第172回「長生きのコツは?」

  こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。梅雨に入り、いまいちなお天気が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 6月と言えば、毎年開催される抗加齢医学会、そして私の誕生月です。また一つ年をとってしまうので、まさしく加齢に抗わなければなりません。今年の抗加齢医学会は、グルメだけが楽しみの私が大好きな東京で開催されました。会場は東京国際フォーラム。広くて造りが複雑で、迷子になりそうな建物です。抗加齢医学会の話題はこのクリニック通信でも何度か取り上げたと思いますが、いろいろな科のスペシャリストが講演するのでなかなか面白い学会です。 抗加齢医学会はいつも10以上もの会場で同時に講演があり、とても全部は聴ききれないので、美容やサプリメントを中心にその年のホットな話題の講演を聴く事が多くなります。毎年体に良いというサプリメント原料の研究結果がたくさん発表され、今年もブラックカラント・ビルベリー・サンタベリー・葡萄種子ポリフェノール・オリーブの葉と赤葡萄・ヤングココナツ・マンゴスチン・シイクワシャー・玄米・緑茶・黒ショウガなどの抽出エキス、エクオール(大豆イソフラボンの一つであるダイゼインの代謝物)など多くの原料の抗酸化作用や抗炎症作用、いろいろな症状の改善作用などが発表されていました。各国で昔から「体に良い」とされていた物の効果や作用機序が科学的に解明されてきたという事も多いようです。 企業展示のブースもたくさん出展していて、いろいろな測定器を展示している企業も多いので、体内の酸化度や糖化度を測定したり、サプリメントのサンプルをもらって試したりするのも楽しみの一つです。     そして最近は見た目に関する講演も多くなってきました。「見た目が若いと長生きする」という事も、この学会では常識のように話されています。同じ年齢でも若く見える人とそうでない人がいますが、同じような遺伝子背景を持っている双子でも、その後の生活や環境の変化によって見た目年齢に違いが出るそうです。 デンマークの双子の研究では、70歳以上のデンマーク人の双子1826人を対象とし、2001年に全対象者の顔写真を撮影して年齢を推定し、その後7年間の追跡調査を行ったところ、7年間に死亡した人の多くは実年齢よりも老けて見えた人で、双子の見た目年齢の差が大きいほど、老けて見えた方が早死にする傾向が強かったそうです。この結果からも、見た目が寿命に関わっている事が分かりますね。見た目が若く見える要因としては皮膚・髪・体型・姿勢や歩き方・ファッションなどがあり、最近は見た目を若くする生活指導などもされているようです。     今年面白いなと思ったのは、「笑いの抗加齢効果」という講演です。笑う事が体に良い影響を与えるという事は経験的に知られてきましたが、その科学的根拠が近年報告されるようになってきました。 これまでにも関節リウマチの痛みの改善やアレルギー反応の改善効果が報告されていましたが、笑う事によって生活習慣病や認知症を予防できる可能性もあるようです。そして笑いの頻度と高齢者の認知機能・身体機能の関連を検討する研究で、笑いの頻度が少ない人ほど認知機能低下症状を有する人が多く、外出の頻度が少なくなって身体機能も低下している人が多い事が分かったそうです。 「笑い」は家族や友人と話している時に最も多くなり、人と人との繋がりが多いほど増える事も分かったようで、人とのコミュニケーションを増やす事で笑いを増やす事ができるそうな。マウスを使った実験でも、「笑い声」を聴かせたマウスは健康状態が良くなり、「ごきげん」マウスはストレス耐性が高まる事が分かったらしい。人もマウスも「ごきげん」である事が健康を促進するんですね。     …って事は、見た目が若くてよく笑う人が一番長生きするって事になりますが、そうなると「明石家さんま」は間違いなく長生きするって事になりますよね? だってあの方は62歳でしょ? とてもそんな年には見えないし、テレビで見る限りいつも笑っているので相当長生きするかもしれないな、と思いますよね。ただ、ここで気をつけなければならないのは「よく笑う」と「よく笑わせる」とは全く違う概念ですし、ましてや「よく笑われる」とも全然違うという事です…^^;)。 「良く笑わせる」に所属するお笑い界のスターの皆さんはどうも長生きの方ばかりだとは思えません。一つには「芸のためなら女房も泣かす…♫」というような大酒飲みのハチャメチャな生活をしている人が多いからかもしれませんが、それ以上に「毎回必ず笑わせないといけない…しかもリアルタイムで…」というプレッシャーは常人には理解できない強烈なストレスを体に与えているのではないかと思うのです。 私は平成の爆笑王と言われていた「桂枝雀」さんの大ファンだったんですが、残念ながら最盛期と思われている時期に自殺未遂を図り、入院してそのまま帰らぬ人となりました。(歌といい登場人物といい、毎回古い話で恐縮です)…どうもスイマセン(一応、初代林家三平のつもり)。 枝雀さんなんかは実力派で、人気も絶頂だったと思いますし、仕事のオファーも途切れる事がない売れっ子だったのに、自殺を図るなんて普通の人には理解できないと思います。確かに一回限りの舞台で「お客様の期待を裏切らないように絶対に笑わせねばならない」というのは相当なストレスだったのかもしれませんね。     よって私見ですが、長生きの順番は「良く笑われる」>「良く笑う」>「良く笑わせる」なのではないかと思います。ここで難しいのはなぜ「良く笑われる」>「良く笑う」…なのかです。はい。すいません。ここには何の論理的根拠もありません。 ただ、私の拙い人生の中で見聞きした経験則だけです。私はずっと医者の世界で生きてきたので世間知らずなところがあり、患者様を除けば付き合いのある人も多くは大学の先輩後輩や医者仲間になります。それらの交友関係の中だけの話で言えば「将来を期待されているような人に限って短命」という気がしてならないのです。 勿論、将来を期待されているような人が若くして亡くなると印象に残りやすいという事は否定しませんが、それを差し置いても事実としてその傾向が非常に強いのでは…と思います。特に若い時に業績を残すような人にその傾向が強いのではないでしょうか? それに引き換え「よく笑う」というのは、良くも悪くも一般的な人がこの枠に入るのではと思います。そして強者は「よく笑われる人」だと思います。 これは言い方を変えれば「天然ボケキャラ」の人です。このキャラの人で今まで周りで若くして亡くなったという人を聞いた事がありません。おそらくこのキャラの人の大半は天寿を全うしているのではないでしょうか…^^;)。 人の事は言えませんが、このキャラの人は羨ましいくらいマイペースですし、ストレスが多いようにも思えません。(人を笑わせている事すら気づいてない人の方が多い…。)という事で、私が勝手に決める長生きランキングでは「見た目が若い天然ボケキャラ」が堂々の一位獲得です!     まぁ…そんな話はさておき、学会の後はグルメです。今回は東京のグルメリアK氏は毎年恒例の3週間休暇(例年はプロヴァンス旅行だが、今年はポルトガルらしい。あぁ、羨ましい…)で不在なので、K氏にお勧めのお店を教えてもらって、東京在住の後輩と出かけました。今回教えてもらったお店は、リーズナブルで美味しい南仏料理を食べさせてくれるところ。 私たちが自腹で行けるくらいのお値段なのに、お料理もワインも美味しい事! K氏の紹介と言って予約したら、シェフが挨拶に来てくれて、シャンパンまでサービスしてくれました。「K様にはいつもお世話になっておりますので…」と、K氏はここでも有名人。さすがK氏。そのお店のワイン会などにもしょっちゅう行かれているそうです。 今年はいろいろあってモナコの国際学会には行けず、南仏料理にもありつけなかったので、南仏仕込みのブイヤーベースが味わえて感激しました! 思わず笑みがこぼれます。これこれ、健康のためには「笑い」がやっぱり必要ですよ! やっぱり「ごきげん」である事が必要なのだ! とグルメのいい訳をしつつ、夜は更けていくのでした…。(でも飲み過ぎ・食べ過ぎは逆効果ですけどね。)     学会から帰ると、実験にもいつもより身が入ります。今回は、引き締め効果の強い新輪郭注射とシワ・たるみ用新輪郭注射の体への応用を考えてみました。新輪郭注射は輪郭注射の引き締め効果を強めたもので、お試しいただいた方にはかなりのご好評をいただいています。 シワ・たるみ用新輪郭注射は引き締め効果によって脂肪の少ない部分のシワやたるみを改善する注射で、お試し企画では同様の目的のペリカン注射よりも効果があるとの評価と統計結果が出ましたし、メニュー化後も人気の治療です。それらを体にも応用できると考え、脂肪の多い部分には新輪郭注射、脂肪が少なくシワやたるみの多い部分にはシワ・たるみ用新輪郭注射と打ち分けて実験中。また結果をご報告しますね。     さて、私の好きな映像で桂枝雀さんの「夏の医者」があります。YouTubeにも挙がっていますので、もしよければ皆様もご覧ください。(ただYouTubeってすぐ削除されるから、皆様が見られる時にまだあるかどうかは分かりませんけど。)話の内容は、超田舎の村で畑仕事をしていた親子がいて、お父さんが熱中症で倒れてしまったところから始まります。息子は医者を呼びに行くのですが、いわゆる無医村なので山を三つ越えて行かなければなりません。 勿論、落語に出てくる人物なので、医者を呼びに行く息子は超天然ボケキャラだし、呼ばれた方の医者も輪をかけた天然ボケキャラです。二人は道中で一服する為に松の木に腰かけるのですが、これが実は松の木ではなく大蛇で、二人共大蛇に飲み込まれてしまいます。 ここまでは二人共大ボケキャラ全開だったのですが、二人が大蛇の腹の中に飲み込まれた後は一変します。息子は大蛇の腹の中でオロオロするばかりなんですが、医者の方はでんと腰を据えてまずは煙草を一服。そして持っていた薬箱の中から下剤となる薬をお腹の中で撒いて大蛇の腹を下す事で二人共助かるというストーリーです。ただ、こうやってテキストでストーリーだけを書くと何にも面白くないのですが、そこはもう桂枝雀さんにかかると大爆笑のオンパレード。終始笑いをこらえる事ができない面白さなんです。本当に天才なんだなぁ…と感心する事ひとしお。     映像を見ている間は終始大爆笑なんですが、そんな中でもこの「やぶ医者」のキャラにはある意味感動するところがあります。道中は二人共大ボケかましでどっちもどっちだったのですが、大蛇に飲み込まれた後は「あ…腐っても医者。やっぱりプロとはどんな状況に陥っても冷静さを失わず、自分のスキルを信じて最後まで望みを捨てずに事態を打開しなきゃいけないんだ」って妙な使命感を自分に与えてくれるのです。 以前私は、整形外科医として手術も沢山していたので、手術中の患者さんの急激な容態変化などで手術室に緊張感が走り、スタッフ全員が凍りつくようなシーンが何度もありました。その凍りついた状態では全員が主治医の指示待ちになります。ここでどう判断するかでその患者さんの生命までもが決まる緊張の一瞬です。この時は自分を信じてベストと思う処置を一瞬でも早く行えるようにスタッフに指示するしかありません。 美容医療に転身してからはそのような命に関わる大きな決断をする事は殆どなくなりましたが、それでも患者様の大切な顔に施術をするので、失敗すると大きなダメージになる事には変わりありません。そのような緊張感の中で仕事をしているので、もしかしたら私も寿命が短いかもしれないから、せめてお笑い映像でも見て「よく笑う人」の仲間入りをしなきゃ…という話を友人にしたところ、「大丈夫よ…貴方は間違いなく『よく笑われる』側の人だから…一番長生きするんじゃない?」という最高の褒め言葉?? をいただきました。 まぁ…いずれにせよ長生きできるんだったらいい事ですね。あとは見た目の若さを保てば良さそうです。グルメで増えてしまった脂肪は新輪郭注射で減らし、みんなで見た目を若く保って、楽しく長生きしましょう!    

第171回「美の雫」

  こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。爽やかな新緑の季節になりましたね。1年で一番いい季節じゃないでしょうか。皆様ゴールデンウィークはどう過ごされましたか? 私はと言えば…連休前にクリニックの予約帳システムに不具合が起き、その復旧に半分くらい時間を費やしてしまいました。例年は連休に大学の卓球部の試合があるので大抵応援に行くのですが、今年は大会の日程がずれたので応援に行けず、普段バタバタしていてできない雑用と予約帳の復旧で連休が終わってしまってちょっと寂しいゴールデンウィークでした。(予約帳の復旧には先月のクリニック通信に登場した、大学卒業後東京で就職した韓流B君がパソコンの遠隔操作で活躍してくれました。物理的に遠くに行ってもインターネットがあればどこにいても捕まってしまうので、彼もなかなかクリニックとの縁は切れなさそうです…^^;) 連休中は一日だけ友人とカフェのテラス席で春のそよ風の中、冷えた生ビールを楽しめたのがせめてもの救い。日本において、テラスで気持ち良く過ごせる時期なんて限られてますからねぇ。また、卓球の試合は見に行けませんでしたが後輩がスマホで実況中継してくれ、男女Aチーム・男子Bチームが準優勝、個人戦ダブルスも女子1組が準優勝、男子1組が3位という好成績を一緒に喜ぶ事ができました。(スマホの普及によって本当に生活が変わりましたよねぇ…。)去年は幹部の不手際などがあって祝勝会を中止しましたが、今年はまた祝勝会でもしようかな。     さて、スマホと言えばクリニックでは5月からスマホ対応になったホームページにリニューアルしました。その際に、人気の治療ではあるが種類が多すぎて分かりにくいと言われていたカクテル注射を一つにまとめました。基本のカクテル注射の成分を決め、追加の成分はオプションとして診察時に相談して決める事にしたので、分かりやすくなったとご好評をいただいています。今までと大体同じような価格になるようには設定したのですが、成分の量によって多少は価格が変わりますのでご了承くださいね。 カクテル注射の主要成分で、皮膚のコラーゲンを増やしてシワやたるみを改善するFGF(線維芽細胞増殖因子)の量は、今までは増減しても同じ種類のカクテル注射なら同じ価格だったので、症状の軽い方には割高に、重い方には割安になっていたのですが、今後は量によって価格が変わるので、今までより適正な価格になったと思います。でもFGFの追加は5μg以上は少し安くなるように設定したので、シワが深くてFGFが大量に必要な方には少し優しい料金体系になっています。そうは言ってもアンチエイジング治療やメンテナンスは早めにされる方が効果も出やすくお金もかかりませんから、あまり放置せずに早めのお手入れがお勧めです。(なんだか宣伝になってしまってすいません。)     さらに新しい治療も導入しようと、スタッフと一緒にミルクピールも実験中。痛がりのNちゃんは「めちゃくちゃ痛い!!」と言っていましたが、他のスタッフはヒリヒリするけど我慢できる程度という人が多く、私はあまりヒリヒリしませんでした。(面の皮が厚いのかな?)最初は輸入業者の営業担当の人が説明しながらデモをしてくれたんですが、その時営業の人が何か説明してくれる毎に私が「なんで?」「なんで?」と「なんで攻撃」を浴びせて営業の人が答えられず汗をかいていたと、後で博士ことKさんが大笑い。「先生のなんで?攻撃が面白かった~!」って、さすが博士と呼ばれるだけあって、Kさんは見てるところが違いますね。   さて実験の結果ですが、ニキビが酷かったK君は翌日からかなり綺麗になって大喜び。Nちゃんも施術中は「痛い、痛い!!」と大騒ぎなのに、研究日になるとミルクピールをしたがるので訳を聞くと、「ツルツル感が1週間くらいは続くのでやめられない」のだそうです。ミルクピールは4-5回するといいと言われていて、Nちゃんは潜入調査を含めてもう4回したので「そろそろ卒業やね」というと「卒業したくない!」との事。あんなに痛い、痛いと騒いでいるのに卒業したくないなんて、よっぽどミルクピールに魅力があるんですね。これは人気メニューになりそうです。 塗布時間や量、肌の強さなどによって、術後しばらくは赤かったりかさついたり、多少のダウンタイムが出る事もありますが、全くない事もあるので、シワやたるみには注射程の即効性はありませんが、注射後の腫れや内出血などのダウンタイムが心配な方や、注射後のお肌のハリの維持などにはいいかもしれませんね。         さて、連休明けには東京で美容外科学会があり、休み過ぎかな…と思いつつも情報収集のためにクリニックを休診にして参加しました。(皆様にはご不便をおかけして申し訳ありません。これも新しい治療の開発のため、大目に見てくださいね。)   しかし東京で学会と言えば、K氏とのグルメなしでは語れません。かねてから、韓流B君が東京で研修する際にはK氏を紹介するという約束をしていたので、3人で食事に行く事になりました。K氏と食事に行く時は大抵フレンチなんですが、最近はさすがに寄る年波のせいかK氏もフレンチは重くなってきたようで、何度か和食屋さんに誘われていました。しかし東京はやっぱり神戸よりフレンチやイタリアンが美味しいお店が多いので、「やっぱりフレンチかイタリアンがいいな~」といつも我儘を聞いてもらってたんですが、今回は2人なので我儘も言えずお任せしてたら、K氏は有名な割烹の大将が離れを作ってそこで自ら包丁をふるってくれる…という常連感満載のお店を予約してくれました。しかし韓流B君は完全な肉派で、魚は赤身と白身の違いしか分からないらしい。そんな高級割烹に連れて行くのはもったいない…と言うとK氏は一旦肉料理のお店も探してくれたんですが、やはりK氏はそこが良かったようで「肉料理も入れてもらうように頼みましたので」と、結局その高級割烹の離れに行くことになりました。     K氏とB君は初対面だったんですが、2人には私がお互いの話をいやほどしてたので、前から知ってるような気になってたようで、初対面とは思えないほど話が弾みました。ワイン通のK氏は和食でもシャンパーニュから始め、いきなりシャンパーニュを2本空けてしまってその後日本酒へ。お料理はウニやぼたんエビ・キャビア・アワビやカニなど高級食材のオンパレードです。手作りの生湯葉やうなぎの粽など凝った料理も盛りだくさんで、さすがの肉好きB君も「こ、これは美味しい…!」(それだけ素材が良ければ、美味しくないはずがないけど。)日本酒もいろいろな種類を大将が味見させてくれたのでつい飲み過ぎ、最後はみんなで写真を撮ったのも覚えてませんでした。(何しに東京まで行ったのやら…。)   でも素材が高級なだけではこんな満足を提供できるとは思えません。出汁にしろ、素材の下ごしらえ、そして器やお漬けものまでのこだわりがあっての事なので、日本料理の奥深さには改めて敬意を表しました。そんな話を大将にすると「ありがとうございます。でも本音を申し上げると最近はお客様の方がいろいろ料理や食材の事をご存知の事が多く、レベルが高い方が多いのでこちらも勉強に必死なんです…」との事。まぁ、たしかに当院でも非常に知識レベルの高い患者様が来られて驚く事もありますね。どこの業界も安泰はなくなり、常に勉強し続けなければならないって事でしょうか。     そんな訳で翌日は二日酔い気味で学会に出席する事に。当院ではシワやたるみ・クマにはカクテル注射、脂肪によるたるみには新輪郭注射が圧倒的人気ですが、シミや毛穴・美肌に効果的な注射が少ないので、何かいいものがないかなぁと探していたところ、ありました、ありました! 鮭から抽出したポリヌクレオチド(核酸)が主成分の「リジュラン」という注射です。 2009年に韓国の美容クリニックを見学に行った時に「これからはDNA注射だよ」と言われた事がありました。その後鮭のDNAから抽出した核酸を配合した注射が「サーモン注射」として日本にも上陸しましたが、何がいいのかよく分からなかったんですが…。今回の講演では、ポリヌクレオチドは表皮の基底膜や真皮の線維芽細胞に作用していろいろな成長因子の産生を促し、皮膚のキメやハリを回復するだけではなく、傷んだ基底膜を修復して炎症や赤み・シミ・毛穴も改善するという事でした。 写真では劇的な変化は分かりにくいが、患者様の満足度は非常に高く、かなり痛い注射だという事が難点であるにもかかわらず、リピート率は非常に高いそうです。Nちゃんが痛くてもミルクピールをしたがるのと同じですね。ヒアルロン酸やボトックスを混ぜて注射してもいいとの事。表皮基底膜と真皮に作用するため、皮内注射で浅く細かく打つので余計痛いらしいのですが、皮下注射で同じ効果が出れば痛みは軽減するはずです(一般的に注射は皮膚に浅く打つほど痛いので)。 仲良しの担当者がいる輸入業者が輸入している注射だったので、早速半顔試験をして結果を提供するからサンプル頂戴…って交渉してみました。シミや美肌に効果的な注射ができそうでちょっと楽しみです。       話をグルメに戻しますが、グルメと言えば「美味しんぼ」だったり「クッキングパパ」なんかの漫画が有名だし、ワインなら「神の雫」だったり、小説やテレビ番組より圧倒的に漫画の方がこだわりのある作品が多いと思いませんか?   例えば海外だったらワインの評価はパーカーポイントのパーカーさんのように評論家とか権威をもった人(大体そういう人は業界雑誌などを主催しています。ファッション界であればヴォーグ編集長のアナ・ウィンターであったり…)の評価を前面に出すのですが、日本の高級食材店とかでは「美味しんぼで紹介された」というようなPOPをよく見ますし、ワインショップにおいてはどこかのワインは必ず「神の雫」に出ていたあの幻のワイン…みたいな事が書かれてますよね。それって考えてみれば凄い事だなと思います。 権威って「よく分からないけどあの凄い人が言ってるんだからそうなんだろう…」って思い込ませるのと同じだと思うのですが、日本の漫画は何かそのような権威があるように思いませんか? 漫画の作者は権威ではないのですが、尋常ならぬ情報収集と勉強をし、それを分かりやすく一般人の日常を舞台にしてその仕組みやロジックを解説し、(たまには「それはないでしょ!」って事もありますが…^^;)読者はそれをきちんと理解して消化した上で楽しんでいるのです。よく分からない権威を無条件に信じる人達より、日本の漫画読者ってかなりレベルが高いんじゃないかな…と思います。要するに漫画で解説された内容に納得した人たちが「神の雫」で紹介された…というPOPを見てワインを購入してるんですよね。逆に言えば自分が納得しなければ買わないとも言えると思います。     実は、これは日本において海外の美容業界メーカーが非常に苦労している点なんですよね。一言で言えば「権威」が通用しにくいのです。日本の美容業界では消費者が権威を無条件に信じるのではなく「自分で納得しないと受け入れない」という傾向が強いようなんです。 海外だと「誰々が効果があると紹介した」という事だけで新しい治療や薬品が普及するので、海外メーカーのマーケティング担当者はとにかくカリスマドクターやカリスマモデルを作る事に躍起になります。ところが日本ではこの手法があまり通用しないらしく、マーケティングの担当者は非常に困っているらしいのです。 日本の美容医療業界で一番有名な人と言えば何といっても「イエス! Tクリニック!」の院長ですが、彼は権威と言うよりはタレントや芸人の方に分類されているし(ただ、私は個人的には彼は美容医療業界への貢献は非常に大きなものがあると思いますし、真面目な取り組みも多いので一定の尊敬に値するとは思っていますが…)カリスマとはちょっと違いますよね。   海外メーカーの担当者の言葉を借りると「日本の消費者はレベルが高いのでやりにくい」のだそうです。かと言って、先に私自身も学会に出席して仕入れた情報を少し記載しましたが、誰でも分かるように書くというのは非常に難しくて、資料から切り出した専門用語が並んだだけの解説になってしまいがちです。       …という事で、私は日本の健全な美容業界の発展の為には、美容業界のあれこれをきちんと勉強して正確なところをを描いてくれる漫画家の先生にご登場いただくのが一番ではないかと思うんです。美容業界の海外メーカーのマーケティングの皆さんもおかしなところに宣伝広告費を使うのではなく、皆さんで基金を作って漫画家の育成を行った方が良いのではないか思います。美容業界の健全な発展の為に宣伝広告費から一部基金を出してもらい、若くて新進気鋭な漫画家を発掘し、私とコラボして新しい漫画を発行する。題して「美の雫」プロジェクトです!(…どう考えても質の悪いパクリですが、私の能力ではこの程度が限界でして…^^;)。このプロジェクトが実現した暁には、漫画の題名は漫画家の先生に考えてもらう事としましょう。) この通信を読んで興味を持ったメーカーさんやマーケティングの担当の方は是非ご連絡くださいね!! まぁ実現は非常に難しい企画ですけど、何事も夢を持って言い続けるといつの日か叶う日が来るかもしれませんし。せっかく当院のホームページもスマホ対応にリニューアルした事だし、良い漫画家の先生との出会いがあるまでは、自分で少しずつでも「分かりやすい美容情報」をお伝えできるようにネタを仕込んでおくとしよう。いつの日かこの「美の雫」プロジェクトが実現するように、皆様も応援してくださいね。勿論、新しい治療の開発は今まで通り取り組んで行きますので、乞うご期待!  

第170回「友達100人できるかな?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。やっと暖かくなって春らしくなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? お花見は行かれましたか? 桜の花の下でビニールシートを敷いてお弁当食べたりカラオケ歌ったりと、春の陽気の元で外に出た解放感もあって、多少の羽目を外す事が許されるのも日本ならではですよね。ただ、桜の花ってあれほど美しいのに実際の見ごろは2週間くらいしかないのですが、その儚さもまた日本人の心をぐっと掴んで放しません。 桜の花を見ると春の到来という嬉しさもありますが、私は別れの印象の方が強いかもしれません。かつて一世を風靡した森山直太朗の「さくら」の歌詞の中でも、「さらば友よ、またこの場所で会おう…桜舞い散る道の上で…♪」って部分が頭の中でリフレインします。 「出会い」って、出会ったすぐにはその人との出会いがそんなに重要だとは分からず、時間を重ねていく中で得難い友達だった…というのが分かってくる訳で、映画にあるようなセンセーショナルな「出会い」は現実の世界にはそんなにある訳ではないと思いませんか? それに引き換え「別れ」の方は今まで積み重ねた時間と関係を一瞬にして奪ってしまうものだから、心に与える影響としては出会いよりずっとインパクトがあると思うのです。たとえその人が無二の親友や恋人の関係でなかったとしても、「失う」という時が来てしまうと「失うものの大きさ」が切々と心に影を落とします。 当院でも2009年からアルバイトに来てくれていた韓流B君がついに大学を卒業し、大企業に就職が決まって東京へと巣立って行きました。途中2年間徴兵で韓国に帰っていましたが、それ以外の6年間、クリニック最優先で働いてくれました。韓流B君は頭脳明晰な上、パソコンが得意なのでクリニックには欠かせない存在で、ホームページの編集やシステム関係は全て担当してくれていたので、学校の必須科目以外はほぼ出勤、帰省もクリニックの都合に合わせてくれていました。これまでで最もクリニックに貢献してくれた人だと思います。他のスタッフとも仲が良く、スタッフの中でも一番信頼されてたんではないでしょうか。 最初に当院でアルバイトを始めてくれてから8年の時が過ぎ、いよいよ別れの時が来てしまいました。勿論当院にとってはあまりにも寂しい事なんですが、本人にとっては、海外から留学して、努力を重ねて日本の国立大学を卒業し、誰もが知る日本の大企業に就職して旅立つ訳なので、笑顔で送り出してあげなきゃいけませんよね。本当にありがとう! でも実は…東京での研修を終えて希望の大阪勤務になれば、土日は当院にバイトに来てくれるかも…と言うのでちょっと期待しています…(^_-)-☆ B君は英語もペラペラでフランス語もできたので、モナコの国際学会にも2回同行してもらいました。荷物持ち兼通訳で活躍してくれた記憶があります。韓国の研究会に一緒に行った時は自宅にも招いてもらったり、お母さんや妹さんが日本に来られたりして、家族ぐるみの付き合いでした。人手不足の折にはB君の友達をアルバイトに連れて来てくれたり、本当に当院に貢献してくれたと思います。今後もいい関係を続けられたらいいなぁと思います。 もう一人、B君ほど長くはないのですが去年からクリニックに勤めてくれたKiさんも結婚退職する事になりました。Kiさんは中国籍ですが、両親の仕事の関係で幼稚園から高校まで日本にいたので日本語はペラペラ。おまけにドイツにも留学していてドイツ語も英語もペラペラという秀才です。何でもよく知ってるのでB君が「博士」とあだ名を付けていました。KiさんとB君は仲がいいからかよく喧嘩していたので、2人がいなくなると静かになって寂しい気がします。KiさんがB君に「失礼なやっちゃ!」「あっち行って!」と、よく喧嘩を売っていたのが懐かしく思い出されます。 さて、春と言えば出会いの方はなんと言っても「入学」ですよね。ちょっとお年を召した方なら絶対ご存知と思いますが、「一年生になったら…一年生になったら…友達100人できるかな…100人で食べたいな富士山の上でおにぎりを…パックン パックン パックンと」って歌ありましたよね。これって昔はランドセルメーカーの陰謀か「小学一年生」という雑誌を売るために小学館が仕掛けてたのか知りませんが、必ず春になるとどこかで聞いたものです。 ちょっと気になってネットで調べてみると、なんとこの曲は太平洋戦争の頃からあったそうですが、何年に作られたかは不明なのだとか…。それ以外にも、この曲はなんだか疑惑が多いようです。作詞者のまど・みちおさんは「ぞうさん」などの童謡の作詞家としても有名なんですが、作曲者の山本直純さんは1932年生まれなんで戦時中は9歳から13歳となり、作曲者として作品を世に出すにはあまりにも早すぎなんじゃない? というのも疑惑の一つ。 そしてこの曲最大のミステリーが「人数が1人足りないがどこに行ったのか?」という疑惑です。え? なんの事? …って分かりませんか? 実は友達が100人いるのだから自分を合わせると101人が富士山の上でおにぎりを食べているはずなのに、実際に食べている人は100人なんで1人合わないのです。これが「一年生になったら…で消えた1人のミステリー」です。この事について色々な人がそれぞれの解釈を述べられていて、それぞれが面白いので、興味ある方はネットで検索してみてください。いくつか面白いのを紹介すると… 1.彼女になった 登っている最中に恋が芽生えて、友達から彼女にランクアップしたというふざけた展開。だから友達100人で登ったけど、友達から彼女になった子が1人いるから、おにぎり食う頃には友達は自分含め100人しかいないよって事。戦時中にそんなマセたガキがいたのか? 2.宗教の違いでおにぎりを食べられない 友達100人そして自分も富士山の上まで登ったものの、1人だけ宗教の問題からおにぎりが食べられない子がいた。まぁ…豚肉入りのおにぎりだったらあり得るかも。 3.生きているのは1人だけ 富士山の上というのは、実は天国の事。つまり、富士山の上でおにぎりを食べている100人はすでにあの世の人であり、1人だけ生き残ったからこそ、数が合わないように感じたのだという話。…怖ぁ! そして最もエキセントリックなのがこれ。 「この歌が流行りだしたのは戦時中である。疎開先で子ども達は食べるものが無く、空腹は限界だった。その中に1人、足が悪い子どもがいた。どうせ日本の役にたたないと判断した子ども達は足の悪い子を殺し、その肉を食べ飢えを凌いだ。しかし、子ども達は人肉の味に感動した。子供たちは美味しいもの=おにぎりとしか知らなかった為、この人肉にもおにぎりと命名した。おにぎりの美味しさに感動した子ども達はこの曲を作って残したと言う」 …なんじゃ! それは! もはや解釈を通り越して新たなホラー創作の域に入っているじゃないですか。まぁ…それはそれですごい才能なのかも。私はそのミステリーより、もっとこの歌を思い出すと気になる事があります。それは「そもそも友達が100人もできる訳ないし…って思ってたら現代になってSNSが登場し、Facebookの友達に何百人も登録されている人が沢山出てきちゃった…」って事です。 自分が小学生の当時を思い出すと100というのは現実離れした特別な事を表す為の数字だったように思います。何かあった時「じゃぁ100万円賭ける?」ってよく言ってましたが、ハイパーインフレ時代のドイツマルクでもあるまいし、小学生が100万円を賭ける事ができる訳もなく、100という数字は何かを「超越した」時に使う象徴なんですよね。 つまりこの歌で「友達100人できるかな?」というのは小学生になる子供にとっては現実を超越した何か夢物語の世界であった訳です。それは小学生だけでなく、普通の大人だって友達が100人もいる人はそうそういないはずです。勿論、Facebookの友達リストが100人を越えている人だって、現実の世界で友達が100人以上います…なんていう人はほぼいないと思うのです。 でも昔だったらリアルな友達にしか言わなかった旅行の思い出とか、美味しいお店を見つけた話とかを、ネットを使って実際に何百人にもシェアしている訳ですよね。さらにSNSって同世代の友達だけでなく、親兄弟や会社の上司とかもシェアしている人も多いので(会社の上司が友達申請をしてきて断るのも悪いと思って許可したとしても…(^^;)「自分の思いをシェアするのは友達」という定義で言えば、本当に「友達100人できるかな?」は現実の世界になってしまった訳です。それに富士山でおにぎりをパックン パックンってやっているのはもしかすると富士山の頂上の下には雲が広がっていてその上で100人の友達が楽しく日常をシェアしているのであれば、まさにクラウドの上に展開されるSNSじゃないですか!!(ま…さすがにこれは解釈の飛躍か…。) まど・みちおさんが「友達たくさんできるかな?」って歌詞にせずに「友達100人できるかな?」という歌詞にした才能には本当に敬服します。この小学生が「友達100人できるかな?」っていうのはすごく象徴的でいいですよね。(その後の消えた1人のミステリーはともかく…(^^;)さすが「ぞうさん」の作詞家です!! そう言えばこっちも「ぞうさん、ぞうさんお鼻が長いのね。そうよ母さんも長いのよ」…って、う~ん。なんだか分かったような分からないような…意味が深いのかよく分からない。一体何が言いたいのか? もし母さんが短かったらどうなるのか? 母さんも長いって事をあえて聞かせようとしているのか? 童謡って解釈の余地がふんだんにあるというのがまたいいところなんでしょう。 話は変わりますが、当院も春は別れだけではありません。出会いの方は、巣立っていく2人に代わって活躍してくれそうな、中国籍のKa君とKyuさんが来てくれました。Ka君は日本語はあまり上手ではありませんが、数学が得意なのでポストB君の役割を果たしてくれそうです。そしてとても優しくて気が付くので他のスタッフからも大人気。Kyuさんは3月に中国から直接来た人ですが、福建省一の大学卒で、当院の採用試験過去最高点の優秀な人材なので期待大です。 それから、久々の日本人の新人も入りました! 大学卒業後、1年間カナダで働きながら英語の勉強をしたというガッツのある子です。3年前からいてくれているNちゃんが教育してくれるので、新人もすぐに育つと思います。入れ替わりの時期には皆様に少しご不便をおかけするかもしれませんが、できる限りご迷惑をおかけしないように頑張りますので、皆様も暖かい目で見守っていただければと思います…<m(__)m>。 ところで、このまど・みちおさんという方、1994年に児童文学のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞・作家賞を日本人で初受賞し、104歳で大往生されたそうです。 「ぞうさん」についてはご本人が下記のように解説された記録が残っているので引用させていただきます。 「ぞうの子は、鼻が長いねと悪口を言われた時に、しょげたり腹を立てたりする代わりに、一番好きな母さんも長いのよと、誇りを持って答えた。それは、ぞうがぞうとして生かされている事が、すばらしいと思っているからです。だからこの歌は、ぞうに生まれて嬉しいぞうの歌です。目の色が違うから、肌の色が違うから、すばらしい。違うから、仲良くしようという事です」 実は先に記載した韓流B君から、「このままクリニックに就職するという選択肢も考えていいですか?」と言われた事がありました。その時はすでに大企業のN社に内定が決まっていたにも関わらず…です。普通に考えると、優秀な頭脳を持ち、国立大学を卒業して大企業に就職が決まるような人が、そんな事を考えてくれるなんてあり得ないじゃないですか? 数人のスタッフでなんとかカツカツ運営している「ちっぽけ」なクリニックに、実現しなかったとは言え「このまま就職を考えもいいですか?」と言ってもらえた事は、私にとって大きな喜びでした。 ぞうさんがぞうである事を誇りにしたように、私も「ちっぽけ」は「ちっぽけ」なりにクリニックを精一杯運営している事に誇りを持って、これからも生きていきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

第169回 (2017年4月)「復活なるか? 忘れられた施術」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。もうすぐ春だというのに、まだ寒い日もありますね。早く暖かくなってほしいけど、暖かい日は花粉症が大変という方も多いのではないでしょうか。プラセンタ点滴は花粉症にも効果的ですので、ぜひお試しくださいね!・・・って、いきなり宣伝になってしまってすみません。私も花粉症やアレルギーがあるんですが、点滴をするとやはり楽なので、ついお勧めしてしまうんです。さて今月は、久々のクリニック潜入調査です! かなり長い事やってなかったので最近の患者様には馴染みが薄いと思いますが、私が患者さんを装って他の美容クリニックに行き、そこで得た情報を記載させてもらうというもので、過去数回このクリニック通信に書いたのですが、いずれも大反響でした。最近はインターネットの口コミサイトである程度の情報はとれるようになりましたが、ネットの口コミって極端に文句を言う人や、逆にステマじゃないかと思うようなベタ褒めコメントもあったりして、誰の言う事を信じていいのか分からないですよね。そこで私の目から見てどうなのかというのを潜入調査して、レポートをお届けするのがこの企画です。(勿論、治療費は自腹です・・・(^_^;) 以前は神戸のクリニックなども潜入調査をしてたのですが、最近は流石にバレてしまう事が多いので、もっぱら学会のついでに東京の美容クリニックに行く事が多くなり、先日も東京で開かれた「医療アートメイク学会」に参加して、そのついでに潜入調査をしてきました。アートメイクって、法律上は医師が施術しなければならない・・・って、知ってました? でも実際には医師が施術してるアートメイクなんてすごく少ないですよね。日本でも、韓国や中国でも、法律上はアートメイクの施術には医師免許が必要だけど、無免許での施術が黙認されている状態のようです。しかし先日、クリニック内なのに医師免許を持っていない人が施術したという事で、院長まで逮捕されるという事件があったようです。(よっぽどひどい事してたのか、患者さんからのクレームがあったのか??)それを受けて、あのフィロルガを打って元気いっぱいの東京のI先生が、厚生労働省の協力のもと、アートメイクを安心で安全なものにするべく研究および技術の研鑽をしていこうと立ち上げた学会が「医療アートメイク学会」みたいです。まだ立ち上げたばかりの学会なので、これから安全な機器や色素の選定・開発、レーザーでの安全な除去方法の確立、技術の向上や認定制度の設立など、しなければならない事が山積みのようですが、無資格のアートメイクはやはりリスクが高いので、早く安全な「医療アートメイク」が浸透すればいいですね。 学会には有名なメイクアップアーティストの講演もあり、眉やアイラインのトレンドやデザインのコツなどの話もあってなかなか面白かったです。アートメイクって皮膚に針を刺すので医療の範疇である事は分かりますが、やはり満足度を上げる為にはメイクアップのセンスがないとダメですね。医療って医師免許が個人に割り当てられるので仕方ないのですが、実際の現場の仕事は一人の人でバランス良く必要なスキルをすべて持っているケースは本当に稀です。例えば外科手術にしても医師としての知識や頭の良さは必要ですが、それ以上に細い血管を縫合したり、神経を避けて綺麗に腫瘍を切り取るなど「職人」としての手技が必要になります。前者だけであれば研究所の研究者タイプになりますし、後者は伝統工芸の職人さんみたいな人ですので、両方を持っている外科医って本当に稀なんですね。さらに言えば手術中はどんな不測の事態が起こるか分からないので、常に冷静で鉄の心をもっていなければなりません。そうなると、もうブラックジャックくらいしかいなくなってしまうんですよね・・・。アートメイクは古くは入れ墨から発展した世界ですが、それと医療とメイクアップ技術が結びついて新たな世界へと進化してくれるといいのですが。 さて、学会の後は潜入調査です。今回は美ST No.1クリニックに選ばれた「Gお肌の研究所」にターゲットロック。・・・ホームページを見ると、「シミ・シワ・たるみ治療専門美容皮膚科クリニック」ん? どこかで聞いたような? 先生は真面目でこだわりの人のよう。どうしてこのクリニックを選んだかというと、少し前から美STで話題の「ミルクピール」を体験したかったからです。え? ピーリング? 皆様はご存知ですか? 15年前、私が開業してすぐの頃にはどこの美容クリニックでも凄く流行っていましたが、いつの間にかすっかりすたれてしまい、今ではメニューから外れてしまった施術です。ニキビはまだしも、シミやシワには効果ない・・・と学会でも発表されていました。そんな過去の栄光と忘れられたピーリングに、最近久しぶりにスポットライトが当たっているらしいのです。 美ST紙曰く、「他のどんな治療でも得られないような艶肌を15分で手に入れられるフランス発のミルクピールは、直後効果の勝利。肌の入れ替え治療として一時流行ったフラクショナルレーザーですが、1週間のダウンタイムを根気強く我慢するのが残念ながら当たり前。今年も美容医療のキーワードはノーダウンタイム。遠くからでも輝きが認識できる美肌が15分で手に入るミルクピールは、期待のニューカマーと言えるでしょう。フランス発のミルクピールが韓国女性を虜にした後、満を持して上陸!」なんだとか。ダウンタイムがなく安全で、直後の艶感が半端ない!ってほんと? 私も開業当時は相当ケミカルピーリングを研究しましたが、やはり酸なのでお肌の弱い方には合わない事も。当時は乳酸とグリコール酸の濃度を変えて手で試し塗りをし、その方に合う方の酸と濃度を診断して・・・と結構手間暇かけていましたが、ミルクピールの記事を読むと「3種類の酸を絶妙な割合で配合し、リスクを最小限に抑えつつ、各々のメリットを最大限に発揮できる」とあります。誰にでも同じ濃度の酸を塗ってリスクが最小限? ほんまかいな・・・でも芸能界でも一発屋として消えていった後に数年のブランクを経て見事に復活を遂げた「美川憲一」のような人もいるし。う・・・ん。古すぎて分からない人には「有吉弘行」みたいな人という事にしておきましょう。彼は一度芸能界を干されたのに、復活を遂げた後は見事に進化してパワーアップしましたね。そんな事を考えながらカウンセリングに。 先生は雑誌に載ってる笑顔より、かなり愛想が悪い・・・(まぁ、私も全然愛想ないので人の事は言えませんが・・・(^_^;)。リスクやダウンタイムの事を聞くと、やはり雑誌の謳い文句よりはずっとリスクが高そうです。ミルクピールの他にもマッサージピールというのもあって、これはTCAという非常に強い酸に過酸化水素を加える事によって、皮膚表面の反応を抑えて奥の方の反応だけにし、お肌にハリを出すものだとか。私があれこれ聞くと、先生は英語の文献まで出して説明してくれました。しかし、いざ施術・・・となると、私が花粉症が出ていて肌が荒れ気味だったので「やっぱり赤くなったりかさぶたができたりする事はありますよ。酸だからね。酸の濃度が合計で65%もあるし、調子の悪い時はしない方がいいよ」とあっさり断られてしまいました。その慎重さがいいんですかね。まぁその日は別件の打ち合わせもあるし、かさぶただらけになってもなぁ・・・と断念。「ウルセラなど他のたるみ治療は・・・?」と食い下がってみましたが、「痛いし時間がかかるよ」と何もしてもらえませんでした。私がよっぽど胡散臭かったのか? 潜入調査がばれたのかな? 残念。今回の潜入調査は失敗・・・。ま、実際にリスクがあるからできませんよ・・・と断るというのは良心的な話であり、そういう結果になったというのも、事実をありのままにお伝えするのがこの企画の良さだと自分で勝手に認識して帰路につく事にしました。 帰りは有名なTクリニックの幹部ドクターである後輩H君と新幹線を一緒にして色々と情報交換をする事にしました。H君は昔私が開業する前に大阪で美容外科の雇われ院長をしてたので、見学に行って美容医療のイロハを教えてもらった人です。(当時、私のおでこに大量のボトックスを打って怖い顔にしたのも彼ですが・・・。)元々は整形外科時代、私がS病院にいた頃の後輩とH君が仲が良かったので、一緒に飲みに行ったりしていた仲でした。彼は途中から整形外科を辞めて形成外科に転科し、その後美容外科を始めたのです。私が整形外科から美容医療に転向してからは学会にも何度か一緒に行った事があり、PRPの発表を見て「なんかすごい効果の出る新しい注射があるみたいですよ」と教えてくれたのも彼でした。しかし彼はその頃人生に疲れていて「美容外科なんか嫌いだ。全然面白くない。ブツブツ・・・」と愚痴ばっかり言ってたので、あまりにもブラックなオーラを発していた彼とはだんだん会わなくなってしまいました。そのうち数年が経ったんですが、年賀状のやり取りやごくたまにメールや電話はしていたので、Tクリニックに勤め出したのは知っていました。今回はせっかくH君に会うので、有名なTクリニックにも行ってT院長を紹介してもらい、Gひろみの若さの秘訣でも聞こうかな・・・(^^)なんてミーハーな事を考えてたんですが、彼の語るTクリニックの話は非常に面白くて、Gひろみの話はつい聞きそびれてしまう程。ちょっと内輪の事情が多いので紙面で書く事は憚られますが、どこのクリニックにもそれなりな事情があるようです。 しかし10年が経って彼も腕を上げたのか、Tクリニックの稼ぎ頭になったようで、一人で月何千万も売り上げを上げてるんだとか。売り上げの10%が歩合になるそうなんで、それだけでもたいした収入です。昔愚痴ってた頃は、なんだか良くわからない先物取引で負けたり、家を買ったら変な物件を掴まされて大損したり、何かとついてなかった彼ですが、今はTクリニック以外にも病院を買ったり転売するような事業もしていて、ついには豪邸?も買って、とっても人生が上向きになったようです。以前のような愚痴は減って、かなり前向きな話が多くなっていました。彼も有吉弘行みたいに見事に復活した人の仲間入りかな。いや彼の場合は芸風変えて再ブレイクを果たした美容外科界のオリエンタルラジオって感じかな。人生ってどうなるかは本当に分からないもんですねぇ。「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・♫」って相変わらず古い曲が私の頭を駆け巡りました・・・(^_^;)。 さて東京から帰って、今まで好評だった人気企画をこのまま失敗談で終わらせるのは良くないと思い、再度チャレンジを決意。神戸でミルクピールをしているところを探してスタッフNちゃんの名前で予約したんですが、「保険証を持って来てください」と言われてしまいました。私の保険証を持っていくと流石にバレるので、仕方なくNちゃんに代わりに行ってもらう事に。身代わり役を果たして無事帰還したNちゃんの一言目は「先生! めっちゃ痛いですよぉ!!」Nちゃんはめちゃ痛がりだからかもしれませんが、ヒリヒリしてビックリしたそうです。施術後もしばらく痛く、赤くなって翌日はガサガサに。ニキビはひいて1週間ほどしたらツルっとしたそうですが、雑誌で謳われてるような「ランチタイム15分で艶肌に!」ってものでもなさそうです。一度沈んだピーリングが見事な復活劇を果たすには、まだまだ研究の余地がありそうです。ただ、私も興味があるので取りあえず薬を取り寄せて試してみる事にしました。結果はまたご報告しますね。H君のように芸風変えて?バンバン稼げる訳ではないですが、地道な研究もそれはそれで楽しいので、私はこっちの方が合ってるような気がします。「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・♫」これからも皆様のお役に立つ治療を研究して提供していこうと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します!

第168回 (2017年3月)「うちはブランドで言うと?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。雪がちらつく寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば・・・夏に大阪で更新したパスポートが受け取りに行けず、バタバタしているうちに半年の期限が迫って来てパスポートセンターから何度も催促の電話があり、一番寒い時期に大阪まで受け取りに行かねばならなくなってしまいました。またマイナンバーカードもずっと取りに行かずに放置してたら、ついに今年の確定申告には必要になってこれまた期限ギリギリに。何でもギリギリになってお尻に火がつかないとできない母親譲りの性格を恨めしく思いつつ(父は真逆で何でも前もって計画的にするタイプ。少しでも父に似てたら人生もう少し楽だったかも・・・)、両方を1日で済まさねばならなくなってしまったので、先日神戸→大阪→池田→神戸という小旅行(??)をしてヘトヘトになってしまいました。(普段は自宅とクリニックの往復なので、これくらいの距離でも小旅行に等しいという情けなさ。ホントこの運動不足はなんとかせねばなりません・・・。知り合いの美容外科の先生は神戸院と東京院を毎週往復されていると聞いて、そのタフさにびっくり。少しは見習わないといけませんね・・・。) 真冬に大阪市内なんてもう十年以上行ってないし、その日も雪がちらつく寒さだったので厚着をして行ったら、大阪の地下鉄や地下街って思ったより暑いんですよねぇ。余分な上着を脱いで持ち歩く羽目になり、余計に疲れました。そして神戸に比べて人の多い事・・・。すっかり田舎者になった気分で梅田を歩いていると、百貨店のショ-ウィンドウいっぱいに「チョコレート博物館」が。そうか、もうすぐバレンタインなんだ・・・! 大阪人の商魂はたくましく、チョコレート業界の陰謀も派手さと華やかさが半端ない。そんな街を自分だけが事務的な用のために速足で歩いてる虚しさはなんとも言えません。「やばい! 最近の忙しさにすっかりバレンタイン忘れてた。早く義理チョコか義理酒を贈らねば、また今年も『遅れてごめんね』シリーズになってしまうではないか!」・・・と思いつつも時間に追われてバタバタしていると、いつもバレンタインには素敵なプレゼントをくださるK様が、今年は「チョコいちご」と「チョコバナナ」をくださいました。フリーズドライの果物にチョコレートがかかってる・・・とお聞きして、「美味しそう!」スタッフたちもワクワク。早速休憩時間にいただこうとすると、「チョコバナナ」にはチョコがかかっていますが「チョコいちご」はフリーズドライのいちごそのままで、チョコがかかっていません。不思議に思いながらつまんでみると、クリーミーな味わい・・・。説明書を見ると、なんとフリーズドライのいちごに独自の製法でホワイトチョコをしみ込ませてるんだとか。「へー、こんなチョコもあるんだね~」ってみんなでビックリ! いつもK様のお洒落なセンスには感服してしまいます。 そんな折、もう一つチョコのプレゼントが。PCの保守を依頼してる会社Aの担当者Oさんが、呼んでもいないのに突然クリニックに。A社というのはPCに不具合があった時に電話すると自転車に乗ってすぐに見に来てくれるという便利な会社で、Oさんは7~8年前から当院の担当です。(私がどんくさい子には厳しいのでA社の若い子がびびってて、Oさんは課長になっても担当をはずせないのだとか。)PCに詳しい韓流B君が今年は大学を卒業し、大企業N社に就職が内定していて4月からは東京に行ってしまうので、Oさんのクリニック訪問回数は激増するであろうと言われています。なんせ当院はB君以外は私を含めPC音痴がそろっているので、B君がいない時はOさんやその部下は当院のスタッフと間違えるくらい長時間滞在してPCの不具合を見てくれたりしていました。(そんなに時間かかるもんなん?油売ってるだけちゃう?とも思うのですが、彼らも会社に帰りたくない時もあるようで・・・(^_^;)そんなOさんが「先生、ハイこれ」って、ロッテのラミーを持って来てくれました。皆さんはロッテのラミーって知ってます? 冬季限定の板チョコでラムレーズンが入っててめっちゃ美味しいのに普通に200円以下で買えるんです。チロルチョコレートがブランドで言うところの「しまむら」だとしたら、明治の板チョコが「ユニクロ」、ラミーでようやく「GAP」かな・・・。日本発の新星エスコヤマが「イッセイミヤケ」だとしたら、有名なゴディバは「ルイ・ヴィトン」か? その他、大丸やそごうのバレンタイン特設ステージにブースを出すような有名パティシエのチョコは「アルマーニ」や「プラダ」「バーバリー」みたいなもんで、私の知る限り最も高価なチョコの「ブルガリ」はやっぱり「ブルガリ」ですな・・・(^_^)。・・・と知ってるブランドをありったけ列記して知ったかぶりしてみたものの、本当にあってるかなぁ? まぁ・・・要するに「ラミー」とかはブランドとしてはギリギリ「ZARA」に及ばないので普通にプレゼントであげるものではなく、専ら自家消費用です。ましてや大事な日に「愛の告白」のために贈るようなものでは絶対にない訳です。しかしながら、私がクリニック通信第108号(2012年3月)に「私はバレンタインデーに出回る高級チョコより、普段気軽に買えるロッテの「ラミー」の方が1/5位の値段でずっと美味しいような気がしています。チョコレート業界もバレンタインの波に乗るだけでなく、見掛けや雰囲気よりも本当に美味しいものを追求して、中身が充実したチョコをリーズナブルに提供して欲しいものだ・・・と思うのは私だけでしょうか? 美味しさと価格を考えると、ラミーの右に出るチョコとは今までほとんど出会ったことがないので、バレンタイン以外はもっぱらラミー派の私です」・・・って書いた翌年から、Oさんはバレンタインが近づくとラミーとバッカスを持って来てくれるようになったので、えらいクリニック通信読み込んでるやん・・・って別の意味で嬉しくなりました。A社の給料では精一杯の誠意(・・・ごめんなさい。A社でOさんがいくら給料もらってるかは知らないんですが、A社を紹介してくれた友人Mが「いやぁ・・・時給ランキングで言えばかなり・・・あれだと思うよ。みんなよく頑張ってるよねぇ・・・」と言ってたので、大変なんだろうな・・・(^_^;)・・・と。あ、Oさんこれ読んでも気を悪くしないでね!)なのかもしれませんが、それでもきちんと相手の好みを把握して持ってきてくれると「あぁ、自分の事をちゃんと理解してくれてるんだな」と思いますし、自分もそうでなければ・・・って思います。Oさんありがとう! 話は変わりますが、当院のスタッフで男とも女とも言い難い、純粋に美を追求するジェンダーレスT君が「いい美容室があるから」と、ある美容室を紹介してくれました。そこでのT君の担当Iさんは「理論をきっちり説明してくださるから、きっと先生と合うと思いますよ」・・・とT君。最初はT君と一緒に行って、カットをしてもらいました。私は癖毛で、それを落ち着かせるカットはすごく難しいらしく、今まで気に入ったカットをしてくれた美容師さんは数えるほどだったのであまり期待はしておらず、カットの直後はまぁまぁかな・・・という感じだったんですが、髪が伸びて来るといい感じになってきたので、2回目のカットの時にカラーの相談もしてみました。私はアレルギーがあるので、カラー剤も合わない事が多く美容師さん泣かせです。ゼロテクと言って地肌にカラー剤を付けない面倒なテクニックを使わないといけないし、でもギリギリまで塗らないと持ちが悪いし・・・。前に行ってた美容室のカラー剤は合ってたのでそれがあったらしてもらおうかなと思って聞くと、同じ薬剤はないけどパッチテストもできるとの事。しかしパッチテストは24時間カラー剤を塗ったテープを貼ったままにしないといけないのでその日はカラーができません。がっかりしてるとIさんが「ではハイライトを入れてみてはいかがですか?」と提案してくれました。 「ハイライトなら地肌には付けないので今日できますよ」との事。それに白髪を染めると暗くなりがちな髪の色を明るくできるし、部分的に明るくする事で目がごまかされて白髪も目立ちにくくなるんだとか。今までの美容室ではどこでも髪の色を明るくしながら白髪も染めるのは難しいと言われていたので、新しい提案です。「じゃあやってみようかな・・・」ハイライトは初めてだったので、どういうふうに塗るのか興味津々。髪を何本かずつすくうように取ってカラー剤を塗り、アルミホイルで包むのですが、アルミホイルを途中で折り返すので「髪も一緒に折るんですか?」と聞くとIさんは「そこ聞きますか?!」と嬉しそうに説明してくれます。薬剤を塗った髪をホイルと一緒に折るとそこに薬剤が溜まって色が抜け過ぎるため、髪だけ先に折り返してホイルで包むそうです。今までの美容室では成分の事とか聞きまくって困らせ、「メーカーに問い合わせてみます」とか言われる事が多かったんですが、私が細かい質問をすればするほどIさんは嬉しそうに説明してくれるんです。「そこ聞きますか?っていうマニアックな質問されるから嬉しくて。だって今までそんな質問してくれた人いませんもん。せっかく勉強したのに説明する機会もなかったので・・・」と、水を得た魚のよう。そしてハイライトを入れると、言われた通り明るくなった上に白髪も目立たずいい感じになりました。 パッチテストが大丈夫だったのと、時間が経って白髪もやっぱり気になってきたので次にカラーに行った時、Iさんは「柴田さんにはファッション雑誌よりこっちの方が面白いかなと思って」と、「ヘアケアマイスター」という資格(ヘアケア知識が豊富で毛髪診断が正しくでき、それに対する処置・アドバイスが的確にできる美容師に与える称号)を取るための教科書を持って来てくださったんです。その本には毛髪の構造やカラー・パーマの理論が載っててめちゃくちゃ面白い! 私が「面白い!」と言うとIさんは「でしょ??!」って嬉しそう。「同じ匂いがしましたもん」・・・10年前、PRPが初めて美容治療に使われた時、ポスター発表をされていたM先生に同じ事を言われたのを思い出しました。その時は珍しくポスター討論という時間が1時間設けてあって、その間は演者に質問できたんです。私は興味を持つと次々疑問が湧く方なので、1時間M先生のポスターの前に張り付いてM先生を質問責めにしてしまいました。そういう場で突っ込んだ質問をすると答えられない人もいるのですが、M先生は流暢に答えられ、研究が面白くてしょうがない様子でいろいろ話してくださるので、マニアックな私は同志を見つけた気がして嬉しくなったものです。その後M先生と食事をする機会があった時、「いやあ、しかし先生も探究心旺盛ですねぇ。ポスター討論でも、あんなに突っ込んだ質問をされたのは初めてですよ」「僕と同じ匂いがする・・・って思いましたよ」って言われました。それからM先生と私はPRP友達となり、研究を進める度に情報交換をしました。M先生のお蔭で「柴田式PRP注入療法」が完成できたといっても過言ではありません。あれからもう10年も経つのかと思うと、本当に時の経つのは早いですねぇ。 PRPと言えば、今度Bella Pelleという、美容医療に携わる医師を対象にした医学雑誌の取材を受ける事になりました。Bella Pelleというのは、「美肌をつくるサイエンス」をテーマに、美容皮膚科領域における「科学的検証を経た正しい知識」を発信することにより、適正な診療のあり方を啓発する「日本初の美容皮膚科専門学術誌」だそうです(「Bella Pelle」はイタリア語で「美しい肌」の意味)。その中の「マエストロにきく」という特集で、「高濃度PRP単独注入による美肌再生」というテーマでの取材という事です。取材にはカメラマンも来るというので、少し前に受けた「ワンダフル神戸」の取材の時のように、またジェンダーレスT君にメイクしてもらわねば・・・。人間って不思議に「同じ匂い」がする人ってなぜか分かるし、「同じ匂い」に引かれて集まってくるもんなんですよね。多分だけど当院に来ていただける皆様も何か当院にある匂いが合うので来ていただいているのではないかと勝手に思っています。超バブリーで最高にお高いスイスの「ラ・プレリー」が美容界のブルガリなら、一番知名度の高い「高須クリニック」はやっぱりルイ・ヴィトンか? 品川とか湘南のようなチェーン店はめちゃくちゃバブリーでもないので、カルバンクラインとかポロみたいな感じ? うにゃ・・・違うなぁ。難しい。じゃ当院はなんだろう・・・? 自分ではよく分からないけど、真面目に効果と安全性だけを追求している研究肌なんで、やっぱり「無印良品」なのかな・・・(^_^)? 皆さんどう思います? そう言えば、先日受け取った新しいパスポートと一緒に古いパスポートも返却されました。古いパスポートはちょうど10年前の写真ですが、今の写真より法令線が深かった! 当院にずっと通っていただいている患者様は、初診時より今の方が若々しい方がほとんどです。私の左手も柴田式高濃度PRPを注入しましたが、右手より確実にシワが少なく、その差は開く一方のような気がします。PRPも再生医療新法という法律ができて申請が大変だったのでしばらく休んでいましたが、もうすぐ復活できると思います。これからもPRPやFGFを使った皮膚の再生治療をはじめ、いろいろな方法で皆様のアンチエイジングのお役に立てれば・・・とラミーをかじりながら日々研究に勤しんでいますので、「無印良品」のような美容クリニックが合う方は、今後とも末永くお付き合いをお願い致します。

第167回 (2017年2月)「人の縁って・・・」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。寒い日が続きますが、皆様風邪などひかれていませんか? お正月はどう過ごされましたか? 私はと言えば・・・いつも当院に点滴に来てくださっている、おせち売上全国一のT社を経営されているO様に今年もおせちをいただき、美味しくいただきました。(O様、毎年ありがとうございます!)実家にまでおせちを贈っていただき、92歳になる父も大喜び。母が亡くなって2度目のお正月ですが、父はなんとか元気に迎える事ができました。今年は韓流B君の妹もお正月に日本に遊びに来たので、一緒にO様のおせちをいただいて感激してくれました。O様のおせちも、伝統を重んじつつ毎年新しい変化も取り入れられていて、今年は洋風のおせち素材も多くなっていました。やっぱり何でもトレンドに応じた変化は必要なんだなぁと勉強させていただいた次第です。伸びる会社ってコンビニ見ててもやっぱり常に変化していて、基本はしっかりしながら何かが少し新しいんですよねぇ。 実はお正月にはこのO様のおせち以外にも、毎年ある中華料理屋さんのおせちも買っています。この中華料理屋さんは以前は神戸で一番美味しいと思っていた時期もあるのですが、近年はご主人の高齢化からか営業時間がどんどん早くなり、ラストオーダーが19時とかになってしまいました。これでは普通に仕事をしている人はまず行くことができません。「料理人としては一流の腕なのになぁ・・・」と思いつつも、10年位行ったことがありません。ただここの中華風おせちは美味しいので、毎年一回は人に頼んで毎年買い求めていました。しかし、そんな年に一度の出来事にも今年は変化が・・・。どう考えても今年のできは良くないんですよねぇ。毎年食べているのですっかりおなじみの味なんですが、やはり今年は薄味になり過ぎていて、めっちゃ美味しいと思っていた椎茸も今回は滋味を感じない・・・。私の舌がおかしくなってきたのかと思って、同じように毎年賞味している友人に聞いても同じ評価でした。友人曰く「う・・・ん。今年はダメだねぇ。やっぱりご主人、寄る年波には勝てないのかもねぇ・・・人の事言えないけど・・・残念だね」なんだか一抹の寂しさを感じてしまったお正月でした。 そんなお正月でしたが、年末は非常に楽しい事もありました。京大再生医科学研究所のT教授からDDS再生医療研究会とT研究室の忘年会にお誘いいただき、どちらも参加してきたんです。DDS(ドラッグデリバリーシステム)というのは、ゼラチンなどで作ったゲルにFGF(線維芽細胞増殖因子)などの細胞増殖因子を混ぜて、体内で細胞増殖因子が徐々に放出されるようにし、細胞移植や組織修復の治療効果を高める方法です。DDS再生医療研究会では、高脂血症の治療薬であるシンバスタチンやEPA(エイコサペンタエン酸=青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸。血液サラサラにするってやつですね)とDDSで軟骨細胞の変性を抑制し、膝の軟骨が擦り減る変形性膝関節症の進行を抑制したという研究結果や、PRPとDDSによる皮膚潰瘍の治療、FGFとDDSによる鼓膜の再生治療、コラーゲンスポンジによる真皮の弾性線維の再生医療など、興味深い発表がたくさんありました。DDS再生医療研究会はT先生が代表世話人をされているんですが、今年の研究会の会長は神戸大学整形外科教授のK先生。K先生は以前から膝の軟骨の再生医療の研究をされていて、数年前の細胞再生医療研究会で発表されていたので、その時いろいろ質問して研究会後に名刺交換させていただいたんですが、DDS研究会が終わった後、ホテルの前でK先生と久しぶりにお話する機会がありました。K先生:「あ、先生! 今日はありがとうございました! 名簿見て、あ、柴田先生 来てはるわ、どこにいて            はるんかな~って思てたんですよ」 柴田: 「覚えてくれてはったんですか? ありがとうございます!             先生、EPAとか膝に打ってはるんですか?」 K先生:「いえいえ、まだ実験の段階で・・・。最近は幹細胞の方が多くて」 柴田:  「FGFはどうですか?」 K先生:「骨折には効きます!」 母が骨折した時、FGFを骨折部に打ったら骨癒合が促進した話で盛り上がり、母のために整形に入ってTKA(人工膝関節全置換術)をした話のついでに、遺伝的素因で私も膝が悪くなるだろうという話をすると K先生:「心配しなくても、あと5年10年したらいい治療できますよ!」 う・・・ん。間に合うかな・・・(^_^;)。 再生医療って、医療に光が見えてきますよね。再生医療研究会に行くと、再生医療ってこんなに進んで来てるんだなぁとか、みんないろんな研究頑張ってるんだなぁ・・・と思うと、元気とやる気が出てきます。 もう一つの元気の素が、京大のT先生。変わらぬ大きな声でいつもめちゃくちゃ元気です。忘年会にお誘いいただいた時も、いつも「共同研究しよう!」とお誘いいただいているのに、私の方がバタバタしていてなかなか進んでいないので「忘年会だけ参加させていただいてもいいんでしょうか?」と聞くと「共同研究のことなんかは関係ありません! 忘年会は是非ご参加ください。いろいろな分野の方と交流を深めてください!」という返事が。300人くらい集まる大きな会と聞いて、T先生以外知り合いもいないので恐る恐る参加しました。会場に行くと確かにすごい人数です。私は縁ないですが、300人の忘年会なんて政治家のパーティとかの規模じゃないんでしょうか? なんだか研究者というレベルを超えています。T先生は私を見つけると「先生、こっちこっち! ここ席空いてますよ!」全然知らない人の間に座って「T先生以外知り合いはほとんどいないんですが・・・」と言うと、隣の席の人達も「僕たちも同じようなもんです」・・・。T先生に誘われて、いろいろな分野の人達が集まっているようです。 開会の挨拶でT先生は、「この忘年会を僕は『名刺交換会』と呼んでいます! いろんな分野の人と知り合いになれますから、ぜひ名刺交換してください!」といつもの大きな声。乾杯の後、早速名刺交換が始まります。そうすると、偶然にも前や横の席の人達はK先生の部下、神戸大整形の先生達だったのです。そこに遅れてK先生が登場。部下の先生達に私を「神戸で美容皮膚科してはる先生やねん」と紹介してくださったので、まず神戸の話題で盛り上がり、さらに「前は整形外科してはってんで」と説明してくださったので「へぇ~、そうなんですか!」と整形話で盛り上がってしまいました。中には私の以前の専門と同じ「手の外科」の若い先生もおられて、TFCCという手首の軟骨のマニアックな話で盛り上がったり・・・。そこにいろいろな機械メーカーの人とか旅行会社の人まで入り乱れていろんな話で盛り上がり、いやはやT先生の求人力はすごかったです。こうやって人の「縁」って広がっていくんでしょうね。 人と縁と言えば面白い研究があって、全く赤の他人が出会った時に実はそれが友達の友達だったって事ありますよね。そんな時「へぇ・・・世間は狭いもんですよねぇ。」なんて話になりますが、実はほとんどの人は気づいてないだけで、3名程度の友達を介在すればどこかで知り合いにつながるという事なのです。つまり「友達の友達のその又友達」位で70%位の人がつながるそうです。まぁ・・・自分の行動範囲なんて狭いので「そうかもなぁ」と思うでしょうけど、これが世界規模になったらどうなると思います? 60億人以上も人間がいるので、そりゃ何百人も人を介在しないと知り合いのつながりなんてないと思うのですが、実は世界規模でも平均すると6名位、多くても7名介在すれば誰かの知り合いにあたるそうです。これは大規模な実験でも実証されています。その秘密は、人間関係はHUB型ネットワークで構成されているからなんですね。HUBというのは多くのものが集結するターミナルのような事を意味しています。有名な言い方ではHUB空港とかいいますね。シンガポールのように多くの航空会社が乗り入れている(集結している)ところをアジアのHUB空港なんて言い方をします。例えば日本からアルゼンチンに行くのに直通便がなければ、まずどこかのHUB空港まで行けば、そのHUB空港を経由して目的の空港まで行けますよね。世界には一体どれだけの空港があるか分かりませんが、どんな辺鄙なところでも5回乗り継がなくても行けてしまいます。これがHUBの威力です。先の友達関係の話に戻ればT先生はまさにこの人間関係のHUBの役割をしている人であって、T先生を経由して色々な人と間接的に繋がっている訳です。普通の生活している人は知り合いなんてせいぜい数十人でしょうけど、人間社会にはT先生のような大規模なHUBみたいな人が少数ですが必ず存在して社会を構成すると言われています。学校のような閉じた世界で友達関係の調査をしても少数のHUBとなる人を経由して友達関係の輪が形成されているらしいのです。 私も最初にこの話を聞いた時はにわかには信じられず、「え? じゃ・・・例えば私と芸能人の郷ひろみを繋ぐには一体何人の人が介在すればOK? 芸能人に知り合いなんていないから、数人では絶対無理だよね・・・」って思いました。ところがよく考えると、冒頭に登場した中華風おせちを作っているご主人の奥様は、ある宝塚の大女優の妹さんなんですよね。この大女優Oさんは名前を聞けば日本では知らない人はいないと言うくらい(ちょっと大げさかな・・・でも本当です)有名な人です。以前三宮で歩いているところを見かけましたが、嘘ではなく200メール位先から歩いて来てても「あ! Oさんだ」って分かるくらい、女優として風格と華があるのです。一方で妹さんの方は美人ではあるのですが、お姉さんと比較すると「本当に姉妹ですか?」って思うくらい違っています(失礼な言い方ですが、本当に「普通」の方なんです。実の姉妹でもこんなに違うもんなんだなぁ・・・)。それを思い出すと、大女優のOさんだったら郷ひろみと知り合いである可能性は十分にありますよね。もしそうだったらわずか2名の介在で「私も郷ひろみと繋がるんだ!」(だから何なんだ・・・という事は別にして・・・(^_^;)あ! そう言えばこの妹さんのお店に食事に行った時(まだラストオーダーが21時位だった10年前ですね・・・)大女優Oさんが「西城秀樹」の結婚式に行った時に出席者に配った引き出物という「ヒデキカンゲキ!」(このコピー分かる人はかなり昭和です・・・(^_^;)と書かれたバーモンドカレーのパロディ品が飾ってありました。・・・って事は西城秀樹と繋がるのに介在2名、西城秀樹と郷ひろみは新御三家だったので(これまた昭和ですいません・・・(^_^;)彼らは絶対知り合いです。やった! 最低2名、最大でも3名の介在で私は郷ひろみと繋がりました!(だから・・・なんだ・・・って事なんですけどねぇ・・・)いやいや・・・思い出した! 郷ひろみは高須クリニックのイメージキャラなんで高須院長と知り合いだよね。そうすれば高須クリニックの幹部ドクターである後輩のH君経由で繋がるから、やっぱり2名の介在で繋がるじゃん!(なんか嬉しい!・・・でもだから・・・?) 話がだいぶ脱線したんですが、このHUBの役割をしている人って人間なんで勿論死んでしまったり、権力者が失脚したりと姿を消す事もあるのですが、そうなると必ず誰かがまたこのHUBの役割をするようになると言うのですから、人間に組み込まれたDNAって恐ろしいですね。ある研究者によると、「HUB型人間」のDNAを持っているからと言ってすぐにHUBになるとは限らないが、既存のHUBがなくなったらDNAにスイッチが入ってその人がHUBになるそうです。DNAに書き込まれた情報ってウイルスみたいな役割をするものが結構あって、ウイルスを持っているからと言って必ず発病するとは限らないが環境が変化する事で突然発病するように、環境が変わるとDNAにスイッチが入ったりする事があるらしいのです。そう言えば大企業で不祥事があって社長が突然辞任するというような事件がある時に、新聞などでは「後継者が育ってない中で○○社長が辞任するとこの企業も危ない」というような記事を読む事がありますが、意外にもその後普通にその会社が存在していたり、場合によっては育ってなかったはずの後継社長の元でもっと伸びたりしているケースがありますね。これってまさに「前任社長が突然いなくなり、自分が社長になるという環境の変化によってスイッチが入った」んでしょう。 まぁ私なんかはこの歳になってしまうと良い方向に働くスイッチはもう存在してなくて「遺伝的な膝の病気のスイッチが入りませんように」というような事しか考えられませんが、クリニックの若いスタッフを見ていると「あ・・・どこかでスイッチ入るとすごいんだろうな・・・」って思う事もあります(そう思うのは留学生の人が多いですが)。その留学生も何かの縁で日本に来て私のクリニックで働いている訳ですから、「縁」って本当に不思議です。勿論患者様とのつながりも何かの縁ですので、この縁を大切にして今年も切磋琢磨していきたいと思います。2017年もよろしくお願い致します!(そうそう、この通信を読んでる皆さんも、私を経由して介在3名で郷ひろみと繋がりましたよ!・・・ってしつこい?)

第166回 (2017年1月)「2017年は『ネット以上の何か』を・・・」

明けましておめでとうございます。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。昨年も皆様には大変お世話になりました。本年も皆様のお役に立てるよう切磋琢磨致しますので、どうぞよろしくお願い致します。・・・とは言っても、この通信を書いている現在はまだ2016年でして(実はクリスマスもまだ・・・)、ようやくもう少ししたらテレビなどで「映像で振り返る2016年・・・」みたいな番組が放送されだすかな・・・ってところです。皆様は2016年はどんな年でした? 私の2016年は、なんと言っても「あっ!という間に過ぎてしまった」と言うに尽きてしまいます。「あっ」という間に年を取ったという事ですし、この積み重ねで世の中もどんどん変わって行くんですね。そして2017年の年末も同じ事を言ってるような気がして怖い・・・(^_^;)。こんなんじゃダメなんで2017年の目標を決めようと思うのですが、その為には順序としてやはり2016年の反省をしないといけませんよね。2016年のニュースと言えば世間ではスマップの解散やポケモンGOの流行、アメリカの大統領選、リオ・オリンピックなどがありますが、私的には最後のオリンピック、そしてやっぱり日本卓球の活躍が嬉しかったです。 この通信でも何回も卓球の事は書いていますが、私は大学時代卓球に没頭していて、今も大学の卓球部のOB戦や追い出しコンパには毎年参加しています。OB戦では後輩とダブルスを組んで去年までは現役生に負けた事はなかったんですが、今年は忙しすぎて体調を崩す事が多く、筋トレも続かずついに現役生に負けてしまい、そろそろ引退かなぁ・・・なんて思ってしまいました。でもここ数年は試合の応援にもちょくちょく行って後輩を飲みに連れて行ったり、夏の合宿にはメロンなど差し入れを送ったり、秋には梨を送ったり、追い出しコンパでは卒業生にプレゼントを贈ったりして卓球部の後輩達は結構可愛がっているつもりです。体育会系なんで後輩達は皆礼儀正しくて可愛いんですが、やはり時代の流れと共に変わっていく事もあるんですよね~。一つは、メールとかLINEが発達したせいか、何かしてもらった時のお礼を次に会った時に対面で言えない子が多い事。LINEだったらスタンプ一つ送るって感じなんでしょうけど・・・。そして2016年は一つ事件が起きました。今年の春の近畿医科学生卓球大会では、うちの後輩たちは個人戦で結構いい成績だったので、ベスト8に入った子達を神戸に呼んで夏頃に祝勝会を開きました。みんな、学生では普段食べられない美味しい料理やお酒にありつき、夜景も見れて大喜び。帰りにはお礼のメールをくれたんですが、秋の試合の応援に行って会った時は誰もお礼を言いません。私は大学に入った時母に「先輩にご馳走してもろたりお世話になったら、その時だけと違て、次会うた時もお礼言うねんで」・・・それが社会の常識だと、その方がお世話をしてくれた人に誠意が伝わって喜んでもらえるからと教えられ、先輩とご飯に行った翌日は必ず「今日もお礼言うた?」と聞かれました。まぁだいぶ昔の事ですが、その後もそれが社会の常識ではあったし、今でもきちんとした人は次に会った時もお礼を言われるので、それを後輩達にも事ある毎に教えていたのですが・・・。「これも世の中が変わったって言う事かな」と寂しい思いをしながらも「最近の若いもんは礼儀も知らん!・・・ブツブツ・・・」という事だけは言いたくないという思いもあり黙っていました。(自分が年取った事を認めたくないというだけに過ぎないんですが・・・(^_^;) そして秋の近畿大会では応援の甲斐あって男女Aチームは3位、男子Bチームは優勝という快挙! みんな大喜びで、キャプテンが「また祝勝会宜しくお願いします!」(・・・こらこら。要求するもんちゃうやろ)と苦笑しながらも、やっぱりめでたいので頑張ったメンバーを呼んで祝勝会をしようという話をしていましたが、いろいろと忙しくて延び延びになっていたので追い出しコンパのすぐ後にしようかという話になりました。追い出しコンパでは通常学生達がOBにビールを注いで挨拶に回ります。昔の卓球部は根暗なイメージもあり部員が増えずに困っていたものでしたが、今は愛ちゃん人気のせいか60人以上の部員がいる大所帯になっているので昔と雰囲気は違って当たり前なんですが、「やっぱりなんか変やな・・・」。祝勝会をしようと言っていたメンバー14人の中で挨拶に来たのが1回生2人と2回生・3回生1人ずつの4人だけだったという事に1次会が終わってから気付きました。1次会の間は現役部員と若手のOBも次々挨拶に来て食事をする暇もないくらいなので気付かなかったのですが、卒業する6回生と5回生の一部、1回生や2回生のほとんどが挨拶に来たのに、肝心の幹部や次期キャプテンが来てないではないか! 最近の若いもんはこんなもんなんか? どうしても違和感があったので、卒後3年目と5年目のかつて名主務と呼ばれた後輩達に「最近ってこんなもんなんかなぁ?」と相談してみると「も、、申し訳ありません!! そんな事はあり得ませんね。教育し直します!!」・・・という反応が・・・。そして6回生一同からメールが来ました。逆にそのメールの内容があまりにも素晴らしかったので、ちょっと長いのですが引用させて頂きます。 「 昨日は大変お忙しい中、私達の追い出しコンパに参加していただきありがとうございました。また、11名という大人数にも関わらず、一人一人にすてきなプレゼントをいただき、お心遣いに感謝いたします。大切に使わせていただきます。また、この度はご多忙の中卒業のお祝いに来て下さったにも関わらず、数々の失礼を働いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。後輩達が至らなかったのは、先輩である私達がきちんと指導しなかった事にも責任があります(先生方からもそうご指摘を受けました)。確かに部活の雰囲気はどんどん変わりつつありますが、目上の方に対する態度は「最近はこう」というように簡単に変えるべきものではありません。思い返せば私達も下級生の頃は度々先輩方、先生方に態度を注意されてきました。挨拶をきちんとする事はもちろん、何かしていただいた時はその時お礼を言うだけでなく、次に会った時にも感謝の意を伝える事など、社会人になった時に私達が困らないようにと先生方がご指導くださった事には大変感謝しております。私達もその教えを後輩に積極的に指導すべきだったのに、不十分であったのだと痛感しました。私達の指導不足がこのような失礼を招く事になってしまい、卒業生一同責任を感じております。祝勝会を予定していただいているのにも拘らずご挨拶に伺わなかった後輩には、今個別で話をして注意をしております。また、部全体にも改めて6回生から周知させるつもりでいます。年の瀬で慌ただしい中、部活に足を運んで頂いたのに失礼な対応をして申し訳ありませんでした。今回の件で懲りる事なく、今後もどうか卓球部をよろしくお願いいたします。 京都府立医科大学卓球部 卒業生一同」 うん!うん! さすが我が後輩。そして6回生ともなるとしっかりしてるがな! 今までの教育の甲斐あったかな。それからキャプテンから謝罪のメールと電話があり、他の幹部や前幹部・次期キャプテンなどから次々謝罪のメールが来ました。中には電話で直接お詫びとお礼を言いたいので、都合の良い時間を聞いてきた子も。やっぱり体育会系はこうでなくっちゃね。いくら時代が変わったからってそんな良い事を変える必要ないよね・・・と少し嬉しくなりました。ところが・・・この話を今時の若者を100名以上雇用しているIT会社社長の友人Mに言うと「ほぉ・・・。さすがに医学部に行くような連中はレベルが高いねぇ・・・。文章も完璧ね」って驚いたものの、「だからと言って彼らが本当に感謝してると思うのも良くないよ・・・」と釘を刺されました。え? どういう事? M:「最近の若いもんは挨拶とかなってないし、敬語もろくに喋れない・・・と思ってない?」 え!? う・・・ん。まさにそう思ってたんだけど・・・。 M:「ヤンキーまがいの若者だって暴走族の先輩達にはちゃんと挨拶して敬語喋ってるでしょ。 ヤクザだって     同じ。同じ世界の兄貴や親分にはちゃんと礼儀を尽くすし、敬語だって使ってるでしょ」まぁ、そう言われればそうかも知れない。電車の中でやたら態度悪いヤンキーの兄ちゃんも先輩と思しき人には確かに敬語で喋ってたな・・・。 M:「でしょ。今の若い人は感謝の心を忘れたとか敬語が喋れないって訳ではなくて、感謝する 対象では     ないとか、尊敬の対象ではないという人に対して悪びれる事なくそれを表現するようになったってだけ     の事なのよ」 柴田:「それってどういう意味?」M:  「例えば何か贈り物もらうでしょ。本当に自分にとって嬉しい物だった           ら『ありがとうございます!』って若い人でもきちんと言うよ。でもた           いして嬉しい物じゃなかったり、逆にありがた迷惑だった時に昔の           人はそれでもお礼言ってたけど、今の人は普通に『いりません』           って言うのよ。昔のように近所の人付き合いが大切だった時はあり           がた迷惑でもお礼は言う事をある意味強制されていた訳だけど、           今はそんなのもらう位だったら自分で好きな物買った方がいい           ので、くれるんだったら現金にして欲しい・・・って事を平気で言え           る時代になったって事ね」そんなもんなのかなぁ・・・。M:  「例えば、先輩が後輩を指導するという時に飲みに誘って自分の時間とお金を使って経験談を話す訳           で、先輩は無意識に『感謝されるはずだ』と思ってるでしょ。でも実際に後輩は『そんな昔の英雄談は           うんざり・・・早く解放して欲しい』と思ってるかもしれないよ。それも昔だったら後輩は『今日はご指導           ありがとうございました!』って言わされてた訳だけど、今の人は『つまらない・・・』と思えば素直に           その反応をする訳ね。だから人間の本質が変わった訳ではない。ありがたい事をしてもらった時に           感謝をする気持ちを持つという事は今も昔も何も変わってないよ。ただ、何にありがたいと思うかが           変わっただけなのよね」 う・・・む。そう言われればそうかも知れませんね。私も過去を振り返ってみると「ありがた迷惑なんだよねぇ」って思った事はあるけど、結局相手の気持ちを考えるとお礼を言う事はあっても、「もう要らないからほっといて下さい」なんて言えなかったな。柴田:「でもそれって寂しくない? 私は多少ありがた迷惑でもお礼        は言った方がいいと思うけど」M:  「うん。たいしてありがたくなくてもお礼位は若い人もするよ。        LINEのスタンプ送ったりね^_^;)。ただ、ありがたくないという事        表明しても、それが悪いという価値観がなくなっただけだよ。         本音では『今時の若いもんは・・・』って思ってるでしょ。それは        ね。自分が年を取ってやってもらうよりやってあげる事が多い立場になったからよ。だから無意識に        感謝されて当然と思 ってしまう機会が多くなっただけね。若い時に先輩の先生から指導という名目        で、酔っぱらった上のウダウダに付き合わされた時にうんざりしなかった? その時翌日に『ありがとう        ご ざいました』ってお礼には行っただろうけど、本当に感謝の気持ちなんてあった?ないよね。ただ        社会の過ごし方として狭い世界に生きてたからそうせざるを得なかっただけなのよ」 柴田:「・・・そう言えばそんな事もあったかなぁ・・・」 M:  「でしょ。昔は先輩や親分に楯突くって出世に影響したり明らかに経済的に不利になるから 我慢して        たのよ。でも逆に今の若い人はある意味でイサギいいのかもよ。彼らはそんな事までしてお金欲しい        と思わない。嫌な事を我慢して多少稼ぐ位だったら収入は少なくても自分らしく生きたいと思っている        人も多いのよね。だから会社に就職する時も収入は重要な要素ではあるけど、それ以上に自分の        やりたい事がやれるかの方を重視している人の方が多いように思うな。さすがに子供が生まれて家族        養うお金が必要になった人達はお金 の重要度が変わるけど、独身の若い人なんてほとんどそうじゃ        ないかな。休みが多い事を重視する人が多いのは働きたくない訳ではなく、休みの日を使って自分の        人生を自分らしく生きる事に時間を使いたいという事なのよ。若い人にとってお金の為に我慢する        ってかっこいい生き方じゃないみたいね。バブル世代の我々とは真逆の価値観だね・・・(^_^;)。悔しい        けどある意味羨ましいと思う事もあるなぁ・・・」 勿論賛否両論あるとは思いますが、確かにそれも一理あるなと思いました。昔は情報が少なく、先生や先輩から教えてもらえる情報は貴重で価値があったので、多少理不尽な事があっても先輩に時間を取って色々と話をしてもらえる事は総合的にメリットが大きかったのが、最近は大抵の情報はインターネットで入手できるので、それ以上の価値のある情報をもたらしてくれる人なんてごく少数しか存在しないのが悲しい現実になってしまったようです。今の時代は情報化が急速に進んだ事で過去の価値観が大きく変動してしまい、感受性の高い若者から変化が起きるので古い世代との間にギャップができて、永遠に「今時の若いもんは・・・」という話になってしまうのかもしれません。まぁ医者の世界はそうは言ってもIT業界よりはまだ古いので後輩達も気を使ってくれたんでしょうけど、時代の変化について行かないと、彼らのためと思ってもうるさい先輩と思われてしまうかもしれません。こらあかん! やっぱり早くいろいろな問題を片づけて、もっと卓球も頑張って「この先輩となら飲みたい」と思われるようにならなくちゃ! しかしそう考えると、私のクリニックでも「インターネットで得られる以上の情報を提供できるか?」という事がテーマになるなと思いました。そうですね。ライバルはネットなんだ。今までの古い情報が一部の人で独占されていた時代は、その情報を「知っている」だけで価値があったのが、今は「知ってて当たり前」で、それ以上の価値がそこに行く事によって得られるのか・・・という事に変わってるんですよね。そんな事を考えて私の2017年の目標は「ネット以上の何か」を提供できるようになる事、と決めました。治療という手技は勿論ネット上ではできないのですが、情報という意味でもネットでは得る事のできないものを提供できなければ、わざわざクリニックに来て頂く価値もないと思います。具体的にそれがどんな事なのかはこれから私だけでなくスタッフの皆と一緒に考えて提供してきたいと思っています。当院の患者様は比較的古い世代の方が多く、礼儀正しく「ありがとう! 良かったです!」とお声をかけてくださる皆様ばかりなのですが、儀礼のありがとうに頼る事なく、本当の意味で感謝のある「ありがとう」がもらえるように、「ネット以上の何か」を提供していきたいと思います。2017年も引き続きご支援とご愛顧をよろしくお願い致します。

第165回 (2016年12月)「次なるブームは仮面舞踏会?」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。急に寒くなって、街はもうクリスマス仕様になりましたね。11月になるとあちこちでツリーやリースが飾られ、ポインセチアが店先に並んで、クリスマス一色になりますよね。ただ最近は、クリスマスよりハロウィンの方が盛り上がるようになりましたよねぇ。私が小さい頃なんてハロウィンとかそもそもなかったのに・・・。これはあくまでも私見ですが、クリスマスは恋人と一緒にロマンティックな聖夜を過ごす日とされるようになり、恋人がいないと面白くない日になってしまったのに対し、ハロウィンは恋人がいなくてもみんなで仮装してはしゃげる日だからではないでしょうか。私が若い頃でも、もうクリスマスは恋人と過ごす日になっていて、クリスマスが近づくとみんな焦って恋人を探していました。最近はジェンダーレスな人も多くなって、色々な調査でも恋人がいない人の比率は年々上がり、今年も最高を更新したのだとか。恋人がいない人が多くなればハロウィンの方が盛り上がるって事でしょうかね。それにしても最近のハロウィンの仮装ってすごいですよね。夜の三宮なんかに行くと「え? ホントにここ日本なの?」って思ってしまうほど仮装した人達で溢れています。東京の友達曰く「渋谷のハロウィンなんてもう火星みたいよ・・・」とさらに訳の分からない事を言っていました。何でもブームが起きると関連消費が出るので、企業が煽ってさらにブームが加速するのでしょう。そう言えば、最近は11月11日をポッキーデーと言うらしく、ポッキーをプレゼントする日らしいのですが、これはバレンタインデーと同じく製菓業界の陰謀に他ならず、ポッキーデーなんてグリコの陰謀そのものじゃないですか。(ただ、波風をたてない為にも企業努力という言い方にしておきましょう。) そんな世間の賑わいとはほぼ無縁の私は、忙しさの合間を縫って先日京都であった美容外科学会に行ってきました。学会の日はちょうど天皇陛下がうちの大学の眼科に再生医療の見学に来られているとかで道がめちゃ混んでました。私はちょうど別の仕事の書類作成が忙しく、学会にパソコンを持って行って聴きたい講演の合間に仲のいい業者さんの展示ブースで電源を借りて書類作成に励まねばならず、かなり忙しい学会でした。そんな中でもちょっと面白いと思ったのは、メロングリソディンというメロンから作ったサプリメント。フランスのプロヴァンスにあるアヴィニヨン地方で品種改良された、収穫後2週間経っても腐らないメロンがあり、どうしてそんなに腐らないか調べると、そのメロンは抗酸化物質をたっぷり含んでいたらしいのです。しかしそのメロンはあまり美味しくなかったので、何かに活用できないかという話になって、サプリメントにする事になったんだとか。メロンから抽出した抗酸化物質を小麦から抽出したグリアジンというタンパク質でコーティングし、胃酸で分解されないようにしたものがメロングリソディンという事です。メロングリソディンの売りは、体内酵素を誘導して高める唯一の素材である事。人間の細胞内にある抗酸化酵素に働きかけて「人間本来が持つ抗酸化能力」を高めるので、健康を保つために必要な適度な活性酸素のバランスを崩さない事が良い点だそうです。 販売会社の回し者ではありませんが、抗酸化酵素の誘導以外にも、DNAやミトコンドリアの保護効果、紫外線防御効果、シミ・シワ・たるみの改善効果、動脈硬化・糖尿病の予防効果、脳機能・肝機能・眼の機能・免疫力を高める効果、アレルギーを抑制する効果などで良いデータが出ていました。私が一番魅かれたのは、海外の医療機関で使われていて、いくつものクリニックで手術後のダウンタイムが軽減すると報告されていた点。肌の弾力や色素沈着・クマの改善効果もあったという報告もあったので、当院のカクテル注射と組み合わせれば、注射後のダウンタイムも減って一石二鳥やん!と思った訳です。サンプルをもらって飲んでみたら、酷かった唇の荒れが一気に良くなりました。(実は唇の荒れは、以前試したラシャスリップスで悪化してたんですよね。使い始めた当初は良かったんですが、続けると荒れが酷くなってダメでした・・・。私がアレルギー持ちだからかなと思ってたんですが、アレルギーのないNちゃんも「ラシャスはちょっと使わないと荒れますよね」と言っていたので、やっぱり麻薬みたいなものが入ってるんじゃないか・・・というのが疑い深い私の感想です。成分について質問してもメーカーからのきちんとした回答もないし。そんなとこはやっぱりあかんやろ。) もう一つ学会であった収穫は、試してみようと思って取り寄せたフィロルガBRM(クリニック通信161回=8月号で取り上げた、幼羊の胎児から抽出・精製した若返りの注射)を実際に自分でも使っている東京のI先生に会えた事。当院では安全性を確認するために海外から保証書などを取り寄せてもらったり、いろいろ調べていたので試すのが遅くなってしまったんですが、I先生はイケイケドンドンな感じなんで、もうすでに打ちまくっていたようです。柴田 :「I先生、フィロルガBRMって使ってはります?」I先生:「うん。自分でも打ってるよ!」柴田 :「ほんとですか? どうです? 効きますか?」I先生:「スッゴイ効くよ!」柴田 :「何に効くんですか?」I先生:「何でも効く! 元気出るし、肌良くなるし、眼も良くなるし!」・・・I先生は自分でいろいろな注射やレーザー・プラズマなどの器機もどんどん試されているので、肌に関しては何が効いているのか分からないような気もしますし、かなり派手めでノリのいい先生なんで(ほんまかいな?)と思いつつも、そこまで絶賛されるとちょっと楽しみになってきました。安全性は確認したので、また試した効果をご報告しますね! こんな訳で学会に行くとそれなりに面白い情報も仕入れる事ができますし、業界の動向も分かるようになります。インターネットがこれだけ発達した現代で「わざわざ行かないと得ることのできない情報なの?」と言われる事もありますが、そうでもないような気もします。やはり「わざわざ行って人に会って話をする」という事に大きな価値が依然としてある事は間違いないように思うのです。私は日頃は診療もありますし研究もあるのでなかなか外にでる機会がなく、まとまった時間を使って人と会う機会も少ないです。一言で言えば「超忙しい」訳ですが、言い方を変えれば「いつまで経っても仕事のやり方が改善してなくて、忙しいを言い訳にしてるダメな人」って事になります・・・(^_^;)。 どちらにしても忙しいので、営業マンの人がアポイントなしで突然来訪されたり、やたらと長い電話を何度もかけてくる人なんか「一体どういうつもりなん??」って思ってしまいます。仕事関係の人でメールを使わずにすぐに電話をかけてきたり、酷いケースでは「では来社して下さい。面談の際に詳しく聞きます」とか言うような人とは「あ・・・この人(会社)とは付き合えないな」と思ってしまいます。日頃はそう思っているにも関わらず、かなりの時間を使ってわざわざ学会に行ったりする訳ですから、何か矛盾しているような気もしますよね。この違いは何なのか? と考えると、「わざわざ会う」というのは「本音を知りたい時」ではないかと思いました。学会に行くのも「本当のところはどうなのよ?」って事を聞き出したいからかな、と思うんです。 よく考えると日常生活って「絶対に本音を知らねばならない」事ってそんなに多くはないんですよね。たとえば、服を買いに行って店員さんに「とってもお似合いですよ」って言ってもらえたからと言って、それが本音かどうかは特に問題ではありません。営業マンが「これは絶対に貴殿にとって価値のあるものです」と勧めてきても、ビジネスの上でメリットがある提案であれば、営業マン個人が本音を言ってるかどうかってあんまり関係ないですよね。いわゆるロジックで済む話は「個人の本音」がどうかは関係なくて「論理が一貫して矛盾がない」事が重要ですので、それは会わなくても判断できる訳です。でも日常生活の中では、ロジックは関係なくて本音が重要ってシーンもありますよね。例えば恋人が「君の事がとても大切だよ」という話をする際にはロジックに矛盾がないかどうかなんてどうでも良くて、「本音はどうなの?」って事が一番重要です。 以前にテレビで見たのですが、人間の表情を感じ取る能力というのは本当に凄くて、本当に微妙な瞼の動きとか顔色とかを認識できる事が実験で証明されていました。また、これは証明するのは難しいのですが、好きな人やウマの合う人には「ある種の波動」を感じる事ができるようで、対面している人の気持ちとか感情の動きに「同調」するという能力が人間にはあるそうです。逆に言うとある人の「本音」を知りたい時は対面で会って話をしない限り絶対分からないとも言えますね。例えば争い事があった場合には最終的には裁判所で決着をつけるしかないのですが、法律の解釈という論理の世界において、本来であればそれぞれの主張をメールで送って司法が判断するという事で判決が出るはずなんですが、実際には裁判所にそれぞれが出頭しなければなりません。これは法解釈という論理をベースにするものの、最後は「本当の話をしているのはどっち?」という事を裁判官が感じ取る必要があるからかな・・・なんて思います。ただ、ここでも一つ問題があるんです。人間の表情ってやっぱりごまかしが効くんですよねぇ。これは映画やテレビでプロの俳優が行う演技を見れば明らかですね。そして、人間の微妙な表情はごまかせないから本音かどうかが分かる・・・という思い込みを逆に利用したのが詐欺師です。微妙な表情を訓練によって操る事ができるような人達にとって、素直な人を騙すのは簡単なのかもしれません。 んじゃ・・・何を信じればいいの? って事になりますが、ある心理学者の話によると前述の「一緒にいる時に感じる波動」なんだそうで、これはなかなか訓練でコントロールできるものではないそうです。それも緊張から開放された時に感じる波動が一番的確だそうで、「飲みニケーション」っていうのが最も効果的だという事です。ただし、飲んでる最中でも表情は嘘をつけるので、表情は見ずに目をつぶって「感じる事」に集中した方がいいんだとか。・・・え? それって実は仮装パーティそのものじゃないの?? 仮装して超厚化粧したら表情って分からないですよね。その上、パーティと称して町中繰り出して大騒ぎすれば一緒にいる友達から感じるのは「波動」しかないかも。最近の若者(そういう言い方をする事に自分の年を感じてしまうが・・・)の日常のコミュニケーションはメールとチャット(LINE)が大半だそうです。そしてインスタグラムで写真をアップしたりツイッターでつぶやいたりと、つながりも非常に緩やか・・・。一体どれが本音なのか分からないし、分かる必要もない、いや分かりたくないという人間関係の中で心地よく生きているようです。それでもやはり「本音」を知りたい時があって、それが仮装パーティで一緒に大騒ぎ・・・という形で現れているのかもしれません。もしそうだとしたら最近のハロウィンブームは決して企業が販売促進の為に仕掛けたものではなくて、ITが普及してきた社会の中から生まれた必然なのかもしれませんね。 欧米の映画などで見る仮面舞踏会(・・・あれって本当にやってるのかな?? 未だかつて知り合いで本当に仮面舞踏会なるものに行ったことある人がいないもんで・・・)なんかも、もしかすると男と女が本音を知るために敢えて設定された場なのかも・・・。そう考えると日本でも仮面舞踏会なる風習が流行るかもしれませんよね。東急ハンズとかロフトとかが思い切り煽って、お菓子メーカーとかも便乗して仮面ライダースナックの復刻版とか出してくるかも・・・。まだ私のプアな想像力を駆使してもブームはとても起こせそうにありませんが、お菓子メーカーとかお酒のメーカーだったらきっと何か考えてくれるでしょう。日本にもそういう風習生まれないかなぁ・・・。そうなれば、美容業界だって全力で応援するはずです。なぜって? だって仮面をつければ顔の露出は減るけど、余計に仮面の下から覗く皮膚の若さを少しでも強調しようとするご婦人方が、こぞってカクテル注射に来てくれるじゃないですか・・・(^_^)。皆様も数年後にはご自慢の仮面を持参してパーティに出かける日が来るかもしれませんから、今のうちに柴田美容皮膚科クリニックで素肌の若返りのご準備を!! さぁ・・・急いで急いで!!

第164回 (2016年11月)「マイノリティなんて気にしない」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。急に涼しくなりましたが、皆様風邪などひかれていませんか? 私はと言えば・・・9月末に1年ぶりに卓球の試合を応援に行って疲れたせいか、その後友人の風邪をもらってしまい、またもや1週間以上熱が続いて点滴三昧の日々になってしまいました。今年の6月の抗加齢医学会でビタミンDを飲んでいると風邪をひきにくくなると聞いたので、ビタミンDのサプリメントはずっと飲んでいたんですが・・・。サプリメントの効果より、疲れが勝ったという事でしょうか。まあ、今年の初めに風邪をひいた時は5か月以上酷い状態が続いたので、10日ほどで治ったというのはましになったという事かな?? 兎にも角にも、皆様も体調管理には十分お気をつけください。風邪かな?と思ったら、酷くならないうちにぜひ当院のプラセンタとビタミンたっぷりの点滴で早めにケアしてくださいね。(いきなり宣伝みたいになってしまってすみません。あまりにも今回の風邪がしんどかったので、皆様にはそんな目に遭って欲しくない気持ちという事で・・・。) 最近は秋晴れの日が続いて、もう街は秋色一色ですね。秋といえばグルメとファッションの秋。秋はなんであんなに食材が美味しくなるのでしょうか?・・・といつもの通信だったら間違いなくグルメネタに入っていく事になりますが、今回は期待を裏切って?ファッション、それもお化粧品の話です。化粧品でも「秋の新色」っていうのが絶対出ますよね。皆様は化粧品の「今年の流行色」とかにこだわって毎年買ってしまうタイプですか? それとも、う~んどうしよう・・・と、今年買った服の色に合わせる化粧品選びに悩んでしまうタイプ? もしそんな方であれば当院のスタッフに相談されてみてはいかがでしょうか? 今年からアルバイトに来ている色白細身のT君はれっきとした男性なんですが化粧品が大好きで、うちのスタッフの中では間違いなく女子力一番高い! 仕草も話し方も一番優しくて女っぽいし、飲み会の時の取り分けなどは一番かいがいしく、梨を剥くのも一番上手です。そして何より美容に一番興味があるんですね~。(すいません・・・彼の美への追求心は私を間違いなく超えています。私はもっぱら皆様のどこをどう変えて綺麗にするかという職人的使命には燃えてるんですが、自分を綺麗にする事については実はあまり熱心ではありません。でも彼は筋金入り・・・(^_^)・・・なんです。) T君の前職は化粧品メーカーの美容部員。子供の頃に自宅にエステティシャンが来てて、お母さんと一緒にエステをしてもらって美容に目覚めたんだそうで、恐らくDNAレベルで美に対する追求心があるみたいです。韓国のイケメン俳優の陶器のような肌に憧れて朝から20分もパックをしているそうで、自称ジェンダーレス男子のパイオニア。自分が目指していたものが後からジェンダーレスとかって世間で騒がれるようになったらしく、「僕が東京にいたらジェンダーレスで話題になってたかもしれませんよ・・・」なんて言ってますが、本当にそうかもしれません。T君は韓国が大好きで、7年前からうちにアルバイトに来ている韓流B君に韓国語を習っていた事から知り合いになり、人手不足の折に手伝いに来てもらったんですが、わずか半年でモニター歴トップになりました。折しも当院ではスタッフ不足解消の手段の一つとして、スタッフは院長が必要と認めれば当院の美容治療は無料で受けられ、処方化粧品も3割で購入できるという社販制度を導入したしたところだったので、T君はガンガン当院の化粧品を購入。VC-IP原液(ビタミンCの原液)などは大のお気に入りで、通常販売は10ml入りの瓶なんですが、業務用の1Lのバルク缶で購入したいと言い出しす始末。(業務用のバルク缶の量って半端ないんですよ・・・想像つきます?)また日焼け止めが安く購入できる時などは10本も申し込むという強者です。普段もお気に入りの化粧品が安売りの時なんかは10万円分くらい買ってしまうそうです。 T君はスキンケアとメイクのしすぎからかニキビが悩みのタネで、まずはCDトレチノイン療法からモニターを始めました。またT君は歌舞伎役者のような美形ではありますが、皮膚が薄くてコラーゲンが少なく、ビヨ~ンと皮膚が伸びるタイプで、まだ若いのにシワが多いんです。私がそれを見逃すはずがありません。カクテルリフトやジュビダームビスタカクテル、シワ用のボトックスも試してもらいました。168cm、48kgという細身ですでに小顔なんですが、本人はもっと小顔になりたいそうで、えらボトックスや鼻のBNLSなども試しました。鼻も少し小さくなって、シワも減ったのでT君はご機嫌。(写真は法令線と頬のシワに、右はオーダーメイドエセリスカクテル=OECを3本、左はジュビダームビスタカクテル=OJCを1本打った前後です。)お顔全体に少しずつ注射するカクテルリフトも、お肌がふっくらして化粧のりが良くなるのでお気に入りだそう。「カクテルリフトは絶対定期的に受けたいですね!」という彼の感想から、カクテルリフトを割安で定期的に受けられる3回セットを作る事も考え付きました。スタッフで当院の治療経験者はバッジを付けようかなと思ってるんですが、彼は一通りの事はしてるので、聞きたい事がある方はどんどん質問してやってください。 そして彼はメイクの達人なので、彼がいる時に診察に来てくださった患者様にはメイクのワンポイントアドバイス・・・なんていう企画も考えています。乞うご期待~。しかし、私の若かりし頃には男の子がメイクアップやスキンケアに興味を持つなんて、絶対にあり得ませんでしたね。幼少の頃に近所の女の子に混じって「ままごと」するのが好きな男の子はいましたが、成長とともに恐らく「恥ずかしい」という気持ちが芽生えて「ままごと」からは卒業するというのが普通でした。今は彼の言葉を借りれば「ジェンダーレス男子」というような、性の差を気にせず自分が興味を持つ事を純粋に追求するという事に対して、社会も許容するようになりましたよね。そう言えば現在の日本のTV業界でCM出演オファーNo.1は断然「マツコ・デラックス」だそうです。ちょっと言葉は悪いですが、一昔前までは「おかまタレント」がCM露出日本一になるなんて誰が想像できたでしょうか?? 時代は変わっていくものなんですね・・・。 さて話はガラリと変わってしまいますが、先日初めてスカイプ面接というものをしました。(スカイプとはインターネットを使ったビデオ会議で誰でも無料で利用できます。LINEのビデオチャットと同じものですね。)当院では2009年から留学生をアルバイトで採用し始め、その後常に外国人スタッフがいます。韓流B君なんかは途中徴兵で2年間帰国しましたが、日本に戻って来てからはまたアルバイトに来てくれ、トータルの勤務年数は5年を超えました。元々は、最近の若者に根性がなくてすぐにしんどいと言っては辞めてしまうので(昔は私ももっと厳しかったからかもしれませんが)常に人手不足だと嘆いていると、友人が「留学生を雇ってみたら? 元々海外へ行ってでも頑張ろうというバイタリティーがある子たちだし、優秀な子も多いんじゃないかな」と日本語学校の先生を紹介してくれたのが始まりです。そうして留学生をアルバイトとして雇ってみると優秀な子が多かったので、最近では急成長している中国をはじめ海外にも当院の美容医療を広めようという海外事業部の立ち上げというものを企画し、日本の大学を卒業した外国人も採用してみました。彼らは総じて数字に強く、真面目に一生懸命働くのでなかなか重宝します。当院の注射治療は薬の量や濃度など、細かい計算を必要とすることが多く、お試し企画などをすると効果の統計を取ったりするので、数字に強い子がいると助かるんですよね。数字やPCにめちゃ強い韓流B君もついに大学卒業が迫り、大企業に就職が決まって来年はいなくなってしまうので後釜も必要だし、他に結婚退職する子も出てきたのでまた募集をかけると、今回は中国在住の人から応募があり、履歴書を見る限りかなり優秀な人材だったので、スカイプを使って面接してみたという訳です。 韓流B君にセッティングしてもらうと、意外と簡単にスカイプ面接ができました。いやぁ、世の中便利になったもんですね。外国にいる人とでも顔を見ながら話せるなんて・・・。(え??今更遅い・・・ですか? すいません・・・。私はちょっとこちらの分野にはうといもので・・・(^_^;)丁度面接の後に彼女は日本に旅行に来て神戸にも来れるという事だったので、採用試験に来てもらったところ、なんと過去最高得点でした。この採用試験は国籍に関わらず同じ試験を面接の時に受けてもらっているのですが、過去に応募して来た日本人を含めて最高得点です。(ちなみに韓流B君が来た頃はまだ採用試験をしていなかったので、彼には一度受けてもらわないと過去最高かは分かりませんが、少なくとも一二は争える訳です。)この採用試験には日本語の敬語などの常識問題も含まれているので、恐らく普通の日本人よりきちんとした日本語を話せるという事になります。いやぁ・・・やっぱり優秀な人は優秀な訳で、今後が期待できそうじゃないですか。そんなこんなで、今後も当院では外人部隊が活躍する事になりそうです。中にはちょっと日本語がスムーズでない子もいますが、みんなで日本語教育を頑張っています。そんな子も数字は強くて皆様のための治療の発展には役立ってくれる事は確かなので、日本語が上達するまでしばらくの間大目に見てやってくださいね。最近は外国人も日本人もわきあいあいと楽しく仕事や研究をしています。 先日、古いアメリカの古典映画で「雨に歌えば」のDVDを友人が貸してくれたので見る機会がありました。恐らくタイトル位は皆様もご存知だと思いますが、ジーン・ケリーとデビー・レイノルズ主演、1952年というアメリカが最も輝いていた時代の映画です。あの時代は今みたいにCGや特撮がなく編集技術も限定されていたので俳優が全部、一発勝負で撮影に望んでいたそうです。実際に最も有名なジーン・ケリーが雨の中をテーマソングを歌いながら歩いていくシーンで水たまりをバシャバシャさせるところがありますが、あれはシナリオになかったけど彼が撮影中にアドリブで行ったそうです。アドリブとは思えない自然な動きですし、非常に長いシーンなんて取り直しになったら大変なところですが、昔の俳優はそんな超人的な技を持ってたんですね。恐らく現代の俳優では全く太刀打ちできないようなプロの技だと思います。 そんな古き良きアメリカが輝いていた時代の名画なんですが、現代の感覚ではどうしても払拭できない違和感が残ります。それは一人の黒人も、一人のドラッグ中毒者も、一人のゲイも登場せず、出演者はすべて白人の中産階級以上の人達だという事です。現代のアメリカ映画でこのようなマイノリティの人達が登場しない作品なんて一つもないと言っていいのではないでしょうか?(もう今の感覚ではゲイの人達なんでマイノリティとも言えず、彼らが登場しない映画なんて現実感がなく、まるで世界の危機を救う為に全世界の期待を背負って旅立つ宇宙戦艦ヤマトの乗組員が全員日本人だという位、あり得ない話です・・・(^_^;)。古き良き名画を見てても思う事は時代と共に価値観は変わるという事ですね。考えてみれば私が子供の頃なんて、ジェンダーレス男子を目指すなんて両親に言おうものなら、勘当されてもおかしくなかったと思いますし、コンビニエンスストアで外国の人が働いているなんて想像すらできませんでした。(そもそもコンビニそのものがなかったしね・・・。)インターネットの人材募集広告に外国人がWEBから応募をして、スカイプで外国に住んだままビデオ面接して採用するなんてシーンは、「雨に歌えば」の時代だったらほとんどSF映画ですよね?本当に時代はどんどん変わっていき、社会の価値観もどんどん変化していきます。新しい価値観って、新しい時代に色々な人が独自性を発揮して、自分の持って生まれた価値観をぶつけ合って過去にない新しい価値を産んでいくんだと思います。そういう意味で当院では新しい価値観を創造するためにも、過去にはなかった人達や外国の人達も積極的に採用していきたいと考えております。そうやってまた皆で新しい治療を開発していきますので、今後とも宜しくお願い致します!   

第163回 (2016年10月)「医局の春」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。朝夕はかなり涼しくなりましたね。季節の変わり目ですので、皆様体調を崩さないよう気をつけてくださいね。秋と言えば梨の季節です。母が元気な頃にお気に入りの梨園から取り寄せてはお世話になった人に送りまくっていた梨は今も健在で、今は私がお世話になった方に送ったり、大学の卓球部に差し入れしたり、ちょうど梨が届いた日に来てくださった患者様におすそ分けしたりしています。先日も卓球部の後輩達からお礼のメールと、みんなで梨を分けて美味しそうに食べている写真が送られてきました。卓球部と言えば、去年3人の後輩が同時に大学の教授に就任した事はこの通信にも書いたと思いますが、今年もまた卓球部の後輩N君が教授に就任し、彼は卓球部の顧問も引き受けてくれる事になりました。うちの大学のクラブの顧問は教授から選出され、そのクラブ出身の人でない事も多いんですが、N君は現役時代は卓球もめちゃ強くて近畿大会で優勝した事もあり、卓球部男子の黄金時代を築いたメンバーの一人なので、クラブの運営にも人一倍身を入れてくれると思われ頼もしい限りです。 このように「人間性と実績の両方を兼ね備えた人」が医学部の教授になるというのは嬉しい限りです。あまり大きな声で言える事ではないんですが、昔は医学部の教授と言えばまさしく「白い巨塔」に出てくるような腹黒い野心家の人物がなる事が多く、大学の医局では真面目でいい人は日の目を見ない・・・と相場が決まっていました。しかし最近は、N君をはじめとしたまともな人も教授になるようになった気がします。その原因は医学部の教授の権限があまりにも大きく弊害があったため、教授の権限を減らす策が打たれたからのように思います。医者の世界っていうだけでも世間の常識から少し外れていると思うのですが、それが大学の医学部となればそのズレ方はもっと凄い・・・というのは皆様も想像がつくと思います。昭和の時代、当時の大学病院には若手医師が溢れ、医大教授とは「医局における絶対君主」であり、医師にとって垂涎のポストでした。と言うのも、当時の教授や大学医局は医師就職情報を一手に握っており、人気病院への就職には教授の推薦が不可欠であったからです。教授や医局に逆らえばマトモな病院に就職できないだけではなく、薄給を補う当直アルバイトの口すら見つけることが困難となり、たちどころに生活に困窮するという訳です。 (実は、大学病院の下っ端の勤務医は激務なのに基本給はめちゃ安かったんです。私が大学の研修医だった頃は、うちの大学の研修医の月給は11万円でした。それで週に2日は徹夜、他の日も医局で仮眠したりで平均睡眠時間は2-3時間、朝から走り回って最初の食事にありつけるのは夜中で日付が変わってからの事もしばしば。同期の研修医と恐る恐る時給を計算したら、なんと176円だった・・・。それでもうちの大学の給料はましな方で、私立の大学なんて月4万円というところもありました。(まぁ私学の医学部なんて寄付金や授業料が何百万で、親が金持ちでないと行けないので、研修医の間も養ってはもらえるんでしょうけど。)また、病院側としても優良医師を安定的に派遣してもらうには教授との円満な関係が不可欠で、「顧問料」「研究費」「協賛金」といった名目での水面下の’実弾’は半ば常識だったようです。友人に「国公立大学の医学部の教授って公務員でしょ。医者として普通の病院で働いたりアルバイトしたりした方が収入はいいはずなのに、なんでみんな教授になりたがるの? 文系で哲学科とかだったら他に職がなくて、教職が一番安定した収入が得られるので人気があるのは分かるけど・・・」と聞かれた事がありますが、人気の理由はやっぱり上記の病院からの実弾とか、製薬会社からの献金、さらには学位(博士号)を出した時の医局員からの御礼(当時は一人30万~50万円が相場で、教授によっては要求する素振りまであったとか・・・。今は流石にそのような露骨な事は無くなったと聞いていますが、これも教授によるようですね)などではないでしょうか。 まぁ、一言で言うと医学部教授とは「絶大な権限を持つ、甘い汁を吸えるポスト」だった訳です。だからこそ「白い巨塔」のような熾烈な権力争いが繰り広げられるのです。「白い巨塔」と言えば皆様、もうよくご存じですよね。浪速大学の野心に燃える天才外科医・財前五郎と、研究一筋の内科医・里見脩二の二人を通じて、患者の命を軽視して権力闘争に明け暮れる大学病院の実情、医局制度が抱えていた問題など、医学界に深く根付いた腐敗を追及した社会派小説の代表とも言える作品です。近年の医療事情を反映した2003年のドラマ版(財前役は唐沢寿明)は勿論、1966年の映画版(財前役は田宮二郎)あるいは1965年に刊行された小説版を読んだ大学病院の若手・中堅医師からは「なんだ、これってウチの病院そのまんまじゃん!」という声も多く聞かれていたようで、原作の発表から30年以上経っても変わらない一面があったようです。 そう言えばうちの大学でもありました、ありました。野心に燃えて教授を目指していたK先生。手術は下手で性格は悪く、教授になるための業績集めには恥も外聞もなく精を出す・・・。論文を横取りされた若手医局員は数知れず、出張病院(大学病院の医師が手術の手伝いなどでアルバイトに行く大学関連の病院)に行くと手術はせずに見ているだけなのに、手術記録には「スーパーバイザー(監督)」と記載させて症例数を稼ぐ(手術の症例数も教授選に関わるので)。医局内では一番嫌われていましたが、奥さんが名門の金持ちで政治力はあったようです。教授選というのは学内の教授達の投票で決まるので医局員の声などは反映されず、外面が良くて政治力のある人が教授選で勝つ事が多かったんですよね。それでもまともな教授も何人かはいて、「Kだけは教授にさせるな」という「反K派」の先生達もいました。私の父が手術をしてもらったH先生もその一人で、手術室で父の手術を見学させてもらった時に、術後の説明の後「ところで・・・K先生って手術下手やねんて?」と聞かれた事があります。K先生は股関節の手術の度に骨を割ってしまったり、太い血管を切ってしまったり大変な事が度々あったので、私が正直に「はい」と答えると、H先生は(情報得たり!)てな感じで嬉しそうだったのを覚えています。しかし結果的には「反K派」の運動が過ぎてK先生に同情票が集まってしまったそうで、K先生は教授に当選してしまい、同時に20人以上の医師が医局を離れて独立(開業)したんですねぇ。 そういう「白い巨塔」のような世界が変わり始めるきっかけは2004年4月。くしくもドラマ『白い巨塔』放送終了の翌月から、厚労省によって新研修医制度が導入されました。それまで伝統的に母校の附属病院に就職していた新人医師たちは、卒後2年間は特定の医局に属さず、希望の研修病院の試験を受けて通った病院で「外科2カ月→小児科2カ月→精神科1カ月・・・」といろんな科をローテートする事となったのです。これは1998年にK医大で研修医が過労死し、社会保険労務士であった父親が大学を提訴して大学側が敗訴した事件が背景にあったようです。その事件のデータを見ると当時の研修医の労働時間より私達の研修医時代の労働時間の方が長かったのですが・・・^^;。私もよく過労死しなかったなぁ・・・と研修医時代を思い出す度に思っていました。私が大学を卒業して医局に入ったのは1986年で、当時1学年上のK医大の研修医が過労死したという噂を聞いたんですが、その時はその事件は闇に葬り去られたのかもしれませんねぇ。2004年の新研修医制度の導入と同時に、封建的な大学病院を嫌って都会の大病院を目指す若者が増え、教授の権限は減って大学の医局も変わってきたようです。 そしてインターネット社会の到来も医局衰退の一因となったのは間違いないでしょう。昔から「医者は世間知らず」とよく言われますが、「世間知らず」だったからこそ、教授の一声で見知らぬ僻地に赴任していったのです。当時は駆け出しの医者と教授を頂点とする医局との間にはあまりにも情報格差がありました。「三六協定」も知らず、当直明けでもそのまま連続で勤務する「36時間連続勤務」を「医師ならば当然の義務」と思い込まされていました。かつての医大教授は、人事権のみならず医者の就職情報も一手に握っており、教授に逆らえば当直アルバイトひとつ見つけることも困難でしたが、ネットの発達した現在では、5分もあれば医師転職サイトを10件以上検索できます。教授に逆らっても、ネットで登録すれば数分後には携帯メールで日給5万以上のアルバイト情報が送信されるので、経済的に困窮する事はないようです。そもそも教授が僻地病院出向を命じても、それには法律的な義務は全くない事も、そういった労働相談に乗る弁護士もネットで簡単に検索できます。数少ない実働部隊でもある若手から中堅医師は、もはや従順な召使ではなくなってしまい、同時に教授も絶対君主ではなくなったという事です。 そう考えると権力者が自分の権力を維持する為に最も重要なのは「情報格差」を無くさない事なんだなって思います。北朝鮮のような独裁国家は一般庶民がインターネットにアクセスするなんてとんでもない事だし、GDPが日本を抜いて世界第二位の経済大国になった中国ですら、今だにインターネットによる情報アクセスは当局が厳しく規制しています。世界を見渡してもインターネットの普及により民主国家の生活や情報が拡散し、民主化運動が盛り上がって独裁者を追い出すという「アラブの春」が発生したのは記憶に新しいですね。情報が均等に行き渡り、誰でも情報にアクセスできるようになると、今まで情報を一手に握っていた権力者から一瞬にして権力を奪ってしまうのだという事を目の当たりにした感じです。(ただし「アラブの春」では独裁者の打倒までは成功しても、その後の民主的な平和国家の樹立には成功していないようですが・・・何事も壊すは易いが作るは難しいって事なんですね。)そういう訳で、昔のような野心家が教授になりたがる事がなくなり、真面目でまともな先生が教授になり易くなったんですね。その分教授という職は、昔のようにおいしいポストではなく大変なポストになったんでしょうけど、医局員である若手医師や患者さんにとっては昔よりはいい大学になっていくんじゃないでしょうか。私達が研修医だった頃は「研修医に人権はない」と堂々と言われていました。新研修医制度が導入されてから、研修医の人権が確保され、研修医達が研修先の病院を自由に選べるようになった分、大学病院で研修する医師が減って中堅の医師にしわ寄せが来たり、地方の大学や僻地の病院の医師数が減るなどいろいろ問題も起こってはいるようですが、昔の「白い巨塔」時代よりはましな状況になったんじゃないでしょうか。まだまだ改善すべき事は山積みで、そんな中で教授になるのは大変なんだろうとは思いますが、頑張って欲しいものです。 私はと言えば、医局を離脱する医師は「はぐれ者」と言われるような時代に医局を離れて美容という新しい分野で開業し、医局に残った医師達からは変わり者という目で見られていたでしょうし、経営や従業員問題など大変な事もいろいろありますが、やっぱり封建的な組織にいるよりは思い切って新しい事を始めて良かったと思っています。自分で責任さえ取れば、誰に強制されることもなく自分の思った事ができますから。そしてこの道に方向転換して良かったと思うのは、やっぱり患者様の笑顔を見た時。綺麗になると明るく朗らかになる方も多いので、そういう方たちの笑顔を見ると方向転換して良かったなぁと思います。先日もクリニックの近くで以前来られていた患者様に偶然出会って声をかけていただきました。「先生! お久しぶりです! 最近忙しくてなかなか行けないんですけど、クリニック通信はずっと読んでます! 面白いので楽しみにしてますので、お忙しいでしょうけど頑張ってくださいね! また行きますから!」そう言っていただくと、いろいろな問題の悩みも疲れも吹き飛んで、あぁやっぱりこの道に進んで良かった・・・と思いました。これからもますますいい治療を研究開発して、皆様の笑顔を見られるように頑張りますので、宜しくお願い致します!