第142回(2015年1月)「2014年流行語大賞!!」

明けましておめでとうございます。昨年は皆様には大変お世話になり、誠にありがとうございました。今年も皆様のお役に立てるように頑張りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。あっと言う間に2014年が終わり、もう2015年ですね。・・・って言いながら実際にこの通信の原稿を書いているのは2014年12月中旬なんで、めちゃめちゃ忙しくてお正月気分なんて、全然まだまだ・・・なんです。なんとか気分を出そうと思ったんだけど、やっぱり無理。それもそのはず、だってまだクリスマスも来ていないのですから、街中がクリスマス一色の時にお正月気分になれる訳ないですよね。(ただ、25日を過ぎると一気にお正月モードに切り替わります。この変わり身の早さと言うか節操の無さが、誰がなんと言っても日本人の良さなんだと思います。) さて、そんな訳で普通であれば2015年のお節料理の話でもしたいところですが、それもかなわず・・・。今回の通信は「2014年の流行語大賞!!」って事にしたいと思います。 今年は東京での学会が多かった事もあり、東京で美容クリニックの「潜入調査」を何回か行いました。先々月にも潜入調査の話を書きましたが、今月はその中でもとびっきりユニークなクリニックをご紹介したいと思います。そこはヒアルロン酸注入で超有名なTクリニック・アンチエイジングセンターです。美容雑誌でも「ベストクリニック」に3年連続で選ばれたとかで、3週間前でも予約がいっぱいだったんですが、キャンセル待ちをかけていたらキャンセルが出てラッキー。キャンセルっていうのは絶対出ますよね。当院でも12月は予約が超取りづらくご迷惑をおかけしましたが、キャンセル待ちをかけていただくとキャンセルは結構出るものなので、皆様ご希望の日時がいっぱいでも、ぜひキャンセル待ちをおかけください。諦めず、予定を入れずにお待ちいただくと、かなりの確率でご希望の日時の予約が取れるはずです。(・・・と、いきなり宣伝モード。失礼しました・・・。) ちなみにTクリニックは2日前以降のキャンセルはキャンセル料が5000円でしたが・・・^^;)。Tクリニックはビルの2~4Fを占拠していて、3Fはヒアルロン酸注入専用フロアとかなり大規模。内装は白の大理石で統一、クラシックがかかっていてセレブでバブリーな雰囲気満載です。スタッフの制服も白。芸能人もよく出入りしているクリニックらしく、セレブと一般人の扱いが違うという噂もちらほら。極めつけは問診票です。なんと問診票に予算を書く欄があるのです。「15万円以内・30万円以内・必要であればいくらでも」のどれかに丸をつけるようになっています。(ブラックジャックでもここまで露骨ではないような気がしますが、考えようによっては初めから予算を提示してもらえるというのは、サービスを提供する側にとってはやりやすい面もあるかもしれませんね・・・。) 私は思わず30万円以内に丸をつけたんですが、このクリニックは口コミで若い人たちには「院長がめちゃ無愛想」「説明もほとんどない」「さっさと帰れという感じだった」とか結構ボロクソに書かれていたので、(しまった。30万円以内なんて書いたら横柄に対応されるかも。ここは「必要であればいくらでも」に丸をつけて相手の出方を見るべきだった・・・)と思ったけど、後悔先に立たず。 ずらっと並ぶ個室の一室に案内され、まずはスタッフがヒアルロン酸注入の症例写真を早口で説明しながら次々と見せてくれます。「うちの院長はすごく上手に注入するので、仕上がりが自然で綺麗なんですよ~」と大絶賛。何種類ものヒアルロン酸を使い分けるのだとか。確かに綺麗に注入された写真がたくさんある。気になるところを聞いてくれたので頬のコケとマリオネットラインと答えましたが、「一応、院長に伝えますね」(この「一応」の意味を後で知る事になる)。「唇もふっくらしますよ」と症例写真を見せてくれたスタッフの唇が綺麗なタラコ型だったので、さすがヒアルロン酸注入専用フロアのスタッフはハウスマヌカンならぬハウスクランケなのだなと感心し、「院長はあなたにも綺麗に入れられてますね・・・」とお世辞の一つも言ったつもりだったんですが、「いえ・・・これは元々なんです・・・」と暫く沈黙。て、天然か。す・・・すいません。早とちりでした。 だいぶ待たされてから院長の診察。院長はグレーのオペ着(襟にクマちゃんの刺しゅう入り。勿論、クマちゃんは全然似合ってない・・・。)マスクをしてるとかなりイケてるが、マスクを取ると・・・微妙・・・。まあしかし話し方を聞くと、自分は超イケてると思ってるに違いないナルシストの雰囲気。これから院長との会話になるのですが、ここからが重要です! まず私の言う通りに皆様の想像力を最大限引き出して、最初に「田村正和」をしっかりイメージしてください。(田村正和を知らない若い方はYoutubeで彼の映像を見る事をお勧めします。)彼の声を思い出しました? その声でもってお笑い芸人の狩野英孝(彼を知らない人はGoogleで「自称イケメン芸人」で検索すれば出てきます)が石原裕次郎(流石にこの人は老若男女問わず知ってません? あれ? 私が古い?)の銀座の恋の物語(いわゆる銀恋です)を真似して歌っているところを想像するのです。いいですか? 想像できました? その声色で院長との会話がスタートします。(う・・・ん。その場にいればすぐに分かる事なのに文章で伝えようとするとここまでハチャメチャになるものなのか・・・)ただし、会話と言っても・・・「しばらく一方的に喋らせてください。いろいろ言いたい事はあるだろうけど、ちょっとだけ我慢ね」・・・と、人差し指を口に当てて「シィ・・・!」と言うジェスチャー。バブリーな内装と独自のナルシスト路線で催眠術のようなT院長ワールドに引きずり込んでいく訳ですね。 話を要約すると、老けると脂肪が落ちてきて骨がごつごつしてくる。それを目立たないようにふっくらさせると若く見えるんだという事を一方的に熱弁。普通のクリニックでは問診票の気になるところを中心にお勧めの治療の説明があるんですが、気になるところなんて聞いてくれるどころか全く無視。聞く隙も与えずに喋り続け、「どこがどうなると老けて見えるか」を手で口元の部分を押さえて実演してくれる。「ちょっと鏡見て。ここをこう押えると、老けて見えるでしょ? そこをふっくらさせると若く見えるんだよね・・・(彼には東京弁が異常に似合う・・・)」 法令線の下部から上唇の上の外側がへこむと老けるという説らしい。「そこにヒアルロン酸を入れると、こんな感じになるんだよね・・・」 上唇外側の裏、歯茎の上に小さく切ったガーゼを少しずつピンセットで入れて「ほら、見てみて・・・」 ふ~ん。まぁ確かに少し若く見える。「どう? 解っていただけたかなぁ? ボクから見たらそこをふっくらさせるのが一番すぐに若く見える方法だな。頬とこめかみも入れてもいいけど、二の次だね。そこに、入れてみちゃう? 2本くらいでいけると思うけどね・・・」 ここのヒアルロン酸は1本12万円(お値段もさすがバブリー!)なので、予算も考えてくれたのかも。「はい、お願いします」 誰もがそう言ってしまいそうな流れである。それからやっと質問が許される雰囲気に。(ちなみに、このクリニックでヒアルロン酸注入をするとみんな同じ顔になるという噂も聞きました。院長の好みの顔にされてしまうんだとか・・・。) よし!・・・と、ここから私の必死の抵抗が始まります。 「あ・・・あのぉ。 ヒアルロン酸注入で血管が詰まる事があるって聞いたんですけど・・・」「絶対にないとは言えないけど、ほぼほぼないよね。動脈を避ければ。例えば、法令線のここを触ってみて。拍動してるでしょ? ここに動脈があるんだけど、ここに動脈があるって事を知らない医者も山ほどいるんだよねぇ。そんな奴らがここに注入すると血管が詰まって鼻が黒くなったりするんだよね。美容外科では手術がメインで、やっぱり注射は格下って見られてます。だから注射ばっかりしてる医者って少ないんですよ。ボクはヒアルロン酸注入ばっかり15年以上してるから、腕が違うんだよね。腕が・・・(ここで狩野英孝のOKって言う時の表情)」 うむ。それはそうかも。・・・しかし相当な自信。普通自分ではここまで言わんと思うけど・・・^^;)。 「先生はPRPやFGFは使われないんですか?」 「うーん・・・。PRPやFGFは膨らみ過ぎたら溶かせないからねぇ。ヒアルロン酸は溶かせるから。入れ過ぎたり気に入らなかったら溶かせるからいいんだよね・・・」 まあ、それはごもっともだと思います。少し好感を持ててきた感じ。だからPRPやFGFは慎重に計算しないといけないんですよね・・・。「再生医療とヒアルロン酸注入は盛り上げるという意味では一緒で、PRPやFGFで肌がきめ細かくなったりはしないしね」 いやいや。PRPやFGFは肌そのものが再生して若返るからいいんじゃないですか。実際にちりめんジワがなくなったり、肌がキメ細かくなったりするよ~。私の柴田式PRPをした左手としてない右手のキメの違いを見せてあげたい! この人は再生医療の事は何も知らないのでは・・・とさっきの好感度がまたダウン。まあ再生医療してないから仕方ないか。「一度自分で試してみたいとは思ってるんだけどなかなかできなくて・・・」 これは正直だと思いました。新しい事ってなかなかできないですもんね。それに3週間前から予約がいっぱいのクリニックですから、それは忙しいでしょうし。 「再生医療って、新しい打ち出しにはできるでしょ? この業界に入って間もない人はヒアルロン酸注入なんかの技術では売れないから、新しいものは売りやすいんでしょう。今ある美容クリニックって、ほとんどができて5年以内なんだよね。ヒアルロン酸注入の技術って、やっぱり年季がいるからね。このボクだって、初期の頃と今では違うから・・・」 ま・・・それもごもっともだと思います。 「痛いですか? 前にヒアルロン酸を入れた時、先の丸い針を使われたらめちゃくちゃ痛かったんですけど・・・」 「そんなに痛くないと思うよ。注射の麻酔もするから。・・・ヒアルロン酸を頬骨の上に入れたんだね?」 と問診票を見て。9月に東京に潜入調査に行った際にMクリニックで受けたんですが、その前日にヒアルロン酸注入の講習会でブラジルのディマイオという有名な先生が講演していた、頬骨を高くして顎を出すとハートシェイプになって若く見えるという方法です。「ボクは頬骨上に入れるやり方は好きじゃないんだよね。顔が大きく見えてしまうんだよ。ブラジルのディマイオって先生がやってる方法で、今流行りなんだけど・・・」 と私の顔をしげしげと見て・・・ 「これ、溶かしたいよね・・・。左の目の下にも入ってるでしょ。溶かした方がいいよ」「そのうち吸収されないんですか?」「ヒアルロン酸って、5年、10年は余裕で残るからね・・・」 そうそう、私もそう思ってました。世間では半年から1年で吸収されると言われていますが、8年前にヒアルロン酸で目の下が膨らんだという患者さんでヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)を打ったらすぐにへこんだ人もいたし、何年もヒアルロン酸が残ってる人を時々見ますもん。「あ、あの・・・今日は時間があまりないので・・・」 この日はその後K氏と食事をして最終の新幹線で神戸に帰る予定でした。予約の電話の時に「滞在時間は3時間はみてください」と言われたので、ギリギリです。「じゃあ、溶かしたくなったらまた言ってください。・・・そう言えばこの間、講習会でディマイオと仲良くなってね。『お前も俺と一緒に世界中でヒアルロン酸注入を教えて周らないか』って講師に誘われたんだけど・・・なんで俺の技術をタダで教えなきゃなんねえんだよ、って・・・。そんな事する時間があれば、寝てた方がましだよ・・・って・・・言いたいけど、言えないよねぇ・・・」 (皆様、ここで忘れかけてた想像力をもう一度、絞り出してくださいね。「言いたいけど・・・言えないよねぇ・・・」って言うシーンは、田村正和の声で狩野英孝が石原裕次郎の真似をして汽笛のなる港の船をボーっと見つめて言っている感じです。う・・・ん。この感じをライブのように皆様にお伝えしたいんだけど・・・難しい!) ・・・と言い残して院長は去って行き、その後スタッフから同意書の説明などがある。かなり待たされて時間がやばくなってきたので、説明をさえぎって「もう全部読みました」とサイン。必死でせかして注入に持ち込みました。麻酔は神経ブロック(神経に近いところに麻酔を注射して、その神経が支配する皮膚の領域に麻酔を効かせる方法)です。口の中から注射するので麻酔の注射もあまり痛くなく、麻酔もよく効きました。これはいいかも。ヒアルロン酸は、皮膚の深いところには硬いもの、浅いところには柔らかいものを使うそうです。鏡を持たされましたが、「院長が『見ていいよ』と言ってから見てくださいね」と何回も念を押され、打ってるところは見られなかった。残念。何回かちくっとして、注入終了。「さあ、見ていいよ。どう? 若くなったでしょ?」うむ。確かに上唇の上外側はいい感じ。でも法令線のちょっと下まで入ってるのは若干入れ過ぎじゃない? と思ったけど時間オーバーで文句を言う暇もなく、慌てて帰るはめに。結局K氏を1時間以上待たせてしまう事になり、イタリアンを1時間で慌ただしく食べて、最終の新幹線に駆け込み乗車でやっと神戸にたどり着きました。 しかし、もし入れ過ぎだって言ったらその場で溶かしてくれたのかなぁ? まあ自分で溶かしたらいいやって思ってたんですが、帰ってからヒアルロン酸溶解注射のアレルギーテストをしたら陽性に! がびーーーん! 赤く腫れて1週間以上赤みが引かず、おまけに押さえたら痛い。こらあかん。アレルギーの出にくいと言われている別のヒアルロン酸溶解注射の薬を取り寄せなくっちゃ。 ・・・という顛末になってしまったけど、まぁ・・・面白かったなぁ。 何と言っても、「・・・って・・・言いたいけど、言えないよねぇ・・・」(ニヒルな口調を音声でお伝えできなくて残念! 友人との間では2014年の流行語大賞に決定! 何かある度に「・・・って・・・言いたいけど、言えないよねぇ・・・」を連発するようになってしまいました・・・(^^)。)ナルシストの自信家院長は確かにヒアルロン酸注入の腕はいいと思いますし、一つの道を極めるのは素晴らしいと思います。でも私はやっぱり新しい事に次々挑戦して、より良い治療を探し求めて行きたいなぁ。今年も新しい治療の研究開発を頑張ろう! と決意を新たにしたのでした。え? 恒例の2015年の抱負ですか?「2015年は、世界中の皆さんを美容医療を使って幸せにしたい!」・・・って・・・言いたいけど、言えないよねぇ・・・(^^)。

第141回(2014年12月) 「数え年復活」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。あっという間に今年も終わりに近づいています。月日が経つのは本当に早いですね・・・。すぐに年をとってしまいそうですねぇ。昔の人は自分の年齢を数えるのに「数え年」というのがあって、誕生日に関係なくお正月が来たら全員が一斉に一歳年をとるという制度がありました。私の母親などは「数えで何歳」みたいな事をよく言っていましたが、私が子供の頃は何のために「数え年」というものがあるのか分からず、混乱を招くだけなのになぁ・・・って思ってました。(皆様もそう思いませんでした?)本来は数え年にもきちんとした意味があるんでしょうけど、この年になると「確かに数え年っていいよなぁ」って単純に思うようになりました。だって一斉にみんなで年をとる訳でしょ・・・(^^)。誕生日が来た時みたいに「あ・・・これで私も○歳になったのかぁ・・・」なんて自分だけでシミジミ思う必要がなくて、周りの人がみんな一歳年をとってくれるってなんか安心しますよね。(同窓会ではみんな同い年なので年を気にしなくていいのと似てますね。)自分だけじゃなくて皆で一斉に年をとって、それを新年の到来と共にお祝いするというのって、優しい思いやりのような気がします。来年から「数え年復活元年」にしませんか? ・・・と、年の話はこの辺にして・・・^^;)。今年もいろいろな人との出逢いや再会がありました。新しいスタッフも増え、いろいろ波乱もありましたが、何とか無事に新しい年を迎える事ができそうで、これも一重に皆様のお陰と感謝に堪えません。このクリニック通信も2003年4月から書き始めて早11年。今回が141回目となりました。まぁ、素人の散文なので賛否両論あると思いますが、患者様から「毎回クリニック通信楽しみにしています!」と励ましていただいたり、新規の患者様が来られた際にやたらと話が弾むので不思議に思って聞いてみると「私、ホームページに掲載されてるクリニック通信、全部読んで来ましたから・・・」とさらりと言われたり(確かにクリニック11年分の歴史が分かる訳だ・・・^^;)・・・という事がモチベーションになって続けてきました。これからもクリニックがある限り続けていきたいと思うのですが、本音を言えば、「さぁ・・・今回は何を書けばいいかなぁ・・・あぁ、ネタ切れだぁ!」と毎回悩んでますし、あんまりネタが思い浮かばない時は「あぁ、なんでこんなの書く事にしたのかなぁ・・・」と自分を恨む事もしばしば。そんな時は大抵、過去に書いた通信を読み返して、この季節にはどんな事を書いてたかを参考にしようとするのですが、これがまた時としてヤバイ事になります。数年前の事でも通信を読み返しているとその時の記憶がどんどん蘇ってきて(人間の記憶って本当に凄いですよね。普段はすっかり忘れている事でも何かのきっかけでちゃんと思い出す事ができるのですから・・・)今度はその時代に頭がタイムスリップしてしまいます。そうすると今度はあまりにもその頃が懐かしくなってしまい、通信ネタに採用した事件をWEBで検索してはその後日談を読みふけったり、登場させてもらった歌手の歌をYouTubeで聞いてみたり・・・。そんな事をしているとアッという間に時間が過ぎてしまい「ああ!! こんな時間! 今日も書けなかった・・・ぐすん」となる訳です。 そんな事で今回もご多分に漏れず過去の12月の通信を読み返していたのですが、2003年12月号に「美女と野獣とパーティーと」というのを書いていました。別に大した事を書いている訳ではないのですが、12月になると宴会とかパーティーが増えて来るので「先生! 3日後にパーティーなんです。今すぐこの顔を何とかして下さい!!」という相談が増えるというような事を書いています。これって10年以上前に書いたネタなんですが、結局人間の営みなんてそう変わるものではなく毎年同じ事が繰り返されていまして、12月になると「今日何とかして欲しいんです。来週パーティーなんです!」っていうような駆け込み需要が急増します。そして、これまた10年前にも同じことを書いているのですが、「確かに気持ちは分かりますが、そんな急に効果を出す事ってなかなかできないですよ・・・ホントに・・・」ってやりとりが続く訳です。まぁ今も昔も試験勉強で一夜漬けが無くならないように、直前にならないと危機感を感じないというのは私を含めた一般人の性のようですね。(いつも締め切りギリギリの私に印刷屋のお兄さんがしびれを切らして「先生・・・毎月書くって分かってる訳ですから、もう少し前に準備したらどうですか?」と小言をブツブツ。そんな事分かってるねん! 分かってるけどできないのが人間でしょ! ・・・ブツブツ。と毎回、自己正当化をする訳ですが・・・だから進歩しないんだよなぁ。) 人間の営みって、毎年毎年同じような事を繰り返している訳ですが、それでも11年も経てばやっぱり少しは進歩しているんだなぁ・・・と思う事もあります。2003年12月号では明後日のパーティーの為に何とかして欲しいという知り合いの看護師S代の為に、超音波でお肌のシワを伸ばす器械を使って少しはなんとかできそうだ・・・という事を書いていました。確かに当時としては即効性のある治療方法が少なく、この方法でもなんとか1日くらいは持つので「溺れる者は藁をも掴む」という人にはお勧めしていました。ただ、これは11年前の話でして、最近ではこの超音波を使ったお肌のアイロンというものをお勧めする事はまずありませんし、そもそも殆ど使っていません。やはりこのような方法では効果が1日くらいしか持たないので、使ったその日は満足できても2日後には元に戻ってしまうからです。では最近、このような駆け込みの患者様が来られた場合には何をお勧めするのかと言いますと、やはりオーダーメイドエセリスカクテル注射です。ちょっと長ったらしい名前ですが、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸を増やしてシワやクマを改善するFGFという薬にビタミンやプラセンタを混ぜ、少量のヒアルロン酸を加えたエセリスカクテル注射を進化させたもので、一人一人の症状や予定に合わせて効果やダウンタイムを調節できるようにした注射です。エセリスカクテル注射は術後必ず腫れますが、オーダーメイドエセリスカクテル注射はダウンタイムを調節できるので、「3日後の同窓会に間に合わせてください!」という要望にもそれなりの事ができるようになりました。(ただやはり本当に綺麗にしたいのであれば、せめて2週間以上前に来てくださいね・・・^^;)。内出血のリスクはゼロではありませんし、あくまでも応急処置でなんとかできる事があるという事なので。) この2003年の通信を書いた時にもヒアルロン酸注入は行っていました。ヒアルロン酸注入はゼリーのような半固形物質を皮膚の下に注入する訳ですから、物理的に皮膚を盛り上げてシワやへこみを改善するという意味では即効性はありますが、カクテル注射より粘度が高いので細い針では注入しにくく、少し太い針を使うので内出血を起こすリスクが高いため、パーティー直前には向いてなかったんですよね。またヒアルロン酸注入はカクテル注射のようにお肌が若返ったり綺麗になるという効果はありませんし、ヒアルロン酸が吸収されると元に戻ってしまいます。そして、ヒアルロン酸を綺麗に注入するにはかなり技術を要します。比較的若くて肌にハリがあれば綺麗に入り易いのですが、たるみが強いとたるみの酷いところにヒアルロン酸が流れ易かったり、目の下など皮膚の薄いところはデコボコし易かったり・・・。最近ではヒアルロン酸も進化して硬さのバリエーションも多くなりましたが、当時は種類も少なかったので硬いものと柔らかいものを混ぜたり、いろいろ苦労して綺麗に注入する方法を研究していました。またヒアルロン酸は注入後から徐々に吸収されて1~2年で完全に吸収されると言われていますが、体質によっては注入直後よりも後で膨らんできたり、何年も残ってしまう事もあるのです。ただそういう場合は、ヒアルロン酸を溶かす注射はあるので、入れすぎた場合や思ったように仕上がらなかった場合でも「除去」する事はできます。当院では、他院でヒアルロン酸を注入されて残っている部位にカクテル注射をご希望の方には、ヒアルロン酸を溶解してから治療を受けていただきます。そうでないと本当に綺麗にするための薬剤の量が計算し難いからです。 ちなみに、この「一度入れたヒアルロン酸を除去できる」って画期的な事なんです。皆様もお料理していて失敗する時って、大抵調味料を入れすぎた時だと思いませんか? 煮込み料理の味見をして「何か自分のイメージと違うな・・・」と感じた時って、調整する為に更に調味料を入れますよね。そして「やっぱり違う」と思って更に別の調味料を追加します。そうしている内に完全に再起不能状態の訳の分からないものに変貌を遂げてしまう・・・訳です。調味料って一旦入れてしまうと除去できないので、それを隠そうとする為に別の調味料でごまかそうとする訳ですが、これはもう悪魔の巣へスパイラル突入する事を意味しています。美容の世界も基本的に似たようなところがあって、テレビで見る「整形しすぎて残念な顔になった人」って結局、気に入らないところを治す為にどんどん手を入れて、悪魔の巣へスパイラル突入しちゃった人達なんですよね。顔に何かを注入するって本当に慎重にしないといけなくて、一回入れすぎると通常は気に入らなくても効果が薄れるまで待つしかないのです。逆に待たずに更に手を入れていくと、殆どのケースでは更に残念な結果が待っています。そのような美容の世界にあって、「一度入れたヒアルロン酸を溶かして元に戻す事ができる」っていうのは画期的な事なんです。お料理の際に入れすぎた醤油をお鍋から醤油だけ分離して取り出せるってくらい画期的です。(う・・・ん。ちょっと例が良くないが・・・画期的である事は伝わったかな?) そんな訳で最近では「他のクリニックでヒアルロン酸を入れて変になったんですけど、なんとかならないでしょうか?」という相談にも一応は対応できるようになってきました。ただ、一度注入したヒアルロン酸を溶解するのは、やはり注入したクリニックでしてもらうのがベストです。皮膚や皮下のどの層にどれくらいの量のヒアルロン酸を注入したかは、注入したドクターでないと、注入後の皮膚の上から見ても正確には分からないからです。注入したクリニックでなくても、注入した層を予想して溶解する事もある程度はできますが、何度も溶解しないといけなくなる事もあります。 そして私が、ヒアルロン酸を綺麗に注入する技法を確立したにも拘らず、ヒアルロン酸を単独で注入するのを止めてカクテル注射に移行した最大の理由は、ヒアルロン酸注入は一般に思われているよりずっとリスクが高いという事です。粘度の高いヒアルロン酸が血管の中に入ってしまうと、血管が詰まってしまう事があるのです。法令線に入れたヒアルロン酸が鼻に行く動脈に詰まって鼻が真っ黒になってしまったという報告や、鼻や目の周囲・眉間に注入したヒアルロン酸で網膜に行く動脈が詰まって失明したという報告、果ては脳に行く動脈が詰まって脳梗塞を起こしてしまったという報告もあります。最近の学会ではヒアルロン酸注入のリスクをいかに回避するかが大きな話題になっていますし、美容外科の先生の中には、スレッドリフトなどの糸の挿入や美容外科手術よりも、ヒアルロン酸注入の方が気を使うと言う人もいます。それだけヒアルロン酸注入はリスクが高いという事ですね。オーダーメイドエセリスカクテル注射をはじめとした当院のカクテル注射でヒアルロン酸を混ぜているものは、粘性のない薬剤と少量のヒアルロン酸を攪拌して粘度を下げているので、万が一血管に入っても血管が詰まるという事はまずありません。カクテル注射はヒアルロン酸注入よりは物理的にへこみを盛り上げる力は弱いのですが、安全で自然にシワやクマが改善でき、皮膚の若返りもできる画期的な治療という訳です。なので12月は「すぐになんとかしたい!」という事があっても、ヒアルロン酸を注入する時は絶対に経験豊富で信用できるクリニックへ行ってください。(勿論、ヒアルロン酸注入よりもオーダーメイドエセリスカクテル注射の方がお勧めですが・・・(^^)。)   そんな即効性はなくてもいいから絶対にリスクは嫌だという方には、PRPがお勧めになります。当院では低リスクで効果の高いFGF入りのカクテル注射をお勧めする事が多いですが、「少しのリスクでも嫌だ」という患者様もいらっしゃるので、そのような方はPRPが選択肢となります。ご存知の通りPRPは自分自身の血液に含まれる血小板を利用するので、基本的には副作用はゼロです。(PRPの血小板濃度が高すぎると一時的に盛り上がりすぎる事があるというリスクはゼロではありませんが、盛り上がりすぎても通常2~3ヶ月で治まります。)ただ、市販の薬剤を使うのと違ってPRPは一回一回本人の血液を採取し、遠心分離器で血小板の濃度を高める作業をしますし、作り置きができない「なまもの」ですからかなり手間がかかります。その為料金も高価になりがちですし、元々血小板が少ない人は血小板を濃縮すると量が少なくなってしまうので本数が多く必要だったり、効果が出るのがゆっくりなので変化が分かりにくかったり、年齢が進むと血小板の働きも落ちるので効果が出にくかったりというデメリットもあるので、お手軽なカクテル注射の方が当院では人気が高いのも事実です。そんな訳でどちらかと言えば「知る人ぞ知る」メニューであるPRPですが、10月は「一体何があったの?」って言うくらい、希望者が殺到しました。問い合わせもすっごく多くて、てんやわんや。通常の月の数倍の患者様がPRPを希望されたので本当に何が起きたんだろうとびっくりしてたんですが、聞くところによるとテレビでハイヒールのリンゴさんがPRPの体験談を語ったそうで、それがとっても良かったとの事。へぇ・・・ホントにテレビの力って凄いんだな・・・と改めて感じました。ただテレビも、もう少し事実関係をきちんと放送してくれたらいいんですけどねぇ。なにやら勘違いをされた方からの問い合わせが多かったのも事実ですが・・・^^;)。 さて、2014年も残すところあと僅かです。皆様はどんな一年でしたか? 世の中がどんどん変化して、年末の紅白歌合戦を見ていても知らない歌手の人達が大半になってきて、なんだか時代の流れに取り残されていくような寂しさを感じる時もありますが、最後の「蛍の光」の合唱の時は「変わらない事の安心感」をシミジミ感じたりします。時代の流れと共に変化してどんどん良くなって行く事もあれば、変わらない事で安心できる事もあり、それが色々と混ざって年をとっていくんだな・・・と思います。来年は皆様と一緒に、「せーのっ!」で一歳年をとりましょう。準備はいいですか・・・(^^)?

第140回 (2014年11月) 「クリニック潜入調査…東京編 Part2」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。先月号では「最近めっきり涼しくなりましたね・・・」とご挨拶したのですが、今月号ではもう「最近はめっきり寒くなってきましたね・・・」とご挨拶したくなってきました。移ろいゆく季節の早い事と言ったら。これって年のせいなのかなぁ? 皆様もお部屋を暖かくして、そろそろ加湿器など利用して風邪をひかないようにお気をつけくださいね。さて、先月号と言えば大好評企画、「クリニック潜入調査」! 自分で言うのもなんですが、これがまた大好評・・・でして、多くの皆様からお声がけいただき「是非他のクリニックの体験談も紹介して欲しい!」と言われました。そこで今回は大好評連載企画!(ちょっとパワーアップしました。)「クリニック潜入調査・・・東京編Part2」をお送りします。「例によって君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る」(しつこい? もう要らない? でもこれがないと気分が乗らないので、諦めて付き合ってください・・・(^^)。) 今回のご紹介は、3週間は予約が取れないという人気のAクリニック。ホームページと院長ブログを見て、勉強熱心で気さくな感じの先生に惹かれて2週間前に電話したのですが、ラッキーな事になんとか予約が取れました。電話予約の際に受付の方から「どんな悩みですか?」と聞かれて「あの・・・。フェイスラインと二の腕のたるみ、シミとえら・・・(欲張り過ぎ?)」と言うと、かなり詳しくアドバイスしてくれました。シミ・たるみ・くすみにはフォトシルクプラス。術後2日ほどシミが濃くなるが、その後剥がれて薄くなるとの事。フェイスラインのたるみにはウルセラやジェネシス。二の腕にはウルトラアクセントかライポソニックス。ウルトラアクセントは痛くないが回数が要り、振袖には効きにくいですとか、ライポソニックスは1回で3ヵ月後くらいに痩せるが痛い・・・などなど、ドクターかと思わんばかりにすらすらと説明してくれます。う・・・ん。電話対応の段階ではかなり好印象。うちのスタッフも電話である程度の説明はできますが、ここまで完璧ではないな。こ、これはウチのクリニックは完敗ではないか! 受付強化月間を実施して鍛え直さねば!! 「神戸からわざわざお越しいただくのでしたら事前に写真を送ってくださればもっと詳しくアドバイスできるのですが・・・」と親切に言われましたが、面が割れるのを恐れて「写真をうまく送れるかどうか分からないので・・・」とごまかしました。 さて、受診当日。その日は暑くて、郊外の慣れない土地でうろうろとクリニックを探したので、めちゃ疲れました。道を聞こうと電話しても全然つながらないし・・・。そうか、電話でのアドバイスが長いからだな。電話は複数回線にすべきだと思います。(これがこのクリニックで唯一不満だった事。でも不満な事が一つしかないクリニックも珍しい。)やっとクリニックにたどり着き、問診票を書いてると冷たいお水を持って来てくれました。うん。これは好印象。そして「洗顔をしてお待ちください」という指示が・・・。今までの潜入捜査で診察前に洗顔するように言われたのはここだけです。ウチのクリニックはご存知の通り診察前には必ず洗顔していただきます。私は美容の診察するのに洗顔しないってどうなの?って思うからです。だって素肌で診断しないと正確な診断はできないと思うんですよねぇ。「洗顔後は乾燥するでしょうから、化粧水をつけてお待ちください」と言われたのは新鮮でした。ウチでも顔の注射前以外の診察ではそうした方がいいな・・・と思って、その後取り入れる事にしました。(注射治療で貼る麻酔を使う時は、何かつけると麻酔が効きにくくなるので避けた方がいいけど、そうでなければ乾燥を防いだ方がより通常の状態が分かりやすいですよね。)A先生は予想通りサバサバした感じのいい先生でした。何でも一生懸命説明してくれるし、説明が明快で解りやすいのもマル。とても愛嬌のある先生で、話も面白くて明るく楽しい。なるほど、3週間前でも予約が取れないという噂もうなずけます。(私も「愛嬌強化月間」を作った方がいいかな? とスタッフに相談したら、「めちゃめちゃ不自然になるのでやめた方がいいと思います」とピシャリ。え? 私ってそんなに愛嬌ないですか?) 柴田: 「先生から見て治したら綺麗になるというところは            ありますか?」 A先生:「こめかみ、かな。こめかみがへこんでるので、             ヒアルロン酸でふっくらさせると卵形の綺麗な顔になりますよ」 柴田: 「ヒアルロン酸って、血管が詰まって皮膚が黒くなる事が            あるとか聞きますけど・・・」 A先生:「もちろん血管にヒアルロン酸が入るとそうなる事も            あるんで、危険なゾーンや深さは避けます。            例えば眉間や鼻の両側、眉の上とかは危ないんですね。            それから、細い針で引きながら少しずつ注入すると            塞栓は起こしにくいんですけど、太い針でドン!            と入れると起こしやすいんですよ」 柴田: 「前に『先が丸い針で入れたら安全だ』って言われたんですけど、痛くて痛くて・・・。           先生も先の丸い針を使われるんですか?」 A先生:「私は使う時と使わない時がありますね。額を丸くするなんて時は危険なゾーンを            必ず通らなきゃいけないんでさすがに先の丸い針を使いますけど、こめかみは            そんなに危険じゃないので、普通の針を使います。ヒアルロン酸の粒子の大きさ            にもよって、モデリスっていうのは弾力があってもちがいいのに粒子が細かいので            細い針で打てるんですよね。だから私はモデリスが好きでよく使うんですけど、            こめかみなんかはモデリスを細い普通の針で打ちます。ところで、糸はどうですか?            頬のたるみには効きますよ。1年から2年で溶けて戻りますけど」 出入りの業者の話ではA先生は糸(スレッドリフト:頬に糸を入れてリフトアップする方法)が好きらしい。ヒアルロン酸よりは気を使わないそうだ。つまりヒアルロン酸注入はそれだけリスクが高いって事ですね。「うーん・・・」と渋っていると「そこまでは考えられませんか・・・」と先生も諦めた様子。頬のシミには、メラニンに反応性の高いUPL(U-Shape Pulse Light)という光治療器、フォトシルクプラスを勧められました。くすみも取れるし、キメも細かくなるらしい。LEDを使ったDr.Arrivo-Ⅱという家庭用美顔器もあって、お試しもできるそうな。また、目の周りが黒いのにはこすらないようにするくらいしか方法がないけど、トラネキサム酸とビタミンCは内服した方がいいですよ・・・と。二の腕は、1回で痩せたければライポソニックスだが、痛みに弱ければウルトラアクセント。でも回数が要るので、「ウルトラアクセントだったら神戸にもありますよ。A医院だったかな。あそこは置いてると思いますけど」・・・と、いろいろ教えてくれました。う・・・ん。なかなかいい人だ。 A先生はカウンセリングに徹底的に時間をかけるそうで、いろいろと話してると長くなり、こめかみのモデリスとフォトシルクプラスをお願いする事にしましたが、時間がなくなってしまいました。次のクリニックの予約時間を遅らせてもらおうと電話したんですが後が詰まっていて無理だったので、時間的にモデリスを諦める事に。残念。A先生、ごめんなさい。治療費は前払いだったけど、返金してくれました・・・これも好印象^^;)。フォトシルクプラスは初めての光治療。産毛を剃ってからジェルを塗り、治療開始。パチン!! と音がし、こ、これはえらく痛い!「イテ!!」と顔をそむける位。出力を最小に落としてもらったんですが、それでもかなり痛い。「これ以上出力を落とすと効果が出ないと思いますけど・・・」と言われ、頬のシミ部分のみにする事に。「ではハーフショットの値段にしておきますね」と半額にしてくれました。良心的。痛かったけど、色が白くなってシミも少し薄くなったみたい。ちょっとご機嫌です・・・(^^)。いつも学会ではレーザーや光治療の症例写真を見ても注射治療やレチノイン酸療法ほどの変化がないので導入は見合わせていたんですが、劇的な変化はなくても1回でお肌の調子が少し良くなると満足度はあるのかもしれないなと思いました。もうちょっと痛くなければなあ・・・。私が痛がりなのかな? 自分で打つ注射はそう痛くないんだけど・・・。いずれにしても他のクリニックを自分で受診するのは勉強になりますね。 本当はもう何箇所かご紹介したいところなんですが、先月号で紹介した潜入捜査の後日談がありますので、そちらについてちょっとお話を・・・。ボトックスの権威であるGクリニックで打ったボトックスが効き過ぎて口が歪み、笑っても目が笑っていない状態になったので、試しにアセチルコリンを打ってみました。ボトックスは神経から筋肉に信号を伝えるアセチルコリンをブロックして筋肉を動きにくくするので、ボトックスが効き過ぎた場合にアセチルコリンを打てばましになるのでは? という、何とも単純な発想からです。アセチルコリンを注射するだけで筋肉と神経の接合部にうまく到達するのか? というような細かい問題はあるのですが、まずは打ってみよう! というポジティブな行動です。(ま・・・自分に打つ訳ですし・・・。)いずれにしてもボトックスが効き過ぎた時に筋肉の動きを回復させる方法は通常時間の経過を待つ以外にはないので、試してみる価値はありそうです。アセチルコリンに関しては既に試した知り合いの先生もいて、彼曰くは週1回で3回ぐらい打つと、筋肉の動きが戻ったんだとか。でもボトックスが効き過ぎた時は1ヶ月くらいすると落ち着いてくる事が多いので、週1回で3回だと3週間経っている訳だから、アセチルコリンが効いたのか時間が経ったから落ち着いてきたのか分からんな・・・と思いつつも、取りあえず試してみる事に。 注射はどれくらい痛いか分からないので貼る麻酔を貼って、まずは左目の下に0.1cc注入。注入時の痛みはそうでもなかったんですが、注入後にめちゃくちゃ痛くなってきました。 しかも注入部位だけでなく、顔の左半分から頭までカーっとめちゃくちゃ痛いではないか!「イテテテテ・・・」と頭を押える私にコロコロS君もびっくり。しばらくすると治まってきましたが・・・。口元はびびって0.02ccずつ注入し、注入後すぐにDr.Ice(注射部位の痛みを軽減するための冷却器。普通は注入前に冷やすのだが)で冷やすと痛みはだいぶましにはなりました。注入後口を動かしてみると、「おや?」注入直後から、口の歪みがちょっとましではないか。翌日はだいぶましになりました。これはいいかも。 1週間後に再度挑戦。今度はキシロカイン(注射の麻酔薬)を少し混ぜて打ってみました。もちろんDr.Iceで冷やしながら少しずつ。うん、だいぶ痛みはましだ。キシロカインは偉大だなーと感心しつつ注入。1回目より多く注入できたので、動きがかなり改善されました。おお・・・これは使えるかも! 何でも試してみるもんですね。ボトックスが効きすぎてしまった場合の対処方法に一筋の光が見えてきました。 潜入調査に行くと、今回のAクリニックのように「あ・・・これはいいな。ウチでも取り入れなきゃ」という良い面での発見もあれば、Gクリニックのように「これはダメでしょう」という事もあります。勿論人の反応は様々ですし、受け取る側の感性もいろいろなので、どちらかが完全にダメだという事ではありません。今回のボトックスのように「良くないな・・・」と感じても、アセチルコリンを自分で試すきっかけを作ってくれたと思えば悪い気はしませんし、全部がダメな訳ではなくて一部に問題があるというケースが大半なので、それはそれで自分で改善案を試すきっかけとなります。東京のもう一つのクリニックで今話題の輪郭注射(腫れずに脂肪を溶解し、輪郭をスッキリさせる注射)を打ってみたんですが(先が丸い 鈍針と麻酔クリームを使えば安全で痛くないとの事で、鈍針と麻酔に6480円も払ったのに、めちゃくちゃ痛かった!)それに似た薬剤を取り寄せてうちでも打ってみました。針は鈍針ではなく普通の鋭針で打ってみたら、東京で打った時より全然痛くない。やっぱりあの痛さは手技の問題だったんだ・・・^^;)。コロコロS君と丸顔のスタッフNちゃんにも打ってみました。従来のメソセラピーと半々で試してみたらメソセラピーよりも痛くなく、量が多すぎなければほとんど腫れません。コロコロS君は大量に打ったので直後はちょっと腫れたけどメソセラピーと違って翌日の腫れが全然ないので、これはいいかも。効果もメソセラピーと同じくらいはあるようです。これはちょっと皆様も巻き込んで評価してもらわねば・・・ と、早速今月はお試し企画をすることにしました。 何事も安全性さえ確認できれば、後は行動あるのみ! このバイタリティが続く限り、また潜入調査に出かけていろいろな事を吸収していこう! 皆様も、もし潜入調査ご希望のクリニックや治療方法があれば、こっそり耳打ちしてくださいね。 尚、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。 シュワッ・・・。 (エンディングロール。やっぱりBGMはミッションインポッシブルでしょ・・・♪)

第139回 (2014年10月) 「 クリニック潜入調査・・・東京編 」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。最近はなんだかめっきり涼しくなって秋がもうそこまで来てる・・・って感じですね。この通信では文字通り「飽きる」ほど書いてますが、季節の変わり目は体調を崩す方が多くなりますのでお気をつけください。皆様はこの夏いかがお過ごしになりましたでしょうか? 同級生と話をしていると、この歳になって「お盆休みを利用してハワイに行った」という強者がいました。なんて若いんでしょうねぇ。ハワイかぁ・・・さすがに私はもう無理だなぁ・・・。時差ボケでボーっとしている中にあのギラギラの日差しに照りつけられ、お肉を中心とした食事を毎日していると一気に肌が10年は老化してしまいそうです・・・^^;)。まぁ人の好みはそれぞれですね。かく言う私も若かりし頃はスキューバダイビングとかにも行ってたんですが、あれがしみじみ懐かしむ青春って奴なのね・・・と冷房の効いた部屋で生ハムと夕張メロンとシャンパンで一時の贅沢に浸りながら、思い出に耽っていました。(うん・・・やっぱりハワイよりこっちの方がいいよ・・・(^^)。)8月から9月にかけて当院も数日連休になったので「先生も夏休みはどこか旅行に行かれたのですか?」と聞かれる事が多かったのですが、残念ながら夏休みではなくいつもの如く東京での学会参加でした。これまでの通信であれば学会の内容を紹介するよりもっぱら東京でのグルメ話になるところなんですが、今回は違います。 大好評企画、「クリニック潜入調査」・・・東京編!!「今回の調査対象は東京の美容クリニックである。ただし例によって君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。成功を祈る。なおこのテープは自動的に消滅する」(例によってここでミッション・インポッシブルのテーマ曲・・・♪ いつ聞いてもこの曲はいいな。宇宙戦艦ヤマトのテーマソングと同じで、これから起きる未知なる出来事に期待と不安で身体中のアドレナリンが出てくる感じです。)初めに申し上げますと、今回は怪しげなクリニックではなく、雑誌などでも取り上げられるような有名なクリニックや、学会や薬剤メーカーさんの間でよく名前の知られたクリニックを中心に回ってきました。ただ、東京に行く機会にいろいろ行ってみよう・・・と欲張った結果、6箇所も行く事に・・・。おかげで東京にいる時は「ちょっと顔が腫れたな・・・」っていう程度だったのですが、神戸に帰って来て数日もすると顕著に変化が現れて、明らかに顔のいたるところが突っ張ってきました。知り合いに会うと「え?どうしたの? なんかいつもの感じと違うよ、今日は・・・。あ・・・なんか顔をいじりすぎた芸能人みたいになってる」と言われる始末。確かに自分で鏡を見ても「こりゃ・・・やり過ぎだな」って思いました。最近は美魔女ブームのせいもあってかテレビや雑誌で「50歳を超えてもこの美しさ!」って紹介される人が多いですが、中には「ありゃ・・・これはやりすぎね」って思う人いますよね。まさにそんな感じです。人間の識別能力って本当に凄いなと思うんですが、自分の顔なので基本的なパーツは同じなのに、ちょっとした変化で大きな印象の違いをもたらすものなんだと改めて実感。特に左右のバランスが崩れたり、笑った時に普通に動いていた筋肉が動かなくなったりしているとやはり違和感を持つものです。私の治療方針は基本的に「自然な仕上がり」を目指していますので、効き過ぎないように初めは少なく、足りなければ様子を見ながら足す・・・という事にしていますが、時には患者様の「もっと! もっと!」という圧力に負けてしまう時があります。(せっかくお金をお支払い頂くのですから、その気持は私にも分かりますが・・・^^;)そんな時、私は「あ・・・やっぱり効きすぎちゃったな」って思うのですが、意外にも患者様はご満悦の時も多く、改めて人間の感覚の違いを知るのは難しいなと思います。逆に、程よく効いてても他のちょっとした変化が気になってしょうがないという方も稀にはおられますからね・・・。そんなこんなで今回は6箇所も回った為、一回で全部を紹介する事はとてもできませんので、まずは印象深かったところをご紹介。 雑誌などでもよく取り上げられるGクリニック。理事長のF先生がボトックスで有名な先生なのと、「スペシャルボトックスリフト」という、皮膚と筋肉両方に効かせるボトックスリフトというメニューがあったので、どんなものか興味を持ちました。「目を大きくするボトックス」や「鼻のオイルコントロール」という、他にはあまりないオリジナルのボトックスメニューもあるようです。F先生は「下手な医者がボトックスを使うとこんな副作用がある」「ボトックスは医者を選ばないといけない」というようなサイトも作っていたし、ボトックスのメーカーのトレーニングドクターの指導者だったり、いろいろな国際学会にも招待されてレクチャーしている先生ですので、ここは是非その技を拝見しようではありませんか。クリニックはすごく広くて2階もあります。なんでも都内一の広さらしい。各部屋もめちゃ広くて家具や絵画なども凝っていて、書斎のような点滴ルームや、テラスの見えるラウンジまでありました。ドクターの指名ができたので、お目当てのF先生を指名。診察は2台のモニターを使って、加齢はどうして起こるかの講義から始まります。加齢によって骨が萎縮し、筋肉や脂肪も萎縮して、皮膚がたるんで見かけが老ける。美しい輪郭というのはハートシェイプ・卵形で、加齢によりそれが四角くなってくるので、卵形に近付けると若く見える・・・うんぬん。先日受けたアラガン社(ボトックスのメーカー)の講習会のようだ・・・(^^)。 F先生:「どこが気になりますか?」 柴田: 「フェイスラインや頬・口周りのたるみですが、            先生から見て治したらいいと思われるところが            あればそこをお願いします」 F先生:「であればやはり、こめかみと顎のヒアルロン酸注入と            えらボトックスですね。ボトックスリフトはするほどでもない            ですが、興味があればどうですかね」   柴田: 「スペシャルボトックスリフトっていうのはどんなのですか?」 F先生:「顎と口角は筋肉に、フェイスラインと首は皮膚に打つボトックスです」 柴田: 「(なんだ。マイクロボトックスリフトと顎・口角のボトックスを組み合わせただけか・・・と             思いつつも)具体的にどの辺にどのくらい打つんですか?             以前私は額に5単位のボトックスを打っただけでも効きすぎて重くなり、             3単位くらいでいいと言われた事があるんですが・・・」 F先生:「おや・・・そうなんですか。そんなに効きすぎる事があるかなあ? 量より、打つ場所では?              えらは片側15単位、ボトックスリフトも片側15単位くらいでいいんじゃないかと思うけど」 柴田: 「ボトックスは2週間から3ヶ月の間は再注入はしない方がいいと言われた事があるんですが、            どうでしょう?」 F先生:「美容で使う量くらいなら、最近のボトックスは特に問題はないんじゃない?             3ヶ月も経たないうちに大量に使うのが良くないくらいでしょう」 こんなやりとりがしばらく続きます。私としてはこのチャンスに色々と聞いておきたいと思いつつも身元がバレないように慎重に言葉を選ぶ・・・という感じで結構疲れちゃいました。価格の事を聞くと、後は看護師と相談してください、と。目を大きくするボトックス・鼻のオイルコントロールについては時間切れで聞く暇がなくなってしまいました。 やはりお値段はこのクリニックの豪華な内装に比例するのか、かなり高いようで、ヒアルロン酸は1本17万円。初回30%オフなので11万9千円だけど、他のところよりはかなり高い。こめかみだと3本は要ると言われた。スペシャルボトックスリフトは26万2千5百円、えらボトックスは20万円、目を大きくする・鼻のオイルコントロールが3万円。ボトックスは初回60%オフなのでそれぞれ10万5千円、8万円、1万2千円×2で合計20万9千円。悩んだ結果、スペシャルボトックスリフト・えらボトックス・目を大きくする・鼻のオイルコントロールのボトックスを受ける事に。顎はスペシャルボトックスリフトに含まれるけど、少し前にしたので要らないというと値段は変わりませんと・・・。今から考えると、スペシャルボトックスリフトは皮膚のボトックスリフト(14万円)と口角上げ(3万円)・顎(3万円)の組み合わせなのに、26万2千5百円なんて・・・高いなぁ。私のクリニックは良心的だ・・・と自画自賛。(自分で支払いする側に回ると身にしみますねぇ・・・(^^)。) その後、貼る麻酔を目から下にベタベタ貼られ、同意書を書かされる。ここはボトックスは初回は平均使用量より少な目にするが追加は有料と書いてある。だいぶ待った後に広い注入室に移動し、リクライニングのベッドを起こした状態で座ります。F先生が入ってきて看護師がメニューを伝えると、手早くマーキングしてすぐに注入。説明を聞く暇はなく、目の下と鼻にどれくらい打つのか聞くのがやっと。目の下は片側4単位、鼻は10~15単位かな、と。(決めてないの??)注入はこれまためちゃ痛かった。「顎は要らないんだね。口角は打っときますよ」その時の針がちょっと内向き過ぎなんちゃうかな、と思ったのだが・・・。(ボトックスってこの注射の針の向きがすごく大事なんです。後で詳しくお話します。)注射は麻酔をしてても結構痛くて、「いて! いて!」と言いながら注入終了。ホッ。(これまたされる側になると身にしみる・・・。) 術後3~5日くらいはなんとなく綺麗になったと言われてご機嫌だったが、6日後くらいからどんどん効き過ぎて、笑いにくいし喋りにくいし食べにくい。目は大きくなったが笑っても目が笑ってないし、目の下に余計なシワができ、唇が歪んできた。確かに凄い「効果」が出てきました。しかし・・・こらあかん。口を動かすと下唇が左だけ下がるので顔がめちゃ歪むのだ。ちょっと専門的な解説をすると、これは右の下唇下制筋にボトックスが効いてしまったからです。口角ボトックスというのは、口角下制筋を緩めて口角を上げたりマリオネットラインを浅くするボトックス療法なのですが、口角下制筋の内側の下唇下制筋にボトックスが効いてしまうと下唇が下げられなくなり、片方だけ効くと唇が歪んでしまうため、口角ボトックスの際には針を内側に向けてはいけないというのが鉄則です。口角に打つ時に針がちょっと内向いてるなあと思ったのだが、やっぱりこんな事に。 皆様も他のクリニックに行く機会があれば、ボトックス注射の際に先生が針の向きにまできちんと気を配っているかを確認してみてください。ただ、「嫌な患者が来たな」と煙たがられる事は間違いないでしょうけど。一番いいのは浮気をせず柴田美容皮膚科クリニックをご愛顧頂く事ですね・・・(^^)。・・・という訳で、今回の学会で「マイクロボトックスの失敗例」として発表されていた、皮内に打つべきボトックスが筋肉まで効いて、目は笑ってないし全体に間延びした「残念な顔」そのものになってしまったではないか! ボトックス指導医の権威のF先生にしてもらったのになぜ??? 御意見番K氏に話すと「まあ偉い先生が上手だという訳ではないという事で・・・」と笑われたけど、実際に実技の指導もしてるはずの先生なのになぁ。弘法も筆の誤り? 私が何万人に一人の効き易い体質なのか? でも口角は右だけだし・・・解せん。 それにしてもちょっと日常生活にも支障が出る感じだったので、8日目にGクリニックに電話して症状を伝え、何かいい方法はないかと、どこにどれだけの量を打ったか教えて欲しいと言うと、F先生はいなかったので看護師がカルテを見て、目の下に5単位ずつ合計10単位、鼻に10単位、えらに15単位ずつ合計30単位、口角を含むボトックスリフトに頬から首全体に合計60単位も使ったと。えーっ? 先生はボトックスリフトは左右15単位ずつ合計30単位、目の下は4単位ずつってはっきり言ったのに。診察の時に私もすごく少なくても効き過ぎたって言ったのに・・・。全部で110単位も打ったの~?! そりゃ多いでしょう。もっと少なくしてって強く言ったら良かったのかなぁ~。アセチルコリン打ってみようかな。(ボトックスが効きすぎた時にそれを緩和させる為の治療法と言われています。試した人は少ないようですが・・・。)受付の人曰くは1週間後というのは一番効果が強く出る時なので、2~3週間様子を見てくださいと。「変化があるのは効果が出てるという事ですから」と、よく言われるセリフ。ま・・・そりゃそうなんですけど。こんな嬉しくない変化ばっかりじゃねぇ・・・。取り敢えず2日後に先生が来るので、もう一度お電話しますという事に。 2日後、看護師から電話が。注入した量がカルテと先生が診察の時に言った量と違うと言うと「先生に確認します」と。結局目の下が3単位ずつ合計6単位、鼻が10単位、えらが15単位ずつ30単位、口角が3単位ずつ合計6単位、ボトックスリフトが54単位で総計106単位だという事だった。先生はボトックスリフトは15単位ずつ30単位ぐらいでいいだろうと言ってたのにどうして倍量も打ったのか? 下唇が左だけ下がって歪む理由は? 修正はしてくれるのか? と聞くと、もう一度先生に確認して折り返します、と。その後の電話では、先生に確認するとボトックスリフトの量は、首のシワが思ったより多かったので、術中判断で多くしましたと。いくらシワが多かったからって、倍量にするかなあ? 下唇の歪みについては、右だけ先に効いてくる事もあるので、あと1~2週間様子を見てくださいと。うまい事言うなあ。絶対下唇下制筋に入ったに違いないのに。 そんな訳で他のクリニックの潜入調査をすると自分でも色々と勉強になります。ちなみにF先生の名誉の為に申し上げますと、確かに効果は出ていて顔がシャープになり、小顔になったという印象はありますし、周りの人もそう言ってくれます。(もし実際に確認したければ私の顔を見るために是非クリニックにご来院ください・・・ハーブティーくらいならご馳走しますよ(^^)。)なので若返った印象を与えるという「狙い」としては非常にいいと思います。(表情さえ作らなければ。)それにボトックスは時間と共に効果が薄れてきますので、初めは支障があっても時間が経てばそれなりに戻ってきますから、リスクという点でも限定的です。なので「高いお金払ったのに変わらないじゃない!」って言われるくらいなら少し多めに打っておいた方がいいと思うドクターの気持ちも分からないではないです。ただそれにしてもねぇ・・・。業界に詳しい人にこの話をすると、ボトックス指導医の権威っていうのは「まあ周りが持ち上げてるっていうのもあると思いますけどね。学会なんかに呼ぶと見栄えがする先生っているじゃないですか。重鎮の先生とか・・・」なるほど。そういう面もあるかもしれませんね。もし持ち上げられてるだけじゃなくて技術的にも優れた先生だったとしたら、何千人、何万人もボトックスをしてるうちに、量にしても針の角度にしても慣れてきて「これくらいは大丈夫」というのがあって最初よりは慎重でなくなり、そこにたまたますごく効き易かったり筋肉の付き方が変わっていたりという人が当たると、こうなってしまうのかもしれないな。私も千人以上ボトックス治療はしてますが、たまにびっくりするくらい効き易い方もおられますもんね。「初心忘れるべからず」とか「人の振り見て我が振り直せ」とか昔の人はいい事言ってるなぁ・・・と、この年になるとしみじみ思いますが、今回も自分への戒めとしなければ。何年もやってると「ボトックスはこんなもの・・・」って考えてしまう事もあるんですが、やはり人の顔に注射をする訳ですから、慣れても常に慎重にしなければなりませんね。まだまだGクリニック以外にもお話したいクリニックがありますので、それはまたの機会にご紹介させてください。 「なおこのテープは自動的に消滅する・・・ The・End♪」

第138回 (2014年9月) 「アレルギーなんて気にしない?? 」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。朝晩は少し涼しくなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば・・・先日、なぜか頭の右半分が痺れるような症状があってしばらく引かなかったので、念のために・・・と思って近くの脳外科医院で頭部MRIを撮ってみました。手足が痺れたり動かしにくかったりといういわゆる脳神経の障害のような症状はなかったので、おそらく何もないだろうと思っていたのですが、なんと「小さな脳動脈瘤(脳の血管の一部が膨らんで弱くなっている部分)がある」と指摘されてしまったのです! だいぶお年を召した先生の説明によると、動脈瘤は2つあって、一つは破裂するとくも膜下出血を起こす部位なんだとか。「ええぇ!!」これはえらいこっちゃ! でもその先生曰く、「血圧は上げたらあかんけど、ほっといてもまぁ・・・大丈夫でしょう。運動をしても問題ないです」との事。あれ? 先般このクリニック通信で毎日筋トレします・・・と宣言したように卓球教室に行き始めたところだったので、もしかしたら卓球もしばらくお休みなのか・・・と一瞬落ち込んだのですが意外なアドバイス。さすがにこの御体のご説明がちょっと???だったので、データをもらって、大きな病院の脳外科部長をしている大学の卓球部の後輩に見てもらいました。すると動脈瘤ではなく、血管の分岐部の基部が拡張している「漏斗状拡張」というものの可能性が高いとの事。(皆様も健康診断で何か指摘されてもパニックにならず、まずはセカンドオピニオンを求めましょう・・・(^^)。)ちょっとほっとしましたが、造影CTを撮らないとはっきりしないとの事で、後輩のいる病院は京都の田舎で遠いので、先輩の友人がいる神戸の大きな病院で造影CTを撮ってもらう事になりました。   ところがその検査の前日。たまたま来客があり、カフェでガレット(最近流行りの蕎麦粉入りクレープですね)を食べたところ、2時間後くらいから全身に蕁麻疹が。薬を飲んでも効かず、痒くてたまらないので自分でステロイドを注射したんですが治まりません。クリニックのコロコロS君も大慌て。 コロコロS:「あ! 先生、全身真っ赤ですよ。早く病院行った方がいいんちゃいます?」 柴田:    「ここ、一応病院やねんけど」 コロコロS:「いや、あの…普通の病院に…」 柴田:    「…(沈黙)」 そうこうしている内に注射後も蕁麻疹はどんどん広がってくるので、さすがにやばいかなと思って救急病院(普通の病院より上位クラス?)に行ってしまいました。しかし、ちょっと態度の悪い看護師に「息苦しくない?」と聞かれて「はい」と答えると、命には別状がないと思われたらしく2時間待ち。(やっぱり普通の病院だった…^^;)待ってるうちに治まってきたので「治まってきたので帰ります」と言うと「診察次ですけど」…。結局診察だけしてもらって、もうする事はないと言われて帰って来ました。しかし、今まではとこぶし(あわびの小型のような貝)を食べた時だけ少し蕁麻疹は出てましたが、こんなに酷いのは初めてです。ガレットは以前食べた事あるし、今までは蕎麦アレルギーもなかったし、ガレットに乗ってたホタテや野菜も食べた事あるものばっかりだったのになあ。前日はすごく睡眠不足だったけど、睡眠不足なんて事はよくあるし…。何がいけなかったんだろう?? 翌日造影CTを撮りに行って前日に蕁麻疹が出た事を話すと、脳外科の先生は造影剤でアレルギーが出る事もあるので、さすがに全身に蕁麻疹が出た翌日には検査しない方がいいと…。お蔭で造影CTの検査は3週間延びてしまいました。その間にアレルギーの血液検査をすると、蕎麦と野菜は大丈夫だったのですが、なんとホタテやアサリなどの貝が陽性に出てしまったのです。犯人はホタテだったのか。今まではしょっちゅう食べてて大丈夫だったのになぁ…。最近までしょっちゅう食べてたのは貝柱で、蕁麻疹が出た時に食べたのはワタが入ってたからかな? 検査結果はホタテが(++)でアサリが(+)、大好きなムール貝までが疑陽性。検査会社の人の話によると、アサリとシジミやハマグリ・ホッキ貝・トリ貝などの二枚貝はアレルゲンが同じだそうで、ムール貝と赤貝も同じ仲間だそうです。がびーーーん!!! 大好きな貝ばかりではないか~~~!! おまけにロブスターやカニまで、疑陽性まではいかないものの数値が少し高い。食物アレルギーの場合、アレルギーがあるものはできるだけ避けた方がいいというのが通説です。大好きな貝がもう食べられないなんて、ショック~!! 私は肉より魚介派なので、大好きな魚介類が食べられないなんてめちゃくちゃショックです。もう鮨屋のおまかせやフレンチの魚介のゼリー寄せなんかも食べられないと思うとショックでショックで…。(この通信を読み込んでおられる皆様には、食べる事だけが楽しみな私の嘆きぶりがお分かりいただけると思いますが…。)今まで魚介が大好きで食べ過ぎたから、アレルゲンが貯まって人生の閾値を越えてしまったのか? 食べ物の事になると、もう脳動脈瘤の心配なんかどこかへ行ってしまいました。これからの人生で貝類が食べられないのなら、脳動脈瘤で死ぬのも同じではないか!(この事を後輩に話したところ「先生、そ、その人生観って考え直した方がいいと思いますけど…」と指摘されたのですが、人の人生観は人それぞれなんです!)             ま・・・それでも一応気持ちを整理して、落ち着いて考えてみる事にしました。最近アレルギーに関しての最新情報は勉強不足なので、まずもう一度きちんと最新情報を整理する事から始めます。文献であれこれ調べたり、アレルギーの専門家である卓球部の後輩に聞いたり・・・(この年になると後輩もいろいろな科の専門家になっていて、情報源には重宝します。気兼ねなく聞けるし・・・。やはり持つべきものは後輩なのだぁ。)それらの情報を整理しますと、まず食物アレルギーの診断の基本は、特定の食物を食べて症状が出て、なおかつIgE抗体の存在が証明される事(これは基本中の基本)。血液検査では陽性だが症状が出ないものを食べ続けても通常は問題ない。アレルギーの血液検査で陽性に出たからと言ってすべてに症状が出る訳ではなく、アサリやハマグリ・トリ貝など共通のアレルゲンと言われているものでも、抗原を採取する部位などによって違う事もある。血液検査の値から判る事は、負荷試験(原因物質を食べてみる検査)をした時に陽性(症状が出る)なのか陰性なのかの見当がつくくらいで、最終的には負荷試験を実施してみなければ分からないのが事実。血液検査よりもプリックテストという、皮膚に針で傷をつけてそこにアレルゲンエキスを落として反応を見る検査の方が精度が高いらしい。 ・・・うむ・・・。ちょっと光が見えてきました。検査の判定がクラス2と出たホタテとアサリはできれば避けた方がいいとは言われましたが、ほとんどの貝が食べられないよりはましです。もう一つの救いは、マグロ、サケ、サバ、イカ、タコ、アジ、イワシなどの魚介類は、ヒスチジンという物質を多く持っており、古くなってくるとヒスチジンがヒスタミン生成菌によって蕁麻疹の原因となるヒスタミンに変換され、ヒスタミンが多く含まれている物質を摂取するとアレルギーでなくても蕁麻疹や呼吸困難を起こすという話。ヒスタミン摂取による蕁麻疹はアレルギー反応とは別らしいので、もしこれだったとすると古くなければ次に食べても大丈夫という事ですよね。それに、本当のアレルギーだと体調に関係なく出る事が多いが、このヒスタミン中毒には睡眠不足などの体調が大いに関係あるそうです。ホタテにもヒスチジンは含まれているし、古いワタは食べない方がいいと言われているので、やっぱり睡眠不足とワタが悪かったのかも。 花粉症などは子供の頃はなんとも無かった人が大人になって突然発症する事もあるので、アレルゲンが体の中に蓄積されて一定以上の閾値を超えると症状が出るという「アレルギーバケツ理論」というのも巷では広く信じられていますが、専門家の間では正しいとはされていません。これが本当であれば魚屋さんは全員魚アレルギーになっているし、豆腐屋さんは全員大豆アレルギーになっているはず。アレルギーの治療法としては、減感作療法と言って、症状を起こさない程度のアレルゲンを少しずつ注射して体を抗原に慣らしていく方法がありますが、最近は経口の減感作療法もあるようです。ただしこれは、子供の主要な食物に対するアレルギーに行うようで、大人に対してはあまり行わないらしい。コロコロS君の検索で、アレルギーには皮膚から吸収された食べ物の成分が原因となって起きるケースがあり、発症には特定のタンパク質が関与しているとの研究結果を、兵庫医大の研究チームが発表している事も分かりました。特定のタンパク質というのは免疫に関わる「TSLP」で、この働きを抑えられれば、乳幼児に多い食物アレルギーの予防や新たな治療法の開発に役立つとされています。実験でマウスにアレルギーの原因成分を皮膚から取り込ませ、皮膚の上皮細胞がTSLPを作り出した後に、原因成分を口から投与するとアレルギーを発症し、人為的にTSLPが働かないようにすると、原因成分を与えても発症しなかったそうです。新しいアレルギーの治療が開発されるかもしれませんね。しかしそれには時間がかかりそうなので、問題は当面の食事です。8月末から9月にかけて東京で2つ学会があるので、皆様にはご迷惑をおかけしてしまいますが、その間を夏休みにして東京に滞在する事にしたので、グルメ三昧しようと思ってたのに・・・。後輩から西宮にアレルギーにすごく詳しい先生がいて、そこでプリックテストができると聞いたので受けてこようかな。 ・・・と考えながらふと気づくと、時間を忘れてアレルギーについて色々と調べていました。もともと実験とか調べ物とかは好きなタイプではありましたが、今回は自分の事だけに力が入ってしまいます。気がつくとネット検索に集中しすぎて首と肩がガチガチに。これはマッサージに行かないと明日が大変だぁ・・・。ただ、客観的に考えるとこのエネルギーは「これからの人生で貝類を食べる事ができるのか、できないのか」という、私にとっては非常に重要な問題であっても、どう考えても社会的には「本当にどうでもいい事」が最大のモチベーションであるという事がちょっと情けないような気もしてきました。 最近のニュースを見ていると皆様もご存知の通り、エボラ出血熱がアフリカを中心に大流行しているようでですね。多くの医師が患者様を治療している最中に感染して命を落としています。(ある情報によれば、すでに80名以上の医療関係者が命を落としたらしい。)エボラ出血熱は現代の医学では有効な治療方法は見つかっておらず、感染すればその死亡率は70%とも80%とも言われています。この病気は感染源がウイルスなので治療に当たる人に感染するリスクは非常に高く、文字通り治療に当たる医師は命がけです。それでも生命を救うという職業倫理を持ち、治療に当たる皆さんには同じ医師として本当に頭が下ります。このようなリスクをとって人命の救助に当たる医療関係者の皆様には尊敬の念を禁じ得ません。私も以前は整形外科医でしたので、その頃は交通事故で運ばれて来た人に緊急手術をするなど、人を救うという倫理観に燃えて医師という仕事をしていました。あの頃の緊急手術と言えば、どんなに時間がかかっても容態が安定する見通しがつくまで手術室に入っている全員が緊張感を持って仕事に当たっていましたし、それが当たり前と思っていました。最近たまに新人の採用面接をする際に、開口一番「私は残業がない職場がいいので、ここは残業があるかどうか聞きたいです」というような人が来ると、本気で「残業があるかないかで職場を選ぶんだったら来なくていいです!」と言ってしまう時があります。(まぁ実際には今のクリニックではそれ程残業はないんですけどね・・・^^;)でもそれは結果として・・・なのであって、開口一番就職条件・・・みたいに言われると、どうしても反発してしまいます。考え方が古いと言われればそれまでですが・・・ ^^;)。そんな訳で当時の整形外科は本当にやりがいのある仕事でした。ただ、私の場合はある時から「どうして医療という先端技術を健常者の皆さんがより良い人生を送るという為に使わないのだろうか? それはそれで医療のあるべき一面ではないか?」という疑問が浮かび、大きな病院の勤務医ではそれを実践する事はできないと考え、独立開業する道を選びました。それが今の自分となっています。「健常者の皆さんが人生をより良く生きるために医療技術を活用する」という目的であれば、自分がやっているこのアレルギーの調査だって決して無駄にはならないな・・・と改めて思い直した次第です。アレルギーの仕組みはまだまだ解明されていない部分も多く、腸内の善玉菌を増やすといいとか、実際に調理油を亜麻仁油に変え、肉やお菓子をやめて野菜やきのこ・納豆などを摂るようにしたらひどいアレルギーが良くなったという人もいるので、治療法も様々ですよね。 そうこうしているうちに3週間が経ち、造影CTの日が来ました。検査後若干腕に痒みが出ましたがひどい蕁麻疹は起こらず、検査結果も血管の拡張している部位の先から細い血管が出ているようなので、おそらく脳動脈瘤ではなく「漏斗状拡張」というものだろう、という事になりました。CTの画像を見せてもらいましたが細い血管というのは一部の画像でちらっと見えるくらいではっきりとは分かりませんでしたが、念のため1年後にMRIを撮る事にして、あとは通常の生活をしても大丈夫と言われてほっ・・・。脳動脈瘤の疑いのためにしばらく卓球を休んでたんですが、晴れて卓球もできる事になりました。残るはアレルギー(というか食べ物)の問題です。最近食物以外でもアレルギーも出易くなっているし、患者様も最近アレルギーの方が多いので、もう少し研究して、自分を実験台にいろいろな治療を試してみようと思っています。もしかしたら新しいアレルギーの治療法が見つかるかも・・・? 現在のクリニックは美容医療とアンチエイジングをベースにしていますが、上記の通りもともと私が開業した時の目的は「健常者の皆さんが人生をより良く生きるために医療技術を活用する事」でした。その事からも、美容に関係なくても自分の興味があれば色々な事に首を突っ込んで行く事があるかもしれません。 最後に一つ。アレルギーのパッチテスト関連の事を調べていた時に面白い話を見つけたので皆様にシェアを。パッチテストとは色々なアレルゲンを実際に皮膚に貼り、その部位の反応を見てアレルギー反応を確認するテストですが、この方法を応用して異性との相性をパッチテストで検証する方法を研究している人達がいるそうなんです。実際に対象となる異性の体液や唾液などでパッチテストを行い、その反応を確認した後に、実際にその後そのカップルがどのような結婚生活をしたかとか、どのような子供が生まれたかを追跡しているらしいのです。一節によると、女性が男性を選ぶ最大の要素としてはその男性の「匂い」(フェロモンの一種でしょうね)と「唾液」(キスした際にパッチテストよろしく瞬時にDNAを解析判定するのだとか・・・)と言っている研究者もいるそうです。この研究が進めば最近流行っている婚活も、先に唾液を送っておいてパッチテストした後に相性が+++以上の人だけ実際に会ってみる・・・というような形に変化するのかもしれませんねぇ。将来のFacebookには「要唾液」のアイコンが登場するのかな。それはそれで怖い未来のような気もする・・・。そんな訳で、パッチテストなんか気にせず好きなもの食べてアレルギー反応が出なければそれでよし!って割り切った方が幸せな人生なのかも・・・と、現在自分の中に芽生える葛藤と戦っております・・・^^;)。また私のアレルギーに関する話は、後日機会があれば書いていきたいと思っています。乞うご期待(^^) 。

第137回 (2014年8月) 「シンデレラ城という名の研究室 」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。あっという間に梅雨も開け、夏本番ですね。皆様は夏バテなどされてませんか? 夏バテかな?と思ったら、早めに当院の疲労回復点滴をお試しくださいね。シャキッと元気が出る事請け合い!(なんかいきなり「リポD」のCMのような出だしですが・・・。)私も学会出張などで疲れた時にはプラセンタ点滴は手放せません。先日も暑い中千葉で美容皮膚科学会があり、学会中にいろいろハプニングもあってヘロヘロになりましたが、プラセンタ配合点滴を打ってなんとか回復しました。ただし、医者の端くれとしてのプライドを捨てて申し上げますと、プラセンタ点滴がなんで疲労回復に役立つのかはっきりした理屈は良く分かってないんです。もともとプラセンタは肝機能回復のための薬で、疲労と肝機能低下とは大きな関わりがあるため、肝機能の回復は疲労回復に役立つとは思います。しかし、良く分からないのが「即効性」がある事。単なる肝機能の回復であればここまで即効性はないのではないかと思うんですが・・・。 プラセンタのメーカーの学術件常務であるK氏(この通信ではお馴染みのK氏の本業は、グルメではなくこちらなんですよね・・・)に聞いても、疲労回復の評価基準は非常に難しく、メーカーでもプラセンタがなぜ疲労に効くかは分かっていないそうです。ただ、全国的に多くの人が疲労回復に効果を感じているという情報はメーカーも把握しており、実体験として私も疲労回復を実感してますし、当院でも10年以上に渡り色々な人に試していただいた結果、多くの方が疲労回復に大きな効果を感じると言われ、リピータも後を絶ちません。皆様も是非一度お試しあれ! アトラクションも面白そうなものは人気があって1時間待ち。「せっかく来たからちょっとぐらい乗りましょか」と、結局「これはすいてるわな」というようなイマイチのアトラクションに2つほど乗って、あとは歩き回っただけでヘトヘトに。そうしているうちに閉園時間になってしまい、また出口は人の山。やっとの事でディズニーシーを脱出し、ホテルでバーでも・・・と思ったら、子供連れが多いためかまともなバーもありません。結局カフェのバーコーナーでやっとシャンパンにありつきましたが、あてがまたしょぼい。一瞬の夢がすっかり覚めてしまいました。 (ディズニーランドファンの皆様にはすいません。ただ、私の動機が不純だったという事で・・・。) 夢が覚めると言えば、もう一つ・・・。この学会では「国際シンポジウム」という企画がありました。抄録集を見ていると、なんとそのシンポジウムに、7年前の同じ学会で出会い、懇親会で一緒に写真を撮ってもらったH先生が講演される予定になっているではないですか! 香港の結構有名な先生で、7年前は「香港の貴公子」と呼ばれるほど人気の、めちゃカッコイイ先生でした。ミーハーな私は片言の英語で「先生のファンです」とか何とか言って、一緒に写真を撮ってもらった記憶があります。名刺もいただいたのですが、その後はバタバタして連絡を取ることもありませんでした。しかしまたこの学会に来られると知って懐かしくなり、苦手な英語でメールをしてみたら、’I do look forward to see you again’(あなたにまた会える事をとても楽しみにしています)という返事が来たんです!(社交辞令でしょうけど・・・^^;)講演の当日、ワクワクしながら会場へ。しかし前の演者の講演中、「次演者席」にH先生らしき姿が見当たりません。キョロキョロしていると、講演の直前に懐かしい後姿が次演者席に。(講演は最新の香港の美容の話題で興味深いものでしたが、内容はまた別の機会にお話しますね。)海外招待講演の後は大抵講師の先生に感謝状や贈呈品が贈られるのですが、この日の贈呈品はなんとかわいいディズニーキャラクターのぬいぐるみでした。 講演後、H先生は相変わらずの人気で、若い女医さん達が一緒に写真を撮ってもらっています。一段落した後、彼は私を覚えてくれていたようで、笑顔で話しかけてくれました。そしてまた一緒に写真を撮ってもらったんですが・・・。後でその写真を見て、やっぱり7年前と比べるとお互いにちょっぴり老けたなあと、ちょっと夢から覚めた気分。H先生はもちろんその辺の同年代のおっさんとは比べ物にならないほどダンディーでカッコイイのですが、やっぱり7年前の貴公子時代に比べるとちょっと落ち着いてしまってたんですねぇ。同時に横に写っている私も、久しぶりにお会いする患者様には10年前より若返ってるとか言っていただくこともあるんですが、自分の目で見るとやっぱり7年前にH先生と一緒に撮った写真よりもちょっと老けたなぁとガックリ。(7年前の写真が、写りが良かっただけかもしれませんが。)2枚の写真を比べて分析すると、2人ともちょっぴり太ったように見え、フェイスラインがシャープでなくなったのが一番大きな原因だなぁと思いました。やはりボトックスリフトと新リフトアップカクテルは必要だ! と考えながら少し夢から覚めた気分になり、もっと切磋琢磨しなくては・・・と思ったのでした。(またまた、なんか動機が不純な気もするが・・・。) そしてさらにもう一つ。もっと夢から覚める出来事がありました。学会に行く少し前に、東京の病院に勤めている大学時代の後輩から連絡があり、最近できた彼氏と一緒に住みだして、彼氏が新宿にバーを開いたので飲みに来てくださいとの事。皆様には想像つかないかもしれませんが、私が医学生だった頃の女子医大生(一応女医の卵ですな)と言ったら、もうダサいやら奥手やらで世間一般の「女子大生」のイメージとは一線も二線も画していました。しかしどのような世界にも「突然変異種」というのは紛れ込むもので、彼女は男を手玉に取るのが上手く、学生時代は何人もの男が翻弄されていたんです。しかも彼女は恋愛にのめりこむ事がなく、常にクールでした。まぁいわゆる「悪い女」ですね。しかも彼女には申し訳ないですが、彼女は「絶世の美女」ではないんです。外見の魅力で男を落とすのではなく、恐らく「手に入らないと思うと追いかける」という男の本能を刺激するタイプというのでしょうか・・・。(・・・って男にそんな本能があるなんて、私も若い頃に知っていれば・・・^^;)遠距離恋愛中も、普通なら会いたくて会いたくて・・・というところでしょうけど、彼女は「月に1回以上会うのなんか、かなん、かなん」(彼女は京都出身)。私が失恋して元気をなくしていると、「そんな事もあったなぁ、ですよ。そんなん、さっさと忘れて次のに行かな! ネクスト、ネクスト(next)!」って励ましてくれるような子でした。(この名言から、私の友人達は彼女の事を「ネクスト」と呼んでいます。) 彼女は卒業すると当時花形と言われた循環器内科に進むだろうという皆の期待を裏切って、一見地味な病理医(病変部の組織を顕微鏡で見て診断を行う専門医)になったんですが、その理由は「内科医をあごで使えるから」・・・。そして彼女は医者になってからも結構ぶっ飛んでて、20歳くらい年下の彼氏を「子犬ちゃん」と呼んではべらしてたり、ニューヨーク在住のアメリカン航空のキャビンアテンダント(昔で言う「スチュワート」ってやつですな・・・)とつきあってしょっちゅうNYに行ったりしてたんです。 このクリニック通信で何度も書いたので昔からの読者の方は「センセ・・・よっぽど恨みあるね」って思われるのは承知の上でもう一度書きますが、男子医学生って、学生の頃はダサくてイケてなくて失敗ばっかりして「こいつ手術なんかさせたらヤバイんちゃうの?」と思われていたような奴でも、医者になって数年もすればなぜかモテるようになるんです。少なくとも彼女や結婚相手には困らないばかりか、老け顔のおっさんになっても若い子ナンパしたり、愛人囲ったりする奴もいて・・・「なんでなん?」って思うんですよ。(ちなみにすべての医者がそうという訳ではありません。ただ・・・実際に多い・・・^^;)それに引換え、女医ときたら・・・。なんでこんなにもてないんでしょうねぇ。不公平なんですよ。(私が単なる例外だとは信じたくないぞ! 実例一杯知ってるんだから。)そんな世界にあって、彼女の存在は私のウサを晴らしてくれる良い後輩だった訳なんです。そんな彼女がバーテンダー上がりのソムリエ君と一緒に住みだした(彼女曰く、彼氏が転がり込んできた)と言うので、今度はどんな若いイケメンだろうと思っていました。「彼氏、年いくつなん?」って聞くと、「実際に見て、当ててください」といつものように自信ありげ。学会後にぜひ彼氏のバーに飲みに来てと言われ、ディズニーランドのある千葉の舞浜から新宿まで出向いたのですが・・・。 「え?」・・・ 意外や意外。紹介されたバーのマスターは、彼女よりも年上の、フツーのオジサンだったんです。彼女のぶっ飛んだ男性経歴からはかけ離れた感じだったのでびっくり。しかも彼女はそのオジサンを養ってるようなんです。「最近、大きなペットが家におるらしいね、とか『最後にダメ男引いたんちゃうん』って言われるんですよ」って自分でも言ってたけど・・・。驚きながら「どこが良かったん?」って聞くと、「楽なんですよねー。掃除洗濯、洗い物もしてくれるし」・・・。まあ、内科医をあごで使えるからと言って病理医になった彼女ですから、あごで使えて何でも言う事聞いてくれる人が良かったのかもしれません。しかし、いまだに彼女を忘れられないイケメン君たちが何人もいるって噂なので、彼らが知ったらショック受けるだろうなー。かく言う私も、あまりの意外さに夢から覚めて現実に引き戻された気分で、疲れ切って帰路に着いたのでした。心の中では「ブルータス、お前もか!」の言葉がなぜか渦巻いていました。(何でも継続するのは難しくて、最初は頑張っても最終局面では頑張りが継続できずに楽な方に走ってしまう人や会社が大半なので、私はぶっ飛んでいた彼女にはそうならず、そのままぶっ飛び状態を続けてくれる事を期待してたんですよね・・・。)  「夢」・・・って一体何なんでしょうね。非現実的な事を「夢の世界」と言うのか、はたまた現実可能だけど「まだ実現していない将来」を夢と呼ぶのか。多くの人が「夢」という言葉を使いますが、人によって夢の定義は「実現するはずもない空想の世界」を夢と呼ぶ人、「100%実現しないと言い切れないが、極めて確率が低い事は知っている。でも宝くじだって買わなきゃ当たらないんだし、抽選の日までワクワクできるだけでもいいじゃない」って割り切った希望を「夢」と呼ぶ人。はたまた、「いつか必ずこれを実現させる!」と強い決心を持って実現させる可能性がある事だけを「夢」と呼ぶ人までさまざまです。美容医療や化粧品も夢を見させてくれるもの・・・とよく言われますが、私は美容医療は覚める「夢」であってはいけないと思うんです。現実に根付いた夢でなきゃね・・・って思います。私が目指す美容医療は、少し若返るという夢を実現させるもの。  一方でディズニーランドの魅力は「おもてなしの心」。ディズニーリゾートは青空を背景にした巨大なステージで、ここでは観る物全てがショーだそうです。スタッフは「キャスト(出演者)」お客様はショーに参加していただく「ゲスト」と呼ばれます。ショーに参加してもらって夢を見てもらうという事なんでしょうね。そしてそのキャストたちは、全員がディズニーファンで、ゲストに対するおもてなしの心を忘れないそうです。ディズニーリゾートの「感動のおもてなし伝説」は数々ありますよね。アトラクションで川に結婚指輪を落としてしまったゲストのために、30人のダイバーが川に潜って指輪を探し出したとか、キャラクターのサインを集めたサイン帳をなくした子がいて、なくしたサイン帳を探し出せなかった時に、新しくサインを集めたサイン帳を作ってプレゼントしてくれたとか・・・。そういったおもてなしで夢を忘れられないものにしてくれるのがディズニーリゾートの魅力なんでしょうね。ディズニーランドがオープンして20年以上経った今でもトップを独走しているのは、明らかにこの努力の継続にあるんだと思います。その間に色々なテーマパークがオープンしたけど、結局ほとんど潰れています。それくらい人に夢を与えるって事は難しく、継続した努力が必要なんだと思います。 私のできる事は皆様が夢から覚めてがっかりしないために、心からのおもてなしができるように、そして、夢を実際に実現できるように日々研究に励む事だと思っています。そこで新たな当院のコンセプトを考えました。人呼んで「シンデレラ城という名の研究室」。(う・・・ん。なんかコンセプトのアイデアはいいと思うのだが、呼び方が付け焼き刃でイケてないなぁ・・・。ま、いっか。最終的には結果を出していくしかないですもんね。いつか誰かがそう呼んでくださる事を期待して・・・。)これからもご支援のほど、よろしくお願い致します。

第136回 (2014年7月) 「これからは毎日筋トレします!! 」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。梅雨に入り、暑くなって来ましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。朝夕は涼しい日もありますので、体調など崩されないよう気をつけてくださいね。私も先月は気温の差についていけず、1ヶ月近く酷い風邪をひいてしまいました。そんな中、「全日本医師卓球大会」という催しが今年は神戸であったため、大学の卓球部の先輩から人数が足りないという事で試合に駆り出され、十数年ぶりに医師卓球大会に出る事になってしまいました。以前にも何回か書いていますが私は大学時代卓球ばかりしていて、今でも母校の卓球部の試合を応援に行く事もよくあり、卒業生の追い出しコンパには毎年参加しています。今回の試合は風邪をこじらせている最中で、体調は最悪。楽しみにしていた前夜のレセプションも欠席してしまいました。(私が飲み会を欠席するという事は、よっぽど体調が悪かったんだな/と、クリニック通信を読み込んでおられる方はお分かりかと思いますが・・・。) プラセンタ点滴をカンフル剤のように打って試合に望みましたが、練習も全然できなかったしラケットを変えた事もあり、昔のようにはいかなくて(当たり前ですが)試合結果は散々。まあ医師卓球大会の参加者と言えば学生時代に医学部の大会で連続優勝していたつわもの達がほとんどで、70代、80代まで卓球を続けてたり、50歳を過ぎても毎週のように卓球している人ばかりなので、にわか参加でまともな試合ができるはずもありません。先輩達も「楽しむ事が肝心」とは言ってくれていましたが、思うような卓球ができなかったのが、めちゃ悔しい!!(この妙なこだわりは体育会系の人には解ってもらえますよね?)これでも学生時代は大会で優勝した事も何回かあったし、十数年前までは男子に混じって医師卓球大会に出ても、そこそこまともな試合ができたんだから!!「楽しむ事」が肝心だって?・・・な訳ない! 勝負は勝たねば意味ないのだ! って、久しぶりに自分の中で眠っていた燃える闘魂が蘇ってきました・・・(^^)。そんな訳で一念発起して真剣に練習する事に。今まではいつも練習する時は京都の大学まで行っていたのですが(練習後に後輩達と飲みに行くのも目的ではあるが・・・^^;)、それではたまにしか練習できないので、卓球教室に通っている先輩に聞いて神戸で卓球教室探しです。そして「体験レッスン」というのを見つけて申し込み、わずかながらトレーニングも始めました。数年前に買ったものの、自宅でホコリをかぶっていたエルゴメーターを再開。腹筋・背筋・腕立て伏せも少しだけ。そうしているうちに風邪も治り、今までは1回練習すると1週間は疲れと筋肉痛で大変だったのに、練習後の疲れがましになってきました。この年になっても体力ってつくもんなんですねえ。 そんな自分にちょっと嬉しくなってきた頃に、「抗加齢医学会」という学会がありました。この学会はいろいろな科のドクターに加えて企業の研究者や栄養士など多分野の人が集まるので、私がよく参加する学会の中では一番大きな学会です。参加人数は5000人以上、講演の数も半端なく多いので会場も広く、あちこちの講演を聞くため会場を歩き回るだけでいつもヘトヘトになっていましたが、これは自分の体力を試すいい機会♪とばかりに、今年はルンルンと参加。今年の抗加齢医学会のテーマは「アンチエイジング医学のルネサンス-サイエンス、教育・臨床、そして社会との対話-」う・・・ん。なんかカッコイイのかありがちなのか・・・ちょっと派手でいきがってる感じもするのは私だけでしょうか?(言ってる事が大きい奴に限って中身が伴わないって事ありません? なんだ・・・結局のところ一般論だけでオリジナリティはないのね・・・みたいな・・・^^;)まぁそれはともかく、この学会の名誉理事長は私の大学の学長であるY先生なんですが、まだ誰も「抗酸化物質」なんて知らなかった私の学生時代から盛んに抗酸化の話をされていて、話はすごく面白い先生なんですが、当時大学ではちょっと胡散臭いと言われていた人です。これ又、世の中の常ですが「すごくいい人」って全然面白くない人である事が多く、「すごく面白い人」は大抵「悪い人」なんだなぁ。「悪い人」なんだけど「話だけはめちゃ面白い」って人いるじゃないですか。あれって何なんでしょうね? そんないわゆる「悪い人」って、そういう人に限ってまた先見の明があったりするようです。 それはさておき、学会というのは最先端の知識を持った各分野の人達の講演が濃縮されているので、講演を選んで真面目に聴けば勉強になる事は確かです。私が選んだセッションは、「皮膚の科学からアンチエイジングを考える」「なぜ、若く見せたいのか?」「皮膚・皮下組織の老化メカニズムと対策」「プラセンタはアンチエイジングにも再生医療にも有効」「日本におけるアンチエイジング診療の最先端」「10歳若返るホルモン力」・・・。そして、今までは美容関連の講演ばかり聴いていたのですが、今年は運動にもちょっと興味が出てきたので、「運動にアンチエイジング効果はある?」「あの人は、どうしてあんなに元気なのか!?」という運動関連のセッションも聴いてみました。どうです? もうお腹いっぱい! ってくらい盛り沢山でしょ・・・(^^)。とても一回では紹介しきれないので、いつもは美容関連の話ですが、今回は趣向を変えて現在のマイブームである運動関連のセッションから少しご紹介。 まずは、「あの人は、どうしてあんなに元気なのか!?」というセッションの中から、「三浦雄一郎氏の70歳から80歳までの体力推移」という講演。三浦雄一郎氏と言えば皆様もよくご存知だと思いますが、70歳、75歳、80歳と、3回にわたり世界最高峰のエベレストに登頂し(どんな爺さんなのよ・・・って感じ。近所にいたら間違いなく怖くて近づけないな・・・)最高齢登頂記録を塗り替えてきた登山家で、プロスキーヤーとしても有名ですよね。その三浦雄一郎氏の69歳時から80歳時までほぼ毎年、筋力・持久力などの体力を測定してきた先生の講演でした。三浦氏の脚筋力は、70歳から80歳時までほぼ40歳なみの値を維持し続け、背筋力は80歳時に148kgと過去最高の値を発揮したそうです。(それってすごくないですか??)また腹筋力は、スキー中の骨盤骨折事故(76歳時)により一時期は1回もできなくなっていたが、80歳時には9回できるまでに回復したらしい。この事から、筋力は70歳を超えても維持でき、一旦低下しても回復できることが窺える・・・と言われていましたが、それって三浦氏だからでは? 子供の頃から行ってきたスキーに加え、70歳を過ぎてからヘビーウォーキング(足首に重りをつけ、背中には重りの入ったザックを背負ってのウォーキング)を始め、夏場はスキーができなくて運動不足になると言って200km以上自転車にも乗っていたそうです。そんな話が色々と・・・。うーん・・・ 皆様何かお役に立ちました? ・・・ですよねぇ。自分に当てはめて考える事ができるレベルのものがないようです。そんなスーパーマンみたいなお爺さんがいます・・・って事で、とりあえずこれは失礼しました。 次の講演は「100歳を超えて人生を走れる身体づくり 実践編 肥満外来2000例と89才トップアスリート2選手の経験から」。整形外科の先生が行われている肥満外来の報告で、10年間で2000例が糖質制限食と10種類の油圧式マシン等の運動療法で体脂肪率を下げ筋肉率を上げる「健康的な減量」で10-20kgの大幅な健康的減量に成功。膝や腰の痛みが治り、生活習慣病の薬が要らなくなった人も多いそうです。中でも80歳を過ぎてから減量して陸上競技の試合に出ているスーパー爺ちゃんが2人いるとか。プロでなく一般の人なので三浦雄一郎氏よりは身近ですが、80歳過ぎてそんな事ができるのは1000人に一人って事ですよね。もうちょっと自分でもできそうな事はないかな?と探していると・・・ 「運動にアンチエイジング効果はある?」というセッションの「インターバル速歩のアンチエイジング効果」という講演で、インターバル速歩(個人の最大体力の70%以上に相当する速歩と40%以下のゆっくり歩行をそれぞれ3分間ずつ、30分/日以上、4日/週以上、5ヶ月間行うトレーニング方法)で、筋力など体力が10%増加し、それに伴って生活習慣病指標が20%減少し、うつ指標が50%改善し、医療費が20% 削減されたという報告がありました。運動後牛乳を飲むと血中アルブミンが血管に水分を取り込んで循環血液量が増えるので、熱中症の予防にもなるそうです。これは頑張ればできそうだけど、30分/日以上、4日/週以上、5ヶ月間というのはちょっとしんどいな・・・と思っていると、次の講演「加圧トレーニングの効果」では、四肢の基部をバンドで加圧して運動すると、もっと軽い運動でもアンチエイジング効果があるという事が、動物実験と臨床試験両方で示されているではないですか!  加圧トレーニングの臨床試験は、高齢者(平均年齢71歳)を加圧群と対照群に分け、レッグエクステンション(最大体力の20%)とレッグプレス(最大体力の30%)を週2回、3ヶ月間実施すると、加圧群では有意な筋肥大、筋力増強が認められたというものです。動物実験では、ラットで加圧下では刺激後3時間に筋タンパク合成系の活性化を認め、3週間トレーニングすると加圧下で非加圧下に比較して有意な筋肥大が認められたという報告でした。・・・これはいいかも! 皆様も加圧トレーニングというのはご存知ですよね。私は今までは医学的に加圧トレーニングの効果を実証した報告などを見た事がなかったので、本当に効果あるのかなーと思ってたんですが、この報告を聴くと効果がありそうです。(普通のトレーニングより楽できそうだし、こちらはちょっとお役立ち情報かも・・・(^^)。) 本当はまだ色々な話があるのですが、学会に出ると素晴らしい新発見が今の人類が抱えている悩みを解決するのは時間の問題だ・・・というような報告も結構あります。でも、実際には私が子供の頃から「ガンは治る! 完治させる方法が動物実験で確認されたので実用化を待つばかり」みたいな話を何回も聞いてきましたが、結局未だにその手の事は実用化されていません。学会発表で確認された実験結果が、なかなか世の中に浸透しないのはなぜなんだろう・・・って私なりに考えたのですが、詰まるところ普通の人は「良いと解っていてもそれを継続できない・・・」、つまり三日坊主だって事じゃないかと思うのです。 研究者が行う実験って、動物をオリに入れて強制的に毎日薬剤を投与したり、電気ショックを与え続けたり、被験者はお金をもらって指示された事を行うのが仕事であったりと、「継続する」事が当たり前の環境の下で起きた変化を観測しています。でも実際には普通の人って、一発奮起してダイエットしようとしても続かない・・・「運動をするぞ!」・・・と決意しても続かない・・・って事が多いじゃないですか。それでは実験と同じ効果は出ない訳です。それに精密な測定装置を使って5%の変化が見られた・・・と言っても、普通の人が脂肪が5%くらい減ったって、筋肉量が5%くらい増えたって、たいした効果が出たとは思えないから、結局挫折しちゃうんですよね。(ホントはその5%の積み重ねが大切で、それを何年も続ける事ができれば目に見える効果になるんでしょうけど。)そう考えれば普通の人でも10歳から始めて80歳になるまで継続して毎日トレーニングを続ければ、三浦雄一郎氏のようなスーパー爺さんができあがるのかもしれませんが、そんな脅威の持続力を持った人は100万人に一人もいないんでしょう。 学会に行って治療の「原理や理論」を仕入れる事は非常に重要なので私も定期的に参加しているのですが、実際の臨床の場ではそれ以上に患者さんに「いかに継続してもらうか」という事を努力しなければ結果が出ない事も多いです。ボトックスのように一回の注射で大抵の人に効果が出るというものもありますが、半年位かけて継続しなければ「期待していた綺麗な仕上がりにならない」という治療も多くあります。特に運動によるアンチエイジングとか健康管理なんて、もう「継続こそが命」と言ってもいいのではないでしょうか。本来は「継続を維持できる事が可能な治療」というのを開発しなければならないのかもしれません。かく言う私も「食べる事」の継続性は不必要な位にあるのですが、「運動」になると人生で何度挫折した事やら・・・。特に単純なトレーニングって継続が難しいですよね。実はトレーナーについて運動指導をしてもらうというのは、効果的な運動方法を指導してもらうと言うよりは、トレーナーに運動する事を「継続させてもらう」という効果の方が大きいんだと思います。挫折しそうになっても良いトレーナーは心のケアも考えて励ましてくれ、一緒に悩んで一緒に努力してくれる事で挫折の縁から救い出してくれるんだと思います。私自身も今回は挫折しないよう、卓球も「習い事」として続けてみたいと思っています。又、クリニックでは皆様が治療を継続できる為の良きトレーナーになれるような努力が必要だな・・・と改めて考えた次第です。 さあ、今日も筋トレしなきゃ! あ・・・そうそう。今回は挫折しないように通信のタイトルに入れて宣言しちゃいます。皆様も私が挫折しそうになったら励まして(お叱りかも・・・)くださいね。よろしくお願い致します・・・m(__)m。

第135回 (2014年6月) 「プラセボ効果」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。新緑が眩しい季節になってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? GWは楽しまれましたか? 私はと言えば、今年はいろいろ問題が起きて(今年だけではなく毎年の事でもありますが・・・)、GWは仕事漬けとなってしまいました。そんな連休が明けたある日の事、一本の電話がありました。昔大阪で勤務医をしていた頃によく行っていた東三国のフレンチレストランがあるのですが、神戸に来てからは自然と足が遠退き、最後に行ったのは多分5年以上前なんじゃないかな・・・というお店のオーナーシェフMさんから、数年ぶりの連絡でした。こんな時って着信画面に名前が出る機能、本当に助かりますよね。知らない電話番号だったら出ないところなんですが、着信画面のMさんの名前をみた瞬間、人懐っこくて憎めない彼の顔を思い出してしまい、「はぁい! Mさん! 久しぶり!」って一オクターブ高い声で電話に出たもんだから、Mさんは一瞬固まってしまったようで、「あ・・・あのぉ・・・。柴田さんですよね?」って確認されてしまいました。 要件というのはMさんの先輩でもあり、これまた大昔、私が芦屋に住んでいた頃に行きつけていた小さなカウンターフレンチのオーナーシェフをしていたKさんが亡くなったという事のお知らせでした。「へぇ・・・あのKさんがねぇ・・・。まだ若いのに・・・。それに死ぬようなタイプじゃなかったけどなぁ・・・」と感慨に耽る事しばし・・・。Kさんは豪快で押しも強く、いわゆるクセのある名物シェフでしたが、私は鈍感なのか、その辺をあまり気にする事はありませんでした。それよりも当時はカウンターがあって一人で行けるフレンチレストランなんかなかったし、料理は結構美味しかったのでそちらを重視していたんですが、一緒に行った友人の中には「あのアクの強いシェフはどうも苦手で・・・」という人が結構いたのも事実です。だからと言って誰かに恨みをかったり藁人形で呪われたりするような人でもないので、ちょっとビックリです。Kさんが昔芦屋でカウンターフレンチをしていた頃はお店は結構流行っていたのですが(流行っていたように見えたが・・・お店が小さかったから、数人いるだけでいっぱいお客さんがいるように感じたのかもしれません)、その後北野に移転し、お店が広くなってカウンターがなくなり、オシャレな今風のフレンチレストランになってからは流行らなくなったようで、ついに数年でお店をたたむ事に。Kさんは再び他のレストランに就職する事になり、「雇われの方が気楽でいいよ・・・ガハハハ!」と豪快に笑って話していました。その後は10年以上お会いしていません。北野にいた頃はKさんのお店を貸切にしてもらって高校の同窓会をした事もありました。私のクリニックが北野にあった頃はお店が近かったので時々料理を届けてくれたり、根は優しい人だったのになぁ・・・。(私にとっては美味しいものを提供してくれる人はみんないい人になってしまいますが・・・。)ほんとに残念です。 Mさんの話によると、Kさんはお酒の飲み過ぎで肝臓を悪くされたらしく、それでも飲み続けて、死ぬ間際までシャンパンを飲んでいたんだとか。お酒が好きな人は本当に医者が止めようが周囲が心配しようが「お酒を飲んで死ねたら本望だ!」みたいな事言って、本当に死んじゃう人がいるんですよねぇ。そう言えば私の知り合いのお父さんも大の酒好きで、食道癌になって手術した後に自宅療養している時でも、お酒を飲みたいけど飲めないというジレンマから、とうとう点滴にお酒を勝手に注入し、体内にアルコールを入れていたという酒豪がいました。ここまでくると酒豪なのか単なる命知らずなのか分かりませんが、まぁ本当にお酒好きな人は周りが止めてもやめられないって事ですね。 Mさんと、「お互い飲み過ぎには気をつけよう」と誓い合いました・・・^^;)。 ワイン好きのMさんも血液検査では肝臓の機能低下を示す数値がかなり高いらしい。私は結構ワインを飲むのに肝機能が正常なのは、プラセンタ点滴をしょっちゅうしてるからかもしれません。プラセンタは今は美容で使われる事の方が断然多いと思いますが、元々は肝臓の薬なんです。Kさんにもプラセンタ点滴をもっと勧めれば良かったなぁと思いますが、時すでに遅しかぁ・・・。 そんな訳で久しぶりにMさんとお話する事に。大阪にあるMさんのお店にも6-7年は行ってないのですが、お聞きする限りでは結構流行っているようです。最初は私が大阪の病院にいる時にグルメガイドでみつけたお店で、料理とワインはかなり美味しいのですが、ちょっと変わった店なんです。そもそもフレンチレストランって皆様はどんなイメージをお持ちですか? オシャレな内装にタキシードを着たソムリエ君が恭しくおすすめのワインなんかを持ってきて、葡萄の講釈をたれている間に隣の席では本日の前菜が綺麗なお皿に繊細に盛りつけられて静かに運ばれてくる・・・。「本日のメインには92年もののボルドーを合わせられてはいかがでしょうか・・・。特にこの生産者は保守的と言われているボルドーの地域にあってもアバンギャルドな作り手として、35歳の若さで90年にはコマンドール賞を受賞しておりまして・・・うんぬん」なんて話を聞かされならがらも「たまにはこんな贅沢もいいわよね・・・」なんて思いつつ、美味しい料理に美味しいワイン、そして少し文化的な雰囲気に酔いしれる・・・そんな感じじゃないですか? まぁ・・・言っては悪いのですがMさんのお店はそんな雰囲気は全くありません。今でこそビストロとかバールといった、レストランほどお高くとまってないけど、居酒屋ほどカジュアルでもないという、ワイワイ仲間と楽しめる洋食屋さんが増えましたけど、私が当時Mさんのお店に行っていた頃はそんなジャンルのお店はほとんどありませんでした。なのでちゃんとガイドブック(今だったらネットの食べログとかなんですが、当時はネットもありませんから「あまから手帖」みたいな純然たるガイドブックです)にはフレンチレストランとして掲載されていました。 そんなMさんのお店ですが、内装はまぁ・・・少ししょぼいがフレンチの面影はあります・・・^^;)。しかし、問題は客層。当時のフレンチレストランには珍しくカウンターがあったのですが、そこはいつも常連のオヤジ達で埋まっていました。大体、男の人って一人でフレンチを食べに行く事ってほとんどないでしょう。なのでフレンチと言えば大抵カップルか女性同士って相場が決まっているのですが、ここは見事なくらい男性ばかり。しかもいい年したおっさん達の巣窟なんです。中には酔っ払ってカウンターに突っ伏して寝てる人も・・・。私も自慢じゃないですが結構フレンチレストランには行きましたが、近所のおっさん達がワインで酔っ払ってカウンターで寝ているフレンチは初めてです・・・^^;)。さすがにシェフのMさんもそれはまずいと思ったのか、料理を運ぶ合間に一生懸命声をかけて起こそうとしたり、珈琲をサービスしたりしてました。それでも珈琲を一口すすると又そのままカウンターで高いびきの豪傑もいて、もう呆れるのを通り越して笑ってしまいました。そう言えばキャバクラと間違えて女の子連れで騒いで、出入り禁止になったというオヤジもいたなあ・・・。こんな書き方をすると何かとんでもないお店に聞こえるかもしれませんが、実は私は結構そのお店がお気に入りだったんです。今でも神戸に引っ越してなかったら、近所のオヤジ達に混じって夜な夜な酒盛りしてるんじゃないかな・・・って思うくらい。Mさんの名誉の為に言いますが、彼の作る料理は結構正統派のフレンチで、とっても美味しいんです。そして彼はワインにも造詣が深く、小さなお店にしては珍しくロマネ・コンティとかムートンロートシルドみたいな超高級ワインも置いています。(ただ、そんな高級ワインをお客が頼める訳もなく、ほとんどはMさんが自分で飲んでいるみたいですが・・・^^;) 実は世の中にはフレンチが好きなオヤジもいるんですよね。ただ、どうしても普通のフレンチレストランは敷居が高くて気軽に一人で楽しめない。そんな抑圧されたフレンチ大好きオヤジ達がどこからともなく噂を聞きつけて夜な夜な集まるようになった・・・ってところだと思います。そして電話で話をした限り今もそのスタイルは変わっていないようです。最近はドクターの利用が多く、勉強会に使ってもらってその時気に入ってくれた先生が京都から通ってくれたりするんですよ・・・とはMさんの談ですが、通っている先生は間違いなくオヤジです。京都にはそんなお店ないですもん・・・。Mさんのお店は、オヤジが行ける数少ないフレンチだから流行るんでしょうね。一方Kさんのお店は、芦屋にあった頃はカウンターが常連さんで埋まるお店でしたが、北野に移転して広いテーブル席ばかりのお店になった途端にガラガラに。芦屋の時は、当時なかった「一人で行けるカウンターフレンチ」だったから支持する人がたくさんいたけど、北野に移転してから一般のフレンチになったので、支持する人が少なくなったんだと思います。普通のフレンチレストランだったら、北野にはもっと美味しいお店やお洒落なお店はいっぱいありましたから。 よく顧客のニーズを満たさねばならない・・・って言いますが、お店って店の主人がしたい事とお客さんが望んでいる事が必ずしもマッチしないところが多いのが現実なんだと思います。その点Mさんのお店は見事にMさんがしたい事(私が想像するに、お客さんとワイワイ言いながら美味しいワインを毎日飲める事。たまにはお店の仕入れだとか税務署に嘘ついて高級ワインを自分だけの為に開けて一人で飲み干す事・・・^^;)あくまで私の勝手な想像ですが・・・。)とお客さんが望んでいるお店のスタイルが見事にマッチして、地域オンリーワン店になっているようです。そして、人は支持されていると長生きできるんだと思います。MさんもKさんに負けず劣らずお酒が好きで肝機能がめちゃ悪くても結構元気でバリバリ働いてるのは、Mさんを支持するオヤジがたくさんいるからなんでしょうね。私も自分のクリニックを運営する上で、患者様が望んでいる事と自分が行いたい事が乖離していかないように注意しなければと改めて思いました。ただ、これは患者様にすべて迎合するという事ではないと思っています。自分が信じる道まで無意味に妥協するのでは意味がありませんよね。Mさんのお店も、しっかりと美味しい料理を作るという事では彼はブレていません。ただ、独りよがりになってはいけないんだ・・・と思いました。誰かに支持されるのには支持される理由がある。勿論、支持されない場合にもその理由があります。それらの理由を謙虚に受け止めて自分のやりたい道と融合させる・・・それが本来あるべき姿なんじゃないかな・・・って思った次第です。 柴田 :「今度Kさんの追悼会しなきゃね・・・」 Mさん:「本当にそうですね。うちのお店でやってください」 柴田 :「そうだね。たまにはMさんのところにも行かなきゃねぇ」 Mさん:「そうですよ。柴田さん来られたらきっとモテモテですよ」 柴田 :「それって単に私が唯一の女だから・・・ってだけの理由でしょ」 Mさん:「いやいや・・・そういう意味では・・・。あれからも面白い人沢山来てますよ」 柴田 :「それじゃ・・・今度行くからとっておきのワインを1本サービスしてよ。 私はプラセンタ5本位持っていくから・・・」 Mさん:「それじゃウチの割が合わないじゃないですか・・・」 柴田 :「そんな事ないよ。プラセンタだってワインと一緒で高級な材料だけ集めて作った普通には手に入らない特級品があるのよ。製造メーカーの人達が、 ある種のDNAを持った人達から奇跡的に胎盤を回収する事ができた時だけに取れるプラセンタは別に分けて製造するの。それは年に数本しか取れないから1本数万円で取引される事だってあるんだから」 Mさん:「え!!ホントですか! じゃ・・・是非それを一度持って来てください。替りにウチ秘蔵のマルゴーを開けちゃいますよ」 柴田 :「うん。そうします。じゃ・・・是非、次の機会に!」 ってな感じでまんまと丸め込んじゃいました。勿論、特級品プラセンタなんてものはありません。これはちょっとした冗談なんですが、そう信じこませて実際にどんな効果が出るのか見てみたいんですよね・・・。薬品の世界ではプラセボ効果といいますが、被験者が「効く」と信じて飲んだ薬は薬効成分がない擬似薬(プラセボ=プラシーボ)でも実際に効果が出る事がかなりの確率で発生します。このプラセボ効果を確認したいという研究が目的であって、Mさんを騙そうとしているのではないのであしからず・・・(^^)。ただ、実際は私も以前に「このシャトーマルゴーは奇跡の年と言われたぶどう豊作の年に、全体の収穫量のわずか5%だけを特別によけて作られた貴重なワインで・・・」ってMさんに聞かされて「うん! さすがに美味しい! こんな高級ワインが飲めるなんて幸せ!」って言った事があるんです。すると、「実はね・・・それ本当はマルゴーじゃないんですよ・・・。1本数千円のワインなんですけど、すごいでしょ。マルゴーって言われればそう思うくらい美味しいでしょ!」って満面の笑みでMさんに自慢された時の恨みが未だに忘れられず、いつかこのカタキを打ってやろう・・・って思ってたんです。いよいよこの時が来たんだ! もしかしたらフレンチレストランって、大きな意味でプラセボ効果の塊なのかもね。信じて食べれば美味しいし、信じて飲めば美味しいのかも。気の合う仲間とワイワイガヤガヤ食べて飲む事でプラセボ効果があるんだったら、喜んで擬似薬もらっちゃいます。あのお店ではMさんが一番のプラセボなのかも。今宵もMさんのお店ではオヤジ達が集ってワイワイガヤガヤやりながら、夜も更けていってる事でしょう・・・(^^)。私も今夜はちょっと、とっておきのワインを開けさせてもらいます。Kさんの追悼をしながら・・・。

第134回 (2014年5月) 「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。4月は暖かかったり寒かったりで風邪をひいていた方も多かったようですが、皆様はお元気にお過ごしでしょうか? 4月初めには去年に引き続き国際学会のため長期にお休みをいただき、皆様にはご迷惑をおかけしました。なんとか無事に帰って来ましたので、今回はその旅のご報告を少し。毎年モナコで開催される「世界抗加齢医学会議」には去年初めて参加したのですが、モナコは初めてでフランスも久しぶりだったので去年はいろいろ失敗しました。タクシーにぼったくられたり、ホテルがひどかったり、レストランがまずかったり…。そこで今年はリベンジしてやるぞ! と再度挑戦です。(レストランがまずいのは食い意地の張った私にとっては一番の問題です。「再度挑戦」というのは勿論、学会ではなくレストランの事ですけど…^^;) さて人の縁というのは面白いもので、去年地球のほぼ裏側であったモナコの学会の時に「世界最高峰のスパ」で出会ったニース在住のTさん(クリニック通信第123回参照)の甥っ子M君がうちのクリニックにバイトに来ています。最初は今回の学会はM君と一緒に行って叔母さんに会う計画を立ててたんですが、M君が4月から大学院に行くので、学校の都合で行けなくなってしまいました。この年になって荷物持ちなしの一人旅はつらいなぁ…。誰か行かないかな? と探しましたが、例によってコロコロS君は洋食がダメなので除外。大学の卓球部の後輩達に「旅費はこっち持ちにするから、誰か荷物持ちで行かない?」と声をかけてみると、「行きたい!!」と手を上げた子が2人いました。一人は母校の5回生Y君。もう一人は京大医学部4回生のN君です。うむ…2人連れて行くのは想定外。しかも後輩達の話を聞くと、どう見てもN君の方がイケてて、「ホスト」の異名を取るほどよく気がついて、英語もバリバリできるらしい。しかしN君の方が学年が下だし、上下関係を重視する体育会系クラブとしては、学年が上で直属の後輩であるY君を差し置いてN君だけを連れて行く訳にもいきません。Y君は「僕めちゃめちゃ行きたいです! 荷物持ちでも肩もみでもなんでもしたいと思いますので、僕みたいなのでもしよろしければお供させて下さいm(_ _)m」と必死だし…。しかし後輩達の中には「Y君は自己中なとこがあるから、1週間も一緒にいたら先生切れるかも」「お金はかかっても絶対N君も一緒に連れて行った方がいいですよ」という声も。仕方ないのでN君をメイン、Y君をサブとして今回は2人とも連れて行く事にしました。二人のお供を従えて旅に出るなんて、なんだか助さん格さんを連れた水戸光圀さんみたいじゃないですか。我ながら太っ腹!…と言いたいところですが、なんせ二人分ですから経費節減の為に、最安値の航空券探しに最安値のホテル探しと、その後が超大変。水戸の御隠居様も格安航空券やBooking.comのようなサイトがない時代には、旅費の工面には意外に苦労してたのかもしれませんね。 去年はこの通信ではおなじみのK氏のお勧めで、モナコとニースの間のエズという村に泊まったのですが、ホテルをけちったばっかりに大失敗。しかもそこから学会に通うと、朝は道は混むしタクシーにはぼったくられるし…。やっぱり学会ついでに行くところではなくて、優雅にリゾートを楽しむための土地なんでしょうね。しかし今回のK氏お勧めのヴィルフランシュ・シュルメールは、去年ランチにだけ行ったのですがそこのレストランがすごく美味しかったし、風光明媚な街だったので、今年はそこから電車でモナコに通う事にしました。そして今年はM君の叔母さんのTさんにもあれこれお世話になりました。ホテルを調べてもらったり、電車の乗り方を教えてもらったり、切符を取ってもらったり。やっぱり現地に知り合いがいると全然違いますねー。(しかしK氏は地元の人より飛行機や観光には詳しいかも。)1日くらいは観光しようと、日本人ガイドのツアーにK氏お勧めのオーベルジュとワイナリー訪問のツアーを見つけて申し込んだのですが、直前になってTさんが知り合いの日本人Eさんが観光案内を始めたのでどうかと紹介してくださいました。なんとそこはネットで調べたツアーの半額以下です。安いのは車が小さいのと経験が浅いためで、経験を求められるならもう少し熟練した人のツアーもありますとTさんには言われたのですが、車で好きなところに連れて行ってくれるんなら別にガイドに熟練してなくてもいいんじゃないかと思って、Eさんにお願いする事にしました。(ただ、それがちょっとした事件になってしまうのですが…。) さて、今年になってクリニックのスタッフが入れ替わってバタバタしている合間を縫ってそんな準備を進めてたんですが、なんとメインであった京大のN君が直前になって学校のカリキュラムが突然変わり、行けなくなってしまいました。(N君がいなくなるって事は助さんがいなくなっただけでなく、格さんもいなくなってうっかり八兵衛だけがお供になったようで、なんだか急に不安になってきました…。)そんな中、学会休み前でクリニックの予約が超満員になって大忙しの出発直前の週に、コロコロS君が新人達を残してまさかのインフルエンザ休暇。(これまた彼が大体大事な時にこうなる事が多いんだな…。)あまりの忙しさに私も風邪をひいてしまい、熱と咳に悩まされながら不安な出発となってしまいました。 モナコには空港がないのでニースの空港から入るんですが、当初はニースの空港にEさんに迎えに来てもらってワイナリーとオーベルジュに行く予定でした。しかしそこはニースからかなり遠く、9時間以上のツアーになると聞いたので、その時の体調ではとても無理だと思ってニース近くの観光に変更してもらいました。体調が良くなればニースの近くにもワイナリーがあるので行きましょうとEさんには言われていたのですが、翌日M君の叔母さんのTさんに会う予定だったのに、出発前あまりに忙しくて日本からのお土産を持って行くのを忘れたので、ワインでも買って行こうと思ってそのワイナリーに行く事にしました。しかし、いざ向かったものの、20分ほどで着くはずの場所になかなか着きません。「私も行った事がなくて」「あれ?どの道だったかな?」と何度も道を間違えられるので「しまった」と思ったのも後の祭り。ニースはめちゃくちゃ陽射しが強く、暑くてクタクタになりながら山道を1時間以上走ってやっと着いたのに、ワイナリーは閉鎖されていて、もうやってませんでした…。「下調べしてなかったもので…すいませーーーん♪」って…。う~ん、下調べぐらいしておいて欲しいよねぇ…。Tさんが「経験を求められるなら…」と言われていた訳がよく分かりました。やっぱり何事もケチってはいけない…と今年も学習。(去年も学習したはずなのに…:;) ただ初日はかなりはずれましたが、翌日からは結構順調でした。久しぶりにお会いしたTさんはガイド業をしているEさんより上手な運転でモナコが一望できるチュービ村という綺麗な村に連れて行ってくださって、そこのレストランはめちゃ美味しかったし、話も弾みました。その他、ヴィルフランシュ・シュルメールの近くのボーリュー・シュルメール(シュル・メールというのは「海辺の」という意味なんだそうです)や、その付近のコート・ダジュールでも屈指の高級別荘地というキャップフェラ半島の丘の上にそびえるヴィラ・ロスチルド(20世紀初頭に大財閥に生まれた男爵夫人が世界で一番眺めのいい場所に建てたというイタリア・ルネッサンス様式の邸宅)にも連れて行ってもらって感動! Tさんが切符を取ってくださったので、ヴィルフランシュからモナコの学会場までもスムーズに通えました。勿論最初は切符位自分で買うのにお手間をかけて申し訳ない…って思っていたのですが、さすが現地の人ですね。ヴィルフランシュの駅はモナコと違ってとても小さな駅で、駅舎が昼休みには閉まってしまい、無人になってしまうんです。自動販売機で切符を買ってみようとしたら全く作動しません。え? 自動販売機も昼休みなの? まさか機械まで優雅にワインを飲みながら2時間かけて昼食している訳じゃないでしょ。それとも単に壊れているだけ? 多分、機械が壊れたり使えなかったりすると昼休みでも文句言われたり呼び出されたりするのが嫌なんで、電源抜いて昼休みに行ったに違いない。あ…なんちゅー奴らだ! と…どこまで行っても日本人の感覚が拭えないのですが、とにかくTさんが手配してくれてて良かった。 ところで、活躍が危ぶまれていた同行のうっかり八兵衛ことY君も、自己中な面は見られず、てきぱきした行動力と英・仏語力で活躍を見せてくれました。Y君は大学で仏語を取っていたんですが、なんとなくそれが使えているように見える…。(私は仏語はさっぱりなんですが、彼は意外に使えているようだ。大学の第二外国語なんて大抵の人が試験前に徹夜で丸暗記してなんとかクリアした後は綺麗さっぱり忘れるものなんだが、最近の子は少し違うのかな?…^^;)電車やバスの乗り継ぎでも結構役に立ったし、学会に行く日は朝早く起きて駅までの道を調べてくれたり、学会会場でも医学生らしく「先生、あそこでこんな面白い講演してましたよ」ってメモを取ってくれたりパンフレットを集めてくれたり、街では朝市をどこでしてるとか、安いチーズやワインがどこで売ってるとかの情報まで集めてくれました。(ま…どうでもいいような事かもしませんが、海外ではこの手の日本人的な気配りってホントに重要なんですよね。彼も「弥七」くらいには昇格させてあげよう…。) そして今年は食事ではずれがなかったのがまた良かった。今年はK氏お勧めのネットの海外旅行ガイド「トリップアドバイザー」(海外版食べログみたいなもんですな)で上位のレストランばかりを目指して行ったら、当たりばっかりでした。ホテルやレストランの人たちもとても親切だったし、レストランだけじゃなく、ニースの朝市で仕入れたパテやパン・チーズ・オリーブをあてに、近所の酒屋で買ってきたプロバンスのスパークリング・ロゼワインでの部屋飲みもいけてました。今回はなんだか運の「引き」が違います。それが証拠に近所のお菓子屋さんで買ったマカロンまでが今までの人生で食べたものの中で最高に美味しいじゃないですか! これは今年は私の人生も大きく開運するに違いない! 今までの恨みを今年すべて晴らしてヤルんだ! と、マカロンをほうばりながらガッツポーズです。ホント、食べ物の美味しいものに当たると当たらないではこんなに旅行の印象が違うもんなんだなと思います。後日友人にこの事を話したら、「そりゃそうだけど、あんたほど食べ物に思い入れている人ばっかりじゃないと思うけど…」と言われてしまいましたが。皆さんだってそうですよねぇ…。(そうであって欲しい…) あ…そうそう、肝心の学会はどうやったん? と言われそうですが、(いかにも「ついで」って感じですが)今年は去年より人が多くてびっくりしました。もう本当に世界中から人が集まっている感じです。アンチエイジングは世界で年々期待が高まってきてるのが肌で感じられますね。講演はライブデモが多かったので、顔面の解剖やボトックスの新しい打ち方、各種注射の手技などは勉強になりました。中でも興味を引かれたのは、幹細胞から抽出したタンパクを使った、シミにもシワにもハゲにも効くという新薬。(全体にハゲ治療がすごく増えていました…。)これらの情報を基に、さらに研究を進めたいと思っています。この辺の学会の情報は紙面の関係で、また後日話題にさせていただきますね。 今回はなんとなく水戸黄門の話を出したのですが、私もずっと見ていた訳ではないのですがあのテーマソングだけはなぜか耳に残っています。おなじみの伴奏から助さんのソロで始まるあの歌は皆さんも一度は聞いた事があると思います。「人生楽ありゃ苦もあるさ。涙の後には意地も出る。…後から来たのに追い越され。泣くのが嫌ならさぁ歩け…♪」ってやつです。めちゃくちゃ単純な歌詞がこれまた単純なメロディに乗っているだけなんですが、なんかあの番組にはなくてはならないぴったりハマった名曲だと思います。「人生楽ありゃ苦もあるさ…」って当たり前なんですが、やっぱりホントにそうなのよ。そうなんですよ…って思います。旅って予測のつかない事が沢山あって、想定外のトラブルに見舞われたりするけど、それを何とかクリアしていく時に人間の知恵が出ます。そして、その時に思わぬ人との出会いがあります。思っても見なかった人が活躍して、周りの人を驚かせる事があります。笑いあり、怒りあり、時には涙あり。そして、普段の生活ではない自分を見つける事があります。水戸光圀さんがあのご老体になっても旅を続け、その旅の最中にあった話が毎回ドラマとなっているのは、そんな旅が人生に与える影響を多くの人が感じているからで、それであのような長寿ドラマになったんでしょうね。(ま…あれはフィクションではありますが…^^;)   学会後、Y君からお礼のメールが来ました。「先生、1週間の学会旅行お疲れ様でした。そして今回の旅行に連れて行っていただいて本当にありがとうございました。今回の旅で僕は学会での学問的なことだけではなくて、フランスの文化、言葉、料理、家、そしてマッサージやツボのことなど多くの刺激を受けました。今後の人生の糧になるというか、少し人生設計を変えるぐらいまで影響を受けたと思います。本当に勉強になりましたし、楽しかったです。ありがとうございました」今回は彼の意外な活躍に驚きましたし、彼自身もこの旅を通じて一段と成長したと思います。ま…今思えばちょっと頼りなかったけど、Y君も立派に「助さん」なき後の「角さん」の役割を果たしていたと思います。色々とありがとう。そしてこれをいい経験に、素晴らしい人生を歩んでください。これからの人生、楽あれば苦もあるだろうけどね。ファイト!

第133回 (2014年4月) 「折れない心 」

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。3月になったとは言え、この原稿を書いている今は三寒四温で寒い日もありますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? このクリニック通信がお届けできる頃には春の到来を感じる事ができるようになっていればいいな…と思っています。   ところで先日、京都で開催された再生医療学会に参加してきました。学会前に開催された市民公開講座には学会長のT先生から直々に誘っていただいたので、市民公開講座にも参加することにしました。T先生と言えばクリニック通信第120回にも登場した、すごい経歴を持ちながらコテコテの大阪弁、気さくでめちゃ面白い先生です。市民公開講座では再生医療の最先端治療が分かり易く講演され、一緒に参加したコロコロS君も楽しめたようです。   以前のクリニック通信でも書きましたが、再生医療とは細胞を活用する事によって自己組織の再生修復を行う治療で、世界が注目している最先端医療です。現在は、培養細胞で作った細胞シートで傷んだ組織を修復する治療や、細胞に食べ物(細胞増殖因子)や家(細胞の足場)を与え、環境を良くする事で細胞の持つ自己治癒力を高めて病気を治す治療が発展してきており、網膜の病気で失明した人に視力を取り戻したり、傷んだ関節軟骨を再生する治療も始められたようです。ただ、これらの素晴らしい治療の臨床研究に対する大きな壁が法律であるようで、新しい治療であるがゆえにこれはダメ、あれはダメと数々の規制があってなかなか臨床化が進まず、これらの研究に携わる方は苦労されてきたようです。(私もクリニック移転の際には「シミ・シワ専門クリニック」というクリニック名をお役所が認めてくれず苦労したので、役所が新しい事をしたくないのはよく分かります。…ちょっと次元が違うかな?)そして2013年にやっと「再生医療推進法」という法律が成立して法律による障壁が緩和され、2014年は「再生医療元年」とも言うべき年となり、再生医療の飛躍的な発展が期待されているそうです。 今までクリニック通信で学会の事はさんざん書いてきたので、熱心な読者の皆様?はすでにご存知と思いますが、医者の集まる学会って基本的には非常に「真面目…」な雰囲気です。唯一の例外が高須クリニックの高須克弥院長率いる美容系の学会ですが。ここは非常に華やかで途中にエンターテイメントもあったり(そう言えば、「郷ひろみ」が歌ってた事もあったなぁ。あの時はお医者さんだけでなくその奥様方も大量に会場に詰めかけていて、学会なのかコンサート会場なのか分からない雰囲気でした…)かなり特殊です。でもそれを例外とすれば普通は研究発表をし、その研究について勉強したり討論したりする場なので、いわゆるアカデミックな雰囲気なんです。自分で書いておきながら変ですが、皆さん「アカデミック」って何の事か知ってます? 実は私も良く分からないんですよねぇ。でもこの「アカデミック」という英語がなんか雰囲気出るなぁ…って思うんです。そのよく分からんが、なんとなく高尚な感じがまさに「アカデミック」なんですよね~(^^)。ま、多くの学会は良く言えばアカデミック…でもその専門分野に疎い人にとってはこの上なく退屈な世界であるのは間違いありません。特に近年は研究分野がどんどん専門分化されてきているので、「アカデミック」と言うより「マニアック」…。(うん。ちゃんと韻を踏んでいてゴロがいい! このようなダジャレで「我ながらうまいこと言ったな…(^^)」と自己満足に浸っている事で、すでに一般の世界から遠のいてマニアック街道を走っている気もするが。) ところがこのT先生が学会長に就任してから、この「再生医療学会」は大きく変わったようです。さすがに「郷ひろみ」は出てこないにしても、世間で言われる著名人を呼んで特別公演をしたり、一般の人が聞いても分かる市民公開講座を併設したり、新しい企画のセミナーやシンポジウムがあったりと、他の学会にはない特徴を出しています。そして何より学会長のT先生自身が、もうしゃべるしゃべる…(^^)。その話が又面白いのです。普通の学会では学会長は一種の権威職ですし、学会員の発表を後ろで「うん、うん」と静かに頷いて聞いているという感じなんですが、T先生は自らマイクを握って、カラオケボックスの仕切り屋よろしく、元気はつらつでしゃべりまくってました。 そんなT先生のお話の内容はまた後でするとして、今回の学会の市民公開講座では、特別公演として柔道のオリンピック金メダリストの野村選手が講演台に立ちました。野村選手は何回もの怪我で、関節軟骨の再生医療を推進されている神戸大学のK先生の治療を受けた縁で、この講座に登場する事になったそうです。野村選手は2004年、柔道史上初のオリンピック三連覇を達成。柔道一家で3歳から柔道を始めたが、中学の時は小柄でめちゃ弱く、市民大会の1回戦で女子に負けたそうな。数々の名選手を育てた柔道の名監督だった父に兄は「人の3倍努力する覚悟を持て」と言われたのに、自分は「無理して柔道せんでもええで」と言われるほど弱かったとか。しかしたまに自分より大きい人を背負い投げできるのが嬉しくて、自分の可能性をあきらめるのはまだ早いと思って頑張り、限界を超える練習をしたそうです。そして、大学4年の時にアトランタオリンピックで金メダル獲得! その時は無名で、空港でスポーツ記者に「邪魔だ!」と突き飛ばされたりしたらしいのですが、まさかの番狂わせ金メダルには本人もビックリ! そして翌日の新聞では自分はヒーローになっているだろうと期待していると、同じ日の試合で国民的ヒロインの「柔ちゃん」が決勝で負けた事の方がずっと大きく報道され、見出しにはなんと…   「柔まさかの銀」「野村まさかの金」 この報道には本人もがっくり…(^^)。(でも、さすがスポーツ新聞! うまいこと言うなぁ。ゴロがいい! この記事を書いた人はきっと自己満足に浸っていたに違いない。アカデミックでなくマニアック…。え? もういい?) 2連覇後、圧勝して引退するのがカッコイイかと思ったが、やはり考え直して自分への挑戦を続け、3連覇を達成! 何回も怪我をして引退も考えたが、まだあきらめるのは早いと思い、数々の挫折を乗り越えて3連覇を勝ち取った。 その後も怪我と年齢と戦いながら、熱く燃え続けたくて現役を続行している…という内容でした。なんで野村選手がこんな話をしたかと言うと、これも後で分かったのですが、どうやらT先生の依頼だったようです。 そして学会総会。私は診療の都合で3日間の学会のうち2日間しか参加できませんでしたが、2日間だけでも学会長のT先生の、真の再生医療を多くの患者さんに届けたいという熱い想いがビシビシ伝わってくる学会でした。T先生は持ち前のエネルギッシュな面白トークで2日間に4回の講演と4回の座長をこなされ、講演では毎回時間超過の熱弁。10分の講演に「あ、もう20分喋ってしまいました。すんません!」T先生の後の演者の先生は必ず「T先生のマシンガントークの後は非常に喋りにくいんですが…」と言われるほどの熱弁です。早口なので普通の講演の2倍以上の内容が詰め込まれていますが、面白いので難しい細胞環境の話もすーっと頭に入ってきます。 そして前にも述べましたがこの学会は、普通の学会にはない斬新な企画が随所に織り込まれていました。ランチョンセミナーはT先生を含む演者2人と座長の3人で漫談をしようと決めたとか、難しい話ばかりではなくて楽しめる学会にしようとされていましたし、研究開発に必要な機器を作る中小企業の方達のシンポジウムなんかもありました。T先生がいつも言われている企業との連携。「これからは大学と企業が結びつかなあきませんよ。研究成果を世の中に還元するためには、商品化せなあかんのです。けど、大学でいくら頑張っても商品化は不可能です。そやから僕はいろんな企業と共同研究してるんですよ…」中でも中小企業は小回りが効き、スピード感があって思い通りの機器が手に入りやすいので研究のサポートには適しているそうです。私も細胞が壊れずに凍結できるプログラムフリーザーには興味があり、T先生の粋な計らいでシンポジウム後に演者に直接質問できる時間が設けられていたので、その会社の社長さんにいろいろお話が聞けました。またT先生から「共同研究しよう」と持ちかけられているゼラチンハイドロゲルによるDDS(ドラッグデリバリーシステム:ゼラチンから作ったゲルに細胞増殖因子を混ぜて、体内で細胞増殖因子が徐々に放出されるようにし、組織修復の効果を高める方法)のゼラチンを作っている会社の人にもいろいろお話を聞く事ができ、とても楽しい学会でした。 T先生がなんでこれだけ熱意を持って「諦めたらあかん! 絶対に自分の信念を持ち続ける事が重要やねん!」と言われるかには訳があります。冒頭でも書いた通り、再生医療というのは最先端分野であるだけに誰もやった事がなく、各種の許認可を取るのが非常に大変なんです。勿論、医療の安全性を確保するのが厚生労働省の役割なんですが、お役所の言う通りにしていると全く研究も臨床も進まない。そこで、とにかく自分が信念を持っている事を粘り強く訴え、人を動かし成果を認めてもらって世の中にそれを問うという事が重要なようです。T先生のモットーは研究室の中の研究で終わらず、それを役に立つ形で世の中に還元する事で、そうして初めて研究者として完成すると考えられているようですので、研究以外の活動にもそれだけエネルギーを傾けられているのだと思います。T先生が野村選手に先のような公演を依頼したのも「何事も諦めたらあかん! 最後の最後まで諦めたらあかん!」というメッセージを伝えたかったからに他ならないと思います。 私もこの年になってくると、あれだけ元気だった同級生や諸先輩方の中でも、そのまま元気を維持している人と、もう明らかに老化の道(誰とは申しません。失礼な発言をお許しください…^^;)を進んでいる人がどんどん別れてきてますね。そして、皮肉な事に元気な人は「逆境にいつも立たされて、それをはねのけようとしている人」に多いように思います。ストレスは諸悪の根源のように言われていますが、実際にはストレスがあるから血液中にアドレナリンも放出され、適度なストレスがある方が長生きするのは動物実験でも確認されています。つまり、ストレスを単純に減らす事が重要なのではなく、ストレスと向き合ってそれを短時間で自分の「超えるべき壁」として昇華できる精神が重要なんだな…って思うのです。まぁ…私だって「超えるべき壁」だったら人一倍あります。(明らかに多すぎるというのが問題なんだが…)それを自分のチャレンジすべき目標として前向きにとらえていけるかどうかなんだな。ただ、分かっちゃいるけどできないのが人間の性。何度心が折れそうになった事か…。今回はT先生の学会に出席する事で、久しぶりにアカデミックな部分だけではなく、ちょっと精神論的かもしれませんが、「折れない心」という事について大きな学びがありました。この気持を大切に、これからも頑張り続けたいと思います。マニアックの方なら自信あるし…(^^; え?しつこい?)。