたい」とか「美しくありたい」「死ぬまで生活のクオリティを一定以上に保ちたい」というような事については日本の政府は保証してくれる訳ではなく「自己責任でどうぞ」というスタンスです。      当院が提唱している「いつまでも元気で綺麗でいられる」とか、「美しく年を重ねていく為のアンチエイジング」はそもそも「自己責任でどうぞ」という世界な訳です。しかし一旦「自己責任」という事を了承すれば、本当に素晴らしい治療方法や技術があります。今はインターネットを通じて患者様も色々な情報に接することができるので、医者と患者様との間にある情報格差もどんどん少なくなってきました。なので昔のように患者様が何でも医者のいいなり…って事は本当になくなってきたと思います。勿論、いくら自己責任とは言っても、「私自身が自らに試してみて安全性と効果を確認したものでなければ患者様には提供しない」というポリシーは一度も崩しておりません。時代や世の中が変わり寿命も延びてきた現代に、自己責任にはなりますが新しいアンチエイジング治療を提案していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願い致します。    

第197回「ピンピンコロリ」

 こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。梅雨も明けて暑い夏がやって来ましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…この梅雨の間に横浜で開催された抗加齢医学会に参加したのですが、大雨に遭ってびしょ濡れになり、酷い風邪をひいてなかなか治りませんでした。おまけに学会の少し前に久しぶりに卓球をした時に膝を傷めたのが、東京グルメのために東京から横浜まで通ったために悪化して散々。東京グルメの1日は高校の同級生が数人集まってくれたんですが、泊まったホテルから1時間くらいかかる場所のレストランで、電車の乗り換えに階段が多くて閉口しました。年とるとほんとダメですねぇ。帰ってからプラセンタ点滴をしまくり、プラセンタの関節内注射をしたり筋トレをしたり、はたまたせんねん灸をしたりコラーゲンサプリを飲んだりしてやっとましになりましたが、ちょっと膝が痛いだけで家の中でも立ち座りや移動がおっくうになり、健康のありがたみを痛感しました。 最近ネットで読んだ記事の中にMRさん(薬メーカーの営業さん)が書いた「医者の不養生はマジやばい」というタイトルのものがあったので見てみたのですが、なかなか的をついた話で笑ってしまいました。MRさんっていうのは医者以上に激務の人もいます。(まぁ最近は少なくなったのですが、昔は本職である薬の説明以外に勤務医の接待っていうのがありました。はるか昔、私が勤務医の頃はそれこそ接待の方が本職という感じの人も多く、連日どこかで宴会が持たれ、営業成績の良いMRさんは使える交際費も青天井という時代もありました。あんな生活してたら早死にするよ…と言われているMRさんも結構いましたねぇ。今は本当に少なくなったと聞いていますが…。)そんなMRさんが見た「モーレツ医者の不養生」の例を色々と面白おかしく書いた記事だったんですが、「確かにあるある…」という話ばかりなんです。医者ほど自分自身の健康に無頓着な人はいないんじゃないかな…って思うくらいです。ちょっと怖くなってネットで調べてみるとこんな記事が…「開業医の死亡時平均年齢は70.8歳と低く、特に60歳代の死亡割合が34%と多いことが明らかになった」う…ん、こりゃ本当にやばいな…。皆さんにアンチエイジングの大切さを説く身であるからには、まずは自分からしっかり健康管理をしなければ駄目ですねぇ…(^_^;)。     まぁ、そんな訳で真面目に勉強しなきゃ…と思って参加した抗加齢医学会のメインのシンポジウムは「百寿社会の創造」。先月号のクリニック通信は「人生100年時代の到来」というタイトルでお届けしましたが、抗加齢医学会の偉い先生達も、「人生100年時代の到来」にあたって何をどうするべきかを考えていたんですね。昔は人生50年と言われていましたが、今や人生100年の時代です。この長寿社会をより良くするためには何が必要か? という事で6人の演者の講演とディスカッションが行われました。色々な話があったのですが、特に印象が深かった講演を(ちょっと難しくなっちゃいますが)一つだけご紹介します。     「百寿時代を支えるHealth and wellbeingの価値の共創:超高齢化社会の到来により、日本の資源の多くが社会保障分野へ投入されている。ヘルスケア分野では、AIなどのIT技術の活用に後押しされた医療の質改善や効率化、世界に対して競争力を持った産業の創出が模索される。データ駆動型社会における新しいヘルスケアの姿がどのように医療を変え、医療の価値を高めるのかという現状と展望を概説する。現在AIの世界の主軸は、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表される米国、中国、EUである。グーグルのAI「アルファ碁」が世界最強棋士に勝利したのは記憶に新しいが、同社はそのような技術を応用し、光学顕微鏡と連動した癌検出を支援するサービスを提案した。中国でもAIを活用した診断システムが医療の現場で使われ始めている。国内でもオリンパスがAIを搭載した内視鏡画像診断支援システムを発表したところだ。 20世紀に世界を動かしたのは石油だったが、2012年には石油メジャー4社の時価総額をデータメジャー4社が抜き、その後数年で数倍に伸びている。アマゾンの利益はクラウド市場で急激に伸張しており、マイクロソフトや中国のアリババがそれに続く。アマゾンは新しい医療ビジネスを開始し、アップルもApple Watchなどによりヘルスケア領域に大きく軸足を切り、中国では社会信用スコアの活用が進んでいる。そんな中、日本はどこに向かうべきなのか。病気にならない、病気を治すという従来の観点だけでなく、魅力的な生き方をしながら自然と健康になるといったライフデザインを作っていく必要がある。近年外科を中心とした日本の医療現場において、劇的な変化をもたらしているシステム「NCD(National Clinical Database)」では、全国5000以上の医療施設から手術症例が刻々と収集され、信用性の高い巨大データベースが構築されている。医療の質的な向上にビッグデータを有効に使い、新しい健康の価値を共に作り上げていく事がこれからの日本型ヘルスケアの理想と言える」     …ちょっと難しいこの講演の演者はK大学の医療政策学の教授だったんですが、いかにも頭脳明晰という感じの講演内容とは結構ギャップのある、銀髪に革ジャンというFF(ファイナルファンタジー)キャラのようないでたちで、学会中の注目を浴びていました。「学会長の許可を得た」ファッションだと言われていましたが、時代変われば教授のキャラも変わるもんなんですねぇ。講演内容はなんのこっちゃ?って感じなので話を非常に簡単にまとめると、「今まで医者の経験や知識に頼っていた癌などの病気の診断は今後AI(人工知能)が行い、ほとんどの医者が目で見て診断するより正確に診断できるようになります。IT技術を医療に活用し、新しい健康の価値を作っていきましょう」って事です。 大体コンピュータの「将棋ゲーム」が人間の棋士と対戦して勝った事と癌の診断になんの関係があるの? と思われるかもしれませんが、実はこれは大いに関係があるんです。癌の診断ってMRIとか内視鏡の画像を医者が見て診断するんですけど、「特定のパターン」で診断できるような簡単な世界ではないんですよね。「この辺に白い影がある」という典型的なパターンばかりだったらいいんですが、実際にはそんなのは少数派で、素人が見たら癌かどうかってほとんど分からない事が多いんです(勿論、場合によりますが…)。コンピュータって永らく「パターン認識(○とか△みたいなパターン化できる画像の認識)」しかできなかったので、「癌の診断」ができるなんて空想の世界で実現はしないと思われていました。ちょっと前までのコンピュータは「猫」の映像を「猫」と認識する事すらできなかったんです。人間なら幼稚園の子供ができる程度の「認識」もできなかった訳ですから、癌を診断するなんて夢のまた夢ですよね。ところがこの「パターン認識」を打ち破り、この数年ですっかりメジャーな技術になったのが「ディープラーニング」です。今ではAI(人工知能)の手法と言えばこの「ディープラーニング」を指すようになりました。     これまた話が難しくなってきたので簡単に言いますと、「大量の猫の画像をコンピュータに見せて学習させると学習効果が上がってきて、やがて非常に高い確率で『猫』と認識できるようになる」って事です。ただ、たくさんの猫の写真を見せて学習させると言っても人間だったら絵本や図鑑を何冊か見るだけで学習できますが、コンピュータの場合は何十万枚もの画像を使って学習させる必要があります。これが実現できるようになったのはGoogleのおかげなんですね。彼らは世界中のネットから情報を集めていますから、何十万枚もの猫の写真を実際に持っている訳です。(Googleの画像検索で「猫」で検索してもらうと実際に出てきますよね。あれを使っているのです。)同じように将棋の世界も以前はアルゴリズム(計算)で相手の次の手を予測していたのでプロの棋士には全く刃が立たなかったのですが、ネットに登録されている何万という将棋譜の記録を学習させて賢くさせる事によって、初めてプロの棋士に勝てるように進化したという事です。…やっとここでコンピュータ将棋と癌の診断がつながったのですが、多分読むのに疲れちゃいましたよね…(^_^;)。 いずれにせよAI(人工知能)がどんどん導入されていくと普通レベルの医者が診断するより癌の診断などは正確にできるようになるので、寿命は延びる事はあっても縮む事はありえない…って事になる訳です。勿論癌の診断だけでなくあらゆる分野がそうなっていくので、事故や殺人でない限り死ぬのも難しい…という時代がやがて来る可能性がありますね。そのうち先進国では「自殺」が死亡率のトップとなる時代が来るという怖い予測をする研究者もいるくらいでして、一体なんのための医療なのか、人はなんのために生きるのかなんて事が改めて問い直される日が来るかもしれません。      まぁ遠い先の話はさておいて、実際に私達の時代のアンチエイジングにまた話を戻しますね。抗加齢医学会でよく使われる言葉は「ピンピンコロリ」。死ぬ直前まで元気でピンピンしてて、コロッと逝くのが理想だという事です。そう言えば最近亡くなったジャニー喜多川さんはその理想に近かったのでは? 倒れる直前まで元気で仕事してて、倒れてからも一時奇跡の回復を見せて可愛がっていたジュニアたちと楽しい時を過ごしてから、すぐに亡くなったんですものね。確かに、あちこち痛かったりしんどい状態で長生きしても楽しくないですよねぇ。死ぬ直前まで美味しいもの食べて、好きな事して楽しく生きたいですよね。そのためには何が必要か? 食べ過ぎて太らないようにする事と、適度な運動をして筋力を維持する事が必要というのは今や定説です。当院ではそれにプラスαできるものを模索し、皆様に提供していきたいと考えています。プラセンタの点滴やサプリメントはその一つで、確実に元気で長生きをサポートしてくれると思います! プラセンタの会社の社長K氏のお母さんがプラセンタ点滴をずっとしていて、80代でピンピンしてて60代にしか見えなかったのがその証でしょう。     そして最近情報を得たものには、NMN(ニコチンモノヌクレオチド)があります。NMNはビタミンB3に含まれる物質で、あらゆる生物の細胞に存在していて本来は体内で自然に生成されるのですが、加齢に伴い体内でのNMNの生産能力が減退すると、様々な身体機能の修復機能が失われていくと考えられています。NMNは私達が身体の機能を保つのに必要なエネルギー代謝の根源的な物質であるNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)に変換されるので、NMNを補えば代謝が促進されて老化が防げるという事で、ワシントン大学の今井教授がマウスにNMNを1年間投与したところ、骨格筋・肝臓・目の機能・エネルギー代謝の状態などが人に換算して20歳くらい若返り、NMNに顕著な抗老化作用があるという結果がはっきり出たそうです。 またNMNは7種類ある全ての長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)にエネルギーを提供して活性化すると考えられており、若返りや抗老化作用が期待できる物質だそうです。長寿遺伝子とは、操作をすれば老化を遅らせ、寿命を延ばす事ができる遺伝子の事です。この長寿遺伝子は普段は眠っていて働いていませんが、そのスイッチをオンにすると老化のスピードが緩やかになり、寿命を延ばす働きがあります。老化をもたらす要因としては「活性酸素による酸化ストレス」や「免疫細胞の暴走」などが考えられますが、長寿遺伝子が活性化すればこうした老化の要因を抑え、進行を遅らせる事ができるようになるんですね。     そのメカニズムは、長寿遺伝子が活性化すると、細胞が分裂するたびに短くなっていく「テロメア」という染色体の末端部分がすり減るのを抑えられるという事だそうです。細胞は分裂を繰り返すたびにテロメアが短くなり、テロメアがある一定の長さまで達すると細胞分裂ができなくなってしまいます。細胞は約50回分裂すると分裂しなくなり、老化細胞になってしまうのです。そして老化細胞は炎症性物質を多量に分泌するため、年を取ると病気になりやすくなるそうです。長寿遺伝子が活性化すると、テロメアが短くなる事が抑えられ、老化細胞が減って若々しさを保てるという訳ですね。赤ワインに含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」が長寿遺伝子を活性化させ、老化を防ぐ働きのある事はすでに知られており、肉などの動物性脂肪を多く摂っていながらフランス人に心臓病が少ない「フレンチ・パラドックス」は、フランス人は赤ワインを通じてレスベラトロールを日常的に摂取しているから起こるのだというのは有名な話ですが、レスベラトロールは7種類ある人の長寿遺伝子のうち1種類しか活性化しないのに対して、NMNはその7種類全部を活性化してくれるという話なので魅力的ですよね。     ちなみにこのテロメアは細胞の寿命を示す「寿命の回数券」とか「老化時計」などと呼ばれています。テロメアの回数券がなくなると細胞が分裂できなくなり、若い細胞が生まれなくなってしまうんですね。テロメアの長い人ほど若々しく、短い人ほど老けて見えるので、テロメアは「寿命のバイオマーカー」と言われており、テロメアの長さを検査して長寿になれる可能性が高いか低いかを調べる事もできるそうです。テロメアの短縮を加速させる原因は肥満や喫煙、運動不足、精神的ストレスなどが挙げられるので、生活習慣の見直しも大切ですね。私もお酒を少し控えて運動をもっと頑張り、さらにNMNを試してみようと思っています。なんだか不謹慎な言い方かもしれませんが、私もこの「ピンピンコロリ」が理想的な人生だと思うんです。どう考えても「自殺が死亡率のトップになる社会」よりずっと健全だと思いますし…。このようにアンチエイジングの世界もどんどん新しい発見があって進化しているのですが、その知識と技術を研究者達だけの中に留めずに、一般の人も恩恵にあずかれるようにアレンジしていくのが「柴田エイジングケア・美容クリニック」の使命だと思っています。今後も皆様と共に「素敵な加齢」に取り組んで行きたいと思いますので、よろしくお願い致します。  

第196回「人生100年時代の到来」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。紫陽花が綺麗な季節になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。私はと言えば…雨の日が増えてテラスでシャンパンを飲む機会が減り、ちょっと寂しい今日この頃です。最近シャンパンがからんだ目から鱗の話を聞いたので、ご紹介しますね。ちょっと前置きが長くなりますが、お付き合いください。 私の親友である医者Mが歯が痛くなり、近くの歯医者に行ったら歯茎の炎症を起こしていると言われてずっと治療に通っていました。しかし、半年以上たっても良くならないので知り合いの矯正歯科医O先生に歯周病の得意なH先生を紹介してもらって行ってみたら、歯周病がひどくなってえらいことになっていると言われてびっくりしたそうです。「えっ、ずっと歯医者に通ってたのに? その先生にはましになってると言われてたんですが…」Mは絶句。聞くところによると、ずっと歯医者に通っていたのに歯医者を変えると「えらいことになってる」と言われる事って割とあるそうです。医者の世界では「主治医の裁量」っていうのは非常に大きいので、同じ症状でも、「最新医療設備を使って徹底的に精密検査する」というタイプの医者もいれば、痛み止めだけ出して「様子を見ましょう」というタイプの医者もいます。すぐに「手術が必要です」という医者がいれば「漢方でゆっくり時間をかけて体質改善しましょう」という医者もいて、実際の治療方針ってかなり裁量に任されています。(ただ、健康保険を使った診療だと「病名」と「処置」が一致していないと保険が下りないので、国による治療方針って「病名」が決まればある程度制約されているのですが「病名」を決める事についてはほぼ主治医に任されていると言ってもいいですね。ましてや自費治療になると完全に主治医任せというのが現状です。…という訳で違う医者のとろに行くと前の主治医の方針を否定されるという事が結構あります。ただここだけの話、「前の先生が有名なヤブだった…」っていうのは仲間内ではよく聞く話ではありますが…(^_^;)。     話は戻りまして、その友人MはH先生から歯磨きを朝晩20分かけてするように指導され、さらに親知らずが骨に埋まっていて、親知らずとその前の歯の間で炎症を起こしているので親知らずを大きな病院で抜いてもらった方がいいと言われたそうです。ところが大きな病院に行くと、すごく厄介で抜きにくいタイプの親知らずだから、抜いたら1週間は凄く痛いし、1カ月位腫れて痛いこともあるので他の治療を先にした方がいいと言われたらしい。「え、骨に埋まった親知らず抜いたらそんなに長い間痛いの??」私も親知らずが骨に埋まっているところがあるので、他人事とは思えません。「それで、それで?」しつこく聞くと、Mは「親知らずが神経の近くにあるので、抜く時に神経を傷めたら一生痺れが残るかもしれない」と脅され、ひるんで抜歯の予約は取らずに帰って来たと言い、「その病院の先生には『僕は山ほど親知らず抜いてきたけど、最大級位難しい親知らずやからできたら抜かん方がええ』って言われてん…」としょんぼりしてました。     その後の話も聞くと、Mはその時痛かったのは親知らずのところではなくて別の歯だったらしいので、病院で言われた事をH先生に話して「痛いところから治療してください」と言ったらしいのですが、H先生は「その病院の先生の言う事も分かるけど、炎症の原因は親知らずやから抜いた方がええと思うけどなぁ。上の歯は詰め物が取れているので、やり直すには歯を削らないといけない。歯を削ると神経に近くなるので、詰めたりかぶせたりしても痛みが残るかもしれないし…」と治療するのがいやそうだったらしいんです。一応痛いところから治療する事になって次の予約を取ったものの、H先生があんまりしぶしぶだったので心配になり、O先生に再び相談したのだとか。するとO先生が「僕が一番信頼してる先生を紹介しよか? ちょっと遠いんやけど…」と、加古川のN先生を紹介してくれたそうです。Mも三宮に住んでるので、加古川って遠いなぁ…と思ったらしいんですが、O先生が「歯周病だけやったらHもええんやけど、Nは補綴(ほてつ)も外科も歯周病も全部できるから。Hはどちらかというとできるだけ歯を削らず保存して様子を見る傾向が強いからね〜」と。ん?補綴って何? 聞きなれない言葉ですが、歯が欠けたり失われてしまった部分を補綴物(詰め物やかぶせ物、義歯、インプラントなど)によって補い、見た目と機能を回復する事なんですね。一般的な歯医者さんで虫歯の悪くなったところを削って金属などを詰めたりかぶせたりするのも補綴です。…歯医者さんって矯正歯科と一般歯科に分かれてるだけかと思ってたんですが、口腔外科・歯周病・補綴などに細かく分かれていて、歯医者さんによって得手不得手があるようです。     Mが「詰めたりかぶせたりはH先生よりN先生の方が上手なん?」と、ド直球の質問をするとO先生は「患者の数が遥かにNの方が多いから…技工士もそりゃNの方を丁寧にすると思うし、技工士サイドにも強く言えるのはNの方だと思います。小さな虫歯とか歯茎の炎症ならHでも通院しやすければいいと思うけど、事が大きくなればNの方がいいと思うよ」と歯科医療業界の裏話も教えてくれたんだとか。なるほど。技工士の問題もあるんですね。私も昔奥歯の詰め物が時々取れて、取れたのをくっつくけるのはすぐに済む近くの歯医者さんに行ってたんですが、いざ詰め直そうとした時には仮歯がしょっちゅう取れて、「これはヤブなんちゃうか」と思って歯医者を変えた事がありますが、後でその歯医者さんが親知らずを抜くのはすごく上手だという話を聞いて驚いた事があります。その歯医者さんは口腔外科出身で、補綴は苦手だったようです。歯医者も目的によって選ばないと駄目なんですね。     でも「一体どうやっていい先生見つければいいの?」って皆さんも思いますよね? そうなんです、「どうやっていい先生と出会うか?」って本当にその人の寿命を決めてしまうほど大事な事なんですけど、建前としては「医師免許を持っていれば技量はどの医者にかかっても同等」という事になっています。私達のように医者であれば医者仲間からの情報っていうのはかなり信頼性が高いのですが(知り合いからの情報もありますが、医者って大体学会に出席していますので、学会の中での発表とか評価などで力量が漏れ聞こえてくる事も多いんですね)、普通の人ではそのような情報にアクセスできません。そこで口コミサイトとかの情報に頼らざるを得ないのですが、残念ながら私から見ると口コミサイトもかなり問題があります。なぜならば、口コミで高評価になる先生はいわゆる「人柄の良いおじいちゃん」である事が多く、治療の技量や知識については正確に評価されていない事が多いと感じるからです。一昔前はよくいた「怖い先生」っていうのは今は全く駄目な評価になりやすく、「朗らかで人当たりが良く、痛くない治療をしてくれて、すぐに薬を出してくれる先生」の評価が高くなります。例えばひどい風邪で内科を受診した患者さんにはインフルエンザの検査をしてタミフル(インフルエンザに効くと言われている有名な薬)を処方するというのが一般的になりましたが、これも口コミサイトのせいではないかと思うところがあります。ある先生が「タミフルを処方しても意味がないので、家でおとなしく安静にしておいてください。それが一番です」と言って帰ってもらったところ口コミサイトに『あの先生はヤブだ…』と書かれてしまったので、もう仕方なくどんな場合でも全員にタミフル出すようにしたところ高評価になった」って言っていたのを思い出します。いずれにしても「いい先生」と出会うというのは本当に難しいですね。     Mの話に戻ると、彼は意を決して1時間かけて加古川まで行ったそうです。すると彼曰く、今まで行った歯医者とは全然違ってびっくりしたんだとか。先生は1人なのに10台くらいベッドが並んでてスタッフも10人くらいいて、レントゲンだけじゃなくてCTや神経が生きてるかどうか調べる器械などが揃っているし、レントゲンとCT・口腔内写真・歯形まで取って、N先生は動画も使って分かりやすく説明してくれたそうです。「痛みの原因になる可能性のある所を調べて、1つずつ消していきましょう。副鼻腔のアレルギーが歯の痛みの原因になる事があるんですが、CTで副鼻腔のアレルギーによる粘膜肥厚はありませんので大丈夫です。そして親知らずと前の歯の間にはCTで影がないので、炎症は起こしていません。親知らずと神経はCTを見ると離れているので、抜いても痺れは残りませんが、炎症を起こしていないので抜く必要はありません。先生の親知らずは全部が歯茎に埋まってるので、一部が歯茎から出ている親知らずよりは炎症を起こしにくいんです。一部が歯茎から出てると、歯と歯茎の間から細菌が入りやすいですからね。問題は食い縛りが非常に強い事です。奥の歯は食い縛りによって詰め物が取れてすり減っているので、噛むと痛いんです。神経はまだ生きていますからそこまで歯は弱っていないのでかぶせると痛みが取れる可能性は高いですが、また食い縛りによって取れてしまうかもしれませんので、最初は保険の利く金属でかぶせましょう。それが取れてしまった場合は歯茎や歯の周囲の骨を少し削ってかぶせ直す必要があるかもしれませんが」明快な説明にMは感動したそうです。この先生はただ者じゃない、今までの歯医者とは全然違う! と。歯周病はどのようにして起こるか、食い縛りが強いと歯にどういう変化が起こるかなども動画を使って詳しく説明してくれたそうで、今までの歯医者さんとは段違いの知識の豊富さにMは驚いたみたいです。O先生の言ってた意味が分かった、と…。     N先生は続いて「それとM先生は酸触歯があるので、注意が必要ですよ」と言われたそうな。ん?酸触歯? 何、それ? 酸触歯とは、酸性の強い飲食物でエナメル質が溶けてしまった歯の事です。口の中は通常PH6.5~7で、歯の表面を覆っているエナメル質はPH5.5以下の酸性のものに対して弱く、酸性の飲食物ばかりを取っていると歯のエナメル質が溶ける酸蝕症を引き起こすらしい。これはまずい! 飲み物のPHを調べてみると、Mや私がよく飲む白ワインはPH2.3とかなり酸性度が高く、大好きなシャンパンはさらに酸性度が高いとあるではないか! ショック大きい…。Mと私は飲食の好みが似てるので、Mに酸触歯があるという事は私にもあるに違いない。しかも私も食い縛りが酷い方なので、クリニックの移転前に歯の調子が悪かったのはそのせいかも…。そう思って調べると、ここ数年私の朝食と化しているリポD(リポビタンD)もPH2.5! 酸性度の高いものを飲食する時は酸性度の低いもの(PHの高いもの)で中和すると良いらしく、チーズはPH6~7、普通の水はPH7なので、ワインを飲む時はチーズを食べたり水を飲んだりした方が良いらしいんですが、私が10年以上愛飲しているペリエは水の中でもPHが低くて6.0。これじゃ中和しにくいやん…。がっくり。さらに調べると私の好きなスパークリングウォーターの中ではサンペリグリノがPHが高くて8.0だったので、早速リポDとペリエはやめてサンペリグリノを飲む事にしました。ワインとシャンパンはやめられないので、サンペリグリノをチェイサーにする事に。でも酔っぱらうとすぐに水を飲むのを忘れてしまうのでお酒をやめるのが一番いいんでしょうけど、気を付けないよりはましかという事で…(^_^;)。     私も以前、歯が痛くて硬いものが食べられないという時期があったので、Mの話は自分の事のように聞き入ってしまいました。だって、お肉とか硬いものを食べると噛む度に痛くて、柔らかいものしか食べられないんですよ! これって人生の楽しみの半分以上がなくなる(いや…90%と言っても過言ではないかも…(^_^;)訳です。生死をさまようような病気をされている人にとっては「あんた何言ってるの?!」と怒られそうな気がしますが、実際に食べられなくなって初めて「美味しいものを食べられる事」のありがたみをしみじみと感じます。たまに片付けとかをして翌日に筋肉痛になると「あぁ…ここにこんな筋肉があって日頃は黙って仕事をしてくれていたんだなぁ…ありがとう!! 存在すら気にかけた事がなくて申し訳ない…」って思います(すいません。例がマニアックで…元整形外科医だったもんで…(^_^))。日頃何気なく使っている体ですが、問題が起きると本当に「元気である事」のありがたみを感じますよね。     皆様もご存知と思いますが、歯医者って大学で歯学部を卒業する必要があるのですが、その他の医者は「医学部」を卒業する必要があります。誤解を恐れずに言いますと、単純な入試の偏差値で言えば医学部の方が歯学部より大抵は上です。そして実際に歯医者は医者のワンランク下だと思っている医者が多いのも事実だと思います。「歯が痛くても死ぬ事はない」って思われているからかもしれません。ただ、昔と違って人生100年という時代になってきました。「生き延びている」とは言え、人生の後半の何十年も美味しいものを食べる事ができないってどうなんでしょう?? 歯医者さんの重要性ってこれからますます高くなるように思いますよね。同じように医者の中では「美容とかアンチエイジングとかは生死にかかわらない」という事でワンランク下に見られる傾向がまだまだあるのも事実です。でもやっぱり人生100年という時代に「元気で生きる」とか「若々しく生きる」ってすごく重要じゃないでしょうか? 歯の治療も同じなんですが、「悪くなってから元の元気な状態に戻す」のは至難の業です。「元気な状態を維持する」事の方が「悪くなったものを治す」より100倍簡単だと言っていいと思います。人生100年時代ですので、皆様も「今の元気を、そして若々しさを今後も維持する」事を念頭に、アンチエイジングへの取り組みをされる事を強くお勧め致します。最後はなんか宣伝っぽくなってしまいましたが、本当に私達の世代から人生100年という事を真剣に考えて準備しないといけないと思うのです。長生きできるようになったのは良い事ですけど、しっかり準備しないととんでもない事になるし、なんだか複雑ではありますよね…。少なくとも私達より上の世代では経験しなかった事なのですから、私達の世代でその準備をしていかねばならないと思います。これからも皆様と一緒にその課題に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願い致します。    

第195回「何事も適量が大切」

 こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。新緑が鮮やかな季節になってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?  私はと言えば…移転後新しい環境にもやっと慣れてきて、テラスで夜風に吹かれながらシャンパンを楽しめるようになって嬉しい今日この頃です。新クリニックは、天気が良い日にはそこで優雅にお茶やシャンパンなどを一杯できればいいなぁ…という憧れからテラスを少し綺麗で「いい感じ」にしています。(皆様もお越しの際は是非ご覧くださいね。)これってやっぱり昭和世代の夢なんですかねぇ? 昔はオシャレな雑誌には「天気の良い日にはテラスでシャンパンを片手に優雅にブランチ…」みたいな記事が必ずあって「あぁ…こんな生活できればいいなぁ」と憧れたものです。ただ、実際には日本でテラスに出て「気持ちいい!」なんて思う気候は1年間に延べ1ヶ月もないでしょうから、オープンカーと同じで実際に利用する事は殆どありません。(ごく稀に無理やりオープンカーの屋根全開で街中を走っているお父さんを見かけると「頑張ってるなぁ…」って別の意味で感心してしまいますもんね…(^_^;)昔のバブルの頃は日本でもオープンカーがそこそこ売れたという話なので、昭和世代の憧れをくすぐるという意味では女性にはテラスでシャンパン、男性にはオープンカーというのは結構「心に刺さる」ものだったような気がします。      昔は女性雑誌ではananとかnonnoが全盛で、日曜日はテラスでシャンパンブランチを終えた後は表参道でブランド品のお買い物(昭和時代はヨーロッパブランドだけでなくイッセイミヤケのような東京デザイナーズブランドも一世風靡しましたねぇ…)、その後ギャラリーでアート鑑賞を終えた頃には彼氏がBMWでお迎えに来てくれる。その日の夜はシティホテルで本格フレンチに彼氏がとっておきのボルドーの一本を内緒でリザーブしてくれていた。「今日はとっても楽しかったわ」とお礼を言うと、彼が送ってくれる車の中で「実は他にもプレゼントがあるんだ…」と言って一日の最後にティファニーのネックレスを差し出してくれた…「ありがとう…💛 又、次の日曜日が楽しみ…💛」というような話が当時の雑誌には日常かのように紹介されていました。BMWに乗るボンボンをアッシー君に使う魔女みたいな女を「ある大手企業に勤めるOLの普通の日曜日」…みたいな感じで設定していたけど、今だったらSNSで「一体どこのOLで、年収いくらあるねん!!」みたいなツッコミで炎上するところでしょうね。当時はそんな手段もなく、雑誌とかテレビが発信する情報を「憧れを持って受け入れる」しかありませんでした。SNSがなかった昭和世代には「憧れ」を簡単に醸造できる社会の土壌があったようにも思います。今思えばそこで紹介されている生活は憧れを通り超してもう幻想とか幻覚の域に達していたような気もしますが、ある意味「今日よりは明日は必ず良くなる」「頑張れば頑張っただけ結果が出る、だから根性出して死ぬ気で頑張れ!」という昭和の古き良き価値観だったように思います。現在は時代は変わって令和となり、雑誌の特集も「神業!! 100円均一で買える商品を組み合わせて日常生活をリッチに演出!」みたいなものが主流になってきたので、本当に時代は変わるもんですね。      それはともかく、私もオープンカーのお父さんに習い、今のような気候の時はテラスでシャンパンを1杯いただく事があります。(診察終わってからですよ…(^_^)。)ただ、これも昭和の名曲で「ちょっと1杯のつもりで飲んで…いつのまにやらはしご酒…♫」ってありますが、1杯が2杯、そして3杯になってしまうんですよねぇ…これが…(^_^;)。昔から「お酒は百寿の長、少しのお酒は健康にいい」とか「お酒を多少嗜む人の平均寿命は全く飲まない人に比較して○%高い」とか言われる一方で「最新の調査の結果、多少の飲酒は健康に良いというデータは否定されている」という人達もいて、一体どちらを信じていいのかわかりませんよね。医者の間でも意見は真っ二つに分かれていると言っても良いと思います。まぁ、ただ大体においてお酒の肯定派は「単純にお酒が好き」という人が多いですね。勿論、私も「多少の飲酒は健康に良い」の支持派です…(^_^)。     ただ、これにはちょっとトリックがあって、健康について「体への負担」と「心身への良い影響」の側面で見れば全く正反対の結論が出るのは明らかな事です。お酒が体への負担を考えると良くないのは自明の理ですが(多少血管拡張作用があって血流を良くして成人病のリスクを低くするって言う人もいますが、まぁそんな効果であればお酒でなくてもお風呂に入る事でも実現できるのであんまり説得力があるように思えません)、心身への良い影響については「良い影響」がある人の方が多い…という感じでしょうか。特にストレス社会と言われる現代において、非常に手軽で低コストでしかも比較的低いリスクでここまでストレス解消に役立つものはお酒を差し置いてないようにも思います。ただし、近年ではその議論に全く別の方向から「ちょっと待った!」をかけてきた大物がいます。それは「大麻」です。最近では先進国でもカナダで合法化されましたし、アメリカでも州によっては合法化されてきました。恐らくこの流れは結構多くの国で追随されるのではないかと思います。日本での報道では「大麻を非合法にする事で犯罪組織に資金が回り社会を悪くするくらいなら、政府の管理下において合法的規制をした方がマシだから」と説明されている事が多いようです。      しかし、医学界、特に癌の治療や精神科、麻酔科の人達の論文や発表を読むと全く違った説明をされている事が多いのです。「こんなに医学的に治療効果の高いものを使用禁止にする方が社会的損失が高い」と指摘している医者は世界中で数多くいます。例えば癌の末期で治療の施しようがなく全身の痛みと戦わねばならないような患者には従来であればモルヒネのような薬剤を投与するしか方法がなかったのですが、積極的に大麻を利用する事で痛みの軽減だけでなく患者の精神安定を取り戻し、更には癌そのものの治療効果も高くなったという報告が数多くあります。依存性については「お酒と同じ程度」と言う人もいれば「それ以上」と言う人もいてこの辺は私も良く分かりませんが、いずれにせよ推進派の人達(特に医学界)の発言を読むと「リスクよりも得られる効果の方が何倍も高い」と言っていますね。更にお酒と違う事はお酒の推進派の医者は自らもお酒を飲む人が多いですが、大麻の推進派の医者の場合は自分では服用しないという人が結構いて、純粋な治療効果や臨床データのみで推進されている人も数多くいます。まぁ、大麻については私も全く専門外ですし詳しい事を言えるような立場ではありませんが、少なくともお酒に関して言うと「適量であれば推進派」っていう感じです。え? 結局あんたが飲みたいだけでしょ?って? …まぁ、そういう事ですね…(^_^)。なので飲みすぎないようにテラスシャンパンは3杯までと決めています。      それはともかく、飲んでばかりはいられないので、話題を変えて先日東京で開催されたスレッドリフトのセミナー2つに参加してきました。そのうち一つは、私が数年前に潜入調査に行ってお世話になったS先生のセミナーです。S先生は手術の上手さでは学会でも定評があり、スレッドリフトの技術にも定評がある先生です。以前スレッドリフトを始めようと思った時にもS先生のセミナーに参加したかったんですが、潜入調査は自分が医者である事を隠して行くためセミナーに参加すると素性がばれそうで参加しづらかったので、思い切ってもう一度S先生のクリニックを受診してみました。実は数年前潜入調査で受診した時にあまりにもいろいろ質問したためS先生に「ドクター?」と聞かれ、その時は「いえいえ、とんでもない!」とごまかしたんですが、その後S先生に打ってもらったこめかみのボトックスの影響か右眉が下がってしまい、S先生がいろいろ治療法を考えてくださったという経緯があって、それから学会で会う度に「あれ? どこかで見たような…」というような顔をされていたので(潜入調査がばれてるかも…)と思っていたんです。学会関係の人にそのためS先生のセミナーに参加しにくいという話をすると「もう一回受診してみてばれてたら『すいませんでした!』って言ってしまえばセミナーに参加できるじゃん!」と言われ、おそるおそる受診したんですが…。なんと全然ばれてなかったんですよねぇ。「その節はお世話になりました」と神戸土産を渡すとS先生はにこやかに受け取ってくださって「今度は糸を入れたいの?」と丁寧に糸の見本を見せながら説明してくださいました。ますます素性を言いづらくなり、どうしようかと考えながら「糸はちょっと考えます」と言って帰ってきてしまったんですが…。今回のS先生のセミナーは以前直々にスレッドリフトを教えていただいたH先生も使われていた糸を使うセミナーだったので、糸を輸入している業者の担当者Aさんに強く誘われて「ばれたら『すいませんでした!』で済みますよ! そんな事気にするような先生じゃないから…」と言われ、ついに参加してみる事に。        さてセミナー当日。20人ほどの参加だったので、S先生は私に気付く様子もありません。スレッドリフトの講義の後、実際にS先生の施術を間近で見学でき、とても勉強になりました。セミナーの後、主催のKメディカルの以前の担当者Bさんと久しぶりに話をする機会があり、Bさんは1月にH先生にスレッドリフトを教えていただく際にモニターになってくれたKさんと昔仲良しだったので、Kさんの話で盛り上がって今度一緒に飲みに行こうという話になりました。昔仲良くしていた頃からはもう10年の歳月が経ち、Bさんは今やKメディカルの副社長なんだとか。「S先生にはいつもお世話になってるんですよ! 先生、紹介しますよ!」と言われ、「え、でも…」と潜入調査の話をしましたがBさんは「大丈夫、大丈夫! S先生のところはドクターもよく患者として行くからさ。そんなの気にされませんよ!」と私をS先生のところに引っ張って行きます。「S先生、紹介したい先生がいるんですよ! 僕が昔お世話になってた神戸の柴田先生。先生のところには患者として行った事があるらしいですよ」そしてS先生と名刺交換する事に。S先生は「患者として来てたの? どおりで、どこかで見た事あるなぁと思ってたんだよね…」とにこやかに話してくださって、無事にその場は終わってほっ…。      その少し後に東京で美容外科学会があり、会場で会ったS先生は「どう? 糸、やってる?」と話しかけてくださいました♪。その学会ではKメディカルのBさんとも会い、学会後にモニターのKさんと食事に行く事にしてたのでBさんも誘ってみたんですが、丁度その日Bさんは接待があり、アメリカから骨髄幹細胞上清を使った化粧品や育毛剤を開発したドクターを呼んでS先生や有名な美容外科の先生たちと会食なんだとか。「残念ですね、Kさんと久しぶりに飲みに行けなくて」と言うとBさんは「先生、その会食に来る? Kさんは先生とこのスタッフって事にしてさ! S先生や有名な先生たちと飲みに行く機会なんてないでしょ? レストランも結構いいとこ取ってるんですよ!」へぇ…副社長ともなると何でもできちゃうんですね。でもそんなたいそうな会食に行ったらアメリカからの開発ドクターの商品を使わないといけなくなりそうだし、どうしようかな…と考えてると「取り敢えずその育毛剤を使った講演が今からあるから聞いてよ!」とBさん。半分しゃぁなしで講演を聞くと、育毛剤は結構効いていて、思ってたよりも良さそうな感じです。KさんもBさんと久しぶりに飲みたいと言っていたので「こういう提案があるんだけど…うちのスタッフって事にして食事会参加します? その海外の先生の開発した薬を私は使うかどうか分からないので微妙ですけど…」と聞いたら、何事にも積極的なKさんからは「おお! 先生がご興味あれば是非ご同席させていただきます!」という返事が来てしまいました。さすが、美容系注入剤を売っていた会社の元花形営業だったKさんです。有名ドクターばかりの会食と聞いても物おじもしません。私の方がちょっと気後れしてたくらい…。      さて学会後、KさんとKメディカルの担当者Aさん達と会食会場のレストランへ。そこにはアメリカからのドクターやS先生、有名な美容外科の先生達、骨髄幹細胞上清を使った育毛剤や化粧品を日本に輸出してるアメリカの会社の人達も来ていて、その会社の会長さんが特別に用意した高級カリフォルニアワインをご馳走してくださいました。最初は有名な美容外科の先生達と名刺交換したりPRPやFGF、幹細胞上清や再生医療の話で盛り上がって良かったんですが、美味しいカリフォルニアワインを飲み過ぎて最後の方は記憶が飛び飛びに…。翌日はそのアメリカからの開発ドクターのセミナーが大阪であるのに誘われたので、大阪のセミナーにも参加しました。東京の学会での講演は育毛だけだったんですが、大阪でのセミナーでは皮膚の若返りに関しても講演があり、ダーマローラー(細い針がたくさん付いたローラー)を皮膚に転がした後に骨髄幹細胞上清入りの化粧品を塗る、という施術前後の写真がめちゃくちゃ効いています。これは試してみようという気になりました。さてセミナー後、大阪にBさんも来ていて少し話すと「先生、昨日酔っぱらってたでしょ」と言われたので「うん…実は最後の方記憶が飛び飛びで…なんかしました??」と聞くと「いやいや…大丈夫ですよ。また飲みに行きましょう!」と言われましたが気になったのでKさんに聞くと、「Aさんの目の前でBさんに『私、ぶーちゃんはきらいやねん。担当はイケメンにしてー』と絡んで、Bさん苦笑いでしたよ」…しまった! Aさんはちょっとぽっちゃりタイプだったので、酔っぱらって本音を言ってしまったか…。飲み過ぎには気を付けよう。冒頭では「適量のお酒は推進派」と書きましたがやっぱり適量が重要でして、適量を超えるとこのような別のリスクがある事はしっかり念頭に置きましょうね…皆さん!って私が言える立場では全くないのですが…(^_^;)。お詫びを兼ねてAさんから皮膚用・育毛用の薬剤と化粧品・ダーマローラーを買って試してみる事に。経過はまたご報告しますね! こんな失敗も多い私ですが、これからもよろしくお願い致します。  

第194回「失敗は成功の元(正しく反省すれば…(^_^;)」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。桜の時期はまだ肌寒かったですが、やっと暖かくなってきましたね。皆様はお花見には行かれましたか? この桜の満開の季節に新しいクリニックをなんとかオープンする事ができました。これも皆様のご理解とご支援があったお蔭と本当に感謝で一杯です。いろいろな方に支えられて、紆余曲折ありながらもここまでこれたのは奇跡だな…と自分でも思います。本当に多くの方の協力とご支援で新クリニックの移転も終わったのですが…ここだけの話、勿論そんなにスムーズに物事が運んだ訳ではありません。なんか愚痴っぽくなるかもしれませんが、今回は移転の裏話を少し書かせていただこうと思います。     例年この季節はモナコで行われるアンチエイジングの学会に出席してるんですが、今年は移転のバタバタでキャンセル。せめてもの憂さ晴らしとして芦屋までお花見に行ってきました。「もう…こんなんやってられへん!」って感じで憂さが溜まっていたので、せめてお花見とグルメくらいはさせてもらわねば…って事でお花見に行きました。その時期の一番の問題はホームページの制作です。デザインは内装会社のKiさんの紹介でWEBデザイナーのMさんにお願いしたのでなかなか良かったんですが…。ホームページにはデザインだけではなくコーディングというサイトを制作するための作業が要るので、エンジニアと呼ばれる人が必要なんですが、そのエンジニアがどうもいけてない。Mさんは一人で会社をされてるので、他の会社のエンジニアと組んで仕事をされているようですが…。まず旧クリニックは3月22日に移転のため一旦閉院したので、23日に新しいホームページをアップしたかったのですが間に合わないと言われたため「新クリニック間もなくオープン!」というような仮トップページを作って、旧サイトのどのページにアクセスしてもトップページにリダイレクト(自動的に他のウェブページに転送される事)するようにして欲しいと頼んだのに、何だかんだ理由を付けてしてくれません。前のホームページが残っているので閉院したと思わず連絡してくる患者様も多くて困っていると、WEBに詳しい友人Mが「エンジニアなら絶対に分かるリダイレクトの方法を教えてあげるから」とメールに書いてくれました。「エンジニアと直接やり取りさせて欲しい」と言ったのに拒まれたので、友人Mからのメールを転送したのにまだ「リダイレクトの作業をすると本サイトのアップが遅れるから」とごね、時間的に無理だという事を繰り返します。(私も実際のところはよく分からないんですが、友人Mに言わせると、 「できないとかあり得ない!! 何それ??」って言ってましたが…。)さんざんごねられたあげく「26日にアップするので」という連絡が来たのが25日。仕方なく「本当に明日アップできるならリダイレクトは諦めます」と妥協したんですが…。     ところが、ホームページがアップされるはずの26日になっても何の連絡もありません。電話も全然繋がらないし、メールしても返信もない。「どうなってんの??」と怒っていると、27日になってしれっと確認用のURL(ホームページアドレス)が送られてきました。確認してみると…原稿はこちらですべて作成して送ったのにも関わらず、間違いだらけ。「原稿コピペするだけやのに、なんでこんな間違ってるん??」写真やグラフの場所やリンクが間違ってたり、スマホで見ると写真がずれてたり、文字やボタンがはみ出て読めなかったり…本当に酷いものでした。おまけに修正も1回の指示では全然直らない。数ヵ所の修正指示を出すと1-2ヵ所しか直ってこないので何回も指示を出さねばならず、その度に全部確認しないといけないのでめちゃくちゃ時間を取られました。なんと1週間以上修正指示に費やし、その間クリニック通信も出せなかったので「もうええ加減にせー! こんなんやったら料金払われへん!」と怒り心頭。だいたいコーディング料が相場の倍くらいで、値切っても3/4くらいにしか下げてこなかったので、相場より高いのに全然あかんやん! そして一番頭に来たのは連絡と対応の悪さです。ただでさえアップが遅れてる上修正に時間がかかってるのに「今日と明日は他の予定が入ってて修正できません」とか言う誠意のなさに唖然としました。その上、ミス以外の修正をいくつか頼んだのを時間がかかった原因のように言ってくるんですが、ホームページの制作が修正なしで済む訳はないし、追加修正よりもミスの方がよっぽど多いやん!! ブツブツ…。     まぁ…そうやって怒っている真っ最中に桜が今年一番の見頃になったので、憂さ晴らしにお花見に行ったという訳です。そうは言ってもやっぱり日本人。芦屋川の川岸に咲く満開の桜を眺めると怒りも少しずつ治まってきて気分も高揚し、久しぶりに芦屋のイタリアンレストランRに行こうという事に。そのレストランRは芦屋でも結構有名なところで、ウニと人参のムースやパスタが美味しくて、数年前に駅近に移転する前はそれほど高くもなかったので何度か行ったことがありました。しかし移転してからはよくあるパターンで価格も上がり、コースしかなくなってしまったので足が遠のいていたんです。(レストランが有名になったりミシュランガイドで星を取ったりすると、残念な事に必ずそうなっちゃいますよねぇ…)でも料理は美味しかったので、久しぶりに行ってみようかという事になり、当日予約のみリーズナブルなコースがあったのでダメ元で当日電話してみると、土曜日にも拘らず予約が取れたんです! ここまではホントにラッキー。人生悪いことばかりじゃないじゃん!(実はこれはその後に起こる嵐の前の静けさに過ぎなかったのですが…。)     ウキウキしながら訪れると、移転後はなんと全室完全個室の高級スタイルになっていました。和食だと全室個室ってのもありますが、イタリアンで全室個室ってのはかなり珍しいと思いませんか? そして個室に通されると、最初に何やら煙の経つ大きな箱が運ばれてきたんです。「え、こんなに大きな前菜??」と思いきや、それは「玉手箱」と称するフラワーボックスでした。そしてそのフラワーボックスの中心に小さな黒い物体が…。「おや…? これはもしかして高級キャビア??」と期待するも、なんとそれは「呼び鈴」だったのです(個室の居酒屋に行くとお店の人を呼ぶための呼び鈴が装備されていますよね…あれです)。なんて言うか…まぁいいんですけど、あまりにもたいそうな演出に笑いを隠しきれませんでした…。(運んできたウエイターさんは極めて自慢げな様子でして「是非お写真をどうぞ!!」って言ってましたが、我々の年代でそんな事でいちいち写真撮る訳もなく…。最近はどこもかしこも「インスタ映え」を狙った演出に走っていますねぇ。)そして、その後ドリンクはいつものように泡なしのビールを注文。するとお洒落なグラスのビールが銀盆で運ばれてきたんですが…ここで大事件が勃発! ウェイターが緊張したのか、グラスを私の方に向けて「バッシャン!!」と1杯分のビールをまるまる溢してしまったんです。あまりにも突然の事に「キャー!!」と大声を上げてしまいました。気付いたらビールをグラス一杯分全部浴びてしまい、更にその時は珍しく長いスカートを履いていたので、スカートの半分以上がビショビショに…。生ビールがギンギンに冷えているのは本来は良い事なんですが、それが仇となって冷たいのなんのって…。     「も、申し訳ございません!!」私の叫び声を聞いて、ウェイターの上司らしき人がタオルを持って駆けつけてきます。その状況でうろたえたグラスを倒した張本人は(なんか明らかに鈍くさそうな感じの人だったのですが)気が動転したのか「あ…あの、だ…だ…大丈夫ですか??」とおろおろ。しかしその状況で「大丈夫ですか?」は禁句やんねぇ。「見たら分かるやろ! 大丈夫な訳ないやん!!」と大阪のおばちゃんに怒鳴られてさらにおろおろ。駆けつけた上司はひたすら「申し訳ございません!!」を繰り返しながら誠意的な対応をしつつ、ちょっと鈍くさい張本人を上手くバックヤードに避難させた様子。この上司の人は男性なのにロン毛をポニーテールというちょっと「大丈夫この人? なんの仕事してるの? 絶対銀行員じゃないよね…」って感じの人だったんですが、このような状況には慣れているのか対応としてはまぁ満点ですね。     まぁ、いずれにしてもビショビショのまま帰る訳にもいかないのでそのまま食事をする事に。タオルを大量に持ってきてもらえたので食事中に半分くらいは乾いてきましたが…。オーナーシェフも謝罪に来てくれて、その日の食事代はタダになりました。(いくら大阪のおばちゃんが入ってるとは言え、私からタダにしてと言った訳ではないですよ…あくまでもオーナーさんが申し出されたのでそれを受け入れたという事で。私の名誉の為にもここだけは言っておかないと…(^_^;)。アクシデントはあったものの料理は結構美味しかったので、一緒にいたMは「いや…今日のコスパは最高じゃん! 儲けもん、儲けもん…」と人の不幸をよそにまたまたご機嫌の様子。一応オーナーシェフには「あのグラスはオシャレだけど安定が悪いから危ないですよね。まぁ、スタッフさんのスキルにも問題あるかもしれませんが…いずれにせよ食事は満足でしたのでまた、寄せてもらいます」と今後の為に少し提言したところ「確かに…グラスの事は今回を機に再検討させていただきます。ただ、今回はどちらかというとあのスタッフのスキルに問題があったかと…」と本音がぽろり。おそらく彼はこれ以外にもいろいろやらかしているんでしょうねぇ…。人を使う難しさは身にしみていますので、ちょっとオーナーさんには同情してしまいました…(^_^)。いずれにしてもミスって誰でもしてしまうので、それはそれで今後はしないように気をつけるとして、ミスをした時はその後の対応次第で良くもなれば悪くもなるものだと思い知らされた出来事でした。     世の中には、そういう時の対応や優先順位を間違える人が多々いますよね。ホームページのMさんもエンジニアの人も、「先生のクリニックが良くなるようにと頑張ったのに…」という言い分はよく分かるんですが、頑張って早くしようと必死になるあまりに連絡を怠ったのが間違いの元。優先順位が逆ですよね。最初は「見積通りの料金は払えへん!」と言った私にあれこれ言い訳していましたが、「いろいろな事情があってどうしても遅れる時がある事くらい理解できます。私が言ってるのは、遅れるんやったら遅れてしまいますと連絡を先にするのが常識でしょ? それにMさんが窓口になる以上、エンジニアのミスも確認を怠ったMさんの責任と違うん? 言い訳する前にすいませんの一言が先にないの?!」とビシッと言うと、さすがにMさんも「すいません…」とうなだれていました。でもまぁ柴田エイジングケア・美容クリニックが良くなるようにと頑張ってくれた気持ちは分かるし、いろいろ話をしてきちんと反省してもらい、広告のムービーやパンフレットの料金表をサービスしてくれると言うのでなんとか仲直り。Mさんは後日移転のお祝いにドンペリを持って来てくれました。彼も照れながら「花より団子かな、と思て…」。その辺は私を理解してくれているようです(^_^)。勿論私も皆様に完璧な対応ができているとは思えませんので、これらの出来事を糧に私自身もいろいろ反省しなければいけないな…と改めて思った次第です。       さてさて、いろいろとバタバタしましたがなんとか移転も完了し、慣れないながら診療も始めました。最初は引っ越しで必要な物がなくなっていて「あれがない、これがない」とバタバタしたり、変更したばかりの予約や会計のシステムが上手く作動しなかったりと大変でしたが、それも修正してもらいなんとかやっていけそうです。開院祝いにお花をくださった患者様もおられ、感謝感激。この場をお借りして御礼申し上げます。「院長の自宅に招かれたようなプライベートクリニックで、いつまでも元気で綺麗でいられるためのエイジングケアを」というコンセプトの基、エイジングケアのためのオーダーメイド治療を提供すべく、日々研究に勤しむ所存です。どうぞ新しくなった柴田エイジングケア・美容クリニックを宜しくお願い致します。  

第193回「コンセプトはカウンター鮨屋さん」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニック改め柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。10年余り皆様にご支持いただきました柴田美容皮膚科クリニックは3月22日に閉院し、4月10日に新しくコンセプトを変えた柴田エイジングケア・美容クリニックを開院する事になりました。皆様には永らくお世話になり、誠にありがとうございました。美容と健康面から真のエイジングケアを追求する新クリニックでお目にかかれる事を楽しみにしております。さて、いろいろハプニング続きでバタバタした移転準備もやっと軌道に乗ってなんとか移転のめどが立ってきたので、先日友人Mの誕生日会を兼ねて久しぶりに美味しいお鮨を食べに行こうという事になりました。目指すは三宮から北野に移転し、ミシュランの星も取った「J助」です。     J助は10年程前から三宮で若い大将が頑張っていて、その頃はクリニックから近かったので時々行っていました。当時はそれほど高くなくお鮨は美味しかったんですが、今と雰囲気も違ってカジュアルな感じで、更に大将の知り合い筋なのか、すこしヤンキーっぽい(これだとちょっと怒られるかな…やんちゃっぽい?)お客さんが多かったように記憶しています。確か大将は淡路の出身で、淡路からこだわりの素材を取り寄せていましたし、若い頃から才能に溢れていて、食に関しては辛口評論家の友人Mにも高評価のお店でした。7年ほど前に北野に移転してからは足が遠のいてしまいましたが、その間にどんどん評判が上がって食べログの点数もどんどん上がり、ミシュランの星まで取ってしまいました。「一度行かないとね」と友人たちと話しつつ、おまかせ1本の高級店になってしまって気軽に行ける店ではなくなったのと、こちらも何かとバタバタしていた事もあり、やっと訪れたのが3年前。その時は、もちろんあてもお鮨も美味しかったんですが、かなり高級感溢れるたいそうな店になっていたのと、コース開始から終了まで3時間以上かかったのに閉口してしまったんです。大将の握りは「芸術的な握り」と巷では絶賛されていますが、その時は一つの鮨を握るのに約3分。そのうち1分は握りを眺める…という作業に費やされていたので、美味しいのは美味しいんだけど、一回の食事に3時間以上もかかるのはちょっと忙しい私達には合わないな…という事になり、また足が遠のいてしまいました。     それから3年。久しぶりに美味しいものを食べに行こうとなった時、行きたい店が思いつきません。その時友人Mが「う…ん。久しぶりにJ助に行きたいな。他は思いつかない…」と。「あれ? 時間かかるからいやなんちゃうん?」「そやねんけど、早めに出してって言ってみたら? 僕はよう言わんから、言ってもらえる?」…うむ。そういう注文を付けるのは私の役なんやな。直前に電話したんですが意外とすんなり予約が取れました。(もしかしたら、たまたまキャンセルが都合良く出たのかもしれないけど)「8時半からやったらいけますよ」ここは昔から大将が電話に出ます。店員に接客はさせられへん、というこだわりがあるようです。あまり時間がかからない方がいいと伝えると「2時間半はかかりますけど…」と。まぁ3時間超えよりはいいか。 そして久しぶりに北野のお店へ。長いエントランスを抜けてお店に入ると、「左手でお待ちください」との事。なんと、2部制になったようです。1部の客が帰るまで小部屋と廊下で待たされます。大体、お店が流行ってマスコミに取り上げられて、予約が取れないお店になるとこのパターンですよね…。勿論お店にはお店の都合があるから、少しでも多くの人に楽しんでもらう為には入れ替え制にするのは仕方ないんですけどね。     部屋はいっぱいだったので廊下に立ってると大将が「柴田さん、どうぞ」と自ら呼んでくれました。「久しぶりですねぇ」と、今日の大将はえらい饒舌です。(どっちかというと、こちらの大将はわが道を行く…という典型的なタイプの人でお客に愛想をするような感じではないので、饒舌に接客するようになったのはやっぱり大人になったのかな…(^_^)? 巷の評判では、美味い鮨を出す事が命だとしてぶっきらぼうな接客でも肯定的な批評家と、サービス業なんだから接客も含めてそのお店の良さであると言う批評家に分かれてしまいますね。その意味で、お店の雰囲気とか接客を重視する批評家には今ひとつ評判は良くないようです…。) 「店始めて12年、北野に来て7年やからね。早いねぇ」そんな話をしながら、まずはあてが何種類も出てきます。     「努力する天才」と呼ばれるように彼は常に研究しているようで、いい素材にさらに工夫を凝らした美味しいあてが数種類。「うん。美味しい」辛口評論家のMも満足げです。ところが大将はポツリと一言。 「僕もうこんなんやめよと思とんですわ。多分年内にはやめると思いますわ」 「え? なんで?」こんなに評判も良くなりミシュランの星までもらって予約の取れないお店になったのに…なんでこのスタイルやめちゃうの? 驚いて聞くと大将は「今みんなこんなんでしょ。あて何種類も出して、それから鮨。そうせなあかんのかなと思てやってきたけど、これって単なる流行りでしょ? いやになってきてね。だって鮨屋でしょ。もっと気軽に鮨だけぱっと食べれる店の方がええんちゃいますか? 鮨屋ですよ。鮨に専念せなあかんのちゃうかな。流行りで仕事してたらあかんて思うねん」…なるほど。流行すたりに踊らされる事なく、自分のやりたい仕事の信念を貫きたいって事ですね…。     あてが一通り終わると大将が精魂込めた握りに移ります。今回は急かしたせいか鮨を眺める場面は省かれ、比較的早く握ってくれました。大将は長い白木のカウンターの中央で握ってるんですが、握りは一人に1つずつ大将自ら運んでいます。一つ握っては端の人から運び、また戻って握っては次の人に提供する。私たちの左隣の人は3人組らしく、(恐らくJ助の評判を聞いて初めて来店された方々のようです。お行儀もいいし礼儀正しい人達で、普通に考えると凄くいいお客様に見えますが…)最初に握りを出された人がみんなに握りが出てくるまで待っていました。まぁ、これって日本人の普通の文化ですよね。皆さんの前に揃ってから一緒に食べ始めるっていうのは。ところが、大将がそのお客さんに 「出したら他の人の待たんとすぐ食べてよ。何のために僕がいちいち一人ずつ出してるか分かれへんからね…」 うむ…。こちらがちょっと大丈夫かな?と思うくらいズバッと言ってしまいます。彼のこだわりは「握り鮨はネタの状態を最高にキープするためにはシャリの温度も極めて重要で、一番美味しい状態で出しているのだから、他の人のが来るのを待っていると人肌のシャリが冷めてしまい、せっかくのベストコンディションが失われてしまうので、出されたらすぐに食べて欲しい」という意味なのです。勿論、それは素晴らしいこだわりなんですが、なかなか客にそんな事ズバスバ言う鮨屋はいませんよねぇ。どうもその後3人組の皆さんが緊張されている様子がこちらまで伝わってきます。     その後は流石にそのお客さん達に直接言わないのですが、私達に「僕は一つ握ってはこのシャリの窯の蓋を閉じて、一つだけの鮨を持っていって出して、また窯の蓋を開けて握って持っていく…ってやってるんやけど、あんな風に待たれたらなんのためにやってるかわからへんやんねぇ?」と愛想よく笑顔で同意を求めてきます。勿論同意はするけど、それより大将の声、全部そのお客さん達に聞こえてるよ…!! なんだかこちらも気が気ではありません。(彼は全然悪気ないようで、楽しく握っているんですけどね。)その話は私達の右隣のお客さんにも聞こえたのか、カウンターに座っている全員が「出されたらすぐに食べる」ルールをきちんと遵守するようになったようです。 「ははは…(^_^)…昔から大将はこんな感じだったね。変わってなくて良かったよ」と友人Mはこの状況にたいそう満足している様子。最高の状態で食べて欲しい、客に迎合したらあかん、て事に共鳴しているようです。(Mは日頃から口癖のように「お客に迎合したら絶対あかん。お客は店を選ぶ権利があるんだから、嫌だったら行かなかったらいいだけ。お店が愛想振りまいて誰でもいいので来て欲しいて言うようなところにろくなところはない」って言ってるので、大将の方針に合うみたいです。)     「ほんま久しぶりやねぇ」と大将が言うので、「(友人Mに)誕生日にどこ行きたい?て聞いたら、『J助』って言うから」と少しお世辞も込めて言うと、大将は「あ、そう? そら当然やね。他のとこ行く気せえへんやろねぇ」とあっけらからん。この切り返しに「ははは」と大笑いで「いいねぇ…わが道を行くって感じで。鮨屋はこうじゃなきゃね」とMもまたまた大満足。私も「確かにそうや! やっぱりプロはこうやないとあかんわ。客に迎合したらあかん。流行で仕事したらあかん。自分の信念を持って、自分が一番いいと思うものを提供するべきやね!」と感心しました。まぁ残念ながら全員がそれで満足する訳ないから、満足されない方は仕方がないので他のところに行っていただく。「これはいい」と思うお客様には妥協する事なく最高のものを提供する。これは見習わないと、と思いました。 勿論、賛否両論あるのは当然です。これがすべての人にとっていいと言う訳ではありませんが、所詮8席程度のこじんまりしたお店をやるんだったら、絶対にそうあるべきじゃないかな…って思います。(だって、気に入らなければ他にもお客は自由に他の選択ができる訳だし。)     かく言う私も今までは、不本意と思いながらも患者さんに合わせてしまう事がありました。「ここが気になる」と言われたら(本当は違うところを治した方が綺麗になるのにな…)と思っても、つい希望を聞いてしまったり。本当は「先生のセンスで一番キレイにして欲しい」と言われているのに患者様にメニューを選んでもらったり…。しかしそれではいけない、と思いました。本当に自分が良いと思う方法を勧めきれなければ、プロとは言えないと。勿論、お鮨屋さんとクリニックは違いますが、ある意味今度のクリニックはこの「カウンター鮨屋」をベースのコンセプトと考えています。なので新クリニックでは、「おまかせ治療」が中心になります。(勿論、ご予算は明確にお聞きしてその範囲でのおまかせです。後でお会計の時にびっくりする…というような一部の高級鮨屋のコンセプトまで真似するつもりはありませんのでご安心を…(^_^;)一人一人その方に一番合った治療をお勧めして、満足していただけなければプロとは言えないと思うのです。そのためには今まで以上に研究を重ねる所存ですので、皆様も是非一度新しいクリニックにお越しいただき、おまかせ治療を体験していただきたいと思います。これからも柴田美容皮膚科クリニック改め柴田エイジングケア・美容クリニックを宜しくお願い致します。