第192回「いよいよ追い込み! 新クリニック」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。立春が過ぎたとは言えまだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 以前お知らせしたように、当院はコンセプトを変えて移転する事となり、移転まで約1か月となりました。永らく柴田美容皮膚科クリニックをご支持いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。また新しいクリニックでお目にかかれる事を楽しみにしております。前回の通信でも書いた通り、体の外だけでなく内側から、そして心の中からも美しくなれるアンチエイジングのクリニックを目指します。「年をとっても年相応の魅力があっていつまでも美しい人」を本気で追求しますので、是非ご期待ください。さてさてその意気込みに反して現実は厳しい事ばかり…。何か新しい事をするとなるとハプニングはつきもので、今のクリニックに移転した時もハプニングだらけでしたが(詳しくはクリニック通信第63回をご覧ください)、今回の移転準備もまたハプニング続きで大変でした。     今のクリニックで借りている場所は数か月前に解約申し込みをしなければならないのですが、以前のクリニック通信にも書いたようにオーナーの管理会社の対応が悪く、空調の件で揉めたりしたし早く出たかったので、新クリニックの場所が決まる前に解約届を出してしまいました。新しいクリニックの物件はすぐに見つかるだろうと思っていたのですが、知り合いの不動産屋Kさんに「解約は新しい場所が決まってからの方がええんちゃいますか?」と言われたので、すぐに解約を延ばしてもらうように管理会社に依頼したんですが、高ビーに「解約届の撤回願い」なるものを出せ、と言うんです。そしてそれをオーナーが承諾すれば撤回できるが、承諾しない場合もあるとの事。なんか滅茶苦茶上から目線やなぁ…と思いながらも仕方ないので撤回願いを出しましたが、なかなか回答がありません。管理会社の担当者は頼りないのでオーナーの会社に直接電話したら担当者が「今社内で検討しておりますので、もうしばらくお待ちいただけますでしょうか」「えーっ、もう何週間も経ってるのに、先の計画が立てられないじゃないですか。承諾できそうかどうかも分からないんですか?」「それがその…私の口からはこれ以上なんとも…」とお茶を濁します。そしてその翌週、管理会社に「まだ分からないんですか?」と催促の電話をすると「実はその…オーナーの会社が変わりまして…」「えーっ!?」…そら担当者からは何も言われへん訳ですねぇ。そして新しいオーナーは解約届の撤回願いを承諾しないと言ってきました。家賃を上げるとか契約内容を変えるなどの条件付きなら承諾する事もあると。その話をKさんにすると「そんなけったくそ悪い話初めてですわ! 足元見くさって! そんなとこ、早よ出た方がよろしいわ!」と言われましたが…。     そのやり取りと並行して新しい物件を探してたんですが、なかなかいいところが見つかりません。時間がなくなってきて、内装工事の事なども考えると間に合うかどうか分からなくなってきたので、物件探しから引越しや内装工事を含めて移転のプランを立てて進捗管理をしてくれるという「移転プランナー」なる会社に進捗管理を頼みました。同時に不動産屋の知り合いに声をかけたりネットで探したりして10社以上の不動産屋に依頼しましたが、なかなかいい物件が見つからず焦っている時に、今度は肝心の移転プランナーが突然の蒸発…。(そんなんって普通ないですよねぇ…??)担当者に電話しても折り返しもないし、メールも返ってきません。あまりにも対応が遅いので会社に電話すると、「M(担当者)は長期休暇を取っておりまして…」「えーっ!? 3日前に会った時は何も言ってませんでしたけど?? いつまで休みなんですか??」「2週間ほどなんですが…」「ええっ!? こんな急ぎの案件抱えてて何も言わずに2週間も休みます?? 代理はいるんですか??」「それがその…代理はおりませんで…」「えーっ?? どーゆー事?? 代理がいないんだったら至急連絡とってください!」「はい、すぐに連絡取ります!」そう言ったくせに、その後その会社からは担当者と連絡が取れたとも取れなかったとも、何の連絡もありませんでした…。     ちょうどその時期にインテリアコーディネーターをネットで募集して応募があった中から3人に会いました。そのうちの一人Kiさんは海外にもよく行かれていてヨーロッパのお洒落な内装にも詳しく、「院長の自宅に招かれたようなプライベートクリニックで」というコンセプトにすごく興味を持ってくれたので意気投合。内装の打ち合わせの時、Kiさんに移転プランナーが蒸発した話をすると「それは大変ですねぇ…。うちも不動産屋さんがいい加減で仕事が進まない事がよくあったんで、自分の会社に不動産部を作ってしまったんですよ」と言われたので、藁をも掴む思いでその会社の不動産部にも物件探しを依頼しました。すると、捨てる神あれば拾う神あり。そこの不動産部の人は不動産関係には珍しく女性だったんですが、めちゃ真面目で連絡も早い上、一生懸命物件を探してくれたようで、10社以上の不動産屋に依頼して何か月もいい物件が見つからなかったのに、たった1週間でいいところが見つかったんです!!     しかしそのあまりの差に「どーなってんのかな?」と友人Mに聞くと…「言っちゃ悪いけど、不動産屋なんかええかげんの代名詞みたいなもんやからね。期待する方が間違ってるのよ。必死で探してくれるところなんかほぼないと思うよ」との事。えっ、そうなの?? そう言えば、普通の不動産屋はメールの返事なんか2~3日で来ればいい方ですが、Kiさんの会社の不動産部の人はメールしたらすぐに返信があって、電話も1回繋がらなくても必ず折り返しがあります。仕事なら普通の事なんですが、不動産業界では珍しいのでびっくりしました。いかに他がいいかげんか…という事ですよね。そして契約書を持って来てくれた時も「今から重要事項説明書を説明させていただきます」ときちんと説明してくれたのにまたびっくり。本当はそうするのが不動産屋の義務なんだそうですが、私は勤務医時代で10回以上引っ越してマンションを借りる契約をし、開業してからも店舗の契約は3回目ですが、そんなにきちんと説明してくれたところは1回もありませんでした。それどころか重要事項説明書に見えないような文字で書かれていた文書で詐欺に遭いかけた事も…。本当に雲泥の差です。(不動産屋の方がお読みでしたらすみません…。中には真面目な方もおられるとは思いますが、少数派だという事で…。)     もう一つ、移転準備を始める前からクリニックの予約管理や会計のシステムが古くなってきたので新しくしようとしていたのですが、システムの移行を頼んだ会社の担当者がボケていてなかなか移行が進まず、ついにクリニックの移転に間に合わないかもしれないという事態になってきました。秋から始めたのに方針が固まってきたのが12月、「年末には契約して着手して欲しい」と言ったのに「仕様書(システムの開発などの詳細を記載した書類)と見積書がまだできてないのでもう少し待ってください」と1週間延び、2週間延び…1月末になってしまいました。さすがに焦って「来週までにスケジュール表と仕様書、最終見積を出してください」と言うとお尻に火がついたようなんですが、何回も同じ質問をしてきます。何か月も前から何回も同じ事説明してるのに…とぼやきながら回答していると、2日後にまた同じ質問が。以前は期間が開いたから忘れたのかな…くらいに思ってたのですが、これはおかしい。提出してきた仕様書も大事な項目がいっぱい抜けてるし、あきれたのはスケジュール表の基になるクリニック移転の日を覚えてなくて適当に作ったという事。さすがに怒って担当を変えてもらいました。担当者の上司が直接担当する事になり、引継ぎの打ち合わせが3時間以上かかって大変でしたが、なんとか移転に間に合わせてくれる事になりました。     そんなこんなでいろいろあった末にやっといい人達と巡り会え、蒸発した移転プランナーの代わりにKiさんが移転プランナーを務めてくれる事になり、引越しも引き受けてくれたので移転にも光が見えてきました。KiさんはホームページのWEBデザイナーMさんも紹介してくれました。Mさんは男性なんですが花柄のパンツやバッグを持っていて、ちょっとぶっ飛んだいでたちの人ですが「ああ見えて仕事は真面目なんですよ」との評判。Kiさんは内装や移転の相談に乗ってくれるだけでなく、私が後輩に要らなくなる家具などを譲りたいけど車がなくて…とか言うと会社の車を出して運ぶのを手伝ってくれたり、何でもしてくれるとてもいい人です。そしてKiさんやその会社の人達とMさんは私と一緒でワインが大好き。Mさんなんか主食がワインだそうで、新クリニック完成のあかつきにはみんなでワインパーティーでもしましょうと、今から盛り上がっています。     そうして新クリニックのデザインも進んで図面もできましたが、もう一つの難関は保健所の申請です。前回の移転の時はクリニックの名前を決めてお知らせやパンフレットを印刷してしまってから保健所の反対に遭ってクリニック名が変わって大変な事になったので、今回は事前に確認しておこうと保健所に電話したら「図面ができたら持って来て下さい」と言われました。そこで図面ができた時点でKiさんの会社の人やMさんと一緒に保健所に行き、クリニック名も確認したところ…「柴田アンチエイジングクリニック」にしようと思ってたんですが、「その名前はちょっと…」と言われてしまいました。厚労省の医療広告規制の例文に「アンチエイジングは不可」と書かれているので、受け付けられないと言うのです。「東京にはアンチエイジングクリニックってありますけど」と反論したんですが「各保健所毎の管轄になりますので…」と、神戸ではダメだと言われてしまいました。名前が決まらないとホームページも作れないので、申請が通ってコンセプトも表せるようなクリニック名を考えないといけません。Mさんもクリニック名を考えてくれたり、市役所関係の仕事もされていたので知り合いの課長に後押ししてもらったりして、やっと「柴田エイジングケア・美容クリニック」という名前が通りました!     あとは内装工事の完成を待つばかり…ではなく、内装の打ち合わせやシステムの資料提供・新しいホームページの文章の作成・新しい治療メニューの考案などまだまだしないといけない事はてんこもりですが、いくつかの難関は突破したので、新クリニックのオープン目指して頑張ります! そう言えば、トラブル続きで忙しすぎて風邪や腰痛を引きずっていた時に、プラセンタ点滴とプラセンタのツボ注射のダブル治療をしてみると、翌日には何週間ぶりかの快調が戻り、健康のありがたみを噛み締めました。しんどかったり痛いところがあると気分も憂鬱になりますもんね。やっぱり美容のベースには健康があると、自ら再確認した次第です。新クリニックではワイン好きの方には治療後にワインサービス…なども計画中。血行が良くなって効果倍増かも?? あての生ハムを切るスライサーなんか買ってしまおうかな…なんて思っています。ほとんど趣味のようになってきていますが…居心地のいいクリニックを作るために内装のプランも固まりつつありますので、乞うご期待!  

第191回「平成最後の挑戦」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。寒い日が続きますが、皆様風邪などひかれていませんか? 年末年始はいかがお過ごしでしたか? 私はと言えば、今年は当たり年なのか新春早々当たり(ってか当てられ?)ました…(^_^;)。最近続けて東京に行く機会があったのですが(どうして東京に行っているかは後で書くとして…)、新神戸まで〇Kタクシーに乗ったのです。そうするとどうも新米の運転手さんだったようで、横断歩道を自転車が渡ってきているのを全然見てなくて急ブレーキ!! 物凄い衝撃だったのですが、自転車をひく事はなんとか逃れました。まぁそれは良かったのですが、あまりにも衝撃が強くて私の方がムチ打ちになってしまいました…。私は過去に2回大きな車の事故に遭い、酷いムチ打ちになって入院した事もあるので、どんな症状がまずいかも分かっています。(元整形外科医だし、ムチ打ちの患者さんもたくさん診てきましたからね。)すぐに首と腰が痛くなって、後で悪化するのも分かっていたのですが東京に行くのに急いでいたので、その旨運転手に説明して「上司にちゃんと報告するように」と言って車を降りたのです。でも若い運転手だったので「もしかしたら報告しないかも」と思って名前を控えました。その日は東京日帰りだったので、帰りに乗った〇Kのまじめそうな年配の運転手さんに「今朝こんな事があったんですけど、ちゃんと報告されてるかどうか確認してください」と伝えると確認してくれて、やはり朝の若い運転手は上司に報告していなかった事が発覚。所長から電話があったので「連日の不祥事ってどーゆー事!?」(実はこの前の日も〇Kを予約していたのにコールセンターが登録し忘れて車が来ないというトラブルがあったのです)と怒ると、「も、申し訳ございません!!!」さすがに本人を連れて謝罪に来ました。なんと、本人は報告するのを忘れてたと言うんです!「本当か?? 黙ってたら分かれへんと思てたんちゃうの??」「いえ、本当に失念しておりまして…申し訳ございません!」しかし黙ってたにしろ忘れてたにしろ、どっちもどっちやん。若い運転手さんの将来を考えてここはきちんと大人が躾けてあげないと、という事で「どっちにしてもあかんやろ!!」…とビシッと言うと、「申し訳ございません…」とうなだれていました。     まぁ、人間って完璧じゃないからトラブルを起こす事もあるけど、その後の対応で全くその人の評価が変わってしまいますもんね…。企業が不祥事を起こした時とかでも謝罪会見などをテレビで行っていますが、その後の対応で見事に収まるケースもあれば、謝罪したのがかえって炎上したという事もあるので対応って難しいんですが、やっぱり最後は誠意だと思います。話に聞くところによると、企業が不祥事を起こした時の記者会見には「危機管理対応コンサルタント」という専門職の人たちが、謝り方や記者会見の質疑応答のシナリオなど全部お膳立てをして、責任者の人はそれに従って黙々と進めるのが一般的なんだとか。でもその後に炎上しているケースって、大抵が社長とかトップの人が出てきている会見にもかかわらず「原稿棒読み」って場合に起こる事が多いような気がします。人間って不思議なもので、顔の本当に微妙な筋肉の動きを読み取ってしまえるんですよね。緊張した時や嘘をついた時、申し訳ないと思っている時などに動く筋肉は大体決まっているので、相手はその微妙な違いを感じ取ってしまい「あ…すいませんって言ってるけど本心じゃないな…」なんて分かってしまう訳です。一流の俳優などは自分の顔の筋肉を自由に操れて表情を作れる訳ですが、それでも大物女優があるインタビューで「演技って本当に自分が心から楽しいとか悲しいとか思う事で、それが自然に顔に現れる事が一番大事なんです」って言ってました。そう言えば昭和の懐かしいCMで「うまいコーヒーを飲むCMって簡単なんだよ。だって本当にうまいコーヒーを飲めばいんだから」というのが流行りましたね…。(え?古い?)謝罪会見はやっぱり下手な演技指導より、心から「申し訳ない」と思う方が大事なようです。こればっかりはボトックスを使っても、そこまで微妙な表情は作れませんしね…(^_^)。     さて、なんで東京に行っていたかという話ですが、スレッドリフト(顔のたるみの部分に糸を入れて引き上げる治療)の研究のためなんです。このクリニック通信でも何度か書いたようにスレッドリフトも最近は進化してきたので、注射では限界のあるたるみに対しては取り入れようかと思い、セミナーに参加したり知り合いの先生に教えてもらったりして研究していました。そのような活動をしていると、スレッドリフトが上手いと定評のある先生が指導してくれるというような話がきたのです。薬品メーカーのMさんに紹介してもらったH先生は、形成外科で20年勤務し大学の助教授などを経て開業された正統派の、学会でも講演などをされている結構有名な先生で、手術も上手くいろいろな手技を教えてもらいに行くDrも多いのだとか。そんな偉い先生なのに気さくで、人物的にも素晴らしいとの評判です。Mさんから、私が親しいモニターの人を連れて行ってまずH先生に施術の見本を見せていただき、次に私が施術して指導を受けたいという大胆なお願いをしてもらったんですが、すんなりOKしていただけたとの事。しかも指導料は不要で、実際の施術料金だけでいいと言われたそうなんです。「ほんとにいいの? 申し訳ない気がするけど…」と何度も聞いたんですが、大丈夫ですとの事。なんて良心的な先生なんでしょう! しかも、東京でも人気のクリニックで予約はいっぱいのはずなのに、急いでいると言うと比較的早く予定を入れてくださったんです!       H先生とは面識がなかったので、事前に挨拶の電話を入れたところ、受付の方が「あ、Mさんの紹介の先生ですね? モニターさんを連れて来られるんですよね?」「はい! お世話になります。宜しくお願いします! H先生に一言ご挨拶をと思いまして…」「今日は長いOPでまだまだ終わりそうにありませんので、伝えておきますね。当日はモニターさんにH先生が施術をして、先生は見学されるという事でよろしいですか?」あれ? 話ちゃうやん。私も施術させてもらえるという話だったはずだけど…。その旨伝えると「ええ、そのお話も先生には伝えたんですが、半顔ずつ施術すると左右差が出るよ、と言われまして…。一応希望は伝えておきますね」でもせっかくモニター連れて行くのに実際に施術はさせて欲しいし…なんとか左右差の出ない方法はないかなど考えながら、当日モニターのKさんと東京で待ち合わせしてH先生のクリニックへ。少し早く着いたので受付で名刺を渡して挨拶し、「早すぎましたか?」と聞くと、「ちょうど先生の前にH先生が知り合いの方をモニターに呼んでいるので、その施術を見学されますか?」なんと、私が実際に施術をしたいと言ったので、その前にH先生の施術を見学できるようにわざわざ別のモニターさんを呼んでくださったという事だったんです! なんて親切な先生なんでしょう! 受付の方もとても優しくて、私たちが緊張した面持ちでいると「先生、神戸ですよね。私、神戸の出身なんですのよ~」などと話しかけてくださいます。神戸のお土産をお渡しすると「まぁ! フロインドリーブ、懐かしい~!」と喜んでくださいました。待合で待っている間周りを見渡すと、あちこちに学会の賞や盾などが飾られています。クリニックの内装はラグジュアリーではなくどちらかというと簡素な感じ。そして先生が自分で患者さんを診察室に呼び入れられています。こんなに偉い先生なのに、とびっくり。真面目で誠実なお人柄がうかがわれます。     しばらくするとH先生が来られました。慌てて名刺を出そうとすると、受付で名刺を渡したからか「あ、いいですよ、いただいてますから!」と言われます。「本日はお忙しいところ、無理なお願いを聞いていただきましてありがとうございます。宜しくお願い致します!」と挨拶すると、「いえいえ、遠方からわざわざお越しいただいて、ありがとうございます」…なんて丁寧な先生なんでしょう。そしてH先生はPCを使って「落ちてきた脂肪を元の位置に戻す」というスレッドリフトの理論から説明してくださって、実際に解説しながらモニターさんへの施術を見せてくださいました。その理論や手技は今まで見たセミナーや動画とは全然違い、理にかなった素晴らしいもので、なるほど、と感心しました。スレッドリフトのやり方は先生によって様々なようで、若い患者さんが多い先生はリフトアップより小顔重視なので、当院の患者様が求めるものとはちょっと違うなと感じていたんですが、H先生の方法はドンピシャでした。年齢と共に下がってきた頬やフェイスラインの脂肪を元の位置に近づける事によって、たるみだけではなく頬のコケやゴルゴラインまで改善するというものです。     そして次に私が連れて行ったモニターKさんに実際に施術。法令線付近は左をH先生に施術していただいて私が右を施術、マリオネットライン付近は左右逆にして左右差を少なくしようという事になり、H先生は糸を入れる深さや方向、麻酔の仕方など私の質問にも答えながら事細かに指導してくださいました。研修医時代でもこんなに丁寧に教えてもらった事はなかったので感激! そしてH先生に教えていただいた通りにしただけなんですが、付いていた看護師さんに「先生、お上手ですよ!」と言われました。「本当ですか??」もちろんお世辞も入ってるんでしょうけど、「先生本当にお上手ですよ。実は研修の先生よく来られるんですけど、中には見てられない先生もおられるんですよねぇ…」と裏話もポロリ。見てられなくなくてよかった…。こういう実技って3次元的なカンとかセンスが大事なんですよね。そしてKさんの仕上がりは…「わぁ~!! すごく若返った!! 全然違う~!!」と本人もビックリ。(すいません…なんかすごくできすぎた話だと思われるかもしれませんが、これは本当です。私から見ても「これは絶対良くなったよね…めっちゃ若返ったやん!!」って思いました。)Kさんは20代の頃から知ってるんですが、昔からすごく可愛くて顎のとがった美人でした。40歳になった今でも綺麗ですが、お手入れを全然していなかったそうで、フェイスラインや頬はちょっとたるんできたかな…という感じだったのが、なんと昔に戻ったみたいです! もちろん、落ちてきた脂肪の塊を重力に逆らって細い糸で釣り上げるのですから多少のくぼみやひきつれは出ますが、そんな事は全体の若返りに比べたら無視できるほどの効果です。H先生のお話では、糸はどうしても緩んでくるので、少し過矯正(引き上げ過ぎ)にした方が1~2日で少し緩んで丁度良くなるのだとか。どうしても気になる凹みは2日後くらいに戻して、それでも気になる時はヒアルロン酸を少量注入するという事でした。H先生は糸を保存する真空容器まで教えてくださり、私が緊張してると「神戸はこないだゴルフに行きましたよ」とか気さくに話してくださったり、本当に優しくて素敵な先生でした。   術後の注意を聞いてお薬をいただき、看護師さんも遅くまでお邪魔したのにとても親切にしてくださったので、Kさんと感激しながら御礼を言ってクリニックを後にし、いざ打ち上げのイタリアンへ。Kさんは大きな口は開けにくそうでしたが、「ワイン飲んだら痛くなくなってきた! ほんとにいい先生でしたよね~!! 受付の方も看護師さんも優しかったし。ほんと若返って嬉しい~!!」とご機嫌でした。翌日、H先生を紹介してくれたMさんに電話で御礼。「ほんと良かった~!! めちゃくちゃいい先生やね~!! わざわざ知り合いのモニターさんまで呼んでくれはって、めちゃ丁寧に教えてくれはってん!! すごい勉強になった~! やり方も理にかなってるし効果もすごいし、目から鱗やったわ~!!」Mさんも喜んで「それは良かったです! 私もよく糸や手術の上手い先生を教えてくださいって頼まれるんですけど、H先生は技術的にもお人柄的にも間違いないんで、よく紹介するんですよ!」と。そうか~、やっぱりね。…と感心しながら教えてもらった事を整理してると、聞き忘れた事や疑問点がいくつか出てきました。あれだけ丁寧に教えていただいたのにさらに質問するのは気が引けるし、MさんもH先生とはいつも電話で、メールのやり取りはした事がないと言っていたのでお手を煩わせるのも申し訳ないと思い、2日後にKさんが診察に行く事になっていたので、Kさんから質問事項を聞いてもらう事にしました。Kさんも若返った感激が落ち着いてくると所々のへこみが少し気になってきたとの事だったので、戻した時はその経過も教えてもらう事に。     ところがその日は診察が混んでいて聞けず、「質問事項については、追ってメールにてご回答頂けるとの事…とても熱心な先生ですね、と笑顔で快諾頂けました!」とKさんからメールが来ました。へこみは2か所戻して、H先生は戻し方も教えてくださいましたが、戻すとやはりせっかく引き上げた脂肪も戻るし、自然にしてても緩んでくるので、自分は見慣れないので気になっても人から見て気にならない程度なら戻さない方が良く、1週間以上たっても気になる場合はヒアルロン酸を少量注入するので来てください、と言われたそうです。質問事項をメールで送ると、H先生は丁寧な回答をくださいました! 早速H先生が使われている糸と真空パック容器を取り寄せ、スタッフと自分で試してみる事に。自分で入れるのは少し難しかったんですが、その結果は…「おお!」最近新輪郭注射でも限界を感じていたフェイスラインの脂肪によるたるみが綺麗に持ち上がり、片方だけ施術した後は左右の輪郭が全く変わったんです! 「これやこれ! ええ感じやん!」スタッフも「全然違いますね! いいんじゃないですか?!」なんだか嬉しくなってきました。フェイスラインのたるみは自分でも気になっていたので、鏡を見る度に笑みがこぼれてしまいます。そしてKさんのへこみもその後落ち着いてきたらしく、2週間後には「頬のたるみ、毛穴が抜群に目立たなくなってきて、スレッドリフト万歳です!」というメールが来ました。彼女の満面の笑みが目に浮かびました…。     謝罪会見では下手に表情を作ろうとするより「心から申し訳ない」と思った方が絶対に効果が高いと書きましたが、美しい顔も同じである気がします。美しい顔って、ここで紹介したスレットリフトのようなテクニックを使って若返らせるという事と共に、本人がその若返った自分を見て「嬉しい!!」と心の底から思うという相乗効果で本当に魅力的な顔になるんだと思います。長年美容クリニックをやっていると、私やスタッフのみんなが「あ…結構いい感じになったな」って思っても、本人がなかなか満足しないケースも時々あります。そのような時は、確かに効果はあるのですが「美しい顔」になったかと言われると疑問が残ります。美しい顔って、心が満足する事でそれが顔の筋肉に微妙な影響を与えて、本当に「美しい顔」になるんですよね。そういう意味でも「魅力的な笑顔の人」とか「年をとっても年相応の魅力があっていつまでも美しい人」は内面も元気でないとなかなかその魅力を引き出せません。体調がいつも優れず疲れてばかりいる人はそこも改善しなくてはなりませんし、シワが気になっている人はそこのシワだけでなく皮膚の状態も若返らせ、トータルで「若返った」と自分自身が思う事で初めて「本当の美しい顔」になる…というのが、私の長年やってきた仕事の結論です。そんな訳で、今後は研究を重ねてこのスレッドリフトをメニュー化すると共に、トータルに美しくなる事を目指した新しいコンセプトのクリニックの開院を、4月を目処に準備しております。今年は平成最後の年。この記念すべき年に新しいクリニックで再度挑戦しますので、皆様是非ご期待ください!    

第190回「今年は本当に大きな変化が起こります!」

明けましておめでとうございます。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。旧年中は皆様には大変お世話になり、誠にありがとうございました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。…と言ってもこのクリニック通信を書いているのは12月の慌しい時期なんですよね。ついこないだ「2018年は何を目指しますか?」ってこのクリニック通信に書いたばかりのような気がするんですけど、時が経つのは本当に早いですねぇ。1年なんてあっという間に経ってしまい、また一つ年を取ってしまいました。そうこう言ってる間に本当にすごい歳になってしまって、同窓会なんかに行くと社長や副社長、医者仲間では院長や副院長のオンパレードです。同窓会での話題も病気や健康についての話題が多くなってきて、みんな何かしらの病気を経験してるんですよね。斯くいう私も、11月に足が痛くなって歩けなくなってしまいました。まずは左膝がロッキング。ロッキングというのは整形外科用語で、主に膝の「半月板」というクッションの様な役目をしている軟骨に傷がついた時に、膝を捻った時などにそこが引っかかって痛みが生じ、伸ばせなくなる症状の事を指します。以前から左膝を捻った時に時々軽い引っかかりはあったんですが、今回は朝起きて膝を捻った際に完全にロッキングし、痛くて膝を伸ばす事も曲げる事もできず、30分ほど全く動けなくなってしまったんです。本当に動けなくてどうしようかと思いましたが、整形外科時代の事を思い出して、ロッキングを解除する方向に足を手で引っ張ったりゆっくり捻じったりしてると引っかかりが外れたようで、なんとか痛みも治まりました。しかしそれからしばらくは、膝を深く曲げようとすると引っ掛かりそうになり、用心する羽目に。     整形外科時代の先輩にその話をすると「そら完全に半月板切れてるな! 手術しかないで!」と言われてしまいましたが、いざ自分がされる側になるとやっぱり手術はいやなので様子を見ていると、徐々にましになってきてほっとしたのも束の間…その次は左の足の裏が痛くなり、朝起きると30分ほど痛くて歩きづらい事が2回ほどあっておかしいなと思っていると、今度は足首の内側が腫れてきました。少し赤くて押さえるとちょっと痛かったので、最初は何か炎症かな?と思って湿布したりしてたんですが、治まるどころか膨らんできたので、心配になってきました。腫瘍でしかも悪性やったらやばいやん! 下腿切断の危機か?? さすがに悪性腫瘍だとまずいので、整形外科時代の5年後輩で腫瘍を専門にしているM君に久しぶりに連絡してみると、5日後にMRIの予約を取ってくれました。M君は知らないうちに大阪の結構大きなM病院の副院長になっててびっくり。普通はその規模の病院だとMRIの予約なんて1か月は先になってしまうので、やっぱり持つべきものは後輩ですね。その後思いついて検査の日までプラセンタ点滴を続けてみると、膨らみが少し小さくなってきたので腫瘍ではないのかなとは思ったんですが、念のために検査は受ける事にしました。悪友Mなんかには「足切断したら最新技術駆使してスケートボード付き義足でも付けたら? 歩くのが早くなって返って便利かもよ」なんて笑い飛ばされたけど。     そして検査の日。大阪のちょっと外れにあるM病院は私も25年ほど前に勤務した事のある病院だったので、久しぶりに乗る電車も駅からの道も超懐かしく、私が勤務していた頃とあまり変わっていませんした。お菓子でも買って持って行こうと思ってタクシーの運転手さんに聞いたら、めちゃレトロな和菓子屋さんに連れて行かれ、昔感満載。病院に着くと受付や検査はM君が前もって伝えてくれていたのでめちゃスムーズに進み、MRIを撮ってから懐かしい整形外科の外来に案内されました。M君の手術が終わるまで少し時間があったので、外来の看護師さんと以前M病院の整形外科部長だったT先生がすごく怖かったという話などで盛り上がりました。T先生は「鬼部長」の異名で有名な先生で、私も研修医時代はよくしごかれたものですが、今となってはT先生のお蔭で何事も乗り越えられる根性がついたと感謝しています。     しばらくして「ご無沙汰してます!」とM君が。私が開業してから会ってなかったので、なんと16年ぶりの再会です。診察してもらってMRIも診てもらったところ、「MRIは足関節内果から足底にかけて白っぽく炎症のような所見はありますけど、腫瘍はありませんね」良かった~!! 「まぁ悪性やったらそこまで急激な増大は少ないんで、炎症やと思いますけど…。何か動き過ぎました?」う~ん、心当たりと言えばクリニックに溜まった書類を片付けたくらいなんだけど…。それくらいでこんな炎症を起こすなんて、やっぱり年かなぁ。まぁ腫瘍はないという事でほっとして、M君とひとしきり懐かしい整形外科話。私が開業した時に教授になったK先生がついに退官し、またもや白い巨塔のような教授選が近々繰り広げられるらしい。M君は16年前よりちょっぴり老けてたけど、それほどではなかったので「M君も変わらんね」と言うと、「先生こそ全然変わりませんやん。美容に転向して正解やったんちゃいます?」そう言われたのは嬉しかったな…(^_^)。 そんなこんなで色々あって、自分自身の人生を真剣に振り返るきっかけとなりました。そしてこれは3度目の人生の転機だと確信するに至ります。(突然思ったのではなく、ずっと考えていて決断の時だと確信した…という事なんですけど。)     私が16年前に開業した時は、クリニックは神戸の北野・異人館通りにあり、その名も「異人館通クリニック」で、その頃は美容を中心とした生活医療クリニックというものを目指していました。開業するまでは整形外科医として手術に明け暮れる毎日だったのですが、外来診察と言えば大きな病院では2時間待ちの3分診療というのが当たり前で、重症でなければ後回しになりますし、正直言って病院は「できれば近寄りたくないところだが、どうしようもなくなったら行くところ」という感じでした。ましてや生活を豊かにするとか、クオリティオブライフを良くする為に医療技術を使うというような発想は全くなく(少なくとも私のいた整形外科には…)、予防医学という概念も浸透しておらず「日常生活には医療技術は使わず、どうしようもなく悪くなってから病院に行くため治りも悪い」という事が多かったのです。それに対する疑問から、欧米のホームドクターのように日常生活で必要な医療の事を何でも相談でき、より良い生活をする為に医療技術を使うという新しいスタイルの医療に挑戦しようと思って「生活医療クリニック」をオープンしました。当時は美容クリニックも胡散臭い美容外科しかなく、「手術まではしたくないけど、ちょっと綺麗になって少し若返りたい…」という人のためのクリニックはほとんどなかったのも一因です。     しかし、それから数年経過してくると、美容の世界の奥深さに触れる一方で、既存にあった美容医療のいい加減さ??にも気づき、本格的に美容医療に取り組むべきだという考えが沸々と湧いてきたのです。ただ生活医療という事を目指していた事もあって、手術を伴う大掛かりな美容形成ではなく注射や内服を中心とし、日常生活をより豊かにする為の美容医療を行うとした上で、「シミ・シワ・クマ・たるみに対して最も安全で確実に効果の出る治療を研究し提供する研究所兼クリニックを目指す」というコンセプトに変え、現在のクリニックへ移転してきました。クリニックの名前も私自身の責任を明確にする為に自分の名前をつけて「柴田美容皮膚科クリニック」としました。(本来は美容皮膚科という名前にするつもりはなく、「柴田シミ・シワ専門クリニック」にする予定だったのですが、保健所に届け出る際に「前例がない」と反対され、つけていい標榜科の名前が決まっていてその中から選ばねばならないと言われてあまりにも時間がかかったので、一番コンセプトと近いものという事で、美容皮膚科とした訳です。(このクリニック名変更を含む移転時の様々なトラブルについては、クリニック通信第63回をご覧ください。私も久々に読み返してみて懐かしかったです…。)       当院はサブタイトルに「ラボ&クリニック」と書いているくらい、美容皮膚科として治療と研究の両立を目指しています。というのも10年前位の美容業界は結構いい加減なクリニックが多かったので(今はそれでもまともになった方だと思います。時代の要請で、いい加減なところは淘汰されてきた感じですね。大手ではまだまだ残ってはいますが…)、きちんと研究と実証を行い、すべての施術は自分自身に行い、安全性を確認した上で患者様に施術するという真面目な(…まぁ当たり前と言えばそれまでですが、当時はすごく少なかった…)クリニックを目指しました。そして治療と並行して研究開発も行い、常に新しくより良い治療を提供できる事を目指してきました。その考え方は今でも間違ってなかったと思っています。ただ、自分自身もこの歳になって多くの同年代の患者様に接してきた結果、「皮膚科という外科的発想を超えて体の内面や心の面からも変えて行かねば、一定の年齢を超えると本当の美しさを実現できないな…」と実感してきたのです。     皮膚科の研究と言うと、ある薬剤を塗布して皮膚がどう変化するかとか、どのような注射をすれば皮下にどのような変化が現れるなど、皮膚をある種「物」と捉えてしまう傾向があります。しかし本来は皮膚は人間の体の一部ですので、性別・年齢・栄養状態などによっても勿論違いますし、アレルギーなど体質が与える影響も多く、何よりも日常のストレスや精神状態が非常に重要な要素となります。つまるところ、ある人が若々しく美しく見えるためには皮膚の状態はその一部であって、「若々しく元気な状態」を保っているかどうかの方が重要だなぁ…と思うようになってきました。若い人の美容であれば皮膚の状態が良いだけで美しく見えるのですが、一定の年齢を経過するとそれだけじゃないし、それ以外の要素の方が多い時もあるくらいです。そんな思いから美容皮膚科という枠を超えて、美容をベースにしたアンチエイジングクリニックにコンセプトを転換しようと思ったのです。人生100年時代なんて言われ始めましたが、あながち嘘ではありません。少なくとも私達は今想像しているよりもずっと長生きしそうです。そんな時代の変化の中にあって、ある程度年齢を重ねた方々が内面も外面も美しくなって、元気で人生を満喫できるようにする為に医療技術を活用したいと思うのです。勿論それは患者様の願いを叶えたいと同時に、私自身の願いでもあります。やっぱり自分自身が一番やりたい事だったら当然力が入るし、研究もするし一生懸命になりますよね (^_^)。     そんな訳で2019年のお正月に大宣言! 当院は「アンチエイジングクリニック」として生まれ変わるため、3月に移転する事をお知らせいたします! 今のクリニックは4つの個室があり、予約が混雑するとバタバタしてお待たせする事も多かったのですが、移転後は「院長の自宅に招かれたような隠れ家的なプライベート・クリニックで、ゆったりとアンチエイジング治療を」というコンセプトに変更し、お一人にゆっくり時間を取ろうと考えています。なので予約は取りにくくなるかもしれませんが、その分一人一人にマッチしたアンチエイジング治療を行えると思います。場所は三宮駅から徒歩圏内で雨の日も極力濡れずにお越しいただけるところを考えております。「10年後も、綺麗で健康に」を目標に、内面も外見もアンチエイジングを行える治療に取り組むつもりです。10年前に今のクリニックに移転した時はバタバタしていて、物件探しも内装工事も当時コンサルをしてくれていた友人任せで、内装屋さんとの打ち合わせもほとんどすることなく、内装屋さんに文句を言われるくらいでしたが、今回はインテリアコーディネートの専門家に相談してじっくり内装も検討し、居心地の良いプライベート・クリニックを作る予定です。今年は色々な意味で大きな変化を起こす年になりそうです。皆様にとっても良いお年でありますように! 新クリニックに乞うご期待!    

第189回「春にボジョレーですか?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。秋も深まり日毎に寒さが増していますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 秋と言えば収穫の季節。最近流行りのイベントはハロウィンですよね。私達昭和世代であれば共通の認識でしょうけど、子供の頃はハロウィンなんかなかったのにねぇ…と思いません? それがいつの間にか日本中が盛り上がる一大イベントに。やっぱり「仮装パーティー」っていうのが今の時代にマッチするようになったのかな。今年はなにやら渋谷では暴動さながらの騒ぎになってしまったようで、来年からイベントを規制するとかしないとか。渋谷区長さん激怒…なんてニュース出ていましたね。「仮装」という本来の自分を隠した状態で集団になると、普段はおとなしい人達でも暴れまわったりする事もあるそうで、人間の心理って難しいですねぇ。まぁ流石に私のような歳になると、仮装パーティーも集団で街の中を徘徊する事も無縁なので、もっぱらハロウィンはニュースだけの世界です。一方でハロウィンが終わって本格的な秋が始まると、次のイベントはボジョレーヌーボーの解禁日でしょう。私的にはこちらの方がよっぽど大切なイベントです…(^_^)。     私は白やロゼのワインやシャンパンは大好きですが赤ワインは基本的には苦手なので、ボジョレーヌーボーにはあまり興味はなかったんですが、東京のK氏の会社でボジョレーヌーボーの解禁日に毎年開催される「ボジョレーヌーボーとスッポン鍋パーティー」のお蔭で、11月と言えばボジョレーヌーボーの解禁だという風にすり込まれてしまいました。去年のクリニック通信にも書きましたが、K氏の会社は会社とは思えない内装で、ドアは水色、壁は漆喰でピンク色。水玉模様の可愛いランプが並び、スペインの洞窟をおしゃれに改装したカフェ…って感じです。そしてなんとオフィスの中央にキッチンがあり、パーティーの時はそこでスッポン鍋が作られるんです。そんな会社ってありませんよねぇ。スッポン鍋は長らくK氏のお母様が作られていたんですが、お母様が引退されてからは割烹の板前さんを呼んで作ってもらってるんだとか。そして出張板前まで呼んで、お鮨もその場で握ってもらえるんです。何種類ものボジョレーヌーボーが飲み放題で、時々シャンパーニュも開けてくれるという大盤振る舞い。K氏にとってボジョレーヌーボーの解禁日はお祭り騒ぎをしてワインを飲む「口実」だそうですが、K氏の知り合いの間ではヌーボーとスッポンパーティーはすっかり秋の風物詩になっています。     ただ、なんでもこのボジョレーヌーボーはハロウィンと違って盛り下がる一方なのだとか…。バブルの頃は時差の関係もあって世界で一番早くボジョレーヌーボーを開ける事ができるという事で、羽田空港に物好きとか成金の人達が集まって盛大にボジョレーパーティしていましたが、それも今は昔…。2004年のピークには104万ケースも輸入されていたのが今年はその半分にも満たない50万ケースなんだそうですね。これはもう右肩下がりで盛り下がっているとしか言いようがないですねぇ。ワイン好きの私としては寂しい限りです。(上記のK氏なんかはそんな世の中の情勢なんて全く気にする素振りもなく、右肩上がりで盛り上がっている珍しい人ですが…。)このボジョレーヌーボー問題は色々な人が評論なども書いているのですが、私も一端にその評論に参加させてもらいましょう。まず、なぜボジョレーヌーボーが盛り上がらなくなったのか? はい。これは端的に言って「それほど美味しくないから」。終わってしまった…(^_^;)。流石にこれは認めざるを得ないですよ。別にそんなに美味しいものではないですもんね。バブルの頃はまだ「ワインを飲む」という事そのものになにか贅沢でハレの日のイメージがありましたが今ではすっかり日常化していますし、ドン・キホーテに行くと600円位でボジョレーヌーボーのボトルが売ってあったりして、とても「特別な日の飲み物」って訳にはいきません。ただでさえあまり美味しくないのに、さらに1000円以下で買えるワインってどうなのよ…と言われれば、もう結果は明らかですね。聞くところによると、ワインって空輸すれば1本あたり送料が300円位と税金が100円位かかるそうで、600円位のワインって原価いくらなの??って思ってしまいます。考えただけで恐ろしい世界です。結局、一番大きな問題はボジョレー村の人達が安いボジョレーヌーボーを大量に輸出する事で、せっかくのブランドイメージを自滅に追いやったってところでしょうか。     あと、とっても個人的な見解なんですが、もう10年以上前にフランスに行く機会があって、パリのジョエルロブションに行ったのです。その時はちょうど季節的にボジョレーヌーボーがあったので珍しさもあり、パリに行ったという気分の盛り上がりもあってボジョレーヌーボーをグラスで注文しました。まぁその時のボジョレーヌーボーの美味しい事と言ったら、今でも忘れる事ができません。「えぇ?! ボジョレーヌーボーってこんなに美味しいものだったの?!」って事で、もうそれから毎年この季節になると日本でボジョレーヌーボーを飲むんですが、結局そのような経験が蘇ってくる事は残念ながら一度もありませんでした。これって絶対いいボジョレーヌーボーはフランス国内で消費されてしまって、どうしようもないフランス人が飲まない余ったものだけ日本とかに輸出してるんじゃないの?? って思ってしまいます。これは恐らく確信犯ですよね。ただ、ボジョレー村の人達を完全に責める事ができないのは、神戸でも酒造メーカーさんがたまに樽出しの日本酒を特別に出していたりして、お店の主人の知り合い筋を通じて手に入ったというものなんかを飲むと、今まで飲んでいたものとまるで別物で美味しい!って事ありますもんね。そんな日本酒は知り合いの中だけで消費されてしまうし、ましてや海外に何万ケースとかの単位で輸出される訳がありません。…って事は、私達があまりにも過度な期待をボジョレーヌーボーにしてしまってるって事ですかね。     このままブームが萎んでしまって人々の記憶から消えゆくのか、それともボジョレー村の人達が頑張って新たに盛り返していくのかは神のみぞ知る…ですが、美容業界にもブームっていうのは何度かありました。かつてはピーリングをやっているだけで「美容皮膚科」と言う事ができた時代がありますが、それも今は昔。今はピーリングをメインにしている美容皮膚科は恐らく日本中どこにもないでしょう。(最近ミルクピールやマッサージピールなどでピーリングが復活はしてきていますが、昔のように美容皮膚科のメインにはなり得ませんよね。)そしてこのクリニック通信にも凄い昔に書いた事がありますが、コエンザイムQ10ブーム。もうコエンザイムQ10がブームだった頃は、製品はもとより原材料すら手に入らず、本当に知り合いを通じて少量だけ材料を入手する事ができてそれを大事に使っていたのですが、コエンザイムQ10のクリームあります…と言っただけで問い合わせの電話がジャンジャン鳴る…という時代がありました。今思うと、あれも一体何だったんだろうなぁ? 今ではサプリメントで少し見る位で、ほとんど忘れられかけていると言ってもいいのではないかと思います。     あとはビタミンCのイオン導入ってのも凄い人気だったなぁ。ビタミンCは水溶性でして、水に溶かすとイオンとなって電気を帯びます。そこで体に電極を付けて、反対の電極が付いた金属を使って水に溶けたビタミンCを顔に塗ると、イオンが電気の力で体の中に吸い寄せられて入って行くと言うものです。「注射を使わないビタミン注射」というのがキャッチコピーで、これも一大ブームでした。巷では家庭で手軽にできるイオン導入機というものも飛ぶように売れていました。今はイオン導入機のメーカーさんはどうしちゃったんだろうなぁ。ただ不思議な事に、ブームの時だって全く効果がなければ一回すればすぐに飽きるとか「全然効果ないです!」って言われて一瞬で終わるはずなんですが、そうでもなくかなりリピーターの人達がいるんです。しかもその人達は実際に効果が出てるんです。イオン導入は当院でもかつてはかなりの人気メニューでしたし、実際にお肌が改善していた人もかなりいました。ほとんどの人はピーリングとセットで行っていたので、ピーリング後のつるつる肌にビタミンイオン導入で、外からも中からも改善で大満足…って言ってくださった患者さんも多かったのです。それがなぜか下火になっていき、今は逆にアレルギーの人が増えてきて、ピーリングとかイオン導入はかなりリスクの高い施術になってしまいました。下手に実施すると皮膚が赤くなったり、逆効果になるという人が増えてしまったのです。そしていつしか当院でも実施する事はなくなりました。     もう一つ、凄く人気があったのにすたれてしまったメニューに当院ではメソリフトがあります。他院ではダーマペンとかですね。細い針でお肌にチクチク穴をあけ、傷が治る力を利用して皮膚の再生を促し、ハリや艶を出す治療で、ピーリングに勝るブームになった時期もありました。「術後は赤くなったり針跡が少し残ったりポロポロ皮が剥けたりするけど、1週間ほどで治まるとツルピカの卵肌になる! しかもハリが出ていい感じ!!」と大人気の治療でした。しかしこれもアレルギーの人が増えるにつれ、術後に腫れたり湿疹が出たりする人が多くなってきてなかなか勧めにくくなり、そのうちブームも去ってほとんど施術しなくなってしまいました。ダーマペンなども一時は流行っていましたが、今では学会でもほとんど見る事はありません。 もしこれが感染症のようなものであれば、細菌が抗生物質に耐性を持った菌に生まれ変わってしまうので、ある時までは非常によく効いた薬が全く効かなくなってしまうって事は、医療の世界ではよくあります。最近はほとんどの菌がペニシリンに対して耐性を持っていますので、かつては歴史上の発明と言われた薬でも処方される事はほとんどありません。(ただ、ペニシリンもオリジナルのものではないという意味でペニシリン系として改良されたものが新薬として出てきていますので、ペニシリン系が駄目だという訳ではありませんが。)     しかし美容の世界においては、明らかにこのような速度で変化するものではないと思うのですが、ある時代に凄く効果があった…と言われた施術が、わずか数年で誰も効果があると言わなくなる事がままあるのです。これはちょっと不思議な現象でして、それがなぜかは私自身も明確な答えを持っていません。しかし言える事は、ある時代にはその時代に合う何かがあり、時代が変化するとまた時代に合うものに変わらねばならないという事です。もしかしたら気づいていないだけで、地球の磁気が時間と共に変化しているとか、太陽の黒点が変化しているとか、そういう自然の変化に人間が影響を受けているのかもしれませんし、単純に「ブーム」と言う雰囲気によって人間の内面まで変化しているのかもしれません。いずれにせよ変化への対応が必要という事だけは確かですね。     先のボジョレーヌーボーも黙って右肩下がりになるのを見ている訳ではなく、なんでも「クリュ・ボジョレー」のプロモーションを開始して「春ボジョレー」をヌーボーに続く柱に育てようとしているそうな。う…ん。今更、春にボジョレーヌーボーって言われてもなぁ。でももし春にボジョレーヌーボーがでたらK氏はお構いなしに飛びついて「花見ボジョレー」とか「団子とボジョレー」とか何にでもひっかけてボジョレーヌーボーのイベントが一つ増える事は間違いなさそう…(^_^)。そんなK氏の会社の主力商品は皆様ご存知のプラセンタでして、私が美容クリニックを開院してもう16年になりますが、その間一度も人気が低迷した事のない製品です。こんなに長期間に渡り一度もブレる事なく人気を維持しているものだってあるんですよねぇ。不思議としか言いようがありません。そんなK氏が好きなボジョレーヌーボーなんで、きっとまた人気が復活するかもしれませんね。ハロウィンだって今後どうなるか分かりませんよね。このまま人気を維持できるか…はたまた衰退するのか。私のクリニックも他人事ではありませんね。これまでは皆様に支えられてここまで来ましたが、やはり時代の変化の波は大きくなってきているように感じます。そこで近々新しいコンセプトで大きくリニューアルしたいと思っているのですが、それはまたの発表まで少しお待ちくださいませ。正式発表まで数ヶ月程度かかるかもしれませんが…乞うご期待!!  

第188回「次はイスタンブールカクテル?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年は本当に台風が多いですねぇ。こんなに台風で休診が多かった年は開業以来初めてです。皆様は大丈夫でしたか? 台風の日はどこへも行けないし、ネット検索やメールなどで過ごす事が多いのですが、そんな台風のある日、ネット検索をしていると「チベット体操」という文字が目に入りました。「白髪がなくなる!1日10分で15歳若返るチベット体操が凄すぎる!!」という見出し。「ほんとかなぁ?」そんな事があるはずがないと思いつつも、最近問題続きで白髪も気になってきたので(問題は常にあるので単なる老化かもしれませんが)つい読んでしまいます。続きには「すごく若返って久しぶりに会った友人に自分だと気づいてもらえなかった、脂肪と贅肉が取れた、白髪がなくなった、視力が回復して眼鏡がいらなくなったなど信じられないような出来事が続出!」とあります。本当か?? 調べてみると、チベット体操は古来チベットの僧侶が瞑想に入る準備体操として行っていた修行法を一般人が実践しやすいように変え、現代の健康・美容法としてのチベット体操という形になったそうです。またチベット体操はヒトの活力のツボであるチャクラを活性化し、内分泌の機能を高めて若さを維持するという理屈らしい。「若返りだけがチベット体操の効果じゃない。幸福感に溢れ、しかも急な出会いがあるとか」「チベット体操をやっていて、よく聞くのは”白髪が減りました”と。東洋医学では腎臓と肺を強化すると栄養が行き届いた肌と髪を作ると言われているが、チベット体操は腎臓と肺を強化するためと思われる」「腎臓の機能が低下すると、カルシウムの吸収率が悪くなり、髪の色素を作るメラニンの働きまで低下するので、髪の毛が細かったり白髪だったりするのは、腎が弱く精が失われているからである」などと述べているサイトもありました。     実はこのチベット体操は結構ブームらしく、長谷川博己や研ナオコ、美輪明宏もチベット体操をしているんだとか。しばらくすると体の毒素が排出されて眩暈や体のだるさ・異常な眠気などの症状が現れる「好転反応」が出る事もあるが、それが治まると調子が良くなるそうです。しかし体操で白髪が減るってほんとかなぁ?? 実は白髪の研究って、ハゲの研究よりずっと遅れてるんですよね。ハゲは目立つけど白髪は染めれば目立たないので、薄毛治療の方が需要が多いから進んだのだと言われています。ここ10年くらいでやっと白髪の原因が解明されたところで、黒髪のもとになる色素幹細胞がゲノム損傷ストレスにより分化成熟してしまい、自己複製しないため幹細胞が枯渇して白髪になる事は明らかになりましたが、まだ具体的な治療法などは開発されていないんですよね。薄毛の治療薬で若干白髪が減ったという人はいるようですが…。そこで、チベット体操のサイトにある「腎臓の機能が低下すると、カルシウムの吸収率が悪くなり、髪の色素を作るメラニンの働きまで低下する」というのは本当かどうか調べてみました。体の中に必要なカルシウムは腸管から吸収されますが、その時肝臓と腎臓で活性化されたビタミンDの力が必要です。しかし腎臓の機能が低下するとビタミンDの活性化ができなくなり、カルシウムの吸収が不足して血液中のカルシウム濃度が低下するので、「腎臓の機能が低下すると、カルシウムの吸収率が悪くなる」というところまでは本当ですね。     ではカルシウムが不足するとメラニンの働きが低下するのか?「カルシウムは、メラニンを生成するメラノサイトを活性化させてくれる栄養素で、牛乳や乳製品、海藻類、特にひじきはカルシウムが豊富です」などと書いてあるサイトは多いのですが、学術的な論文になるとそこまで書いてあるものは検索しきれませんでした。ただ、細胞とカルシウムの関係について詳しく述べた論文では「細胞内のカルシウムイオンはさまざまな生命現象のメッセンジャーとして機能する最も重要な物質の1つで、細胞外からの刺激によって生じる細胞内のカルシウムイオン濃度の変動は、細胞増殖や細胞死、筋肉の収縮、免疫応答などさまざまな生命現象に重要な役割を果たす。細胞内でのカルシウムイオンの役割は多岐に渡り、カルシウム恒常性が破綻すると細胞機能の低下や細胞死に繋がり、多くの重篤な病気の原因となり得る」という内容のものは検索でき、カルシウムが細胞活性に大きな役割を果たしているという事は確かなようで、カルシウムが不足すると髪にも(髪だけではないと思いますが)悪影響を与える事は考えられるので、まんざら嘘でもなさそうです。昔からわかめやひじきなどの海藻は髪に良いと言われていたのは先人の知恵かもしれませんね。     まぁ私も普段から運動不足で歩くのはほとんどが自宅とクリニックの往復だし、あまりにも体力の衰えを感じた3年ほど前から腹筋や背筋・腕立て伏せも5回から10回ずつくらいはしてはいますが3日に1回くらいだし、試しにやってみるか、とこのチベット体操を始めてみました。チベット体操は「5つの儀式」と名付けられた5種類の体操を深い呼吸と共にするもので、各儀式を最初の1週間は3回ずつ行い、1週毎に2回ずつ増やして21回まで増やしていくそうです。実際にやってみるとブリッジに似た体操もあり、普段しない運動なので結構きつい。瞬く間に筋肉痛が…。私が最初に見たサイトでは「朝食前にする」とあったので朝していたんですが、朝はバタバタするので3日に1~2回しかできませんでした。でも2週目から5回にしないといけないのかなと思って5回にし、少し慣れてきたのでいつもの筋トレも5回だけ追加してみたら、めちゃしんどくなってしまいました。最初しんどくなったのは台風の日だったので低気圧のせいかな?と思ったんですが、風邪でもなさそうなのに「なんでこんなにしんどいのかな?」と思うくらい体がだるい。2日目にふと「もしかしてこれが好転反応??」と思いつきました。プラセンタ点滴をしたら急に元気になったんですが、好転反応だったのか、毎日してないのに回数を増やしたり筋トレを加えたりして無理し過ぎたのかは分かりません。でもこの好転反応って、それだと思って放置してたら実は重病だったという人もいるようなので、気を付けた方がいいですね。     ただ、ここまで書いてお気づきの方も多いと思いますが、「それってヨガでもいいんじゃないの?」とか「最近密かに見直されているラジオ体操でもいいんじゃないの?」とか…「そう言えば最近は全く見なくなったけど、デューク更家のウオーキングじゃだめなの??」とかとか。はい。お答えしましょう…恐らくどれでも真面目にやれば同じような効果はあると思います!! 健康増進において一定のスローな運動を続ける事を否定する人は恐らく世界中のどの専門家でもいないと思いますね。まぁ結局のところ、ちゃんとやれば何でもいいんだと思います。ただ、今回なぜわざわざ「チベット体操」を取り上げたかというと、それは「チベット」ですよ「チベット」…。みなさんはチベットって言うと何を思い浮かべますか? 山奥に佇むチベット密教のお寺とかノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世であったり…ですかね。一言で言うとほとんどの日本人にとって「良く分からないけどなんか神秘的な秘境」ってイメージがあるのではないでしょうか? これって昭和世代の人達にとって「飛んでイスタンブール」を聞いた時に持った「イスタンブール」に通じるものがあるんですよね。今もってなんで「飛んでイスタンブール」というタイトルになったのかは知りませんが、当時の日本人にとってイスタンブールとは未知の都市で何か神秘的なベールに包まれた、東洋と西洋の文化が融合するエキゾチックな街で、そこに行けば自分の人生が変わるんじゃないかと思わせる不思議な響きだったと思います。何か知らないその不思議なイメージが物悲しいメロディーと混ざり合い、昭和の大ヒットソング「飛んでイスタンブール」を生んだと言ったら言い過ぎでしょうか? これがもし、誰でも知ってる熱海温泉とかだったら「飛んで熱海温泉」というズッコケそうなまるでイケてない歌になってたでしょうね。     まぁそれはともかく「チベット」にも同じような神秘的なイメージがあり、これが体操と結びついているのがいいんですよね。かくいう私もチベットについては残念ながら全くと言っていいほど知識がありません。人を遠ざけるように存在している山間に紅色の建物が立ち並ぶチベット仏教のお寺に、これまた紅色と黄色の衣装を着たお坊さんが行き来している…ってイメージするくらいです。そこでこれはせっかくの機会なので、少しチベットがどんなところなのかを調べてみました。まずは、一番有名な人であるダライ・ラマ14世をWikipediaで調べるとこんな記事が…(かなり長いのですが、著作権があるので改変せずそのまま引用しますね)。「3歳になるかならないかという頃、ダライ・ラマの化身を見つけるためにチベットの政府が派遣した捜索隊が、さまざまなお告げに導かれてクムブム僧院にやってきた。お告げのひとつは、1933年に死去したダライ・ラマ13世の遺体が埋葬前の安置期間中に頭の向きを北東に変えたこと。他には、高僧が聖なる湖で湖面にAh、Ka、Maのチベット文字が浮かび上がるのを「視た」、続いて、青色と金色の屋根の3階建ての僧院とそこから一本の道が丘につづいている映像を「視た」、そして最後に変な形をした「樋」のある小さな家を「視た」ことだ、という。     僧は“Ah”は地名アムドのアだと確信して捜索隊をそこへ派遣したという。“Ka”の文字はクムブムのKに違いないと思ってクムブムにやってきた捜索隊は、クムブムの僧院が青くて3階建てであることを発見しその読みが正しかったと確信したという。捜索隊は付近の村を探し回り、やがて屋根にこぶだらけの杜松が走っている民家を見つけた。捜索隊は身分を隠していたのにそこに含まれていたセラ僧院の僧を「セラ・ラマ」と呼んだという。また、ダライ・ラマ13世の遺品とそれそっくりの偽物をいくつかその子供に見せたところ、いずれも正しい遺品のほうを選び「それ、ボクのだ」と言ったという。上にあげたようないくつかの確認の手続を経てさらに他の捜索結果も含めて政府が厳密に審査した結果、この子は3歳の時に真正ダライ・ラマの化身第13世ダライ・ラマトゥプテン・ギャツォの転生と認定され、ジェツン・ジャンペル・ガワン・ロサン・イシ・テンジン・ギャツォ(聖主、穏やかな栄光、憐れみ深い、信仰の護持者、智慧の大海)と名付けられた。」う…ん。駄目だ。この時点でギブアップ…。とても身近な存在に感じることができないのは私だけ? やっぱりチベットは不思議な魅力を隠した未知の国…って事にしておきましょう。     ただ、人間が「未知のもの」に憧れたり「不思議なパワー」とか「科学を超越した現象」に憧れるというのは歴史が始まってからずっと続いている事だし、その時代その時代に「奇跡」を目撃したという人は絶えません。その多くは当時の科学では証明できなかった不思議な現象だが、科学が進むにつれて科学的な証明ができるようになった事も多く含まれています。特に人間の心と体の関係はまだまだ科学的に証明できていない事が多く残っていて「不思議としか言いようのない現象」という事が今でもあります。例えば有名なところでは「心に大きなストレスを抱えると一夜にして黒髪が白髪になってしまう…」という伝説。これは「マリーアントワネットが死刑宣告を受けた時に心労がたたり一夜にして白髪になってしまった」という逸話も残っている事から、多くの人がご存知の都市伝説です。世界中の科学者がそのメカニズムを解き明かそうとしましたが、現在の結論としては「そのような事は絶対に起きない。都市伝説に過ぎない」という事になっています。私も科学の信仰者なので「そのような事は起きない」という説の支持者ではありますが、私の周りの人にも実際にストレスで白髪になって、ストレスがなくなったら白髪もなくなったという人もいますし、完全否定すると言うよりは「もしかしたら現代の科学では証明できないが、後世の科学ではその現象を証明する事ができる日が来るかもしれない」というように考えています。いずれにせよ、心の問題が体に与える影響は科学者が証明できる以上に大きなものであって、心の問題を切り離して体の健康だけを考えるのは不可能であるという事だけは間違いないでしょうね。「信じるものは救われる」という言葉がありますが、まさに「こうする事で体がみるみる変わって良い結果が出る」と強く信じて行う治療(それが単なる体操であってもかまいません)とそうでない人との間では結果が大きく違うという事は認めざるを得ないと思います。その意味では「この治療や施術をする事で必ず良い結果が出る」と信じてもらうというのも医者が行う治療の一環として大切な要素であると言ってもいいと思います。     そうなんです…ようやく結論に来たのですが…(皆さん長すぎて飽きてませんか??) 「チベット体操」って本当に良いネーミングだなぁと思うんです。だってこの体操嫌いな私でも「よし! いっちょやってみるか!」って思ったくらいなんですから…(^_^)。これから当院で開発する新治療も「イスタンブール・カクテル」とか「アトランティス・クリーム」とかにしてみようかな…(^_^;)。まぁこれは冗談ですが、私も長年美容治療をやってきて、非常に外科的に思える美容の世界に於いても、良い結果を出すには外面的な施術以外に内科的な治療、東洋医学における経絡やツボを使った施術、医食同源に見られる食事の問題、そして心の問題のケアなどを総合的に行わねば満足のいく結果に繋がらないという事を最近考えるようになってきました。恐らく、これらの問題を総合的にとらえてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をいかに上げていくかという事がアンチエイジングの基本になるのですが、美容とはすなわちアンチエイジングであると言ってもいいのではないでしょうか。非常に若い方の美容外科手術はこの範囲ではありませんが、一定以上の年齢を迎えた方の美容とはアンチエイジングという観点から見直さねばならないと思う今日この頃です。このアイデアについては具体的に治療方法を変えていこうと思っているところですので、また構想がまとまれば皆様にもお知らせしたいと思います。ご期待くださいませ。  

第187回「センスはどこから来るのか?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。台風や大雨・地震と、このところ災害続きですね。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。台風は今年は2回も直撃! 友人の自宅や職場も停電し、かなり大変だったようです。その直後に北海道の地震が起きて驚きましたよね。札幌に住む知り合いの整形外科の先生にはラインで連絡が取れ、無事が確認できたのですが、いつも生ハムメロンを取り寄せている札幌のK屋の親父はアナログでSNSなんかしないので、電話が全然繋がらず焦りました。少し前にK屋がいつも生ハムを取り寄せてくれる肉屋の主人が亡くなり、生ハムが手に入らなくなってK屋が取り寄せた残りの2つで最後…という時だったので、K屋と生ハムの安否を心配していたのですが(生ハムの安否と一緒にするとK屋の親父に怒られそうですが…)、翌日やっと連絡がつき、K屋も生ハムも無事だったと聞いて一安心。札幌でも丸1日停電が続いたそうで、冷蔵庫にドライアイスを40㎏投入して、なんとか商品の無事を確保したそうです。大変だったんですね。皆様は大丈夫でしたか?     私はと言えば…台風や地震が落ち着いた頃に、東京へ潜入調査に行ってきました。今まで当院は「切らない美容」をコンセプトに、基本的に注射による施術を中心に美容治療を行ってきました。勿論この基本コンセプトを変更するつもりはないのですが、注射だけでは「たるみ」に対して大きな効果を出しにくいのも事実です。比較的若くて回復力のある方は注射によって綺麗にする事ができるのですが、年齢と共にたるみが酷くなるとかなり難しいので、たるみ治療については注射以外の方法も取り入れないといけないかな…と思ってきました。そんな訳で、今までスレッドリフト(糸を皮下に挿入して皮膚を引っ張ってリフトアップする治療)は感染のリスクが高かったり糸が出てくる・ひきつるなどトラブルの話を聞く事が多かったので避けて通ってきましたが、最近は糸も進化して良くなってきたので、本格的に研究を始めようと思っています。そうなるとやっぱり糸の挿入が上手いと定評のある先生のクリニックに行って話を聞かなければ…と思い、3年ぶりに代官山のDクリニックへ。DクリニックのS先生と言えば、フェイスリフトの手術やスレッドリフトが上手いと学会でも評判の先生です。有名なのに奢ることなくとても親切で、私の潜入調査の中では一番親身になってくれたいい先生。その後学会ですれ違った時に「ん? どこかで見たような…」という顔を何回もされたので、私が医師で潜入調査に行った事はばれたんじゃないかと思い、もしばれてたら「すいませんでした!」と謝ろうと思ってました。Dクリニックに行く前にスレッドリフトの糸の輸入業者に会って話を聞き、S先生のスレッドリフトのセミナーも今度あると聞いたので、今まではS先生のセミナーがあっても面が割れそうなので行けなかったけど、ばれたらそれも行けるな…という話をしてたんですが、実際にDクリニックに行ってみると、意外な事にばれてなかったんですねぇ。(またセミナーに行きにくくなってしまいました…。)     「その節はお世話になりました!」と神戸土産をお渡しすると、S先生はにこやかに受け取ってくださり「今度は糸を入れたいの?」「ええ、ちょっとだけリフトアップしたらいいなと思って…」と言うと「ちょっとだけだったら糸もいいと思いますよ。しっかり上げたいならフェイスリフト(手術)の方がいいですけどねぇ。10年は楽ですよ。糸は毎年くらい入れなくちゃならないんで…」と言いながらも糸を実際に見せてくださって、詳しく説明してくださいました。「このコーンが付いたPDOっていう素材の糸が一番引き上げ力が強いんです。この糸を中心に補助的な糸も何本か入れて、フェイスラインだと耳の方に引っ張ってからまた上にも引っ張る。その人に合わせていろいろな種類の糸を使ってます。どこから入れた方がいいかも人によって違うんで」なるほど。職人技なんですね。見せていただいた糸の中には、DJのY先生が開発したと言っていたのと似た糸もありました。「これもPDOですか?」「これはPCLって素材です」「重いものを1人で持つより、10人で持つ方がくたびれないでしょ。それと同じですよ。1本で引っ張るより10本で引っ張った方が1本にかかる力が少ないから引っ張りやすいし、長くもつんです」「私だと何本くらい要りますか?」「う~ん、10本ずつくらいかなぁ」「えーっ、そんなに入れるんですか?? 糸をたくさん入れてたら、その辺りに注射した時ばい菌が入ると感染しやすいって聞いたんですけど…」「それはほとんど問題ありません。糸を入れてる付近にヒアルロン酸を入れる事もありますけど」     そうなのかぁ…。私は元々整形外科の出身なので、どうしても感染に慎重になってしまうんですよね。整形外科は手足の骨や関節の問題を治すのがミッションなんで、手術が日常茶飯事です。そんな手術の時に、骨や関節は細菌が入って感染してしまうともう大変なんです…ホントに。なので整形外科ではとにかく「感染対策を完璧にする事!」という事を研修医の頃から叩き込まれますので、感染には非常に気を使います。ただ、皮膚は骨や関節に比べて血行がいいので感染はめったにしないのですが、私は整形外科医の頃の癖が抜けず、消毒は滅菌器具を使って念入りにし、注射後も3時間は触らずメイクは翌日にしてもらっています。また糸やプロテーゼなどの異物が入っていると感染した時に治りにくいので、その付近に注射する事は極力避けてきたのですが、最近は糸も進化したので感染しにくくなっているみたいですね。(実際にこれだけ美容治療が一般的になると器具や手技の進化の速度は凄いものがあって、10年前には考えられなかったような事が安全で簡単にできたりします。なので医療の知識は常にアップデートしないといけない訳ですね。)「糸はちょっと検討します」というと見積を出してくださったので、その日はシミを少し薄くして肌を綺麗にするM22というIPL(光治療)を受けて帰りました。4年前にフォトシルクプラスというIPLを受けた時は痛くてギブしたので心配してたんですが、器機も進化しているようで、痛かったけどなんとか我慢できました! 翌日少しお肌がツルツルになった感じ。でもシミは回数が要りそうです。     翌日はDJ・Y先生のクリニックへ。糸は相談だけで、当日はエンディメットというたるみ治療を受けたいと電話では伝えたのですが上手く伝わっていなかったようで、Y先生は糸を入れる気満々。「ちょっとだけ上げる糸ってあります?」と聞くと「ちょっとだけ上げるんだったら、PCLのコグ(棘)付きの糸の細いのが出たからさ、それがいいよ」「コーンとコグとどっちが引き上げ力が強いんですか?」「コグのこの形が一番引っ掛かりがいいから引き上げ力も強いんだよね」「PCLは感染しにくいんですか?」「うん。再生医療用の糸で小さな穴がたくさん開いてて、血管が入りやすいからね。感染がゼロという訳ではないけど」「PCLはなんでいいんですか?」「コラーゲンを増やす力が強いし、柔らかいから表情を作ってもひきつれたり糸の入ってる線が見えたりしないんだよね。線が見えるって言っても、思いっきり表情を作った時にちょっとだけ見える程度だけど、僕はそんなんもいやなのね」「その細い糸だと、何本くらい入れるんですか?」「先生だったら、5本ずつくらいかなぁ」「えっ。そんなに入れるの?」「先生は顎をもうちょっと出したらフェイスラインの糸は少なくできるよ。顎はもうちょっと出したいんだよね。まだシワも残ってるし…」「えっ、顎にまたあのメッシュの糸入れるの?? 痛かったんだけどなぁ…」「そうか~、痛がりさんだったね。もっと細い糸で、コグのないのを何本も入れる方法もあるよ。目の周りなんかはいいんじゃないかな」ここは潜入調査ではないので何でも聞けちゃいます。調子に乗って「S先生のとこも行ってきたんですよ。S先生はこう引っ張るって言ってたけど…」というと「僕は引っ張るのはもう古いと思ってるから。引っ張りたかったら引っ張る先生に入れてもらったらいいけどさ、引っ張ったおばさんみたいになるからね。僕のやり方は輪郭を整えて小顔にするイメージで、彫刻のように好きな形の顔を作っていくって方法だから」…ありゃ? ちょっと機嫌を損ねちゃったかな? でもいろいろな方法があるんですねぇ。どちらにしてもY先生の美へのこだわりは相当なもんです。     実際に糸を入れるのはもうちょっと研究してから、と思ってたんですが「じゃあ今日はこれとこれで…」とY先生が手術を進めようとするので慌てて「あ、糸は今日は相談だけで…。エンディメットを受けたいんですけど」というと「エンディメットならもっと新しくて脂肪もちょっとへらすやつがあるから、それがいいよ」スタッフの説明ではそれは1回3万円という事でしたが、その後看護師に代わって施術の説明を受けると、脂肪を吸引しながら凍らせて減らす器機だそうで1回20万円だと。あれ?ちょっと違うんちゃう? また連絡が上手くいってなかったみたい。脂肪を吸引して凍らせる器機は1時間半かかるそうで、時間もなかったので最初に勧められた高周波の器機の治療を受けました。これは痛くなく直後は引き締まった感じがしたので、これやったら糸要らんのちゃう?と思ったんですが、4-5日で戻ってがっかり。これも回数が要るんですね。やっぱりもっと糸の研究を進めようと思いました。     こんな風にこの通信では新しい治療への取り組みなどの裏話をどんどん書いてしまうのですが、たまに友人の先生から忠告される事があります。「先生、あんな風に裏話書いちゃうとこの治療は初めたばかりだと思われて損ですよ。他の先生はちょっと講習会に行ったりモニターで何人かしただけで『経験豊かなベテラン先生』って売り込んでるんだから…」まぁ確かにそうですよね。でも先程紹介したように本当にベテランでその方法に何年も取り組んで自分でも改良している先生も確かに存在しますが、そのような方はめちゃくちゃ少ないんです…。これも裏話になっちゃいますが、恐らく皆様が想像されている以上にまともな美容の先生は少ない…というのが事実ではないでしょうか? ただ、ここが難しいポイントなんですが、「経験が多い=いい先生」とは限らないんですよね。誰しも施術を受ける際は失敗されたくないですから、経験豊かな先生の元で受けたいと思うと思います。しかし「経験が多い=いい先生」とは本当に言えないというのが、同じ医者の立場から見た事実なんです。     先にも書いた通り私は元々整形外科医でしたので、沢山の整形外科の先生達と一緒に手術を行ってきました。又、一緒に執刀しなくても色々な先生の手術の結果を何例も見てきました。その経験で言える事は「手術の上手い先生は初めから上手く、下手な先生は何例行っても変わらない…」という衝撃の事実です。(まぁ、こんな事を言うのは整形外科をやめたからで、その世界にいるとそんな恐ろしい事はとても言えないのですが…。)医者って頭でっかちと思われがちですが、実際の手術には論理以上に「センス」がものを言います。骨が折れたら繋げば良い…と思っているような先生に当たるとこれは悲劇で、「綺麗に繋げない」とその後の生活に支障が出てしまいます。「きちんと綺麗に繋ぐ」というのは職人技のようなものでして、生まれつきの「カン」と「センス」が8割以上の要素を占めていると思わざるを得ないんです。流石に「どうしようもなくセンスがない人」は周りの医者が手術をさせなくなるので淘汰されるのですが、「まぁ…繋がってはいるけど、どうして綺麗に繋げてないの? ちょっと患者さんが可哀そうだなぁ」って思うレベルの人は意外に沢山います。そして残念な事にそのような先生でも大きな病院では患者さんがひっきりなしに来ますから、症例や経験を積むには事欠かず、何年かすると症例数何十という大先生になっていきます。(全部の先生がそうじゃないですよ! 誤解のないように…そういう方も結構いるって事で、患者さんからは見分けがつかないという事なんですね。)この「センス」ってどう解釈していいのか分からないのですが、ある人にはある、ない人にはない…としか言いようがありません。例えば絵が上手い人は小さい頃から上手いですよね。そのような絵心がある人が専門教育を受けると大家になる可能性はあっても、そもそも絵心がない人が教育を受けても、絵心のある教育を受けてない人にも及ばない…って言うと理解してもらえるでしょうか。そう言えば知り合いのシェフでその世界ではかなり有名なSさんという人がいますが、彼も「料理って美味しいか美味しくないかはシェフのセンスが大半を占めるから、修行の年数とか本当はほとんど関係ないんですよね。でもそれを言っちゃうとこの世界の秩序が乱れるから、なかなか言えないんだけど…」って言ってました。     皆様がどのように解釈されるかは分かりませんが、人には得意不得意があるように、この分野はセンスという教育や訓練ではどうしても超えられない壁が存在していると思います。 私の場合もITとかの分野はからきし駄目で、多分大学でITの教育を4年受けても、ITが好きで独学で勉強した高校生のレベルにも達しないのではと思うんです。(本当にこれって問題なんですよねぇ…何とかならないもんかなぁ。)一方で手術とかの手技は整形外科の頃から「センスがいい」って言われてきました。芸術的な才能はありませんが、「綺麗にきちんと繋ぐ」とか「手術する前からどこをどうやれば結果はどうなる」という想像などは、ほとんど教えられなくてもできた…と記憶しています。勿論その程度で自慢する事ではありませんし、何事も謙虚に鍛錬を積む必要がある事は十分に承知していますが、いきなり患者さんを実験台に新しい施術を行うなんて事はしないものの、今回のスレッドリフトなどの施術を仮に取り入れたとしても「安全で綺麗に行う」という事については自信があります。勿論、評価は患者様が行うものだと思いますが、経験年数とか症例数などをごまかしたりせずに正直にこれからも告知しますし、この通信などでも裏話も正直にお伝えしていこうと思っています。もしスレッドリフトをメニューに入れる暁には、そんな訳で私を信じて「最初の患者になります!」って言ってくださる方は是非ご連絡くださいね。「信じる者は救われる」…って事で…(^_^)。勿論、モニターになってくださるのですから料金は無料ですよ…(^_^) 乞うご期待!  

第186回「改善は一から作るより難しい」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年の夏は本当に暑かったですねぇ。皆様は熱中症などは大丈夫でしたか? お盆を過ぎると急に涼しくなり、亡くなった母が「お盆過ぎたら暑さちょっとましになるねんで」とよく言ってたのを思い出しました。(あれからもう3年…。時の経つのは本当に早いですねぇ。)その後また暑さがぶり返したり、台風が直撃したりと大変な夏だった気がします。 さて私と言えば…この夏東京で開催された学会に行った時は最高気温が40度を超えた時で、暑くて死にそうになりましたがなんとか熱中症は逃れました。東京駅でタクシー待ってる時なんかはほんとに暑かったですが…。でもいくら暑くても、学会に行くと刺激があってやる気が出るのでいいですね。何と言っても最新の情報が手に入るのが嬉しいです。注入剤の新しい注入方法や、新しいたるみ治療の機器や糸、育毛治療の講演に加えて新しい治療の研究に関する発表などがたくさんあり、とても面白かったです。もちろん学会の時はグルメもしっかりしましたが、いつも食べてばかりと思われてもいけないので、今回はちょっとお勉強のお話を…。     老化は骨の吸収、筋肉の萎縮、脂肪の減量や移動、靭帯の弛緩、皮膚の弾力性の低下によって進みます。つまり老化と共に頬はこけ、瞼は落ち窪んで目の下は膨らみ、輪郭が崩れて綺麗なハートシェイプがブルドッグのようになり、皮膚はハリを失ってたるむという訳です。それらを少し元に戻して若々しく見せるのがアンチエイジング治療です。この中でも最近注目されてきたのは靭帯の弛緩によるたるみを改善する方法。骨と皮膚の間に垂直に存在する靭帯が緩むと皮膚が余計にたるむため、この靭帯のある部位にヒアルロン酸注入などで皮下組織を増やし、靭帯の弛緩を改善してたるみを改善する方法です。ヒアルロン酸注入は血管が詰まるリスクが依然としてあるため注入には細心の注意が必要ですが、この注入方法は血管が詰まるリスクがほとんどない当院のカクテル注射にも応用できます。フェイスラインの垂れ下がった脂肪を減らし、同時に皮膚も引き締める注射が新輪郭注射ですが、同様の効果をもたらすという機器によるたるみ治療の結果を見ると、その改善は本当に少しずつなので注射治療の方がやっぱり即効性があっていいなと思いました。また最近の糸は進化して感染率も下がっているようなので、糸によるリフトアップや輪郭形成も研究してみようかなと思っています。育毛治療では新しい光治療や注射治療の講演の他、新しいサプリメントの講演もあり、これは取り入れてもいいかなと思いました。       研究の分野で面白かったのは、皮膚の老化は老化した細胞が分泌する因子で周囲の正常細胞が老化する事によって進行する事、そして骨髄由来幹細胞が老化細胞の老化促進因子の分泌を抑制する事を示した実験や、UVB(紫外線B波)が表皮基底膜を傷害する事を示した実験の報告です。UVBが基底膜を傷害する事が光老化の一因であれば、基底膜を修復するリジュランは光老化を治療できるという事ですよね。また、皮膚や毛髪への水溶性有効成分の浸透促進剤の開発研究や、酒石酸が発毛・育毛因子の産生を促進したという実験の報告、ヒアルロン酸から成る自己溶解型マイクロニードル(細い針状になったヒアルロン酸で、皮膚に貼ると溶解して吸収されるというもの)にクスノハシガワ樹皮エキスを配合したら優位なシワ改善効果が見られたという研究結果などの報告もあり、興味深かったです。多くの人が色々な研究に取り組んでいて、その積み重ねで美容医療も進歩していくんだなぁという実感が湧きました。 こんな風に書くとなんだか凄い事が色々と始まって今にも世界が変わっていくかのように思うのですが、実際にはそんなに画期的な事が街中のクリニックで行われるようになる事はあまりありません。もう何年も前に発表された「画期的な技術」が結局何年経っても実用化まで至らない事って結構あると思いませんか?     私も若かりし頃は学会で発表された「画期的な発表」に心が踊り「これで人類の苦悩の一つがなくなるのか…」と期待した事も多いのですが、結局何年経っても実用化されずそのうち忘れられていく…という事を何度も経験しました。一つの理由は基礎研究は人間を試材にしていない事が多いからです。マウスとかラットとかの実験で「こんな結果になったので恐らく人間にも効果があるでしょう」という段階で学会発表されます。確かにラットには効果があったかもしれませんが、同じ事をしても人間に効果があるとは限りません。そして本当に人間で試してみるというのは倫理的にも安全基準にも大きなハードルがありますので、動物実験のように安全性を無視した効果測定の為だけの試薬投与などもできません。結局のところマウスの細胞レベルでは確認された反応でも人間を対象にするには不適切、もしくは怖くて臨床試験をできる代物ではない…って事で時間が経過して、そのうち忘れられてしまうという事も多いようです。あと薬の場合は実際に人間への投与を行い効果が確認されても、それを安定供給できる薬剤として錠剤化できるかという事と、市場に受け入れてもらえる価格で販売するくらいのコストに抑えられるかという問題もクリアしないといけませんので、結果として研究段階で発表される「画期的方法」が実際に街中のクリニックで受ける事ができる治療になるのは、ほんの一握りになってしまう訳です。     更に美容の場合はもう一つ大きなハードルがあります。それは美容の目的が「治す(病原を叩く)」事ではなく「仕上がりが綺麗になる」事にあるからです。もし病気であれば「治療」が目的なので多少の副作用が出ても本丸の病気が治るのであれば目をつぶる事ができます。例えば感染症であれば感染源の細菌を叩いて全滅させてしまえばあとの回復は基本的には本人に任されています。なので例えば内蔵疾患の病気で手術をしても手術跡が残るなんて当たり前で、疾患が治癒したかどうかだけが問われるのが通常医療の世界ですね。ところが美容はそうはいきません。「綺麗になる」事が目的なのに縫合の跡が残るなんてもってのほかですし、「赤くなる」とか「腫れる」というような事ですら嫌がられます。そして皮膚を綺麗に若返らせる方法は基本的に一つの方法しかありません。それはいかにマイルドに既存の皮膚組織を叩いて(殺して)綺麗に皮膚を再生させるか…という事になります。その点、シワやたるみの方はヒアルロン酸をシワの下に入れて盛り上げるとか、ボトックスで筋肉を麻痺させてシワを寄りにくくするとか、糸で引っ張る…というような多くのバリエーションがありますね。しかし、皮膚を綺麗にして若く見えるようにする…というのは非常に難しく、美容の中でも最難関であると言って良いと思います。     世の中にある多くの化粧品はいとも簡単に「美肌効果」が出るように謳っていますが、はっきり言うと化粧品に直接的な美肌効果があるものはありません。なぜならばまず皮膚にはバリア機能があり、皮膚の外にあるものが体内に簡単に取り込まれたりしないようにできているからです。ちょっと考えれば当たり前の事で、皮膚の外にはバイキンや有害物質が山のようにある訳ですから、外部のものを簡単に取り込んでいるとすぐに病気になってしまいます。そして、そのバリアに穴を開けたり皮膚そのものを殺すような成分を入れる事は薬事法で禁止されているので、化粧品ではせいぜい保湿効果や多少の美白効果を期待するくらいになります。皮膚はターンオーバーと言って30日くらいの周期で表面の細胞が剥がれ落ちて新しい細胞に入れ替わるという事を繰り返していますが、加齢でその周期が長くなったり、紫外線を浴びすぎてメラニンが産生され過ぎるとシミなどが定着してしまう訳です。定着したシミなどは化粧品では治す事はできません。なぜならばシミと言えども自分の組織の一つであって病気の組織とは判定しませんので、免疫機能が攻撃をして殺したりはしないからです。そこでレーザーを使って黒ずんだ組織を外部からの強力な攻撃で殺したり、レーザートーニングなどでマイルドに殺した上で、再生してくれるのを待たねばならない訳です。「殺す」と言っても一気に作用を与えるとやけどのケロイドのような状態になってしまい「綺麗に再生する」という事から大きく離れてしまいます。「綺麗に再生できるレベル」での攻撃にした上で、更に綺麗に再生できるようにする為の補助的な治療(美白剤を塗ったり、プラセンタを投与して体の再生力を高めるなど)を行います。…どうですか? 美肌って実はあらゆる治療の中で最も難しいって分かっていただけました??…(^_^)     今回はなぜこんなにしつこく美肌治療について書いたかと言うと「今でもある程度成立している事を更に改善するって、壊れたものを修復するよりずっと難しいんだな…」って思ったからです。私は会社の経営とかは全然駄目なんですが、クリニックの経営の責任は当然あるので、クリニックの改善について会社経営をしている友人やコンサルタントに相談する事があるのですが、多くは「今ある組織を更に改善させるのは、一から作るよりずっと難しい」と言われるのです。その違いはまさに既存の組織は「マイルドに壊す事がなければ再生もしない」為ですね。シミのような「黒く色がついた組織」は人間が生きる上で問題なく、正常な組織の一つなので免疫機能で排除される事はないのです。つまり「改善」っていうのは意図的に「今でも成立している何かを壊す」という事が必要なんですよね。それを考えると確かにコンサルタントが言うように組織を改善するって凄いエネルギーが必要で、信念を持って進めなければ失敗するんだなって思いました。あえて成立しているものを壊すのも現場の皆の反対にあって大変だし、壊し過ぎると再生できない状態になってしまって本末転倒だし、うまく壊しても再生できる為のサポートを行わねばより良い状態に再生しないし…うん…まさに美肌治療と同じ事なんだな…って。なんか自分でも「凄い気付き」があったような気がして、この事を会社経営している友人Mに話してみたところ、こんな反応が…     M: 「あ…そうりゃそうよ。やっと気づいた? へぇ?…美肌治療って…ふんふん。ちょっとだけ壊し    てより良く再生させるのね。それはバイキンマンの戦略に通じるね。バイキンマンって本気で    アンパンマンをやっつけようとしてないでしょ?」 柴田:「はぁ?バイキンマン? バイキンマンって一生懸命やってるけど結局アンパンマンの方が強く    て、最後ヤラレて’バイバイキーン’って逃げていくんだと思ったけど」 M: 「ありゃありゃ。読みが浅いねぇ…。やなせたかしさんは子供向けだからと言って 手は抜か    ないからね。本当はもっと奥が深いのよ。」 柴田:「どういう事?」 M: 「さっきアンパンマンが強いって言ったけど、アンパンマンの強さの元のアンパンマンの顔    を作っているのはジャムおじさんだよね? ジャムおじさんがアンパンマンの顔を作らなか    ったらアンパンマンはすぐに『顔が汚れて力がでなぁい…』とか言ってやられちゃう訳。    なのでバイキンマンのように天才的頭脳を持っている奴が取る戦略としては無防備なジャ    ムおじさんを徹底的に叩く事…ジャムおじさんが再起不能になればアンパンマンなんて子    供同然で本当は無力なのよ。じゃ…なんでバイキンマンはジャムおじさんを叩かないのか…。    それは彼が天才科学者たる所以で、本当に彼が欲しているのはアンパンマンと戦う事ではな    く、ジャムおじさんを自分の言いなりにして彼の能力を使いたいって事なの。その為には    アンパンマンがやられてしまってジャムおじさんは温存されるが、彼はバイキンマンに従う    しかないと思わせたいのよ」 柴田:「ふーん…。アンパンマンってそんなストーリーなの?」 M: 「そう。奥深いよ、アンパンマンは…」     …という本当かウソか分からないような話で煙に巻かれたのですが、確かに再起不能になるまで根本的なところを叩いては再生はしない訳で、「壊す」事が目的ではなく「自分の都合の良いように相手の能力を利用する」って事が目的であればバイキンマンの戦略は正しいな…と妙な納得をしてしまいました。ただ、「いくらなんでもアンパンマンってそんな深いところまで考えられた話じゃないでしょ?」って思ってちょっとネットで調べると、友人Mと同じような事を考えている人がいるんですねぇ。しかもこの人はさらに深いところまで考察していたので紹介します。「ジャムおじさんを攻撃すれば全て終わるのに攻撃しないバイキンマンは、ジュネーブ条約第一追加議定書第54条の『いかなる場合においても住民の生存に不可欠なものを供給する施設を攻撃して、その結果住民を飢餓の状態に置くような措置をとってはならない』を遵守している可能性が非常に高い」 まぁ…こういう解釈できる人って凄いと言えば凄いですね…(^_^)。私はそこまでいきませんが、とにかく自分のできる「改善」には末永く取り組んでいこうと思います。また新しい治療方法などが確立したらお知らせしますね。よろしくお願い致します。      

第185回「憎まれっ子って何歳まで生きるの?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。地震の後は豪雨、その次は猛暑…と自然の厳しさが堪える今日この頃ですが、皆様は無事にお過ごしでしょうか? 被災された方には心よりお見舞い申し上げます。地震は神戸でも結構揺れましたよねぇ。震源地が実家の近くで、しばらく電話も通じなくなって心配しましたが、数時間後になんとか連絡が取れました。 阪神大震災を思い出した方も多いのではないでしょうか。阪神大震災の当日私は海外の学会から帰国したところで、タクシーに8時間乗って芦屋の自宅に到着。自宅に向かう途中あちこち土砂崩れで通行止めになっていたので、自宅が滅茶苦茶になってたら実家に帰ろうと思い、タクシーに待ってもらって自宅の様子を見に行くとマンションは半壊して傾き、ベッドの上には医学書の詰まった本棚が倒れていて、寝てたら死んでたかも?という状態だったので、身の回りの物を少しだけ持って実家に向かいました。当時私の勤務先は吹田の病院で、通勤路だった阪神高速は芦屋近くで真っ二つに折れてバスが宙吊りに。携帯電話は全く繋がらず、新聞の死亡者名簿に同姓同名の人が載っていて、職場では私は死んだと思われていたようです。夕方になってやっと病院に電話が通じた時に電話口に出てきた後輩は「先生、生きてたん~?!」って涙ちょちょぎれてました。実家は無事だったので、数週間は実家から病院に通い、休み毎に朝3時に車で芦屋に向かって(昼間は渋滞するため)自宅を片付けました。水道も止まってたので、水は大阪から持参。大変だったけど、たくさんの人に手伝ってもらって感謝感激でした。芦屋のマンションは分譲貸しで大家さんに買わないかと言われていて買おうかなと思ってたんですが、買わなくて良かった~。あれからもう20年以上経つんですねぇ…。時の経つのはあっという間です。     地震の2週間後に大学の同窓会があり、同級生の無事を確認して喜んでいたんですが、その翌日に悲しい知らせが。なんと同級生で卓球部の同期だったM君が亡くなったという訃報でした。同窓会の名簿には欠席者からのコメントが載っていて、M君の欄には「出席できず残念です」とあったので忙しいのかなと思ってたんですが、こんな事になるなんて…。3年前に卓球部の同級生が教授になった際のお祝いの会で、卒後初めて卓球部の同期が全員集まり「また同期会しようぜ!」と盛り上がったんですが、M君が一番乗り気だったのに…。その後当院でもいろいろ事件があって同期会はできずじまいだったのですが、その1年後くらいからM君が体調を崩して入退院を繰り返していたというのを知って、すぐに同期会をすれば良かったと悔やむ事しきり。2年半前に若くして亡くなった整形外科の後輩と言い、忙しいあまりの「医者の不養生」ですよね。M君は特に真面目でおとなしい性格だったので、仕事のストレスに勝てなかった面もあったようだと同級生に聞いて、私の図太さを分けてあげたかったと思いました…。     お通夜に駆けつけるとたくさんの友人が参列しており、まだ若いお嬢さんがずっと泣いていて、参列者の涙を誘っていました。そしてお通夜の最後にはスクリーンに故人の写真をナレーション入りで流す場面がありました。M君が医師になった頃の写真から、結婚式や3人のお嬢さんたちとあちこち旅行に行って撮った写真などが次々スクリーンに写し出され、M君が本当に優しいパパだったんだなぁと偲ばれました…。故人が死をもって生の大切さを教えてくれたのだというナレーションも流れ、なんだかお通夜という感じではなくどちらかと言えば結婚式の際に流れるスライドショーような演出です。本人が望んでそれを手配していたのか業者さんの計らいなのか、はたまた残されたご家族の意思なのかは分かりませんが、最近はお通夜も変わったもんだなぁと感心しました。 このようなスライドショーを作成するのって、急に事故で亡くなった…というようなケースは時間的に無理だと思うので、恐らく生前から何らかの準備をしていないとできませんよね。だとしたら本人も死期を理解していて(癌などで本人に余命告知をするかしないかはご家族の意思が強く反映されますが、一般的に本人が医者の場合はよほどの事がない限り本人に告知されます。まぁ…仮にされなくても分かってしまいますしね…)色々な事を準備したんじゃないかな…って思ったのですが、病と闘いながら彼が頑張っている姿を想像すると、益々哀愁を感じてしまいます。     「憎まれっ子世にはばかる」という類の事を過去のクリニック通信でも何度か書きましたが、医者の世界で言えばこの言葉は確実に当てはまりますね。仕事ができて人格の良い人からこの世を去っているようにしか思えないのです。(かく言う私は完全に憎まれっ子であるという証明になってしまうのですが…。) ただ、もう少し正確に言うと「憎まれっ子世にはばかる」の「世にはばかる」というのは「でかい顔をする」とか「我が物顔でいる」あるいは「世の中で幅をきかせる」という意味なので、必ずしも長生きするという意味ではありません。この言葉だけで考えれば、憎まれっ子は世にはばかるのは当然の事で「でかい顔をして他人の事をあまり考えず、我が物顔で生きているような人」が憎まれっ子であるのは当然ですよね。ただ、もしそんな「我が物顔」の困ったちゃんでも早死にすれば世間の人も「ああいう人だったけど根は悪くなかったんだよねぇ。まぁ早い往生で本人も納得しているさ…」ってな具合で死んでまで悪くは言われないと思います。人生っていい事もあれば悪い事もあってプラス・マイナスすれば人間は皆平等…って思えるから生きていけるところがありますもんね。しかし現実にはそうはいきません。相当問題のある「憎まれっ子」とかに限って長生きして、死ぬ間際まで人にさんざん迷惑をかけて最後の最後は仏さんのようにぽっくりと平和に亡くなる…という話はよく聞きます。     そうなると人間の頼みの綱である「平等感」っていうのに疑問符がついてしまうんですよ。さぁ…そうなると大変です。世の中に「平等感」っていうのが失われてしまうと人間の心が荒廃して、下手すると革命思考の人が増えてしまいます。(そこまで言うか! と言われるかもしれませんが、世の中の暴動って不平等への不満が大半じゃないでしょうか?)そのままでは暴動が起きてしまいますので、平和な世の中にする為にお坊さん達はこの疑問にきちんと答えを出してあげなければなりません。やがてお坊さん達はとっても納得のいく説明をしてくれるようになりました。それは「憎まれっ子は現在の世においてはあんな生き方をしているが、死んだら地獄に行く事になる。一方で良い生き方をした人は、たとえ早死にしてもその分早く天国に行く事ができる」って事ですね。うん!そうか、これなら平等ですね。この世でプラスでもあの世でマイナスならプラス+マイナス=ゼロです。これでめでたしめでたし。ただごく一部、私のようにそれでも何か納得感に欠けるように思う天の邪鬼以外には…。     私もこれまで色々なアンチエイジングに関する学会などに行って研究発表を聞いてきましたが、医学界では「天国と地獄」の概念を持ち出すまでもなく、「憎まれっ子世にはばかる」について明確な回答を用意してくれています。まず人間が死ぬような病気になる場合の原因は大きく分けて二つあります。一つは遺伝的な疾患。残念ながら遺伝(必ずしも両親とか家系に問題があるという意味ではなく、たまたま本人が持っている遺伝子の組み合わせ)的に病気になりやすいという人が明確に存在します。事故や自殺以外で若くして亡くなるような病気になるケースの多くは遺伝子としてそのような組み合わせであったという事であり、憎まれっ子かそうでないかはほぼ関係ありません。若くして亡くなるケースは暴走バイクや喧嘩などで「憎まれっ子」が早死するケースも結構あるのです。…という事で不平等感が出てくるのは「社会で一定の功績を残す年代」になってからの死であると思います。 ところで、皆さんは平均寿命と平均余命の違いをご存知ですか? 平均寿命は赤ちゃんからお年寄りまで全人口を対象にした平均の寿命です。よってそこには残念ながら若くして亡くなる遺伝的な疾患を持った人も、出産直後に亡くなる赤ちゃんもすべて計算対象に含まれています。一方である程度の年齢まで生きると、遺伝的に早死にする人達が対象から外れていきます。そして一定の年齢になった時にあと何年生きる事ができるか…と統計的に予測したのが平均余命です。統計の算出方法は複雑なので割愛しますが、すでに50歳まで生き延びた人が平均寿命まで生き残る確率と、今生まれたばかりの人が平均寿命まで生きる確率は全く違うという事です。     現代の日本では平均寿命は女性が86.41歳、男性が79.94歳です。では半数の人が平均寿命まで生きるのかと言うとそうではありません。生まれたばかりの赤ちゃんが平均寿命まで生きる可能性は37%しかないのです。一方ですでに50歳まで生きた人が平均寿命まで生きる可能性は61%以上あります。このクリニック通信の読者の皆様には若い方もいらっしゃいますが、当院の患者様は大半が40歳以上なので、半分以上の人が平均寿命まで生きるって事になります。つまり50歳くらいまで生きたという事そのものが「ある程度長生きできる遺伝子を持っている」という証明がされている事になります。 つまりM君のように「惜しまれて亡くなる」というのは下記のような事だと思います。 1.50歳くらいまでは生きて世の中で一定の功績を残している 2.平均寿命まで生きる可能性が60%以上ある(遺伝子的な問題はない)にも関わらず    亡くなってしまう。 (なんだか理屈っぽくなってきたなぁ…すいません。もう少し我慢してくださいね。)     遺伝子的には長生きできるのに、なぜ早死にしてしまうのか? 医学的に明確なのは、一定年齢以上の死因の多くは生活習慣病であるという事です。そして生活習慣病の原因の多くは生活の中にある「ストレス」と密接な関係がある事も多くの研究者が発表しているところです。これらをまとめると「50歳くらいまで生きて世の中に一定の貢献をできるような性格の人は『努力と我慢そして頑張り』によって功績を成し遂げる人達が多く存在し、そのような人はストレスで生活習慣病を引き起こしてしまう事が多い」と言えます。逆に世の中に認められる功績を出す人でも「天才型」の人は独自の発想と独自の世界観の中で生きている人が多く、人間関係などのストレスが少ない為長生き型の人が結構いますね。一方で「憎まれっ子」は説明の必要もないでしょうけど、まぁ一般的にはストレスで参ってしまうようなタイプではありませんね…(^_^)。 つまり世の中に一定の貢献をしている人が若くして亡くなってしまうのは天国に行ってプラスマイナスゼロになるってわけじゃなくて、真面目にすべてを受け止めていたらストレスによる生活習慣病を引き起こしてしまう…って事なんです。自分自身のストレスは自分自身でコントロールできるようにきちんとストレスマネジメントをしましょう…という警告だと受け取る方が現実的だと思うのです。     M君のお通夜の後、自分でもなんとも言えない気持ちになって一人でワインを飲んで色々と考え事をしていたのですが、どうしても彼の人柄がよく表れた元気な日々のスライドとその前でずっと泣きじゃくっているお嬢さん達の姿が頭から離れず、時間ばかりが過ぎてしまい気づけば明け方になってしまいました。彼は私に重要な三つのメッセージを残してくれたと思います。一つ目は生活習慣病に対する早期発見と早期治療が必要な事を改めて警告してくれた事。二つ目は普段からのストレスコントロールの重要性を考えさせられた事。そして最後はちょっと逆説的なんですが、私達は思っている以上に長生きするんだという事を認識させられた事です。私は来年で60歳になるんですが、60歳の女性が平均寿命である86歳まで生きる確率は65.8%もあるのです。「私なんかぽっくり死ぬから大丈夫」とか「そんなに長くまで生きないから」なんて言う人がいますが、そのような方は拝見するに(とても失礼ながら)「ストレスなさそう」もしくは「ストレスをストレスと感じない」ような方が多いので(こんな事言ったら刺されるな…(^_^;)私を含めてそんな人は確実に平均寿命までは生きそうです。だとしたら、「年をとってもきちんと美しく生きる」という事は益々重要だし、今から意識して準備をしないといけないと思います。 今回の通信はなんだかちょっと暗い話題だったのですが、絶対に直視しないといけない問題だし、久しぶりに考えさせられた話だったのであえて書いてみました。私自身もこれから皆様のアンチエイジングの為に貢献できる活動は死ぬまで続けていくつもりですが、一方で私自身の人生についても、これから年をとっていく事に向けて準備をしていくつもりです。皆様と一緒に「美しい年のとり方」を実践できれば幸いです。  

第184回「確かに凝り性なんですが…」

  こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。本格的な梅雨に入りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…大学の卓球部の新歓コンパとOB戦、学生の試合の応援と祝勝会…と、最近ちょっと卓球づいています。毎年OB戦は幹部学年(4回生)以下が現役チーム、5・6回生とOBがOBチームとなって対戦するのですが、私はOBチームの中から1セットに1人ずつペアを選び、セット毎にペアを替えて次期男女キャプテンペアと対戦するのが恒例になっています。4月の医師卓球大会以来、年相応の戦型に変えようとラバー(ラケットの表面に貼っているゴムの事)を貼り替え、初めて使うラバーだったんですが無事勝利を収める事ができました! その後の新歓コンパでは、私の誕生日が近いという事でケーキで誕生日祝いもしてもらってゴキゲン。世は卓球ブームなのか今年も14人もの1回生が入部し、1回生の劇の出し物とかもあって大いに盛り上がりました。       試合の応援は三重まで遠征。今年の春の近畿大会では、応援の甲斐あって女子Aチームがついに優勝しました! 男子A・Bチーム3位、男子個人戦ダブルスも3位、男子シングルも大物ルーキー(1回生)がなんと3位入賞! 医学部でも男子は人数が多くレベルも高いので個人戦で入賞するのはかなり難しく、入部したての1回生が入賞するなんてすごく珍しいんですよ。今年は本当に応援のし甲斐がありました。試合後に頑張った子たちを連れて飲みに行くのも楽しみの一つ。結局飲みに行ってるんか…みたいな感じですが、勝ったら美味しいものが食べられるというのも学生たちのモチベーションになっているようです。女子のエースの子は海鮮が大好きで、三重でウニや伊勢海老が安くて美味しいお店を見つけたので「勝ったらそこに連れて行ってあげる」と言ったら「勝ったらウニ、勝ったらウニ」と唱えて本当に優勝してしまいました。勝ったチームの中には海鮮が食べられない子もいるので、海鮮派と肉派に分けて自宅で祝勝会も開き、海鮮派は手巻き寿司パーティーに。後輩たちも私に似て食いしん坊のようで、「美味しい!!」と大喜びで「次の試合も頑張ります!!」やっぱり食べ物の力は大きいですねぇ。     ところでスポーツを本格的にされていた方はお分かりになると思いますが、道具ってかなり成績に影響しますよね。ゴルフをされる方が道具に凝っているのは皆様ご承知だと思いますが、水泳みたいに道具を使わないスポーツでも、以前Speedo社の「レーザーレーサー水着」を着た選手が軒並みメダルを取ってしまうので、Speedo社の水着を禁止にすべきか…という議論が出た事もありました。短距離走のように全く道具は関係ない…と思われる競技でもシューズがもたらす影響は多大だそうで、オリンピッククラスの選手には必ずスポンサーがついて独自のシューズをオーダーメイドで作っているんだとか…。卓球と言うと一昔前は温泉宿で浴衣がユニフォームのお遊びが定番だったので、ラケットなんてスリッパでも十分と思っている人も多いと思いますが、そこは蛇の道は蛇。やっぱりプロ級の選手が使うラケットは、一般の人が使うものとはまるで別ものです。そして究極はラバー。あんなペラペラのラバーですが、されどラバー。ラバーが違うと打った後にまるで違った球になってしまいます。     私も久しぶりにラバーを買いに行ったりすると、昔と変わらないラケットや懐かしいラバーもあるのですが、やはり少しずつ昔と変わっているところもあるのに気付きます。私たちの学生の頃はペンホルダーのラケットが主流で、ラバーはフォア面にしか貼っていませんでしたが、いつの頃からかシェイクハンドのラケットが主流になり、ペンホルダーでもバック面にもラバーを貼ってバック面で打つ人も多くなってきました。ルールも21ポイント制から11ポイント制に変わり、ピン球も大きさが変わったり素材が変わったり…。まぁ興味ある人にしか分からない細かな変化ではあるのですが、どんな世界でもやはり常に変化と進化を繰り返しているんですね。私もこの歳になると激しい動きはできないので、変化球で勝負するスタイルへ変更しようと四苦八苦。その際にはやはり変化球を出すために開発されたラバーがあるので、今はそれを使って自分のスタイルを研究中です。なんでもやりだすと研究して極めていかねば気が済まない性格なので、最近は人のラケットみると必ず表面をなでてラバーのコンディションを確認してしまい「変な人」って思われているようですが…(^_^;)。     さて卓球の後は…東京で開催された美容外科学会に行ってきました。 学会はヒアルロン酸注入や副作用の対処方法、糸のリフトや再生医療、広告規制の話題など最新の情報が盛り沢山の内容でした。 ヒアルロン酸注入も新しい注入方法がいろいろ試みられていますが、やはりヒアルロン酸が血管に入ってしまうと血管が詰まって、皮膚が壊死して黒くなってしまう事や失明のリスクもあるので、細心の注意を払わねばならないようです。(そのため当院ではヒアルロン酸単体の注入は行わず、ヒアルロン酸を粘度の低い薬剤と混ぜてよく攪拌し、血管が詰まらないようにした上で、細胞を活性化するFGF=線維芽細胞増殖因子を配合したカクテル注射をシワやクマの治療に用いています。) 再生医療関連では、細胞移植にFGFの徐放システム(ゼラチンにFGFを結合させてゆっくり放出し、FGFの効果を高める方法)を組み合わせて効果を上げている発表がありました。FGFはPRPに混ぜたり量が多すぎたりすると注入部位が膨らみ過ぎて問題になる事がありますが、量を間違えずに慎重に使えばとても効果があり、加えてサイトカインの中で唯一癌の副作用報告がない、安全で優れた薬剤だという事です。FGFは悪い噂もありますが、それは使い方を間違えた場合なんですね。どんなに優れた道具でも、使い方を間違えると生きてこないものですから。     糸を使ったリフトアップ(スレッドリフト)の発表も多く、最近は糸も進化しているようです。以前溶けない糸が主流だった頃は、感染を起こしたり糸が出てきたり、引きつれたりなどいろいろ問題も多かったようですが、最近はほとんどが溶ける糸で感染などのリスクも減ったようです。先月号に登場したDJ、Y先生発案のO-メッシュに似たメッシュ状の糸の講演もありました。糸をメッシュ状にするとそこに血管が入り込んで組織が再生され、リフトアップするだけでなく肌状態も良くなって、感染もしにくいという事でした。 広告規制の講演では、法律が変わって6月から医療機関のホームページの規制が厳しくなるという話が。誇大広告を取り締まるため、治療内容・費用・リスク・副作用などの詳細な説明が求められ、症例写真にまで、かかった治療費の総額を記載する必要が出てくるそうです。えらいこっちゃ。こないだホームページを大幅に修正したところなのに、また修正か…とげんなり。どこかの大手美容外科が派手な誇大広告するから、規制が厳しくなるんですよねぇ。そういうところのとばっちりを受けているクリニックも多そうです。     学会で講演を聴いてる時、Y先生が隣の席に来て「どう?」 柴田:「痛みはだいぶ治まったけど、まだしこりがある~(:;)」 Y先生:「そんなん治まってくるって。あれ…ちょっとぉ! すごく可愛くなってるやん!」 ええ年したおばちゃん捕まえて「すごく可愛くなってるやん!」てどの口が言うてんねん?と思ったものの、悪い気はしないんですよねぇ、やっぱり…(^_^;)。なるほど。これがY先生の手口(?)だな。ちょっとイケメンのY先生に褒められると、患者さんは嬉しくなってあれこれ治療を受けてしまうんでしょうねぇ。私はお世辞はほぼ言えないので、それだけで売上が下がってるかも。まぁ、うちは正直が売りだから…と言い訳しつつ…。 学会後はY先生のクリニックで行われた○-メッシュのセミナーに参加し、治療の実際を見る事ができました。○-メッシュを顎や鼻・眉頭に入れて彫りを深くし、頬のたるみは同じPCL(ポリカプロラクトン)の糸で引き上げる施術です。それに加えて脂肪は注射で減らして、最後は毛穴を小さくするサイトカインを塗って仕上げ。確かにモニターさんは綺麗になっていましたが、あんなに顔中にPCL入れたら痛いだろうなぁ…。結構平気そうな顔してられましたけど、痛みは人によるのかな? 私もちょっと糸の研究をしてみようという気になってきました。     ところで東京に行く前に、クリニック常連のK様に紹介していただいた美容室Iにカラーに行った時、ちょっといい話を聞きました。カラーリストのAさんに、カラーは気に入ってるんだけどカットがちょっと合わない気がするんだけど…と相談すると、シャンプーを担当してくれているK様お気に入りのイケメンS君がもうすぐスタイリストデビューするので、一度切ってもらうという手もありますよ…と提案されました。今のカット担当はディレクターなので、デビューしたての新人がいきなり担当するのは緊張すると思うけど…と。 Aさん:「でも、ディレクターより上手くなってやるって思ってないと、絶対上手くなりませんから                   ね。美容師はハートがな  いとできない仕事ですから。その人の心に合った形を作らなけ                   ればならないので、心が伴わなければ何事もうまくいきません。お客様との信頼関係が                   あって初めて認められる仕事ですから」 柴田: 「さすが、ええ事言いはりますねぇ。でもAさんはなんでカラーリストになられ      たんですか?」 Aさん:「僕がカラーリストを目指したのは、有名にならないといけないと思っていたからなん                  です。憧れていた美容師さんが若くして交通事故で亡くなって、お線香をあげに行った                   時奥さんに『あの人に負けない美容師になってね』と 言われたので…。そんな時                『色出ずる国』というカラーのイベントのポスターを見て『なんだこれは』と思って                  見学に行ってみたんです。当時まだカラーリストは日本に10人位しかいなかったので、                 五万といるスタイリストの中で一番を目指すより、10人の中で一番を目指す方が早い                 と思ったんですよね」     それから20年…Aさんのカラーが素晴らしい理由が分かった気がしました。人を綺麗にするのには情熱がなければできませんよね。ただ、情熱だけでは結果は出ない…。やっぱり「道具」も同じくらい大事なんです。カラー剤もこの20年ですごく進化し、髪を傷めにくくて発色の良いカラー剤がどんどん出てきたそうです。Aさんのカラー剤に対する知見の深さと言ったら右に出る人はいないと思います。恐らくメーカーさんもこのように技術と情熱と知見を持った人と共同開発をしているんでしょうけど、素晴らしい情熱と良い道具(材料)があってこそ、素晴らしい成果を出せるのだと思います。 美容業界でも同じ事が言えます。素晴らしい成果を出そうと思うと施術を行う人の情熱が半分、そして半分は道具(機材)や材料によってもたらされます。勉強しようとする情熱だけであれば、インターネットなどで論文を読みあさるだけでも一定の到達はしますが、やっぱり道具や材料となると、どうしても学会などに出席して、出展している企業のブースに行って実際に手に取って見てみたり、試供品を入手して試すなど、積極的な行動をしなければ研究できません。そんな訳でこれからも学会出席は欠かせないので、学会出席中は休診となり皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただけますようお願い致します。(決して、学会にかこつけてグルメ三昧しいてる訳ではありませんので…(^_^)。)     私のラケットのラバーも、誰か共同開発してくれるところはないかなぁ? そうしたら、1年後にはミラクルスマッシュで卓球部の連中をあっと言わせられるのに。まぁ、私の場合はその前に筋トレの方が必要だという事は分かってるんですが、なかなか毎日はできないんですよねぇ…。私の知り合いでゴルフの道具にめちゃめちゃ凝っている人がいて、彼はなんとゴルフのボールまでオーダーメイドで作ってるんです。ただし一球が数千円するそうなので、もったいなくて使えないんだとか…。道具に凝りすぎて結果が出せない人も多いから、最後はやっぱりバランスですよね(^_^)。私も気をつけねば…。 申し訳ありませんがお世辞の方は無理なので、これからも情熱+道具(材料)、そしてコスパのバランスを考えて頑張っていこうと思います。今後共、応援よろしくお願い致します!      

第183回「人は見かけによらぬもの」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。新緑が目に鮮やかな季節になってきましたね。ゴールデンウィークはどうお過ごしでしたか? 私はと言えば…全日本医師卓球大会と、新しい治療の研究に東京まで行ってきました。 全日本医師卓球大会というのは、全国の医師が集まる卓球大会です。なんとも細かいセグメントなんですが、世の中にはそんなのがあるんですよね~。医学生の卓球大会は西日本・東日本別や、近畿・中国四国などの地方別とかいろいろあるんですが、学生時代にそれらの大会で優勝していた強豪が集まり、中には全学(全ての学部)でも通用していた人もいるので、医師卓球大会って結構レベル高いんですよ。団体戦と年齢別の個人戦があり、個人戦は40歳未満と40代、50代、60代、70代、80代(!)に分かれています。80代でもかなり強い人もいて、60代で優勝した知り合いの先生なんて若者顔負けのフットワークでビックリ! 運動はアンチエイジングにいいって言いますけど、正にそれを証明しているような人がいっぱいいるんです。     団体戦では上の年代の人と当たったら1ランクにつき1点のハンディをあげないといけません。ハンディは最高2点ですが、80代に限り3点までOK。しかし若手の医者は忙しくてなかなか練習できないのに対し、年齢が上がって暇ができると週に4回とか毎日練習してる人もいるので、ハンディなんかいらないんじゃないの?って思ってしまいます。団体戦のチームは同じ出身大学か勤務先が同じ都道府県の人で組むようになっていて、うちの大学は今年は平成10年から20年代卒の歴代のエースを集めて挑んだんですが、全日本の壁は厚くて1勝したのみ。平成24年卒の当時のエース(30歳)が80代の人と当たって、必死でドライブしてるのに全部止められて「3点ハンディはきついっす…」ってぼやいてました。私は練習もろくにできてなくて久しぶりに出たので、自分の衰えぶりにガックリ。でも年齢が上がるとあまり動かなくても勝てる戦型にする人も多いようなので、私も戦型を変えてもうちょっと頑張ってみようかなと思っています。 卓球強い人って自然と仲良くなるので、久しぶりに他大学の仲良かった先輩や後輩たちと会えるのも楽しみの一つ。そして大会のもう一つの楽しみは何と言っても飲み会です。今年の大会は東京であったんですが、行きの新幹線から他大学出身の先生たちに誘われて新幹線の中で宴会。着いたら一緒に出場する後輩や先輩と宴会し、さらに試合後も応援に来てくれた先輩や後輩たちと出場した先輩・後輩と共に宴会。卓球しに行ってるのか宴会しに行ってるのかよく分かりませんが、とにかく楽しかったです。       さて…遊んだあとは本業のお勉強。新しい治療の研究のきっかけは、知り合いのY先生が美容系雑誌に載っていた事でした。アメリカのセレブが通うクリニックにY先生が行って究極のリフトアップ治療を受けたという内容。注入治療なのに、直後にY先生の二重顎がスッキリ引き締まって、綺麗にリフトアップしているではないか! これは早速聞いてみなければ、とY先生にTEL。 柴田 :「先生、雑誌出てましたね! 注入であんなリフトアップできるの? 何をどこに打つの?」 Y先生:「ああ、あれね。ヒアルロン酸とエランセを顎からフェイスラインに注入して、顎を前に             出すと二重顎の脂肪が前に引っ張られて目立ちにくくなるって理屈。でも雑誌社に頼まれ             たから行ったけど、怖かったわ~。合計12ccも注入されてんよ。顔面動脈詰まったら顔             腐るのに、アメリカってそうなっても訴えませんみたいな誓約書とか書されるしさぁ…。             それにそんな大量に注入したら凄い値段になるでしょ。僕なんか70万円位かかってんか      ら。先生がするんやったら、絶対○メッシュの方がいいよ」 ふむ…。雑誌の記事って、鵜呑みにしない方がいいみたいですね。エランセというのはPCL(ポリカプロラクトン)を主成分とする注入剤です。エランセに使用されているPCLは手術の際に使用する溶ける糸を細かい球状にした成分で、注入した部位のコラーゲン形成を促す事ができ、注入部位の弾力アップに効果があると言われています。しかしヒアルロン酸のように入れ過ぎたからと言ってすぐに溶かす薬がなく、吸収も遅いので慎重に扱わないといけない注入剤です。 Y先生の言う○メッシュというのは、そのPCLを細い糸状にして網目に組んだものだとか。固体なので血管が詰まるリスクもなく、流れないので少しずつ入れると好きな形が作れてとても良いという事で、再生医療で細胞の足場(細胞を育てやすくする家のようなもの)にも使われている素材で、最終的には自分の組織に置き換わるので安全だそうです。        柴田:   「それって注射?」 Y先生:「うん。細い針で入れるの」 柴田: 「固体なのに針の内腔通るの?」 Y先生:「うん。すごーく細い糸にするからね」 …この会話にちょっと行き違いがあった事は後になって分かるんですが、取りあえず詳しい話を聞こうと思い、クリニックを訪ねる前の日に久しぶりにY先生と食事に行く事にしました。Y先生が連れて行ってくれたのは銀座のお鮨屋さん。そこでは○メッシュの他にも赤ちゃんの脊髄幹細胞培養上清の話や美容関連その他の話で盛り上がりました。赤ちゃんの脊髄幹細胞の話は驚き。皆様も名前を聞いた事がある有名人が、胎児の脊髄幹細胞を若返りの為に注射していたという業界の裏情報です。脊髄幹細胞取られた赤ちゃんってどうなるのよ? いくら金に糸目を付けない人でもそれって倫理的にどうなの? かの楊貴妃が若返りの為に宮廷に若い女性を連れて来させて、その生き血を飲んでいたという話を聞いた事があるけど、それに匹敵するなぁ。ただこの手の業界裏情報ってどこまで本当なのかは全く分かりませんが…(^_^;)。最近は胎児を殺さずに脊髄幹細胞を取り出せるようになったという話ですけど。 でもそんな怖い話以上に驚いたのが、Y先生がクラブで夜な夜なDJをしているという話。(クラブって学校のクラブ活動じゃないですよ。ダンスする場所の事、まぁ私達の年代はディスコって言う方がピンとくるのですが…(^_^;)。私もいろんな医者が夜に別の仮面をかぶっている(いや…仮面を脱いでいる?)という話は聞いた事がありますが、クラブでDJやってるって人は初めてです。ほんまかいな?? 以前から彼は普通のドクターとは違う感じしてたんですよねぇ。インスタで海外のドクターや研究者と友達になって医療材料を作ってもらってるという話を聞いて、その交友関係の広さには驚いてたんですが、そういう医者らしくないところが友達が多い原因かもしれませんね。       それはともかく、翌日Y先生のクリニックへ。うちのクリニックはアンチエイジング治療が主流ですが、Y先生のクリニックは美容外科なので、芸能人や若い人を「より綺麗にする」「より可愛くする」という治療も多いようで「美を追求する」事が主流のようです。人間は人の顔の美しさを0.5秒で判断できるそうで、それは目など顔の上半分ではなくて、輪郭など顔の下半分で決まるそうです。ハート形の輪郭が一番綺麗に見えるので「ハートシェイプ」を追求すべきだという事は、美容外科学会でもよく講演されていますが、○メッシュは好きなところに入れて、彫刻のように理想の輪郭を作る事ができるんだとか。(美しい顔を追求するために、Y先生は彫刻の勉強もしようかなと思われているそうです!)○メッシュは細い糸状の材料がさらに細かいメッシュ状になっているので、そこに血管が入ってきて自分の組織に置き換わり、従来の糸よりもずっと感染の確率も低く、ヒアルロン酸のように血管が詰まるリスクもなく、いい事尽くめだというY先生論。     確かに輪郭が大事なのは若い人ばかりではなく、目の周りは一番早く老化が現れますが、一番老けて見える原因と言えばやはりフェイスラインがたるんで輪郭が崩れる事ですよね。加齢と共に骨・筋肉は委縮し、顔の上半分の脂肪は減って下半分の脂肪は増え、重力に逆らえず下がってくると、たるみに拍車がかかります。 私も自分の顔で一番気になるのはやはりフェイスラインのたるみ。去年の12月に潜入調査に行った時、えらボトックスをしてもらったら効き過ぎて、それからフェイスラインのたるみが余計気になってきたという話をY先生にすると「えらが戻ってきた時の事を考えると、フェイスラインは○メッシュよりもヒアルロン酸とエランセの方がいいかな」と言われたんですが、エランセは痛くて腫れると聞いて心配したら「じゃあ最小限にしよう」と、顎だけに○メッシュを最小単位入れる事を勧められました。     柴田: 「○メッシュは腫れないの?」 Y先生:「腫れないよ。1週間くらい触ったらちょっと痛いくらい」 その日は夜にクリニック通信常連出演のK氏と東京グルメの予定だったので、パンパンに腫れるのもちょっとなぁと思ってたんですが、それくらいのダウンタイムなら、せっかくだから一番いいという最新治療を受けてみる事に。 柴田: 「入れるとこ見ててもいい?」 Y先生:「うん、いいよ。まず麻酔ね」 鏡を見てると、まず皮膚に麻酔をして針で穴を開けてから、長針をつけた注射器が登場。 柴田: 「それが○メッシュ?」 Y先生:「いや、これはまだ麻酔」 柴田: 「イテ! イテ!」 麻酔もえらい痛いやん! そして針に糸を付けたセットが登場。あれ? ○メッシュって注射とちごたん? …と思ってる間に糸と針がグリグリ入ってきます。えらい勘違いやったがな。     柴田: 「イテテテテ!」 麻酔してても痛いやん! Y先生:「最小限の4本にしたから、すぐ済むよ。ちょっとだけ我慢してね」 そうしてイテ、イテって言ってるうちに終了。看護師さんが「1日だけテープ貼らせてくださいね。明日ははがしてもらって結構です」え? そんなん聞いてへん~! お蔭でテープ貼ったままレストランに行く羽目に。直後もジンジン痛かったんですが、麻酔が切れたらえらい痛いやん!! 術後に痛み止めを大量に処方されたので、なんでかな?と思ってたんですが、そういう事か! しゃべるのにも食べるのにも支障をきたすほど。テープを貼ったまま現れ、食べるたびに「イテ!」を繰り返す私にK氏は「今日の潜入調査は大変でしたねぇ!」と大笑い。今回は潜入ではなかったんですけど…と言いながら、シャンパンで痛みを誤魔化してしっかりグルメはしましたが、あ~痛かった~。     そしてその後は「触ったらちょっと痛い」どころかしゃべっても食べても痛いがな。 柴田: 「痛いよ~。食べてもしゃべっても痛いねんけど…」 Y先生:「PCL系は1週間ほど痛みが出るので頑張ってくださいな。エランセ入れなくて             良かった~。先生の場合は顎にボトックスを入れたら痛みましになると思うよ」 柴田: 「なんでPCL系は痛いの?顎にボトックス入れたら痛みがましになるのはなんで?」       (得意の質問攻め) Y先生:「PCL等の再生医療系材料は周囲に血管を引き寄せるから痛いんだと思う。先生は      オトガイ筋(顎の筋肉)をよく動かすから普通の人より痛いんじゃないかな。      ボトックスで筋肉を動かしにくくしたら痛みはましになると思うけど」 そうか…。でもボトックス入れたらどっちの効果か分からなくなるので、研究者としては我慢するっきゃない。そうして1週間ほど経ったら、だいぶ痛みはましになってきました。友人に話すと「そう言えばちょっとフェイスラインがスッキリしたかも」と言われ、Y先生には次の学会の時に○メッシュのセミナーにも誘われたので、経過と共にまたご報告しますね! まぁ、そんな訳でY先生も夜な夜なクラブでDJしている割に(割に…って失礼な言い方ですが…)きちんと新しい事を研究しているのには敬服でした。(素直に人は見かけによらないもんだな…って思ったんですが、その言い方もやっぱり失礼か…(^_^)。この通信読んでたら、Y先生ごめんなさいね。) 美容治療って凹んだ所を膨らませたり、尖った所を削ったりしているだけと思われがちですが、人間は生きていて、何かの作用を与えると細胞や筋肉も変化するので、その相互作用を考えなければ思っていた効果は出ません。美容治療で失敗して凸凹になる事がありますが、あれが相互作用をきちんと考慮できなかった典型例です。どんな事でも新しい事は一定のリスクがあるので研究が必要ですが、この痛みも研究が進むと改善されていくかもしれませんね。いずれにせよ、新しい事はチャレンジの連続です。       そう言えば年をとっても卓球の強さが衰えない先輩方も、よく観察すると体力の衰えを補うような細かなフォームの矯正はしているようで、毎日の練習の中で自分を客観的に観察し、相互作用をきちんと考慮している人が強さをキープしているようです。年をとったら筋肉や骨が弱り、若い時と同じ打ち方をしていたらすぐに体に問題が出てしまいます。その為、弱った部分をカバーしながら最大の効果が出る方法を日々研究する必要があるのは当たり前ですね。 そんな訳で美容と卓球という全く関連性のないものでも、「きちんとした効果を出すには人間の体をちゃんと理解して相互作用を考慮する事が必要なんだ…」って改めて思った次第です。私はさすがにDJするのは無理ですが、美容と卓球についてはまだまだこの相互作用の研究を極めていきたいと思いますので、今後共宜しくお願い致します。